不動産投資は株式投資の様に「投資」という言葉が付くものの、性格は完全に異なります。と言うのも、株式投資などは市況の変動に乗じて利益を得る物ですが、不動産投資は入居者からの家賃収入で成立しているからです。
さて、家賃収入も変動してしまうのですが、その部分が不明確な人も多いことと思います。
そこで、ここでは不動産投資における家賃収入維持の重要性や、維持するための施策などを紹介したいと思います。
もくじ
不動産投資で重要な家賃収入維持
まず、家賃収入維持の重要性を解説します。
賃貸不動産経営には家賃収入が欠かせないのですが、家賃は変えられるのか、利回りや売却にはどの様な影響を持つのかを、改めて見てみましょう。
家賃は勝手に変える事は出来ない
通常の商取引であれば物品の価格は変動します。価格は需要と供給によって変わるので、仮に供給量が少なければ価格が上がります。逆に供給が多くなれば価格は下がることでしょう。食品などが良い例で、農産物が不作であれば価格が上がり、豊作ならば価格も下がります。
さて、不動産の家賃の場合は食品などとは違って簡単に変えることは出来ません。入居者との交渉など、一定の条件と手続きが必要となるのです。
ちなみに、仮に家賃の値上げ交渉をしつこく続けるならば、入居者に嫌がられてしまい、退去されてしまうリスクも発生し得ます。やはり家賃を上げることは難しいのです。
利回りの維持・確保のためには家賃の維持も必要
利回りの維持・確保のためには家賃収入も維持・確保されていなければなりません。
利回りはトータルの家賃収入を投資費用で割った値から算出される物。ですから、家賃収入に変動があるならば、それに合わせて利回りも変動します。そのため、高い利回りを出したいならば家賃のアップが必要です。
しかし、前述の様に家賃のアップは実際的には簡単ではありません。そのため、利回りアップも簡単では無くなります。利回りはむしろ「どうやって維持・確保するか」が重要となるのです。
そして、利回りの維持・確保のためには家賃収入が連動しているため、家賃収入の維持・確保もどうしても必要となるのです。
ちなみに、物件全体の家賃収入の維持・確保のためには、物件内の部屋それぞれの家賃も維持されなければなりません。仮に1戸でも家賃が下がってしまったならば、その下落がトータルの家賃収入も下げてしまうからです。
売却のためにもなる
家賃の増額は簡単ではありません。このことはオーナーチェンジにおいても同じ。
仮にオーナーが変わったとしても、それを契機に家賃は勝手には上げられないのです。
さて、投資用不動産を売却する場合、売却先のほとんどが別の不動産投資家です。そして、売却先の投資家も利回り確保のため、家賃収入を得られる物件を欲しがります。
このことを逆から言うならば、家賃収入が確保されているならば、他の投資家も欲しがる様になります。つまり物件の人気が上がるので、売却にも有利になるのです。
家賃収入は何で決まるか
では、家賃収入はどの様な条件で決まるのでしょうか。
家賃が決まる条件は多彩なのですが、ここでは、代表的な家賃の決定要因を挙げてみましょう。
立地条件
立地条件は家賃を決める上で非常に重要な要素です。
都市部であれば、駅からの距離で不動産価格は変わります。駅から徒歩10分程度の物件と、30分以上掛かる物件では家賃が変わって来る物です。
また、土地がどの方向に向いているかでも地価は変動します。南向きと北向きでも家賃は変わって来ることでしょう。
実際、不動産情報を見ても、駅からの距離などが謳い文句として掲載されています。家賃を決める上で、立地は非常に大切なのです。
築年数
家賃は築年数によっても変動します。古くなるほど家賃が落ちてしまう物です。不動産情報を調べてみても、築浅の物件と数十年経った物件では家賃が大きく違います。
ところで、家賃の下落は築年数によっても傾向が異なる場合もあります。新築からしばらくの間の家賃下落率と、築年数が経った時点での家賃下落率が異なるのです。イメージとしては、新築時10万円だった物が数年で8万円くらいになるのに対し、築10年の物件と築12年では数千円レベルの下落になり、変化がそれほどありません。
設備などの利便性
キッチンやトイレなどの設備も家賃を決めるカギとなります。利便性の高い設備であるほど家賃も高くなるのです。
例えば、玄関ドアが古いままの物件、設備が旧態依然とした物件は不便です。家賃もそれに合わせてレベルを落とします。しかし、玄関にオートロック付きのドアがあれば部屋の安全性も上がります。その分だけ家賃も上がるのです。
この他にも、最近では家具付きの物件も増えています。これも家賃を上げる条件と言えるでしょう。
周辺の生活環境
周辺の生活環境も家賃を決める上で重要です。と言うのも、環境によって利便性が変わるからです。
例えば、物件の付近に商業施設や学校などがあれば生活の利便性も上がり、家賃も上がります。しかし、周囲に何も無かったり、悪臭や騒音などの嫌な条件が多くなるならば、環境もそれだけ悪くなり、家賃も下がります。また、周辺が畑などばかりで、何も無い地域は家賃も下がってしまいます。
街のブランド
街のブランドも家賃を決める上で、少なからず影響を持っています。
特に若い人たちの間に人気のある街では、家賃設定の上で有利です。テレビドラマの舞台になる街などは家賃収入確保のために良い条件となるでしょう。
大企業の事業拠点などの有無
大企業が拠点を構えていると、それだけ街の人が多くなるので不動産の需要が変わるので、家賃も変わって来ます。
特に配送拠点や大規模な工場などがあれば、従業員が増えて不動産需要も増えるので、家賃が上がります。
しかし、企業の場合は撤退もあり得ます。その時は人も居なくなるケースもあるので家賃も落ちてしまうのです。
不動産投資における家賃収入を下げてしまう条件・要因
では、家賃を下げてしまう条件には、どの様な物があるのでしょうか。
建物の老朽化
投資用物件としては、新築よりも中古物件の方が利回りが上がりやすいです。と言うのも、家賃収入の下落よりも購入費用が落ちるのが早いため。家賃収入は確かに落ちるのですが、それでも利回りは良くなるため、儲けは大きくなります。
しかし、中古と言っても古過ぎる物件設備も内装も旧態依然として状態が悪い場合は話が別です。その様な物件の多くは客付け力も失ってしまっていて、高い家賃は望めません。
設備の陳腐化
住宅設備は日進月歩の勢いで進化しています。昔の物件であれば思い付かなかった様な設備もあります。食洗器やディスポーザーなど、前の時代では考えられなかった様な設備も普及して来ています。
さて、家賃を下げる条件に設備の陳腐化があります。これは特に中古の物件で見られる物。前時代の設備が平然と設置されている物件です。
当然ながら、この状況は他の物件に比べれば、設備との差は否定出来ないところ。他物件に比べて競争力が落ちていて、それに合わせて家賃も落ちてしまうのです。
周辺環境の変化
物件周辺の環境が変わることによって家賃が下がることもあります。
例えば、周辺の地域の人口が減ってしまい、それを機に商業施設などが撤退してしまう状態。また、学校などが統廃合してしまう場合です。
その代表的な例が大学のキャンパス移転。それまで学生が生活していた街が一気に居なくなってしまい、空き家となってしまった物件がゴロゴロと残ってしまいます。
当然ながら、空室だらけになってしまった物件は家賃収入が激減してしまいます。周辺環境の変化も侮ることは出来ないのです。
地域の人口減少
地域の人口減少も大きな問題です。人が減ると言うことは、不動産の需要過多を意味するからです。
人口減少は特に地方で大きな問題。人口が減り続ける地域では、仮に安く物件を仕入れたとしても入居者そのものが現れなくなってしまいます。そうすると必然的に家賃を下げざるを得なくなり、危険な状態にもなり得ます。
家賃収入の下落を防ぐための施策
家賃収入の下落は、物件の老朽化や人口減少などの対応困難な課題もあるため、特効薬となる施策はなかなかありません。しかし、下落を防ぐ方法ならば考えられます。
次に挙げるのは、家賃収入の下落を防ぐ施策の例です。
上質の不動産管理
物件の魅力は家賃収入の維持に必須です。そのため、魅力を如何に落とさないかが大切になります。
さて、物件の魅力は適切な不動産管理が非常に重要。部屋にしろエントランスにしろ、きれいで居心地の良い物件の維持には、高品質の管理が必要です。
ちなみに、管理の仕事の質は会社によってもレベルが違います。コストだけでなく実績なども勘案しながら決めましょう。
適切なリフォーム
物件の魅力は家賃を決めます。ですから、物件の魅力の底上げは家賃収入の維持に有効です。
さて、物件の魅力の回復にはリフォームが有効。新しい設備を設置し、内装をきれいにすれば、それだけ住環境が良くなるからです。
ちなみに、古い物件の設備と今の設備では使い勝手や機能が格段に違う物もあります。また、以前であれば高価だった設備のコストダウンがされているケースも結構あります。コストを抑えながら良質な住空間を作るリフォームも可能。おすすめです。
入居者の審査
入居者の審査も実は非常に大切。と言うのも、家賃には滞納リスクもあるから。そして滞納リスクは物件の問題よりも、入居者に掛かっている部分が多いからなのです。
ですから、仮に審査をいい加減にした場合、間違って支払い能力の乏しい人を入居させてしまうこともあり得ます。その場合、状況にもよりますが家賃を支払ってくれない事態もあり得ます。
入居者審査は収入の状況だけでなく、勤務先の規模や仕事の属性、そして勤続年数や本人の人間性など、様々な角度から見なければならないのです。
家賃保証会社の活用
家賃保証会社の活用も有用です。仮に入居者が支払い困難になったとしても、未納部分を肩代わりしてくれるからです。
ただし、家賃保証会社を選ぶ上でも注意は必要。家賃保証会社であっても様々なリスクを抱えているので、資金力や実績などを調べて決める様にしましょう。
家賃を維持するために知っておきたい点
ここでは家賃維持のために知っておきたい点を紹介します。
法的知識
家賃には様々な法律が関係して来ます。そのため、法的知識が非常に大切になります。
特に大切なのが借地借家法。賃貸契約に関する様々な点について定めてあり、しかも効力が強い法律だからです。
家賃だけでなく不動産投資全般にも関係する法律なので、ぜひとも押さえておきましょう。
建築知識
建築知識も非常に大切です。建築知識が無いと、仮に建物に問題があったとしても見破ることが出来ないからです。
例えば、中古の物件では今の時代には認められない様な物件も既存不適格物件として残っています。古いマンションが代表例で、今の耐震基準を満たしていない物件が少なく無いのです。
この様な点は相応の建築知識が無くては把握が出来ません。勉強しておくのがベターです。
メンテナンス・リフォーム
建築知識と重なる部分もあるのですが、メンテナンスやリフォームの知識もあった方がベターです。
と言うのも、メンテナンスやリフォームを適切にしない場合には、物件の老朽化が早く進んでしまうこともあり、家賃の下落に拍車が掛かってしまうからです。
物件の魅力は「維持」が大きなカギです。メンテナンスやリフォームを勉強し、物件維持に役立てましょう。
まとめ
家賃収入について取り上げました。家賃収入の維持をするためには、物件の状態維持が非常に大切であることが分かったことと思います。また、周辺知識が必要であることも重要であることも把握出来たことでしょう。
家賃収入の維持は不動産投資の健全な経営には非常に大切です。ぜひとも入念に計画を立てて、家賃収入の維持に臨みましょう。
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