不動産投資では、オーナーは建物の細かい部分まで知っておくべきです。仮に建築に関しての知識が乏しいと、瑕疵が隠れていることが見抜けなかったりするからです。
さて、建築物にも時代があり、古い物と新しい物では大きく勝手が違います。そして、この「時代による違い」もオーナーは知らなくてはいけません。特に中古物件を扱う上では古い物件の知識が重要です。建物は建築材料や設備のレベルから知っておいた方が良いでしょう。
そこで、ここでは建築物を各部分に分け、材料レベルから昔と今を比較してみたいと思います。
もくじ
建物の基本構造になる部分
建物の基本構造は安全性に関わるので非常に大切で、細かい部分までを知っておかなければなりません。そして、材料の新旧の知識は重要です。
例えば、入居希望者に耐震基準の質問をされた時には、新耐震か旧耐震かで回答することは可能でしょう。しかし、そこから先に突っ込んだ質問をされた場合には、材料の新旧の知識が無いと回答に困ることにもなり得ます。ぜひともしっかりと押さえておきたい物です。
柱・梁
柱や梁は構造によって異なりますが、昔の物と今の物では、やはり相違点があります。
まず、木造ですが、基本的には今の部材は集成材が使われています。集成材と聞くと安っぽいイメージがあるかも知れませんが、今の構造用の集成材は強度が高く、しかも大きな断面形状の物も作れるので、非常に強い構造体を作ることも可能。その一方で昔ながらの材木では、節などがあるために強度が安定しないなどの弱点があります。
次に鉄骨系の建物、素材的にはスチールなので変わらない様に思えるのですが、今の住宅は独特の断面形状の鉄骨を使用。地震にも強い非常に性能の良い構造体を作ることに成功しています。実際、鉄骨系のプレハブメーカーは50年とも言える長期の保証体制を敷いていますが、これは構造の性能の高さと言えるでしょう。
そして鉄筋コンクリート系建築物。元来の性能の良さがあるのですが、今は鉄骨を組み合わせた構造となっています。また、高強度のコンクリートも開発され、タワーマンションに応用されています。
ちなみに、マンションなどの場合には構造部分にダンパーを組み込むことにより、地震波を減衰させて揺れを小さくすることを実現しています。
合板・パネル類
合板やパネル類は壁や床に使われる素材なのですが、今の合板やパネル材は構造用の耐力壁としても使われ、耐震性能の確保などにも利用されています。
実際、合板を用いた壁には様々な試験をしています。単に材料の破壊の状況を調べるだけでなく、実際の壁を作って外力を加え、壁全体の破損の状況を調べられているのです。
また、住宅会社によっては実際に家を建て、そこに大型の振動を発生させる機械で地震を再現させ、破損の状況が確認されることも。この時のポイントとなる点の1つが合板まわりで、重要な確認部分とされているのです。
部材の接合部品
部材の接合部分も進化を遂げています。
特に変わったのは木造の在来工法です。これは2000年耐震基準を契機に大きく変わったと言えるでしょう。
構造強度は部材の太さが決める条件になりますが、それには接合部分の強度確保があっての話。接合部分の強度確保は重要な条件なのです。
仮に部材の座屈や破断が無かったとしても、接合部で破壊してしまえば構造全体が崩れてしまうのです。
今では接合部の部品なども決まっていて、強い構造の建物が安定的に供給されています。部品進化があってこその成果なのです。
屋外の基本構造「外壁・屋根」
屋外の環境は思ったよりも過酷です。厳しい日射や風雨、そして台風などによる風圧力にも耐えなければなりません。そのために、外壁や屋根の部材そのものの強度や化学的安定性などが進化して来ました。
ここでは外壁や屋根を構成する材料の古い物と新しい物について挙げてみましょう。
外壁材
アパートや戸建て住宅は鉄骨系や木造の建物が多いのですが、これらの建築物の外壁にはサイディングが使われています。主流は窯業系サイディングです。昔のモルタル壁とは勝手がずいぶん違います。
例えば、昔のモルタル造の場合、地震などでヒビが入ることが多くありました。外壁にヒビが入ってしまうと壁の内部に水が入り込んでしまい、中の部材を痛めてしまうこともあります。
しかし、今のサイディングの外壁ではモルタルの様なヒビ割れは少なくなっています。外壁の性能が上がっているからと言えるでしょう。
屋根材
昔の住宅の屋根材は瓦葺きが多くありました。しかし、今ではスレート系や金属系の物に置き換わっています。
さて、建物の重量は耐震性にダイレクトに関係します。建物が重ければ重い程に条件が悪くなって行くのです。
そして、屋根材を昔ながらの瓦と、今のスレートをはじめとする屋根材では、やはり瓦屋根の方が重量があります。そのため、瓦屋根の建物の方が地震に弱いです。
また、メンテナンスの方法も異なります。昔であれば瓦の修繕になりますが、今の屋根材は塗装が第1です。屋根の塗装は定期的に必要であり、放置し過ぎると屋根から水が入り込むこともあり得るのです。
塗装
外壁や屋根の塗装は非常に大切で、定期的に再塗装しなければなりません。仮に再塗装が無い状態で放置されると、屋根や外壁が傷んでしまい、場合によっては水の侵入を許してしまいます。
さて、昔の塗装と今の塗装では耐用年数がずいぶん違います。今は昔と比べてずいぶん長くなりました。
例えばシリコン系の外壁塗料は昔は高級素材でしたが、今ではそれよりも良い塗料が一般的になって来ています。
また、塗装にも機能が付く様になりました。良い例が断熱や遮熱。これによって住宅の断熱性能が更に上がり、省エネにも貢献出来る様になっています。
建物内部の基本構造「内装材」の進化
内装材は住空間を演出する部分。生活空間を作る上で重要です。
さて、内装材にも進化があり、昔の物と今の物では違う点は多いです。
壁紙
内装材としてポピュラーなのが壁紙です。壁紙には様々な種類があるのですが、ビニールクロスがコストやデザインから普及しています。
さて、ビニールクロスですが、今では機能性壁紙も登場し、より良い住空間造りに貢献しています。
機能性壁紙とは、その名の通り壁紙に様々な機能を追加させた物。例としては、抗菌、防臭、汚れが付きにくい、傷が付きにくいなど様々です。使用例は、トイレには防臭効果のあるタイプを使ったり、傷が付きにくい物はペットを飼育する部分に使ったりします。
床材
床材も部屋の雰囲気を決める部分。やはり内装としては大切です。
さて、昔の住宅の場合は畳が中心でした。ダイニングはあったのですが、それでも畳が多く、茶の間を中心とした部屋となっていました。
しかし、今ではLDK中心の間取りです。床材の重要性が上がって来ています。
それに伴って床材にも幅が出て来ました。合板ベースの普及タイプと天然無垢材の高級タイプです。いずれもメリットとデメリットがあるので簡単に比較は出来ないのですが、昔の部屋と違った部屋を造っています。
建物の利便性に必須「設備」の進化
設備は生活の利便性を左右する物です。
機能性やデザイン性が高い物を付けるならば、それだけ快適な生活となるでしょう。
そして、設備も昔と今では状況が大きく違います。代表的な例を取り上げてみましょう。
キッチン
昔のキッチンは壁付けのタイプが多かったです。
さて、今ではLDKを中心とした間取りが主流。昔のダイニングキッチンとは様子が異なります。例としては、対面式でカウンターが付いたタイプ。アイランド型やペニンシュラ型のキッチンは昔には無い物でした。生活スタイルの変化に合わせて変わって来た要因とも言えるでしょう。
また、キッチンにも新しいアイテムが着く様になりました。代表的なのはIHの調理器具や食器洗い機、そしてディスポーザーなどです。これによってキッチンの安全性や快適性は高まり、より豊かな生活環境を作っています。
浴室
浴室も様々な進化が見られます。
例えば冷めにくい浴槽。昔は浴槽にお湯を張ってから時間がそれほど経たない内に冷めてしまった物でした。しかし、今は浴槽にも断熱の技術が活かされ、時間が経ってもあまり冷めない物が登場しています。これによって省エネ性の向上が図られています。
また、バリアフリー性でも進化しています。床面などは滑りにくい素材を多用して安全性のアップが図られ、段差の解消も進んで転倒のリスクも低いです。
その点、昔の浴室の場合は床面は滑りやすかったですし、段差もありました。やはり、浴室においても昔と今では異なるのです。
トイレ
トイレも昔と今では大きく違います。
中古住宅であってもトイレは洋式の物が多いのですが、洋式であったとしても昔と今では異なります。
まず挙げられるのはウォシュレットの有無。普及が始まってから時間は経ちはしましたが、やはり昔の建物では無い場合が見られます。
また、少ない水で流れる様に便器の形状が工夫されていたり、汚れが付着しにくい表面処理が施されています。これらは昔のトイレには無かった物。昔とは違うのです。
給湯器
給湯機も昔と今では違います。
昔の給湯器はガスでお湯を沸かしてキッチンや浴室で使っていました。
しかし、今ではガスだけではありません。ガスだけでなく電気の利用も多く、光熱費を抑えながらお湯を沸かす工夫がされています。
特に、太陽電池や燃料電池を用いたシステムは現代になって登場した物。昔の住宅には無かったシステムです。
玄関まわりや窓まわり
玄関まわりや窓まわりも昔と今では大きく違います。
異なる点は色々とありますが、大きく変わったのは防犯性と断熱性です。それぞれについて挙げてみましょう。
玄関ドア
今から30年近く昔になりますが、玄関ドアの錠をピッキングで破る窃盗犯が横行しました。プロの手に掛かれば短時間の間にドア錠を開け、部屋を荒らされて逃げられた訳です。
さて、これに対してドアメーカーや錠メーカーは防犯性の高い商品を投入しで迎撃しました。その結果、玄関から侵入する窃盗犯が減少したのです。
しかし、昔の建物は防犯性の高いドアが付いているとは限りません。安全性で差があるのです。
また、玄関は熱が逃げる部分でもありますが、これに対しては断熱材がドアに入りました。これも昔のドアには無かった物。今のドアとは違うのです。
インターホン
昔はインターホンは玄関先と室内の通信アイテム程度にしか見られなかったかも知れません。
しかし、今は立派な防犯アイテムです。
と言うのも、今のインターホンはカメラ付きが多く、室内から来訪者を確認しやすくなっているからです。また、今のカメラ付きインターホンは撮影だけでなく録画も可能。どんな人物が来たかの記録も出来ます。
他にも、カメラが付いていれば不審者に対する威嚇効果を狙えます。この様に、今のインターホンは優れた防犯設備。昔の物とは異なるのです。
窓
窓は防犯や省エネなど、様々な点で重要な部分です。昔の物とは違います。
防犯で考えるならば、昔の窓よりも今の窓はこじ開けにくくなっています。窓を破る手段としては錠まわりを破壊して外から錠を開けるのが主な手段でしたが、今ではそれが出来ない構造になっています。ガラスを破りにくいなど、様々な技術を応用しているのです。
また、省エネ性も上がっています。
今は複層ガラスが多く、熱を伝えにくく出来ています。その結果、外気温の影響を受けにくくなり、エネルギー効率が良くなっているのです。
そして、これらの性能は昔の建物の窓では一般的ではありません。安全性、省エネ性、様々な点が違うのです。
まとめ
今の建築材料と昔の建築材料を比較してみました。様々な点で相違が見られることが分かったと思います。築年数と設備の相関関係もイメージ出来た人もいることでしょう。
不動産投資は入居者の満足があってのビジネスです。設備はそのカギとなりますので、十分に研究して物件を造りましょう。
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【リスク】を少なく不動産投資を始めてみましょう。