不動産投資には投資用のマンションやアパートが必要です。そのため、物件購入のための資金を用意出来ない人にはハードルが高い投資でした。
しかし、実は少額で可能な不動産投資もあります。この中には数万円で出来る投資があるので、資金をあまり用意出来ない人でも始められます。
ここでは、その様な少額での不動産投資について紹介します。不動産投資がグッと身近になって来るのが分かることと思います。
もくじ
少額不動産投資の仕組み
まずは少額不動産投資のアウトラインを紹介します。
少額不動産投資の主な物は次に挙げる3種類。少額での投資が可能であるのは共通ですが、投資の形態が異なりますので、始めるに当たっては内容を良く理解する必要があります。
REIT(リート・不動産投資信託)
REIT(リート)は不動産投資信託。投資家の出資金を一旦預かってそれを元に不動産に投資し、その家賃収入や売却益を投資家に還元するビジネスです。投資家個人としては不動産を所有せず、運用は不動産投資のプロに任せて利益を得ます。
一般の不動産投資は物件の購入から運用、そして売却などの一連の仕事を管理しなければならないのですが、REITの場合は投資家が不動産そのものを持たないので、その手間は一切掛かりません。
また、一般の不動産投資はアパートやマンションなどが多いのですが、REITの場合は商業施設などの様な物件も対象となります。
ちなみに、REITのビジネスモデルはアメリカで登場したのですが、日本に入ったのが2001年。日本のREITはJapanのJを付けてJ-REITと呼ばれます。
不動産クラウドファンディング
不動産クラウドファンディングは1つの物件に複数の投資家が共同出資して収益を得る投資形態です。投資の対象はマンションなどの住居系不動産がメイン。投資は1万円程度から可能なため、手軽に始めることが可能です。
不動産クラウドファンディングはREITと似ているのですが、いくつかの違う点があります。
例えば、REITであれば不動産投資のプロに運用を任せるために物件を選べないのですが、不動産クラウドファンディングの場合は投資対象を自分で選べます。
また、投資用物件が1つの物件であることから、実際の物件の運用益と投資家にまわるリターンが近いです。しかし、換金の流動性が低いなど、REITに劣る特徴もあります。
不動産小口化商品
不動産小口化商品とは1つの不動産を小口化して販売する投資。賃料や売却益などの収入を出資者に還元します。間接的ではありますが現物の不動産が投資対象となる物もあるため、相続税対策にも利用することが可能です。
また、不動産小口化商品を扱うのは不動産特定共同事業法に基づいて許認可された事業者です。元々は国土交通省または都道府県知事の許可を受けて事業をしていました。しかし法改正があり、今では一定の要件を満たすならば届出のみで事業が出来る様になっています。
尚、不動産小口化商品には「匿名組合型」と「任意組合型」の2種類があります。匿名組合型は事業者がメインになって事業をすすめ、出資金額が1口数万円程度と少額です。その一方で任意組合型は出資者の共同事業となり、出資は1口100万円程度と比較的高額になります。
REITのメリット
ここで、3種類の投資のそれぞれのメリットとデメリットを挙げてみましょう。
最初はREITのメリットです。
物件を選ぶ手間が要らない
一般の実物の不動産投資の場合、投資用物件の選択で利回りが大きく変わります。駅に近ければ利便性が上がり、それに合わせて利回りも上がります。逆に不便な物件を買ってしまうと利回りも落ちてしまいます。物件選びは非常に重要なのです。
さて、REITの場合は投資家が物件選びをすることはありません。REITの場合、物件選びは不動産投資のプロが行います。ですから、物件選びをエキスパートに任せることになり、物件選定の失敗リスクが軽減されます。
ちなみにREITの場合はアパートやマンションなどの住居系不動産ばかりで無く、商業施設なども投資対象にもなります。通常の不動産投資ではカバー出来ない部分を狙えるとも言えるでしょう。
安定した収入となる
実物不動産投資は収入が不安定なケースが少なくありません。例えば区分マンション投資の場合は一旦空室になってしまうと収入が完全に断たれます。しかも空室が埋まるのは何か月先かは分かりません。それだけ収入は不安定なのです。
しかしREITの場合は複数の不動産に分散して投資されるため、実物不動産投資の場合よりも収入は安定しやすいです。後述しますが、REITは相場の影響を比較的受けやすいデメリットはありますが、それでも実物不動産投資よりは収入は安定しています。
売買が容易
実物不動産投資の場合は売却が簡単ではありません。売却先を探すにしても、価格の交渉をするにしても、思い通りに行かないことは多いのです。
その点、REITであれば債権なので売却は容易です。特に今ではスマートフォンでの取引も可能。状況を見て外出先からも手配が可能な物もあります。
ちなみに、後述する不動産クラウドファンディングや不動産小口化商品と比べても、REITは簡単に取引が出来ます。
リスクが分散される
実物不動産投資はリスクが集中していると言えます。特に前述の区分マンションは良い例で、1回空室になってしまうと、状況の脱却は見えなくなることもあり得ます。
しかし、REITの場合は多くの物件に投資しているのでリスクも分散され、区分マンション投資の様な大きなダメージを受けることがありません。
REITのデメリット
次にREITのデメリットを挙げてみましょう。
REITは実物不動産投資の様な大きなリスクを被らない様にも見えますが、それでも特有のリスクがあるので注意が必要です。
市況の影響を比較的受けやすい
実物不動産投資の場合には市況の影響は受けにくいです。影響を受けるのが銀行融資の利率の変化などに限定され、家賃収入にはあまり影響をしないからです。
しかし、REITの場合は証券取引所に上場されて取引されるため、市況の影響を比較的受けやすいです。景気に左右されにくいのが不動産投資のメリットではあるのですが、REITの場合は弱点として現れてしまいます。
分配金の減額リスク
REITの分配金は不動産の賃料や売却益をベースとしています。そのため、不動産の賃料が下がったり売却が上手く行かない場合には分配金も落ちてしまいます。また、投資信託でもあるので、需給によっても分配金が変わってしまいます。
元本割れの危険性がある
REITは債券の購入となるので、その評価額が下がり過ぎると元本割れまですることもあります。
特に景気が悪くなってしまい、市況も不動産状況も悪くなってしまうと元本割れも起こりやすくなってしまいます。
不動産クラウドファンディングのメリット
次に、不動産クラウドファンディングのメリットを挙げてみましょう。
募集案件から選ぶことが可能
不動産クラウドファンディングの場合はREITと違い、投資用の物件を選ぶことが可能です。そのため、自分でリスクとリターンを判断することも出来ます。出資金なども違って来るので、自分に合った投資ビジネスに出来ると言えるでしょう。
あまり手間が掛からない
不動産投資は物件選びから管理まで多くの手間が掛かります。物件を選ぶ時には不動産情報を入念に調べなければならないし、管理は物件のみならず入居者も見なければなりません。
その点、不動産クラウドファンディングの場合は物件探しや管理の手間が掛かりません。自分の投資する物件が分かって手間が掛からないのは、REITよりも風通しの良い投資ビジネスになると言えるでしょう。
不動産クラウドファンディングのデメリット
不動産クラウドファンディングはREITとは違ったメリットがあるのですが、REITとは違ったデメリットもあります。
中途解約出来ない場合が多い
不動産クラウドファンディングはREITと違い、中途解約が出来ない場合が多いです。ですから、一旦スタートしてしまうと後戻りが効かなくなることもあります。これは投資家が一斉に解約してしまうと、クラウドファンディング事業者の財務状況が悪化してしまうことを避けるため。やはり投資信託とは違うのです。
一部事業者以外では、途中解約できないと覚えておきましょう。
換金性が悪い
不動産クラウドファンディングは中途解約が基本的には出来ません。ですから途中での換金も難しくなります。
これもREITと大きく異なる点とも言えます。
REITの場合は債券となるので注文さえすれば換金が可能ですが、不動産クラウドファンディングの場合には償還まで換金出来ないのです。
一部事業者では換金が出来るのですが、そういった事業者を選択しなければならないと言う手間はかかります。
元本割れもある
不動産クラウドファンディングは投資をする不動産を選ぶことが可能です。
ただし、一旦出資したら後戻りが難しく、場合によっては赤字に陥ることもあり得ます。そうした場合には元本割れもあり得ます。物件を選ぶことはメリットとも言えるのですが、元本割れも付随してしまうのは大きなデメリットと言えます。
不動産小口化商品のメリット
次に不動産小口化商品のメリットを挙げてみましょう。
不動産小口化商品も少額で始められる不動産投資なのですが、やはり独特のメリットやデメリットが存在します。あらかじめ把握しておくことが重要です。
物件選びを事業者に任せられる
前述の通り、不動産投資において物件選びは非常に大切で事業の命運さえ分けるのですが、不動産小口化商品の場合はこの作業を事業者がしてくれます。
投資用物件は利回りから売却まで考える必要があり、将来を見据えて選ぶことが重要。特に初心者では難しいのですが、この行程を専門家に任せられるのは大きなメリットと言えるでしょう。
相続税対策になる
REITの場合には債券なので相続税対策にはならないのですが、不動産小口化商品は不動産を所有することになるので相続税対策になります。有価証券と違って不動産は評価が低くなるため相続税対策になるのですが、不動産小口化商品ではこの制度が適用されることとなり、相続税対策にも有効となるのです。
管理の手間が発生しない
不動産小口化商品は実物不動産を扱うのですが、管理は事業者に任せられるので、投資家としては管理の手間は発生しません。
不動産投資は管理の状態で空室や家賃減額のリスクが上がるので、管理は決して簡単ではありません。しかし、このシステムを使うならば管理を一任出来るので、投資家にとっては大きなメリットがあると言えます。
不動産小口化商品のデメリット
次に不動産小口化商品のデメリットを挙げてみましょう。
元本保証が無い
REITや不動産クラウドファンディングには元本割れのリスクがありますが、不動産小口化商品の場合も同様で元本保証がありません。ですから、物件の運営の状況によっては大きく損をする事態もあり得ます。
そもそも元本保証のあるものが投資なのかは疑問です。
中途で解約出来ない場合もある
不動産投資は基本的には物件を購入したら後戻りは出来ません。日用雑貨を購入する様には不動産は返すことが出来ないからです。
不動産小口化商品の場合もこれと似ていて中途解約が出来ません。事業者の中には解約に対応するところもありますが、市場価格より安い値段を付けて来る場合も少なくありません。
REITなどと比べると大きなデメリットと言えるでしょう。
実物と比較して利回りは低くなりやすい
不動産小口化商品はREITなどよりも実物不動産投資に性格が近くなりますが、利回りにおいては下がる傾向が強く、デメリットと言えます。
不動産小口商品の場合には不動産を選ぶことが可能なので、利回りの低さはある程度カバーすることは可能なのですが、それでも実物には届きにくいです。
まとめ
少額不動産投資について取り上げました。
REIT、不動産クラウドファンディング、不動産小口化商品について紹介しましたが、実物の不動産投資との特徴の違いが把握出来たことでしょう。
また、自分に合う投資のイメージも出来たことと思います。
不動産投資は初期費用の掛かる投資ではありますが、ここに挙げた様に資金が少額でも可能です。ぜひ自分に合った投資を見つけてください。
不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資に興味があるけども、ローンを組んでまで投資をするのには【リスク】を感じる。
そんな方は、不動産投資型クラウドファンディングを試してみてください。
どちらの事業者も不動産投資を少額から始めてみる、試してみるにはピッタリな事業者だと言えます。
【リスク】を少なく不動産投資を始めてみましょう。