不動産投資を上手に進めるためには物件の管理が欠かせません。物件の状態が良いからこそ入居者の満足があり、利回りの発生があるのです。しかし、管理が悪ければ悪循環に陥る可能性も高くなってしまいます。 さて、物件を維持するためには修繕をしっかりすることが必用。これは管理の前提とも言えるほど、非常に重要な仕事なのです。
実際、仮に欠かしてしまうと物件の状態も悪化してしまいます。
しかし、意外と修繕をしっかりとせず、その場当たり的にしている人も多いのでは無いかと思います。
そこで、ここでは物件の修繕の重要性について振り返ってみたいと思います。
もくじ
投資用物件の修繕と利回り・リスクの関係性
不動産の状態は入居者の生活環境維持に直結します。明るくて気持ちが良く、設備も快適な住宅は人気が上がることでしょう。しかし、その反対に暗くて不便な住宅は気分も良くはならず、不満も溜まるのではないでしょうか。
そして、物件の状態維持には素早い修繕があってのことです。
ではもう少し踏み込んで、物件の修繕と利回りやリスクはどの様な関係を持つかを考えてみましょう。
利回り
物件の維持と利回りについて考えてみましょう。
利回りは家賃収入を投資金額で割って算出します。ただし、これは表面利回りで、リアルになる数字の実質利回りは、これに修繕費をはじめとするランニングコストが入って算出されます。修繕費はランニングコストの中でも共有部分の光熱費とならんで、非常に大切な部分なのです。
さて、修繕費は利回り算出の時には家賃収入から必要経費として差し引かれます。そのため、一見すると修繕費が膨らんでしまうと収入を圧迫してしまうので利回りが低くなりそうです。
しかし、修繕費をケチってしまうと物件の状態も悪くなるので家賃収入にも影響が出て来ます。
ちなみに、修繕に掛かるコストを惜しんでしまうと修繕工事の質が落ちたりして、余計な修繕費用も発生し得ます。しかも、格安を売り文句にしている会社は悪徳業者の可能性もあり、無駄な出費を強いられ得ます。総合的な修繕コストを抑えるためにも、しっかりとした工事をしなければならないのです。
不動産投資上の各種リスク
物件を適切に修繕するならば、不動産投資に発生する各種のリスクを低減させることも可能となります。
と言うのも不動産投資のリスクは、入居者の満足度で決まる面が多いからです。
例えば空室リスクですが、物件での生活に満足するならば、ある程度かも知れませんが、問題は抑えられます。空室は物件での生活に不満が出て来た時に顕著に出るとも考えられるので、状態を維持するならば問題が大きくならないのです。
確かに進学や転勤のシーズンになれば退去はあるでしょうが、物件に落ち度が無ければ客付け力も維持出来るので、次の入居者を呼び込みやすいです。
また、家賃の減額リスクも物件の状態によって決まります。例えば内装などは修繕を落ち度無くするならば、暮らし心地も良い状態で保てるので、下がるリスクは少なくなるのです。
この様に、不動産投資のリスク…特に物件に関係するリスクは修繕の状況で違います。適切に行うならば、リスクは大きくならないのです。
【投資用不動産】修繕の必要性について
次に、修繕の必要性について確認しておきましょう。
生活環境維持のため
不動産投資は入居者の家賃収入によるもの。入居者の物件での生活の満足が前提と考えるべきです。それには環境が大きく関係しています。物件の修繕は環境維持のために絶対に必要なのです。
さて、修繕の工事には「品質」が伴います。工事には良い工事とそれなりの工事があるからです。そして「品質」を考えるなら、やはり「高品質で無ければならない」と言わなければなりません。修繕に携わる業者の中には、その場しのぎの修繕しか考えない様な業者もいるからです。
その様な業者に修繕を任せると工事の質が悪くなってしまい、ケースによっては同じ部分での不具合が頻発してしまいます。例えば漏水を考えるならば、修繕をしたのに、それほど時間が経っていないのに、同じ様な漏水が起きる…といった事態が起きるのです。
当然ながら、この様な修繕は入居者をイライラさせてしまいます。そして不満が大きくなる訳です。
そうなると退去リスクも高まります。その事態を避けるためにもきちんとした修繕が必要であり、生活環境を守らなければならないのです。
建物の状態維持のため
建物の状態維持は生活空間維持の目的もあるのですが、それと同時に「建物そのもの」を維持する目的もあります。つまり、建物の強度や耐久性などを維持するためにも修繕は重要となるのです。
例えば外壁のシーリング工事や屋根防水を考えてみましょう。仮にこれらの修繕を放置するならば、外壁や天井から雨水が浸入し、建物内部の部材を濡らしてしまいます。そして、その状態が続くならば部材の腐食が始まってしまうのです。
部材の腐食が進行するならば、それに伴って強度が落ちてしまい、しかも耐久性まで落ちてしまいます。そうすると災害に弱くなり、しかも建物としての寿命も短くなってしまうのです。
そして、建物の修繕はその様な事態を回避するために不可欠なのです。
不動産投資用物件にはどの様な修繕があるか?
それでは、建物の修繕にはどの様な物があるのでしょうか。主な修繕箇所を取り上げてみましょう。
屋根防水
建物の屋根は日射や雨水の影響を受けるため、非常に過酷な環境にあると言えます。それだけに屋根部分は劣化が進むので修繕は欠かせません。仮に防水性が落ちてしまうと雨漏りのリスクの発生もあるため、きちんとした修繕は非常に大切なのです。
さて、屋根防水には次の4つの防水がメインになります。
- ウレタン防水
- シート防水
- FRP防水
- アスファルト防水
これらはコストに優れる物、耐用年数に優れる物、特徴は様々ですが、いずれにせよメンテナンスフリーではありません。入居者の生活環境維持のためにも、そして建物の状態維持のためにも、欠かしてはいけない作業なのです。
外壁部分
外壁は塗装の場合、タイル張りの場合によって修繕そのものが異なります。
まず塗装の壁の場合ですが、これは再塗装となります。現状の壁を機械で洗浄し、新たに塗装をし直すのです。今の塗料は耐久性が良くなっているので、15年くらいの耐用年数が期待出来るでしょう。
次に、タイルの壁の場合ですが、タイルは表面が丈夫なので塗装の様な工程は必要ありません。ただし、タイルは目地部分にモルタルを使っています。状況にもよりますが、目地部分に割れが入っていることもありますので、その場合にはメンテナンスが必要です。
尚、外壁は地震などによって小さなヒビ(クラック)が入ることがあります。この部分を放置するとダメージが進行してしまうので、早い内に対応するのが得策と言えるでしょう。
シーリング工事
シーリングは屋根、外壁、建具の周囲など、様々な部分に使われています。特に木造アパートの様なサイディングの外壁には目地にはメンテナンスが必要です。
シーリング部分は日光や雨水で劣化してしまう部分。修繕の方法としては、既存の物を撤去して施工しなおすか、上から掛けるかとなります。
ちなみに、シーリングは外壁の日射の条件(南向きか北向きか)、雨水が掛かるかどうかの条件、排気ガスが掛かるかなどによっても劣化の進行が違います。現場でのチェックが非常に大切です。
鉄部改修
鉄は建物に多用されていますが、腐食してしまう欠点があるので修繕が必要です。マンションなどの場合には非常階段などが鉄で作られているので、修繕は絶対に必要と考えておきましょう。
鉄部分の修繕の主な手段は再塗装となります。今の鉄の部材はメッキが掛けられている物が多く、腐食には強いのではありますが、それでも雨水などには耐えられずに腐食します。鉄の腐食は進行し、しかも部材の強度を著しく落としてしまいます。放置すると危険な状態にもなり得ますので、修繕は確実にしましょう。
アルミ部改修
アルミは軽量で外観も美しく、腐食がほとんど見られない素材です。しかし強度が鉄よりも弱いので、時として破損してしまうこともあります。
例えばアルミ製の駐輪場がありますが、デザイン的には優れるメリットがある反面、強度的に劣るデメリットもあります。そのため大型の台風などが直撃すると破損する場合もあり、修繕が必要です。
電気設備など
照明やエレベーターなどがメインです。また、電源設備もメンテナンスが必要です。
照明器の修繕と聞くと電球の交換程度に思えるかも知れませんが、共有部分の多い物件では照明の修繕も大変です。また、エレベーターなどの大型設備の定期点検はストップさせてのチェックとなります。
尚、照明にしてもエレベーターにしても、電気設備の不具合は日常生活に大きく影響します。修繕にはスピードも要求されるので、早急な対応が出来る体制づくりも大切です。
防災設備
修繕とは少し違うかも知れませんが、防災設備も定期的なチェックが必要です。
防災設備には防火戸、防火シャッター、火災報知器などがありますが、いずれの設備も災害発生時には確実に作動しなければなりません。定期点検を忘れない様にしましょう。
不動産の不具合を放置するとどうなるか
では、修繕せずに不具合を放置するとどの様な事態になるのでしょうか。
物件のトラブル
まず挙げられるのが物件のトラブルです。
これには軽微な物から重篤の物まで様々な物があります。そして、軽微な物であれば追加的は修繕で何とかなることでしょう。例えば、外構部分のフェンスに腐食が認められた時には、フェンスを丸ごと交換すれば済みます。フェンスは外構部分で建物からは独立しているので、交換は比較的簡単です。
しかし、例えば木造アパートなどで、土台や柱の部分がシロアリに食われた場合はどうでしょうか。…これは「シロアリを駆除すれば良い」と思われがちではありますが、食われた部材の強度は戻りません。ですから、耐震性などに問題が出て来る場合もあり得るのです。この様なケースの場合には修繕には大規模な工事が必用です。
物件のトラブルは様々ですが、最初は軽微な物から重篤な物まで進行するパターンが多いです。問題は小さい内に対策を取ることが賢明なのです。
入居者とのトラブル
物件の状態が悪くなると入居者との関係も悪くなります。
建物が古くなれば老朽化は仕方ない…と入居者は考えるでしょうが、例えば天井からの漏水で家財が汚れたらばどうでしょうか。しかも、上の階の住人が原因では無く、配管のどこかのトラブルだとしたら関係悪化は避けられません。
ちなみに、入居者の立腹は最悪として退去もあり得ます。当然その後は空室になり、家賃は途絶えます。大きなダメージに繋がるのです。
各種リスクの上昇
不動産投資には株式投資などには無い独特のリスクがあります。空室、家賃減額、退去…様々です。
ところで、これらのリスクは物件の状態が良いならば、意外と回避可能な物もあります。例えば空室リスクですが、空室発生の理由として「住み心地が悪くなった」「他の物件の方が魅力的」といった理由であるならば、それは物件の状態が悪いこととなります。…それがもしもメンテナンス不良が起因する物であれば、それは「修繕の怠慢」が大きな理由の1つとなるでしょう。そして、空室などの物件起因のダメージは利回りの低下などを引き起こし、更には赤字体質となり、場合によっては銀行の信用まで失墜し得るのです。
しかし、しっかりと物件をチェックし、適切に修繕をするならば、その様な問題の多くは回避が可能です。
まとめ
建物の維持には修繕が必要であることが分かったと思います。また、仮に修繕を軽視した場合は不動産投資上の様々なリスクが上昇し得ることもイメージ出来たことと思います。
建物のダメージの蓄積にしても、不動産投資上のリスク上昇にしても、ビジネス上の脅威になることには変わりありません。
修繕は確実にすること、そして早急に対応出来る体制を作ることが大切です。「もしも」の時のために、しっかり準備をしておきましょう。
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