投資一般は投資対象の価格が低い時に購入し、値上がりしたタイミングで売ることによって利益を得ます。投資信託もこの点では同じで、評価額が上がった時点で売れば、その差額が利益になります。
さて、投資信託にはもう1つの利益があります。それが分配金による利益です。
ところで、証券会社の分配金の扱いには「再投資」の設定が可能なのですが、この再投資に関しては覚えておいた方が良い知識が結構あります。
そこで、ここでは分配金の再投資に焦点を当てて紹介したいと思います。
もくじ
投資信託の分配金は再投資が可能
分配金の扱いには再投資と受け取りがあるのですが、両者の違いを覚えておくと意外に利益に結び付くこともあります。そこで、ここでは再投資について再確認をして行きましょう。
再投資とは
再投資とはその名の通り、得られた利益を持っていたファンドに再び投資することです。
投資は別のファンドへの投資を指すのでは無く、あくまでも同じファンドへの投資となります。
例えば、Aという証券会社のBという投資信託を買ったとします。そして一定の期間が経つと分配金が発生するのですが、再投資ではその分配金をそのまま同じBファンドに投資します。Aの証券会社であったとしても、CファンドやDファンドといった別のファンドへの投資ではありません。
再投資と受け取り
分配金は再投資に回す以外にも、その金額を受け取って利益を得ることが出来ます。現金として受け取れるので、手元に資金を持っていたい場合に役立ちます。
ただし、受け取りにしたからと言っても、設定が変わればすぐに受け取れる訳ではありません。分配金の入金は決算日から起算されて決められるのです。ですから、銀行口座の様にキャッシュカードで即現金化とは行かないので、注意が必要です。
ちなみに、今の投資信託の設定変更はスマートフォンなどでも可能な物があります。手元で変えることが出来るので、非常に便利です。
複利効果について
銀行口座などの場合、利子の付き方には「単利」と「複利」があります。単利は一定の預金額に対して利子が付き、複利の場合は付いた利子に対しても利子が付きます。ですから、資金を増やすためには複利の方が有利です。
さて、これを投資信託に当てはめるならば、再投資は複利のイメージに近くなります。得られた分配金は基準価格に加わるからです。
しかし、投資信託の場合の分配金は状況によって大きく変化する場合もあります。注意が必要となるでしょう。
投資信託する際の再投資と貯蓄の違い
投資信託の再投資は一見すると「利子の高い銀行口座」の様に見えるかもしれません。しかし、注意して見るならば、意外に相違点が見つかります。貯蓄と再投資は混同しがちなので、ここで再確認をしておきましょう。
貯蓄は事前に決められた金利による
銀行に行くと銀行口座の案内のパンフレットを見かけることがあります。それを見ると、その時点での金利の記載があります。その口座に預ければ、その金利に従って利子が付く訳です。
例えば、銀行の預金口座を見ると0.1%、あるいは0.11%などと謳っています。その場合、その口座に1000万円を預けると0.1%の口座であれば1万円、0.11%であれば11000円の利子が付くのです。
この金利は「預ける前」に設定されていて、その設定を比較して選ばれる訳です。そして、銀行口座も複利です。付いた利子にも利子が付きます。
再投資は発生した分配金による
その一方で、投資信託の再投資は、購入の前に分配金は謳われていますが、その分配金は必ずしも保証される訳ではありません。ですから、購入した後で変わることもあり得るのです。
例えば、10000円に対して500円の分配金が付く投資信託を買ったとしても、必ずしも500円の分配金が発生する訳では無く、投資の状況によっては400円になったり350円になったりするのです。
そして、再投資はその分配金での同ファンドの購入。再投資金額は銀行口座よりも不安定と言えます。
分配金が落ちた時はどうなるか
さて、銀行口座も金利変動のリスクはあります。しかし、総じて安定しており、大きく変動することは少ないです。
しかし、投資信託の場合は資産の変動が結構な頻度で発生するので、それに合わせて分配金も変わります。そして、分配金が減るならば再投資が可能な額はそれだけ少なくなるのです。
投資信託の決算日はファンドによって異なり、毎月行われる物や年に1回行われる物、色々とあるのですが、次の決算日まで利子が落ちてしまうイメージとなるので、発生するリスクの大きさも違うと言えるでしょう。
再投資を設定しておくメリット・デメリット
それでは、再投資の持つメリットとデメリットにはどの様な物があるのでしょうか。
再投資のメリット
投資信託の再投資は、発生した分配金が自動的に同じファンドの投資に回ります。ですから、その分の複利効果を期待出来ます。資産形成に有利と言えるでしょう。
ちなみに、ファンドにもよりますが、購入の際には手数料が必要な場合もあります。
分配金を受け取りにして再度同じファンドを購入する場合には、購入する段階で手数料が必要。しかし、再投資に設定しておくならば、再度購入する場合の手数料が発生しない事も多いです。手間とコストでメリットがあると言えるでしょう。
再投資のデメリット
分配金の再投資は自動でされるため、現金として手元には届きません。
ですから、仮に何らかの資金が必要になった場合であっても、ファンドの換金手続きを行う必要があります。
銀行口座などであれば預けている資金をATMなどで簡単に引き出すことが出来て便利なのですが、その都度手続きを行わなければならない点は、意外と面倒。デメリットと言えるでしょう。
ちなみに換金にも時間が必要です。即金で必要である場合には困ることもあるかも知れません。
再投資に向いている人
再投資のメリットは複利効果を得やすい点。デメリットは手元に資金が残りにくい点です。ですから、手元に生活などに必要な資金を確保し、それとは別に資産を形成したい人に向いています。
例えば、毎月の収入から生活費を財布に入れ、それとは別に将来のための資金…例えばマイホームの資金、教育のための資金、あるいは老後のための資金を作ろうとする人に向いた投資と言えるでしょう。
受け取りのメリット・デメリット
それでは、分配金を受け取る場合のメリットてデメリットにはどの様な物があるのでしょうか。
受け取りを選択するメリット
まず挙げられるのが「手元に資金が残りやすい」点と言えます。
前述の様に、再投資の場合、分配金は自動的にファンドに投資されるため、投資家はリターンを手にすることはありません。ですから、換金の手間などが必要となるのです。
しかし、受け取りの場合は資金が振り込まれるので手元に残りやすく、生活資金などに充てやすくなります。
ちなみにファンドによっては毎月決算のタイプもあります。投資の成果を毎月受けられるのは魅力的です。
受け取りを選択するデメリット
デメリットは複利効果が薄くなる可能性がある点です。
再投資を設定している場合には分配金は継続的に投資されますが、受け取りの場合には一旦戻される形になります。そうすると継続的に投資を行うよりも、継続的では無くなる可能性も出て来ます。その場合には資産形成の減速も有り得ます。
受け取りを選択するのに向いている人
受け取りに向いている人は、分配金を貯めるよりも使いたい人に向いていると言えます。
確かに投資信託の分配金は一定にはならない場合もありますが、それでも手元に入ることは嬉しいこと。生活資金などに充てたい人には特に向いていることでしょう。
投資信託を知る為に再投資型と無分配型の違いを知る
投資信託には「無分配型」という投資もあります。これは再投資と正確が似ていますが、同じ物ではありません。それでは、どの様な点が異なるのでしょうか。
分配金の扱いについて
まず確認しなければならないのが、「再投資の分配金の性格」です。実は再投資の分配金は「一旦分配されたて投資家が受け取った物」とされています。
その一方で、無分配型は再投資では無いので、分配金そのものがありません。
税金の掛かり方が違う
再投資にしても無分配にしても投資家の手元にはリターンが入らないので、双方は同じ様に見えるかも知れませんが、実は違います。「税金の掛かり方」で違いが出て来るのです。
と言うのも、再投資型はあくまでも「分配金を一度受け取った」ので、その時点で手元には渡りませんがリターンがあったとされ、税金が発生します。しかし、無分配の場合は「何も受け取っていない」ので、税金は発生しないのです。
実物不動産投資と不動産投資信託の再投資のイメージの違い
ここで、投資信託の代表として不動産投資信託の再投資を取り上げ、実物不動産投資の資産形成を比較してみましょう。
事業拡大が再投資のイメージ
不動産投資信託も分配金の再投資が可能です。ですから、不動産投資信託でも再投資は資産形成を意味します。
しかし、実物不動産投資は利回りの再投資は限定的となってしまいます。と言うのも資産形成は所有する物件の件数を増やすこと、あるいは既存の物件をリノベーションするなどして、付加価値を上げることとなるからです。
これは事業拡大と言っても良い物なのですが、投資対象物に資金を注ぎ込む点では似ていると思われます。
複利効果について
前述の通り、投資信託の再投資は効果は落ちるかも知れませんが、それでも複利効果は見込めます。しかし、実物不動産投資の場合は複利効果が見えるかどうかも不明です。
と言うのも、実物不動産投資は事業を拡大したとしても利回りが上がるとは限らないから。1棟目はキャッシュフローが良かったとしても、購入した2棟目の物件が利回りを上げずに苦戦することもあり得るからです。
その場合、1棟目と2棟目のキャッシュフローを合わせると、トータルとして悪くなることも。投資信託の様な複利効果の発生は意外に簡単では無い…とも言えるのです。
2棟目を買うためには資金の貯蓄が必要
不動産の購入にはまとまった資金が必要です。実物不動産投資の場合は銀行融資が利用出来るとは言え、ある程度の資金は必要となるでしょう。そして、その資金が貯まるまでは、ある程度の時間が必要とも思われます。
しかし、不動産投資信託の再投資であれば、決算の度に投資金額を増やすことが可能です。不動産投資信託には毎月決算の物がありますが、この場合は毎月の投資…つまり事業拡張が継続的…とも言うことが出来るでしょう。
手間は増えるが当たればデカい実物不動産投資
不動産投資信託と実物不動産投資の違い、それは実際の不動産管理や入居者管理、そして銀行対策などの手間を被らなくて済む点です。不動産投資信託は投資そのものを投資法人に投げる形になります。ですから、物件の管理も銀行対策も必要はありません。ただし、銀行融資が使えないため、大きな投資は難しいかも知れません。
その一方で、実物不動産投資は物件の管理や銀行対策はオーナーがしなければならなくなります。そして、そのための労力が必要です。遠隔地に投資用物件を持っている場合には、トラブルが発生する度に現地に行く必要も出て来るでしょう。確かに腕の良い不動産管理会社に出会えれば話は別でしょうが、それは運しだいです。
しかし、高利回りの大型物件を手にした時などは収益が実物不動産投資の場合は非常に多くなります。実物不動産投資は当たればデカいのです。
まとめ
投資信託の再投資について取り上げました。受け取り型との違いも挙げたので、どの様な性格を持つかイメージが出来たことと思います。
また、不動産投資信託の再投資と実物不動産投資の違いなども挙げてみました。どれを選ぶかは個々人によって違うでしょうが、イメージが相当違うことも掴めたことと思います。
資産形成は個々人に合う物と合わない物があるので、自分にとってどの様な物とするかを決めるのが重要。再投資にするか受け取りにするか、自分の性格と状況を併せて考えるのがオススメです。
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