「不動産投資したいけど、不動産価格は今までどういった変化があり、今後どうなるのか気になる。」「そもそも不動産価格が変化する要因は何なのか?」
そんな疑問をお持ちではないでしょうか。
実際、不動産価格を予測することは難しいですが、不動産投資を考えるうえで不動産価格の変化は重要な要素になります。
この記事では現在までの不動産価格の推移とその要因、また、今後の不動産価格に影響する懸念事項について解説します。
もくじ
不動産投資における利益
不動産投資によって得られる利益には、「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」があります。それぞれの特徴について解説します。
インカムゲイン
Incomeは「収入」という意味があり、不動産投資においては「家賃収入」にあたります。不動産の賃貸により、毎月決まった賃貸料が入ってきます。築年数が経過するにつれて賃貸料は下がりますが、リフォームなどによって賃料を上げることもできます。
インカムゲインは、長期的に安定した収入を得ることができます。通常、家賃が急激に上下することは少なく、また、入居需要が急変することも多くありません。一度に大きな利益を得るのは難しいですが、長期的に保有することで安定した家賃収入が見込めます。
キャピタルゲイン
Capitalは「資本」という意味があり、購入価格よりも高い価格で売却することにより得られる「売却益」にあたります。
不動産の場合、地価や人口の変化によって物件価値が変化します。社会経済的な要因で不動産価格が急変する可能性もあります。
日本では1990年前後のバブル経済と崩壊によって、不動産価格が急上昇した後、急落しました。短期的に大きな利益を狙うこともできますが、反対に大きな損失が発生することもあります。購入価格と売却価格で生じた損失のことを「キャピタルロス」といいます。
インカムゲインとキャピタルゲインの関係
インカムゲインとキャピタルゲインは相反する関係にあるものではありません。
つまり、どちらか一方を取ったらもう片方が損なわれるといったことにはなりません。例えば、現在の入居需要がある物件で、今後もさらに周辺の人口増加が見込める物件であれば、物件購入直後から家賃収入をしっかり稼げ、さらに売却時の価格の値上がりも期待できます。
しかし、現在の入居需要がある物件でも、過疎化と高齢化が進むことで利便性が悪くなる地域では、入居需要も減り、売却時の価格も低くなってしまうでしょう。
基本的にはインカムゲインとキャピタルゲインの両方を視野に入れることが重要です。
不動産の長期保有を検討する場合、何十年後の不動産の価格まで予測することは難しいです。
したがって、キャピタルゲインではなく、長期的にインカムゲインがしっかり保てることを重点的に考えますが、需要がなくならない見込みがあれば、結果としてキャピタルゲインも期待できます。
日本の不動産価格の推移
不動産投資を考える際、インカムゲインを優先して考える場合であっても、キャピタルゲインの検討も少なからず必要です。
そこで、日本の不動産価格が現在どのように推移してきているのか見ていきます。なお、ここでは国土交通省が発表している「不動産価格指数」のデータを利用します。
全国の不動産価格指数(住宅)
不動産価格指数とは、国土交通省が毎月発表しているものであり、不動産価格の動向を指標化したものです。2010年の平均を100としてその推移を見ることができます。
2008年4月から2021年7月までの全国の各不動産の変化をグラフにしたものが下図です。
※「不動産価格指数」(国土交通省)(https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html)をもとに作成
住宅全体の傾向として、2012年以降は継続的に上昇しています。これは、区分所有のマンションの価格上昇が非常に大きく、全体を牽引しています。
住宅地と戸建住宅はそこまで大きな変化は見られません。新型コロナウイルス感染症の社会的混乱により、2020年前半に一時的に不動産価格が下がっていますが、直近の2021年ではさらに大きな上昇率で伸びています。
東京の不動産価格指数(住宅)
日本の中心地でもある東京では、不動産価格はどうなのでしょうか。
2008年4月から2021年7月までの東京の各不動産の変化をグラフにしたものが下図です。
※「不動産価格指数」(国土交通省) [2021/11/24アクセス](https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html)をもとに作成
東京の方が、人やモノが集まる中心地のため、不動産価格が上昇しやすい傾向がグラフからもわかります。
住宅総合で見ると、全国では2010年から2021年で約2割上昇しているのに対して、東京では2010年から2021年で約4割上昇しています。
住宅地と戸建住宅については、全国では大きな動きは見られませんでしたが、東京の場合は、長期的な視点で見ると緩やかに上昇しています。短期的な変動が激しいのは、サンプル数が少ないことに起因していると考えられます。
三大都市圏の不動産価格指数(商業用不動産)
商業用不動産について見ていきます。
2008年から2021年までの三大都市圏の各商業用不動産の変化をグラフにしたものが下図です。
※「不動産価格指数」(国土交通省) [2021/11/24アクセス](https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html)をもとに作成
住宅と同様に商業用不動産全体で見ると2010年以降は上昇基調です。しかし、個別に見ると特に工場や倉庫の価格が軟調であり、すべての不動産価格が上がっているわけではありません。
近年の動きでは、新型コロナウイルス感染症の影響で社会的な人の流れにも変化があり、それぞれの用途に応じて大きく価格が変動しています。
三大都市圏以外の不動産価格指数(商業用不動産)
商業用不動産について見ていきます。
2008年から2021年までの三大都市圏以外の各商業用不動産の変化をグラフにしたものが下図です。
「不動産価格指数」(国土交通省) [2021/11/24アクセス](https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/totikensangyo_tk5_000085.html)をもとに作成
三大都市圏の不動産価格と同様に、三大都市圏以外でも商業用不動産全体としては、2010年以降は上昇基調にあります。しかし、人やモノが集まる三大都市圏に比べると上昇率は低いです。
直近のオフィスの価格は、三大都市圏で大きく下がっている一方で、三大都市圏以外では急上昇しています。これは新型コロナウイルス感染症の影響で、リモートワークが普及し、都市圏から地方に移動する流れがあるためです。
一概に、人やモノが集まる都市圏の方が、不動産価格が上がりやすいといえないことがわかります。
不動産価格の上昇要因
日本の不動産価格はどうしてここまで上昇しているのでしょうか。その要因について解説します。
低水準の住宅ローン金利
住宅ローンの金利は不動産価格と逆の相関にあるといわれています。つまり、住宅ローンの金利が低いと、不動産価格が上がりやすくなります。
以前より日本では金融緩和政策が実施されており、金利が非常に低い水準にあります。
これにより借入による金利負担が少ないため、不動産を購入しやすくなっています。不動産の購入希望者が増えると不動産の需要が高まり、結果的に不動産の価格が上昇します。
相続税対策のための不動産投資の増加
不動産投資を活用して、相続税を軽減させることができます。この手法が広まっていることにより不動産投資を検討する人が増加し、不動産需要を高めています。
2015年に相続税に関する法律が改正され、より多くの人が相続税の対象となり、相続税額も大きくなりました。したがって、相続税対策の1つである不動産投資に関心が集まってきており、金利が低水準であることも相まって、不動産投資を検討する人が多くなっています。
世帯数の増加
日本の不動産価格の上昇には、日本の世帯数の増加が関わっています。
不動産の需要は人口の増減に大きく関わっています。日本では2008年頃から人口が減少し始めていますが、世帯数で見ると上昇を続けています。下図は2000年から2018年までの日本の世帯数の推移を表しています。
※「平成30年国民生活基礎調査」(厚生労働省) [2021/11/24アクセス](https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa18/index.html)をもとに作成
世帯数の増加率は鈍化傾向にあり、減少に転じている年もありますが、全体として未だに増加傾向であることはグラフからわかります。基本的には1世帯に対して1つの住宅が必要になるので、人口は減っても世帯数に応じて住宅の需要は伸びていくことが考えられます。
イベントや都市開発
都市開発による利便性の増加や大規模イベントによる再開発も不動産価格の上昇につながります。
大規模イベントとして、2020年東京オリンピックの前には、都心の不動産に注目が集まりました。海外投資家による日本のマンションの買い占めが行われたことも影響して、不動産価格が上昇したと考えられます。
2025年には大阪万博が予定されており、それによる不動産価格の上昇も予想されます。
今後の不動産価格の下落懸念
近年、不動産価格は上昇してきていますが、今後下落に転じる要因としてどのようなことが考えられるでしょうか。不動産価格の下落要因について解説します。
生産緑地問題
「生産緑地問題」によって、2022年以降に不動産価格が下がる可能性があると懸念されています。生産緑地問題とは、環境保全や災害防止の目的で自治体によって指定された農地や山林の利用制限が期限を迎え、大量の不動産が売りに出される可能性があるという問題です。
もしそうなった場合、宅地の需要が減り、地価が下がることや余っている土地に新築マンションが建てられることで、中古マンションの価格が下がることが考えられます。
しかし、政府もこの問題を野放しにしているわけではなく、対策を行っております。不動産価格の急変による混乱が起こらないように、法律の改正などを行っています。これにより、そこまで不動産価格に影響はないとも考えられています。
世帯数の減少
上記の不動産価格上昇の要因で、世帯数の増加を挙げましたが、増加率は年々下がってきており、現在もしくは数年後がピークであると考えられています。
世帯数が減少し始めると、住宅需要が減り、住宅価格が下がることが予想されます。特に、世帯数の減少が顕著に表れる地方では不動産価格が急落していくことが懸念されます。また、人口減少による公共施設の統廃合により、利便性の悪くなる不動産には注意が必要です。
まとめ
不動産投資の収益に大きく関わる、不動産価格の推移について解説しました。
日本の不動産価格は2010年から2021年現在まで、全体として上昇基調にあります。特に、マンションやアパート、店舗、オフィスは全国的に大きく上昇してきています。
今後も、低水準の金利が続くことや大阪万博の開催など、不動産価格が上がる要因がある一方で、生産緑地問題や世帯数の減少など、不動産価格が下がる要因も見えています。
不動産価格の変動は、上記で挙げた要因以外にも様々な要素が影響するので、予測することは難しいです。しかし、不動産投資を検討する際はインカムゲインと共に、今後の不動産価格の変動も考慮すべき重要な要素です。
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