物品を扱うビジネスの多くが何等かのランニングコストを掛けている物です。それが製造業などであれば工場の生産設備ですし、農林水産業などであれば農業機械や漁船など。いずれもランニングコストは必要です。
さて、不動産投資の場合には投資用物件があるので、そのランニングコストは必要です。しかし、ランニングコストと言ってもイメージが難しいかとも思われます。
そこで、ここでは不動産投資のランニングコストを挙げ、その性質や抑える方策などを解説したいと思います。
もくじ
不動産投資にもランニングコストが発生する
一般にランニングコストとは何等かの物を運転・維持する上で発生する費用と言えます。乗り物であれば燃料費や整備費用などです。
では、不動産投資の場合のランニングコストとはどの様な物を指すのでしょうか。
不動産投資のランニングコストとは
不動産投資の場合、費用の大半が投資用物件に関する費用です。例を挙げるならば、不動産管理会社に支払う費用や修繕費、そして広告宣伝費なども入ります。
しかし、実際にはそれだけではありません。細かく言うならばビジネス全体の経費も入るからです。
例えば、オーナーが遠隔地に物件を持っていて頻繁に通う場合には、そこで発生する交通費や通信費などまで含まれるのです。新幹線で数時間、あるいは飛行機で移動することもあるかも知れません。このコストは決して安くは無いのです。
不動産投資のランニングコストは管理が大切
ビジネス一般に言えることですが、予算は計画的に使わなければなりません。仮に無軌道に使った場合には収益の計画まで崩れてしまいます。その結果として決算期に慌てることになり、事業報告などの時には非常に困る羽目を見るのです。
これは不動産投資のランニングコストでも同じ。計画的に使わなければキャッシュフローの管理も出来なくなり、安定性を欠いてしまいます。事業全体の安定のためにもランニングコストの管理は大切なのです。
不動産を管理する上でのランニングコスト
次に、具体的なランニングコストを挙げてみましょう。
まずは不動産管理に関する費用です。
不動産管理会社への支払い
物件管理を不動産管理会社に委託している場合には、管理会社に支払う費用が発生します。この費用は家賃収入の5%程度とも言われますので、かなり大きな金額です。
この金額はキャッシュフローから考えると確かに高額に思えるかも知れません。しかし、この部分をケチると、最悪の場合には物件をボロボロにされてしまいます。また、不動産管理会社は入居者のトラブル解消にも当たります。仕事がいい加減だとトラブルが大きくなるリスクもあります。必要な分は「掛けなければならない」コストなのです。
共用部分の光熱費関連
共用部分とは廊下やエントランスなどの他、外構部分なども含みます。この部分には照明器などが設置されている場合が多く、当然ながら光熱費が発生します。
この様な照明器は夜間に一晩中点灯している場合がほとんどです。しかも、意外に照明器の数も多いため、コストが多く掛かってしまうのです。
さて、この費用も投資用物件のランニングコストの1つ。意外に結構な費用となる場合もあるので、無視すべきでは無いのです。
修繕費・修繕積立金もランニングコストに含まれる
物品を扱う上では破損もあり得るので、その修繕はどうしても必要です。また、経年劣化から来る不具合もあることでしょう。
これは不動産も同じこと。破損や老朽化があるので、修繕は不可欠なのです。修繕費はその様な不具合の修理費として使われます。
また、物件は何年かに1回、外壁や屋根などの大規模な修繕工事を行います。この費用は非常に高額にもなるので積み立てておきます。
これらの出費は避けることが出来ません。ランニングコストとして覚えられなければならないのです。
リフォーム費用
リフォームは物件の品質を保つ上で重要です。そして、リフォームにも費用が発生し、ランニングコストの内に数えられます。
投資用物件は入居者が居て成立するビジネスですが、入居者獲得のカギは物件の魅力。老朽化した物件を魅力的によみがえらせ、客付け力を上げるためにもリフォームは必要となるのです。
リフォームによって魅力が回復した物件は家賃の低下を抑える効果も期待出来ます。利回り維持のためにも大切なのです。
税金・銀行関連もランニングコストになり得る?
不動産投資は投資ビジネスです。そのため大きな資金も動きます。次に挙げるのは税金や銀行に関係するコストです。
固定資産税
固定資産税は物件を持っていると発生する税金です。税額は物件によって異なります。
さて、固定資産税は性質として厄介です。と言うのも「持っているだけで掛かる」から。仮に入居者が入っていなかったとしても発生してしまうのです。ですから、仮に物件の空室率が上がってしまった場合には、固定資産税とのダブルパンチを食らう羽目となり、経営の面で非常に厳しくなるのです。注意が必要なランニングコストと言えるでしょう。
住民税
住民税は所得によって発生する税金です。税額は所得によって異なります。
さて、住民税は固定資産税とは異なり、物件を持っているだけでは発生しません。
また、様々な控除もあるので、一見すると重く無い税金の様にも思えるかも知れません。しかし、税率が10%になることもあるため、ランニングコストとして見るならば、決して軽く考えるべきではありません。
銀行融資の返済
銀行融資の返済は資金管理の中で最も神経を使います。と言うのも大きな出費となるからです。また、融資の返済は内訳が少し複雑。計算には注意が必要なのです。
と言うのも、返済の利子の部分は経費に充てることが可能だから。これは一見すると良い情報に見えるかも知れません。しかし、返済を続けて行く内に元金の比率が高くなってしまい、経費で落とせなくなってしまうからです。
しかも家賃レベルは築年数が経てば落ちてしまいます。管理に神経を使うランニングコストなのです。
火災保険料・地震保険料
火災保険や地震保険は絶対に必要。ですから、これらの保険料もランニングコストの1つと言うことが出来ます。
不動産投資には様々なリスクがありますが、火災や地震をはじめとした災害も大きなリスクです。保険はこれらのリスクに対応しますので欠かせません。
ちなみに、火災保険は火災の他にも様々なトラブルに対応します。例えば、昨今では異常気象による超大型台風の被害がありました。多くの家の屋根が飛ばされましたが、この様な災害にも火災保険は対応。非常に心強い味方なのです。
その他雑費も、もちろんコスト
不動産投資も立派なビジネス。雑費なども発生します。
雑費は発生する費用が少ないかも知れませんが、会計をまとめる上では軽視出来ない部分。把握しておかなければなりません。特に、銀行に事業報告をする時などは、これらの情報までまとめるならば、経営の透明性もアピール出来る様になります。
広告宣伝費
広告宣伝費は主に物件をアピールするための費用。不動産会社に支払います。
物件は時として空室になることもあります。その際には物件の広告を出さなければなりません。広告宣伝はその様な場合に不可欠なのです。
ちなみに、広告宣伝費を掛けるのと掛けないのでは、やはり物件の引き合い件数も違って来ます。そうすると契約のチャンスも減ってしまうので、やはり広告は必要なのです。
通信費
通信費は携帯電話やパソコンのインターネット接続料などです。
近年では特にスマホやタブレット端末の普及により、通信が重要になって来ています。
スマホやタブレット端末があれば、外出先であっても不動産会社との通信が可能ですし、物件の資料の閲覧なども可能。また、不動産投資のニュースは動画で流れる時もあります。
連絡以外にも情報収集などにも使えるので通信は不可欠。立派なランニングコストとも言えるのです。
交通費
投資家によっては遠隔地に物件を持っている人がいます。例えば大阪在住の投資家が東京に物件を構える例です。
この様な人の中には、物件のチェックなどで物件まで足を運ぶ人も居ます。この時に発生するのが新幹線代。交通費です。
この様な交通費も多く発生することも案外あります。例えば遠隔地に物件をいくつも持っている投資家。この様な人は様々な場所に出張します。そうなると交通費が必要。ランニングコストの1つなのです。
ランニングコストを抑えるためには
一般の企業の場合、ランニングコストを抑えることによって収益を増やすことが可能です。この点は不動産投資も同じです。
しかし、コストダウンは意外に難しく、闇雲に削れば良い訳ではありません。
そこで、ここではランニングコストを抑えるための注意点を取り上げてみましょう。
良質の業者を探しておく
不動産投資は多くのビジネスパートナーの助力を必要とします。
それは不動産管理会社であったり、リフォーム会社であったり、コンサルタントであったり、様々だと思います。
ところで、これらのパートナーですが「仕事の質にバラつき」がどうしても発生します。つまり、費用対効果が会社にとって違うのです。良い会社は良質の仕事をコストを抑えながら遂行します。
そして、この様な会社を探すことが、ランニングコスト削減の条件にもなるのです。
経費について勉強しておく
経費についての知識も重要です。と言うのも、経費に数えらるならば税金が発生しないから。それだけ儲けが大きくなるのです。
そのため、経費についての勉強がランニングコストの削減に有用になって来ます。
ちなみに、経費として落とせる範囲と落とせない範囲があり、判断に苦慮することがあります。その部分を知っているならば、帳簿を付ける時にも迷いません。余計な労力を掛ける必要も無くなります。
資材価格の動向などを知っておく
資材の価格を知っておくとリフォーム費用についての計算をイメージすることが出来る様になります。
そうすると、物件のリフォームをする時に価格の概略を推測出来る様にもなるのです。リフォームは建築の専門家でないと、なかなか把握することが困難。
しかもコストのイメージなどは更に難しいです。しかし、それだからこそ資材の知識はメリットが大きいのです。
尚、リフォームをする場合にリフォーム会社と打ち合わせることが出来れば、こちらのイメージを伝えることが可能となるのですが、その時に資材の動向を把握しておけば業者との打ち合わせもスムーズに行きます。
自主管理もアリ
先にも挙げた様に、ランニングコストの中には不動産管理会社に支払う費用も含まれます。この費用は安くはありません。
ところで、不動産管理は必ずしも不動産管理会社を介してする必要はありません。コスト削減のために自主管理に切り替えるのも、十分にアリなのです。
ただ、自主管理をするならば物件の近くで生活をしたり、管理のノウハウの吸収も必要となるでしょう。そのため、この部分も勉強をしなければなりません。
情報収集は継続的に
不動産投資には情報収集が欠かせません。物件を購入するにしても、銀行や保険を探すのにも情報収集が重要だからです。しかも、情報収集は継続的に行わなければなりません。
さて、ランニングコストの削減に関しても情報収集は重要な位置を占めます。
と言うのも、質の良い業者を探したり、資材価格の同行などを知るためにも必要だからです。
しかも、それらの状況は刻々と変わります。そのため、この分野においても継続的な情報収集は必要なのです。
まとめ
不動産投資のランニングコストについて取り上げました。様々な費用が発生していることが再確認出来たことと思います。
また、ランニングコストの低減についても挙げてみました。この部分も経営を良くするために重要です。
ランニングコストの課題は多くの投資家を悩ませる物かも知れません。しかし、改善の余地がある場合も少なく無く、経営の健全化も可能なのです。ぜひともランニングコストを振り返り、経営の健全化に努めて欲しく思います。
不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資に興味があるけども、ローンを組んでまで投資をするのには【リスク】を感じる。
そんな方は、不動産投資型クラウドファンディングを試してみてください。
どちらの事業者も不動産投資を少額から始めてみる、試してみるにはピッタリな事業者だと言えます。
【リスク】を少なく不動産投資を始めてみましょう。