昨今になって日本各地が大きな地震に見舞われています。印象に残るのが東日本大震災でしょうが、その後にも震度6クラスの地震が頻発しており、物件購入においても注意が必要とされます。
しかし、不動産投資家の中には建築の分野に明るくない人もいることと思います。地震に関してもあまり知らない人もいることでしょう。
そこで、ここでは地震について取り上げ、投資用物件への影響などを解説したいと思います。
もくじ
投資用物件への影響について
まずは結論から。投資用物件への影響について取り上げてみましょう。
地震は入居者の安全性を脅かすアクシデントですが、投資用物件に限定して言うならば、物理的なダメージも利回りの面でも大きなダメージを受けてしまいます。
では、どの様なダメージなのでしょうか。
物件の破損・倒壊
まず挙げられるのが物件の破損や倒壊です。
今の建物は昔の建物よりも耐震性がアップしています。例えば、マンションなどの新耐震の構造であれば、震度7クラスの地震が襲って来たとしても、倒壊までは免れることでしょう。
しかし、やはり破損や倒壊はあり得ます。
例えば、1995年に発生した阪神淡路大震災の時には、ダルマ落としの様に1階が潰れた建物が目立ちました。また、仮に建物の破損までは至らないまでも、窓やドアなど、住宅設備に大きなダメージを受けた例も少なくなかったです。
多額の修繕費の発生
不動産投資で利益を継続的に得るためには物件の状態を維持しなくてはなりません。そのため、地震が発生した場合には速やかに修繕しなければなりません。
そして、物件維持のためには修繕費が必要です。ただ、被害の状況によっては費用が大きく膨らんでしまう場合もあります。
さて、地震の被害には地震保険での対応が可能です。しかし、地震保険ですべての費用がカバー出来るかと言えば、大丈夫だとは言い切れません。やはり修繕費がキャッシュフローを圧迫する可能性は否めないのです。
家賃収入が無くなる
仮に物件の破損状況がひどい場合には、その物件での居住も困難になります。その場合は家賃収入が断たれます。不動産投資は家賃収入がベースとなるビジネスですので、ビジネスそのものが座礁してしまいます。
確かに地震保険で修繕費用の捻出は可能かも知れませんが、それが家賃収入までの補償にまではなりません。ですから、物件の地震被害の状況によってビジネスそのものの浮沈が決まります。
ちなみに、耐震性の高い物件であれば地震の被害も抑えられます。入居者の生活にも影響を与えることが少なくなるので、物件選びは重要となります。
ローンの返済は残る
ところで、ここで忘れるべきでないのがローンの存在です。
ローンは物件が倒壊して使えなくなったとしても依然として残ります。当然ながら、毎月の返済はキャッシュフローを圧迫し、耐えきれなくなった段階で事業も終わってしまうのです。
その様な事態を避けるためには、やはり物件選びが非常に大切です。利回りアップと投資金額を抑えるためには築年数の経った物件が有利なのですが、耐震性は「もしも」の時に大きく影響します。不動産投資ビジネスへの影響を考えるならば、物件の耐震性を無視するべきでは無いのです。
リスクヘッジについて
前述の様に、大地震で物件が破損した場合には地震保険が有用です。しかし、不動産投資ビジネス全体を考えるならば、地震保険だけではカバーしきれません。
では、地震に対するリスクヘッジはどの様にするべきでしょうか。
地震保険以上に備えは欲しい
地震保険は先にも挙げた様に、修繕費用の捻出のために非常に重要です。
しかし、地震保険の補償には限界があり、物件の完全回復が可能になる訳ではありません。
ところが、不動産の状態を回復させなければ家賃収入を継続して得るのは困難です。
そこで必要なのが、やはり「普段からの備え」です。物件の維持には大規模改修の費用をあらかじめ見ておく必要がありますが、地震の様な事態の想定も大切です。リスクヘッジのためにも、費用面で備えをするのがベターと言えるでしょう。
耐震リフォームについて
物件の状態によっては耐震性に疑問が残る物件も少なくありません。特に築年数の経ち過ぎた物件はリスクが高いと言えるでしょう。
さて、その様な物件を全部避けるべきかと言うと、必ずしもそうでは無いとも言えます。と言うのも、耐震リフォームが可能であるからです。耐震リフォームは構造を補強し、建物そのものの強度を上げます。旧耐震物件でもリスクが非常に抑えられるのです。
また、今の建物の現存する建物を考えても効果が高いことは分かります。と言うのも、耐震補強をした建築物が東日本大震災に耐えている実績があるからです。
この様な歴史が語る実証は非常に参考になります。物件を選ぶ際には、耐震リフォームをした物件も視野に入れるのも良いでしょう。
エリアを分けてリスクを分散する
地震対策には建物の補強も有効な手段なのですが、その他にも回避の手段があります。
これは複数の物件を所有している投資家の使えるワザなのですが、物件の建っているエリアを分けるならば、リスクの分散に有効です。
と言うのも、地震は確かに広範囲に渡って被害を及ぼしますが、建物倒壊に至る様なレベルの範囲はある程度限定されるからです。そのため、複数の物件を持つならば、エリアを分けるとリスク分散に有効なのです。
建物の耐震基準について
ここで、建物の耐震性について再確認したいと思います。
建物の耐震性は法的に決まっていますが、耐震基準は時代と共に更新されて来ました。
これは大地震の発生による更新でもあります。ですから、耐震基準が新しくなるほど厳しくなり、安全性も向上しています。
耐震基準に関する知識は物件購入には非常に有用なので、ぜひとも覚えておきましょう。
旧耐震
旧耐震は1981年の5月31日に建築確認日の物件です。
旧耐震の基準は震度5のレベルの安全性までが考えられています。安全性のレベルとしては、「建物が倒壊しない」レベルに限定されています。
しかし、現在までの地震の歴史を見るならば、震度5を超える地震も少なくありません。旧耐震の建物は、その様な大きな地震まではカバーしていないのです。
そのため、仮に震度6以上の大地震が来た場合には倒壊の危険性は残ります。不動産投資を安心して続けるためには、あまり望ましくは無いレベルと言えます。
新耐震
新耐震は旧耐震以降の物。すなわち、建築確認日が1981年の6月1日以降の物です。
新耐震は旧耐震よりも厳しい基準となっています。旧耐震が震度5レベルまでであったのに対し、新耐震は震度7レベルまでカバーしているからです。
新耐震の具体的な内容は、震度5レベルの中規模地震であれば、軽微なヒビ程度とされており、倒壊に関しては震度6~7レベルであっても起こらない強度とされています。
不動産投資を続行するならば物件の安全性は非常に重要な課題です。耐震性を考慮するならば、やはり新耐震を選ぶべきでしょう。
2000年耐震
2000年耐震は木造住宅を対象とした耐震基準。不動産投資の場合は主に木造アパートなどが当てはまります。
2000年耐震は阪神淡路大震災の教訓を経て制定されていると言えます。メインとなる改定ポイントは窓と壁配置の改善、構造部分の締結部品の強度アップ、そして基礎部分の改善です。
まず、窓と壁の配置ですが、阪神淡路大震災においては建物が「ねじれて壊れる」と言った現象が見られました。これは窓と壁の配置の偏心…例えば南側に窓が集中する…などによる物。ですから、2000年耐震では窓と壁の配置も決められたのです。
また、構造部分の締結部品の強化。これは横揺れに対する抵抗力をアップさせる狙いです。基礎部分の改善は地耐力に合わせて基礎を作る様にしているのです。
耐震性の鑑定について
投資用物件は中古の方が利回りが良いのでメリットが大きいです。
しかし、中古の不動産は新築と違い、様々な点を見なければなりません。
ここでは不動産を見る上で大切なポイントを挙げてみます。
物件を見て自分で判断出来る様に
投資用不動産の購入の際には不動産会社の説明を良く聞く必要があります。この説明は非常に大切で、しっかりと把握していなければ後で大変な事態にもなり得ます。
それでは、物件を知るにあたっては不動産会社の説明だけで十分なのかと言うと、必ずしも大丈夫とは言い切れません。説明には漏れがあることを考えるべきです。
そのため、物件を適切に運用するためには「自分の目で見て判断すること」が非常に重要です。
これは耐震性を考える上でも当てはまります。業者任せにするのでは無く、自分でも判断出来る様になることが重要なのです。
建った年代がポイント
先にも挙げた通り、耐震基準は年代と共に厳しくなって来ています。良い例が旧耐震と新耐震の違いで、大地震に対する認識度も違っていると言えます。また、木造の2000年耐震も無視は出来ません。木造アパートも立派な投資対象となるからです。
ですから、耐震性の鑑定を考えるならば、やはり築年数の確認が非常に大切です。
また、新しい建物の場合は耐震性に関する技術も進んでいるので、心強い物件の入手が可能です。特に、今のマンションには制振構造や免振構造などの物件もあるので、高い付加価値の物件が買えます。
ちなみに、今の建物は機械で振動を掛ける実験も考えられています。地震に関するテクノロジーは進化しているのです。
構造のチェックが必要
マンションなどの場合は構造のチェックが非常に大切です。
と言うのも、耐震性についても「耐震構造」「制振構造」「免振構造」など、構造にも種類があるからです。
そして、これらの構造は地震の伝わり方なども違うので、地震発生時の室内への影響も異なります。
例えば、耐震構造の場合には上の階は揺れやすいため、家財の破損なども考えられます。しかし、免振構造の場合には、それほど揺れないので、家財へのダメージが少ない…などの違いがあるのです。
不動産投資家としては物件を熟知しておくべき。ですから、構造をチェックしておくことは重要なのです。
建物の外観をしっかりとチェックする
建物の外観チェックも非常に大切です。
特に中古物件で過去に地震を受けた物件の場合は、特に重要性が出て来ます。と言うのも、物件が地震によって大きなダメージを受けているならば、外側にヒビや破損が見られるからです。
当然ながら、その様な建物は耐震性に難アリとも判断出来ます。外観のチェックで購入の判断も可能なのです。
ブロック塀にも注意する
ブロック塀は鉄筋を入れることが法的に決まっています。
しかし、ブロック塀の中には法規制のスタート以前に造られた物もあり、鉄筋の入っていない物も残っています。これらのブロック塀は今のブロック塀よりも強度が劣るので危険です。
昔の宮城県の地震でブロック塀の倒壊による事故が多発した経緯があるのですが、ブロック塀にも注意をしないと危険な事態にもなり得るのです。
擁壁なども確認したい
擁壁は土砂崩れなどを防止する構造物。強度保持が第一であり、仮に地震が来たとしても異常があってはなりません。
しかし、擁壁にも耐用年数があり、古過ぎる物件の場合は品質面で落ちてしまっている物もあります。ですから、物件選びの際には擁壁などのチェックも大切です。擁壁の異常にはヒビ割れや歪みなど、外観から見ても分かる物があるので、物件確認の時に併せてチェックしましょう。
まとめ
地震について取り上げました。物件の耐震基準などもイメージ出来たことと思います。
また、耐震性の大切さも再確認出来たことでしょう。
投資用不動産を選ぶ際には安全性を第一に考えるのは大切です。そのためにも耐震性も検討しなければなりません。
物件の購入計画を立てる際には地震についても考慮し、耐震性の高い安全な物件を探す様にしましょう。
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