不動産投資は投資用物件があってこそのビジネス。あらゆるアクシデントに備えていなければなりません。しかし、自然災害の予測は不可能なため、災害対策は保険でまかなうしか無いのが現実です。
さて、自然災害の中でも地震は非常に危険で、場合によっては物件の倒壊にまで至り得る問題。回避策は万全でなければなりません。
地震保険はその様な事態に備える保険ですが、意外と詳細は知られていません。そこで、ここでは地震保険について取り上げたいと思います。
もくじ
不動産投資における地震保険の意義
まずは不動産投資における地震保険の意義について取り上げてみましょう。
物件損壊による経済的被害を低減
不動産投資において物件損壊は致命的な損害を意味します。と言うのも、不動産投資は投資用物件からの家賃収入で成立するビジネス。物件が無ければ成立しないからです。
さて、地震は保険の有無に関係なく襲って来ます。
しかし、仮に地震による損壊リスクがあったとしても、地震保険を掛けるならば経済的な損失を抑えることが可能。被災後のビジネスの再スタートが切りやすくなります。一方で保険を掛けないならば物件の修繕費用を自前で用意しなければならないので、ビジネス上でのダメージは大きくなってしまうのです。
中古物件の耐震性
不動産投資は利回りを重要視します。そして、投資用物件を考えるならば、新築物件よりも中古物件の方が投資金額が抑えられて有利です。
しかし、中古物件は築年数によっては最近の物件よりも耐震強度が劣る物件があります。これは、法令で定める耐震基準が昔の物よりも今の方が厳しくなったため。昔の建物は耐震性において劣る物があるのです。
そのため、中古物件を選ぶならば、それだけに地震のリスクに注意を払う必要が出て来ます。そして、中古物件である程に地震保険の必要性が上がるのです。
頑丈な建物ならば保険は必要無いか
今の建物のベースとなっている耐震基準は過去の大規模地震の発生を元に決められている物です。そのため、理論上では今まで起きた地震を乗り切ることが可能な強度を持っている、と言うことが出来ます。
それでは、仮に今の耐震基準を上回るだけの頑丈な建物を用意したら、地震による経済的リスクは回避出来るのでしょうか。
確かに建物の損壊リスクは減ることでしょう。しかし、そのリスクがゼロになるとは言い切れません。
と言うのも、過去の地震を上回るレベルの物が襲来した場合、建物が大丈夫であるかは予測が付かないのです。
しかし、地震保険を掛けるならば大きな地震が来たとしても補償が受けられます。やはりリスク回避には有用なので、保険の利用は賢明と言えるのです。
地震保険の適用範囲
地震保険は地震による被害に支払われる保険です。しかし何でも対象となる訳では無く、対象となる物とならない物があります。
それぞれの例を取り上げてみましょう。
保険の対象となる物
対象となるのは居住用の建物やマンションなどの個室、そして家財です。
ですから、戸建てであってもマンションであったとしても、居住空間と家財は保険によって守られることになります。
ただし、地震保険の種類によっては建物のみに補償を限定している物、家財まで範囲が広がる物、様々の物があります。仮に建物だけに限定される保険であれば、家財は補償されないので。注意が必要です。
保険を選ぶ時には補償内容をしっかりと確認する必要があります。契約内容をしっかり把握しておくことが重要なのです。
保険の対象とはならない物
では、補償されない物にはどの様な物があるのでしょうか。
具体的には以下の様な物が挙げられます。
- 店舗や事務所のみに使われている建物
- 設備、什器、商品、設備
- 高額な貴金属や美術品
- 自動車
細かい部分に関しては契約の内容を確認しなくてはなりません。保険会社に問い合わせて、明確に知っておきましょう。
保険金が支払われる物
次に、保険金が支払われる物について取り上げてみます。
地震保険で支払われるのは、基本的には地震発生による災害。火災保険とは違います。
地震による家の破損
まず最初に挙げられる物は「地震による家の破損」です。
地震は縦揺れと横揺れの組み合わせと解釈することも出来るのですが、建物から考えてみれば全方向から振動が加えられるイメージとなり、各部材には複雑な力が加わります。ある物には引っ張る力、またある物には圧縮する力など、実に様々です。
また、建具に関しても様々な力が掛かり、状況によっては破損もあり得ます。例えば窓ガラスが割れるのは良い例と言えるでしょう。
地震保険はこの様な破損の場合に支払われます。建物のダメージは大きく、修繕には大きな費用が掛かるので、非常にありがたい補償となります。
地震による火災での被災
地震によっては火災の発生もあり得ます。これは家庭内の暖房器具や調理の際による火炎が原因とも考えられます。また、火災は自宅が火元となる場合だけでなく、もらい火のケースもあります。
今の建物は防火性が高い素材が使われているため、簡単には燃えませんが、被災の可能性はゼロでは無く、やはりリスクは消えないのです。
地震保険は地震発生による火災にも対応します。助かる補償と言えるでしょう。
地震による津波での被災
日本は島国のため、地震は津波を引き起こすことがあります。津波は建物を飲み込み、流してしまう恐ろしい災害です。実際、東日本大震災の時には数多くの建物が流されてしまいました。
さて、地震保険は津波による被害にも支払われます。津波の発生確率は低いのかも知れませんが、万が一の際に頼れる保険なのです。
保険金が支払われない物
地震保険は何にでも支払われる訳ではありません。適用範囲外も物もあるのです。
損壊が一部損に至らない場合
地震保険の考え方は火災保険の様に壊れた部分に対して効くのでは無く、被災の度合いに対して支払われます。そして、この度合いは4種類に分かれるのですが、地震の規模によっては軽微な物もあり、この4段階の最低段階に至らないレベルの物もあります。
そして、その災害レベルが最も軽いケースの、更に軽い物は軽微なレベル「一部損に至らない場合」には保険適用にはなりません。
門・塀・垣に生じた損害
地震保険の適用となるのは基本的に家屋や家財。ですから家屋以外の外構部分、門・塀・垣部分は適用にはなりません。
ちなみに、今のブロック塀には鉄筋が入って補強されていて、簡単には壊れない様に出来ています。
地震発生の翌日から10日を経過して以降の損害
地震発生から時間が経った破壊は地震以外のダメージもあり得ます。地震保険はこの場合…発生の翌日から10日を経過して以降の損害に関しては、適用外としています。
地震の際の紛失や盗難など
地震発生に際しては物品の紛失や、場合によっては火事場泥棒が現れる危険性があります。
地震保険はこの様な被害は対象外としています。
地震保険の保険金支払いについて
一般に保険は破損などの不具合発生に対して補償されますが、地震保険の場合には違った対応がされます。
地震保険の場合には損害の程度によって補償されるのです。損害の段階としては「全損」「大半損」「小半損」「一部損」の4つです。
尚、損害の程度は対象が建物の場合、基礎、柱、梁、屋根などの主要構造部の損害のレベルで認定されます。また、損害が仮に一部損に至らない場合には補償の対象とはなりません。
全損
全損は建物の主要構造部分の損害額が時価で50%以上、焼失・流失した部分の床面積が建物の延床免責の70%以上。家財では損害額が全体の時価額の80%以上です。この場合の支払いは時価額が限度とはなりますが、保険金額の100%です
大半損
大半損は建物の主要構造部分の損害額が時価で40%以上50%未満、焼失・流失した部分の床面積が建物の延床免責の50%以上70%未満。家財では損害額が全体の時価額の60%以上80%未満です。この場合の支払いは時価額が限度とはなりますが、保険金額の60%です。
小半損
小半損は建物の主要構造部分の損害額が時価で20%以上40%未満、焼失・流失した部分の床面積が建物の延床免責の20%以上50%未満。家財では損害額が全体の時価額の30%以上60%未満です。この場合の支払いは時価額が限度とはなりますが、保険金額の30%です。
一部損
一部損は建物の主要構造部分の損害額が時価で3%以上20%未満、全損、大半損、小半損、一部損に至らない建物が床下浸水または地盤面から45cmを超える浸水、家財では損害額が全体の時価額の10%以上30%未満です。この場合の支払いは時価額が限度とはなりますが、保険金額の5%です。
地震保険で知っておきたい点
ここでは地震保険について知っておきたい点について取り上げます。地震は投資用不動産を破壊し得る危険な災害です。そのため、地震保険に関する知識も有用と言えるでしょう。
地震保険は政府の再保険
地震保険は保険会社のみで保険制度を運営する物では無く、政府が再保険を通す保険です。これは保険会社のみでの運営が困難であることから取られている制度。政府の再保険だからこそコストを抑えた費用での加入が可能となっています。
イメージとしては、大地震が発生した場合には街全体が大きなダメージを被ることになり、損害額は街全体の額…1軒単位の火災保険を遥かに超えた額となります。これは民間の保険会社の体力では対応し切れないレベル。そこを政府が持つ再保険で対応するのです。
火災保険への加入が前提
地震保険は地震保険のみで掛けられる保険ではありません。火災保険とセットで掛けられる制度となってします。そのため、保険費用としては火災保険と合算して出さなければなりません。
不動産投資においては費用の算出は経営計画を立てる上で大切な要素。仮に間違ってしまうと実質利回りの計算が違って来てしまいます。更には税金の計算も費用としてカウントするかどうかでも変わるので、保険費用には2つの保険を合算して考えることが大切です。
地震による火災は地震保険での対応となる
地震の発生には火災が伴うことがあります。家屋内で使われている暖房や、調理のための火が燃え移る場合があるのです。
さて、この様な地震が原因となる火災は火災保険の対象ではありません。地震保険での対応となります。
そのため、投資用不動産で発生した火災が地震による物であれば、それは地震保険によっての対応となるのです。ですから「火災保険に入っているから大丈夫」と言う訳には行かず、火災保険だけしか入らなかった場合は自前で対応しなければなりません。
割引制度がある
保険の費用は小さい物ではありません。特にアパートや1棟マンションの場合は保険金が膨れ上がるのです。この費用は経営を圧迫する要因、支払いは確かに痛いです。
しかし、地震保険には割引制度があります。これは建物の構造から判定される物。免震建築物であるか、耐震等級はどれくらいであるか、耐震診断での結果や改修工事でどのくらいになったか保険費用が変わります。
不動産投資においては中古物件に人気が集まりますが、築年数によっては現在の耐震基準を満たす物や耐震補強をしている物件もあります。確認すれば適用する物件もあるので、しっかりと確認しましょう。
耐震基準も知っておきたい
建築物の耐震性は過去の大地震によって築かれて来ました。大地震の発生により法律が改正されて来た経緯があるのです。また、建築はテクノロジーの進化によって変えられた部分もあります。耐震技術もその内の1つで、近年の技術革新により新しい構造が開発されて来ています。
さて、不動産投資において物件の構造を知ることは大切です。構造と安全性は密接であり、しかも保険制度と関連があるからです。地震保険に関しても同じ、投資用不動産についても勉強しておきましょう。
また、前述の様に保険制度の割引を受けるためにも耐震についての知識は必要です。ぜひとも内容を知っておきましょう。
まとめ
地震保険について取り上げました。火災保険などとは違う性質の保険であること、補償に関しての火災保険との違いなども把握出来たことと思います。また、これにより火災保険をどの様に掛けるべきかをイメージ出来た人もいることと思います。
保険の活用は不動産投資においてリスクマネジメントの重要な施策。そのためにも情報収集が非常に大切です。しっかりと勉強して、リスクに対応出来る様にしましょう。
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