昔から、日本の社会は1極集中型と言われて来ました。経済にしろ企業の中枢にしろ、3大都市圏に集中していた訳です。大きな会社の会社案内を見ると、本社が東京や大阪に位置していたのが立派な証拠と言えると思います。
しかし、最近は様相が少し変わって来ました。と言うのも、地方都市の勢いが増したのです。例えば就職関連の企業が使う「Uターン」「Iターン」という言葉はすっかりお馴染みになりましたが、これらは地方都市の勢力がアップしている良いエビデンスと言えます。
そこで考えたいのが地方の不動産投資の可能性です。
ここでは地方不動産投資のメリット・デメリット、そして注意点などを考えてみたいと思います。
もくじ
現在の地方の不動産について
最初に地方の不動産について考えたいと思います。
地方の土地事情を考えるならば、人口流出の影響のため、街も産業も枯渇の一途を辿る宿命…といったイメージが付いてまわった感がありますが、最近の社会情勢を注視するならば、そればかりでは無さそうな現実も見えて来ます。
テレワークが始まって気づかれた点
新型コロナウィルス感染症の世界的な問題依頼、日本の社会ではテレワークの推進が叫ばれました。
そんな中で、テレワークのメリット…特にコストダウン…に気づいた経営者も少なくは無く、それが社会的なムーブメントを引き起こしたのです。
実際のところ、現時点での個人レベルで普及している通信デバイスのレベルであっても、遠距離でのリアルタイムの会議も可能ですし、商取引も可能です。…皮肉にも、この通信技術を実証したのがコロナの問題だったのですが。いずれにしても、地方に労働資本が行ったとしても、問題は少ないことを企業の経営者は気づいたのです。
「若い人材の確保」を考えてみると
コロナの流行によって始まったテレワークの導入ですが、これは若い人の就職戦線にも少なからず影響を与えました。不人気な企業であっても、テレワークの導入率が人材確保のパワーになったのです。例えば、大学生に不人気だった業界が、テレワークの推進で一躍人気が出たケースも見られました。
確かにテレワークとは言っても、ある程度は企業の周辺に住まなければならないかも知れません。しかし、通勤電車に悩む必要も無く、しかも休日は自然に囲まれて過ごす。…その様なワークライフバランスを保証する様な就労形態は、人材確保の上で強力な武器だったのです。
地方の不動産の可能性
これらの最近の潮流を鑑みると、地方の不動産は決して旗色が悪い訳では無いことが分かります。
特に、今は海外資本が国内に突然上陸し、工場や配送センターなどの事業拠点をどこに作ってもおかしく無い時代。決して地方不動産に希望が無い訳では無く、むしろ「当たればデカい」場合が考えられます。
ただし、この当たりクジを引くためには、新聞の一面に載っているレベルの記事だけでなく、地元の下馬評のレベルの情報まで必要かも知れません。…「あの空き地に外国の工場が建つかも知れない」と言った噂が街に流れることがありますが、その様な情報こそ重要性を帯びるかも知れないのです。
地方の不動産のメリットを知ろう
次に、地方不動産のメリットを挙げてみましょう。
物件が安い
地方は物件が安いのが大きなメリットです。これは都市部と地方の地価と比較すれば納得が行きます。
例えば東京の場合、仮に高級住宅地で無かったとしても、坪単価が100万円を超える地域は珍しくありません。その一方で地方の土地事情を見るならば、単価はグッと下がります。
この土地の安さは投資金額にそのまま直結します。仮に建物価格が高かったとしても、地価が安ければ、それだけ投資金額を抑えることが出来るのです。
仮にある地方都市の土地の坪単価が50万円レベルだったらどうなるでしょう。建物はさておき、地価は半分のレベル。投資が抑えられるのは非常にありがたい材料です。
利回りが良い
利回りの計算は収益を投資金額で割った値から算出します。そのため、分母となる投資金額が小さいほど利回りが上ります。
さて、地方不動産はコストが抑えられる点が利点です。物件の金額が抑えられれば投資金額もそれだけ低くなり、利回りも上がります。…地方の不動産は利回りが上りやすいメリットがあるのです。
このメリットは都市部では意外にマネが出来ません。と言うのも、都市部の場合には、安くて高利回りの物件は見つけにくいからです。そして、都市部の場合には安い物件であれば利回りは低かったりする物。やはり地方不動産は都市部と状況が違うのです。
地方の不動産のデメリットを知っておく事は重要
それでは、地方不動産のデメリットにはどの様な点があるのでしょうか。
空室リスクが高くなりやすい
都市部と地方の決定的な違いは人口密度です。賃貸不動産の需要は人口密度に大きく関係しています。人が多い程に賃貸物件の需要は高まり、その分だけ家賃も上がるのです。
その一方で、人口密度の小さい地域は不動産の需要が都市部よりも下がります。不動産が余りやすくなり、空室リスクも上がってしまいます。
ただし、これも都市単位で異なります。地方とは言っても、人口が数万人規模の土地もあれば、数十万人規模の土地もあり、街によっても違うからです。
ですから、地方に物件を購入する際には、その土地の人口なり人口密度なりを見て、賃貸不動産の需要を探ることが大切になります。
経済変動の影響を受けやすい
地方不動産のウィークポイントの1つに、経済変動の影響を受けやすい点があります。
例えば、地方には大企業の支社や工場などがありますが、経済変動などで企業の実績が鈍化してしまうと、地方の事業拠点が統廃合されてしまうことがあります。
その場合には状況にもよりますが、街から資本が撤退されてしまうこともあります。更には、それに伴って不動産需要も無くなってしまうことも。…その結果として賃貸不動産の需要も冷え込んでしまうこともあり得るのです。
売却が難しい場合もある
空室リスクの問題は売却のしやすさにも影響します。…空室リスクの高くなりやすい物件は売却も難しくなりやすいのです。
投資用物件の売却先は基本的には別の不動産投資家です。新たな投資家も物件に収益性を求め、空室リスクの高まりやすい物件は敬遠しがちなのです。
ただし、これも街の状況によっても異なります。地方都市にも勝算のある街は多いので、選択にさえ気を付ければ、ビジネスとして十分に成立します。
地方不動産投資をする際の注意点
それでは、地方不動産投資にはどの様な注意点があるのでしょうか。
ここでは代表的な物を挙げてみましょう。
地方を狙って投資するなら地域は厳選する
先にも挙げた様に地方都市と言っても規模は様々。投資はどこでも良い訳ではありません。地方ではあっても人の集まって来る街と去って行く街があるのです。
当然ながら、狙い目となるのは人の集まる街。そこには不動産の需要が潜在的にあります。
そのため、投資する街は厳選しなければなりません。規模が大きくて人が集まって来る街がベターです。
ただし、地方の場合は交通網が電車では無くてマイカーがメインとなります。ベッドタウンを狙うにしても、単に距離を測るのでは無く、周辺の「生活しやすい街」を探るのが大きなポイントとなります。
先行きを考えて計画をしっかり立てる
先にも挙げた通り、地方都市は利回りが高くなる分、経済変動の影響を受けるリスクがあります。そのため、長期的な計画が非常に大切になります。スタートから出口までを見据えた計画立案が望ましいでしょう。
例えば、ある企業城下町のマンションに投資した場合、物件はその会社の社員を入居者として迎えられるかも知れません。しかし、いくら企業城下町を形成する大企業であったとしても、その土地にいつまでも居るとは限りません。資本を移動される場合もあるからです。
ですから、最初から出口を見据えた計画を立てるのが重要です。仮に無計画である場合には、売却の機会を失うリスクも高まってしまうのです。
1つの施設を頼りにし過ぎない
地方に行くと、1つの施設を中心にして街が形成されている場所を見つけることが出来ます。良い例が学園都市。大学などの研究機関を中心に、教職員や学生が形成する街です。
さて、これらの街のアパートやマンションも良い投資先ではあるのでが、そこには大きなリスクがあります。…施設移転のリスクです。
仮に施設が移転してしまうと、職員をはじめ、学生までも街を出て行くことになります。そうすると残る不動産は空室ばかりの物になってしまい、投資ビジネスも座礁してしまいます。
そのため、1つの施設に依存し過ぎないことが大切。大学や工場など、1つの施設を頼りにするのでは無く、仮に撤退されたとしても人口が減らない街を選ぶことが重要です。
人口の流れに気を付ける
地方の人口は都市部に比較して流動的です。必ずしも人口が減るだけでなく、増える地域もあるのです。ですから、その様な土地を見つけるのも成功のポイント。人口の流れに気を付けることが大切と言えるでしょう。
そのためには、地域の情報に敏感で無くてはなりません。
例えば巨大な商業施設が登場して街の状況が一変するケースが見られますが、人口もそれに合わせて流動することもあります。ショッピングモールの登場で人気が出る場合もあるのです。
そして、投資家としては人の流れるタイミングで不動産を準備することが重要。人の流入する地域に付加価値の高い物件を出すことが成功のカギとなるのです。
社会的状況に注意する
不動産投資は一般的に社会的状況の影響を受けにくいと言われています。
これは収入が家賃による物だから。株式の様にNYの市況が影響する訳では無いからなのです。
しかし、地方の不動産の場合は勝手が違います。と言うのも、地方都市は社会情勢によって人口が流動することが少なくないからです。人口が仮に少なくなってしまうと不動産も余ってしまい、空室リスクが上がり、家レベルも落ちてしまいます。…社会情勢の影響を大きく受けてしまうのです。
ですから、投資家には「世界を見る目」までが要求されます。物件の運営が掛かるため、しっかりと見なければならないのです。
気候や風土を知ることも重要
気候や風土を知ることも重要です。
不動産投資は入居者に快適な生活環境を届けることで成立する面があります。入居者は物件での生活環境に満足して、その上で家賃を納めているからです。
そして、その様な心地良い生活環境の提供が出来る物件を造るためには、その土地の気候と風土の知識が欠かせません。
仮に中古物件に断熱リフォームをして貸し出そうとしても、どのくらい断熱化すれば良いかは気候を知らなければなりません。また、台風の通る地域であれば、どの様な構造にすれば良いかを知っておいた方がベターです。
いずれにせよ快適な生活空間造りのためには気候と風土の知識が重要。やはり欠かせないのです。
地元の噂話も馬鹿に出来ない
地方に行けば、地域の人たちの独特のネットワークがある物です。多くの場合が誰かの噂話です。どこの旦那が栄転した、そこの息子が大学に合格した…多くはその様な価値の無い情報です。
しかし、時として大きなニュースが噂になることもあります。…例えばショッピングモールや大学の誘致に関してです。
この様な情報は公式の発表で決定が伝えられるのですが、実際は下馬評で伝わります。…それを考えてみると、一見すると暇人の噂話も、意外と馬鹿には出来ません。
まとめ
地方の不動産をテーマに考えてみました。地方には都市部に無いメリットもある反面、独特のリスクや注意点があることが分かったことと思います。また、今後の社会情勢の情報の重要性も分かったことと思います。
いずれにせよ、地方の不動産投資であっても勉強と情報収集が必要で、しかも考え方を変える柔軟性も重要です。課題は多いですが利回りが期待出来るのも確か。十分な情報収集と計画を持って臨みましょう。
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