不動産クラウドファンディングは良い話だけではありません。経済状況などの外部環境によっては、儲けるどころか損失を被ることもあり得ます。ですから、投資家は様々な角度から検討しなければなりません。
ところで、トラブルには発生を抑えることが可能な物もあります。トラブルについて知り、分析をすることで損失抑えることは可能です。
そこで、ここでは不動産クラウドファンディングのトラブルについて取り上げ、トラブルの種類や原因などについて解説したいと思います。
もくじ
トラブルを放置するとどうなるか
不動産クラウドファンディングのトラブルの発生を完全に抑えることは不可能です。検討に検討を重ねたとしても「想定外」はあり得るからです。
さて、トラブルは避けられないとしても、発生後に放置する場合と対処する場合では、その後の状況が完全に違います。
では、トラブルを放置するならばどの様な事態が生じ得るのでしょうか。
元本割れ
まず挙げられるのが元本割れです。
不動産クラウドファンディングは事業者の健全経営の上に成り立っています。事業者は投資家の資金を運用して利益を得て、それを還元しているからです。
しかし、何らかのトラブルが発生すると運用が滞ってしまい、想定していたほどの利益が出せなくなってしまいます。その場合は元本割れもすることがあるのです。
ちなみに、不動産クラウドファンディングは優先劣後構造によって投資家を守っています。しかし、優先劣後であっても損失が大きくなってしまうと投資家を守り切れなくなり、元本を割り込むこともあるのです。
出資金そのものが回収出来ない
不動産クラウドファンディングは一定の水準をクリアした優良企業によって営まれるビジネスです。ですから、滅多なことでは事業の破綻はありません。
しかし、破綻の発生確率をゼロにすることは不可能。想定外の巨大なトラブルが起こった場合には潰れてしまうこともあるのです。
そして、状況にもよりますが、出資した資金が返って来なくなるケースもあり得ます。事業者の破綻にも良し悪しがあるでしょうが、資金確保が不可能になることもなり得るのです。
事業者に関するトラブル
さて、不動産クラウドファンディングのトラブルは2つの種類に分けることが出来ます。「事業者に関するトラブル」と「物件に関するトラブル」です。
まずは「事業者に関するトラブル」について見て行きましょう。
事業者の経営悪化・破綻
まず挙げられるのが「事業者の経営悪化」や「破綻」です。
これは扱っている不動産クラウドファンディングの不振による物だけではありません。不動産事業者として推進している他のビジネスの不調も関係し得るのです。
例えば、他の事業として戸建て住宅を販売していたとして、その物件が売れない場合もあり得ます。その場合には会社としてのキャッシュフローが悪化してしまい、経営状態が悪くなり、破綻してしまうのです。
この様な状態だと元本割れどころか出資金そのものが返らない場合もあります。危険なのです。
事業者の行政処分
不動産クラウドファンディングを扱う事業者は一定の水準を満たした優良企業。世間的にも知られている場合も多いことでしょう。
しかし、その様な企業であっても不祥事を起こすこともあり得ます。不動産クラウドファンディングそのものが良くないケースもあるでしょうし、それ以外の案件でマズい事例を起こした、などと言った例です。
その様な場合には行政処分の対象になることも無い訳ではありません。これは痛恨のダメージです。営業出来なくなる可能性もあるでしょうし、信用を失う場合もあるでしょう。いずれにしろ、大きなトラブルです。
詐欺
少ないケースではあるでしょうが、クラウドファンディングを扱う事業者にも、最初から悪意を持っている場合があります。
例えば架空業者によるトラブル。不動産クラウドファンディングはインターネット経由でのやり取りとなるため、顧客の誘導が比較的容易です。そして、偽サイトへ飛ばすことも可能。顧客の中には早合点してしまい、被害に合うことも少なからずあるのです。
物件に関するトラブル
不動産クラウドファンディングのトラブルは物件に関する物もあります。
具体例を挙げてみましょう。
物件の運営不振
不動産クラウドファンディングの物件は有望な物が選ばれます。不動産投資のプロの選定による物なので、信頼性が高いとも言えるでしょう。
しかし、物件の運営は必ず上手く行くとは限りません。経済状況は物件周囲の環境などの変化により、状態が悪くなることもあり得るのです。その中には予測不可能な物もあります。
例えば、物件の周囲に著しく環境を悪くする物が出来た場合、風紀を乱す物が出来た場合など。入居者に嫌われてしまい出て行かれることもあり得ます。当然ながら、空室の発生は不動産投資では致命的です。そのまま破綻することもあり得るのです。
火災など
火災は物件を焼失してしまうこともあり得るトラブル。不動産投資においては致命的です。
不動産は確かに火災保険などのサポートが付くでしょうが、それでもダメージは計り知れないことでしょう。
ちなみに、火災には自物件から発火した物と周辺からの延焼があります。その内、延焼は火を出した不動産のオーナーに損害賠償を求めることが出来る様にも思えます。しかし、延焼の場合は法的に火を出した不動産のオーナーが守られますので、損害賠償の請求は出来ません。ダイレクトに損失に繋がるのです。
地震や台風などの自然災害
自然災害も火災と同様に予見が出来ません。例えば、地震や水害などが挙げられるでしょうが、いずれの物も予測が出来ないトラブルなので、打つ手がほとんど無いと言えるでしょう。
実際、阪神淡路大震災も東日本大震災も予見は不可能で、多くの建物が倒壊してしまいました。
また、昨今の水害も深刻で、多くの地域が水没してしまいました。その結果、大きく値を下げてしまった不動産もありました。
この様な災害によって、物件の入居率や売却額は大きく異なる場合があります。残念ですが「不運」としか言いようが無いのです。
トラブルに遭遇しないために
この様に、不動産クラウドファンディングであってもトラブルは避けられないのですが、遭遇する確率を避けることは可能です。
では、どの様な点に気を付けるべきなのでしょうか。
途中解約可否の確認をする
不動産クラウドファンディングは途中解約が基本的には出来ないのですが、少数ながらも可能なファンドは存在します。途中での解約が可能となるならば、損失の可能性が出た段階で換金が可能なので、非常に有利になります。
ただし、途中解約が可能なファンドを選ぶべきかと言うと、そうとは言い切れません。利回りや物件の信頼性などを加味し、トータルで判断するのがベターです。
事業者確認の徹底
不動産クラウドファンディングのトラブルには事業者の問題が少なからず関わっています。ですから、事業者は徹底的にチェックすべきです。
さて、不動産クラウドファンディングのサイトを見ると、過去の実績も併せて掲載されている場合があります。それを見るならば、それまでどれくらいの物件を運営したかが分かります。
また、免許を確認するならば、不動産会社としての経歴のチェックも可能。事業者確認をする上で重要となるのです。
物件確認の徹底
物件に関するトラブルは確かに予見出来ない物もあるのですが、建物の構造に注意することによって避けられる物もあります。先にも述べた様に、マンションは建った年代によって耐震基準が異なります。新しい物件を購入すれば、それだけトラブル回避に有益なのです。
また、水害に関してもハザードマップなどでの確認も、ある程度は可能です。降雨量の推測は不可能でしょうが、水害回避は立地を選ぶことによって避け得るのです。
ですから、物件選びの際には建物の構造や立地条件などを徹底的に調べ上げることが大切です。
連絡履歴を残す
契約関係において最も厄介なアクシデントの1つに「言った・言わない」があります。事業者と投資家の認識に違いがあり、後になってその認識の差をお互いに責め合う、といった物です。
さて、この対策として最も有効な策は「連絡履歴を残す」ことに尽きると思われます。
例えば、投資家が言った内容を事業者が書き止め、その内容で間違い無いかを投資家に確認するのです。これは逆も行うべきです。事業者が言った内容を投資家が記録し、その内容を都度確認するべきでしょう。
確かに打ち合わせは口頭で可能な物もありますが、メモを残さないと「言った・言わない」ともなり得ます。可能な限り連絡履歴を残すべきです。
話を鵜呑みにしない
不動産クラウドファンディングの事業者は心強いビジネスパートナーなのですが、必ずしも言って来ることが正確であるとは限りません。また、正直な話をして来るとも限りません。悪意のある業者もいるのです。
そのため、投資家としては話を鵜呑みにするのでは無く、情報は精査するべきです。特に、悪意のある事業者の場合には、詐欺被害の遭遇の可能性も出て来ます。十分に警戒するべきです。
ただし、この場合には投資家においても不動産について知っておく必要があります。不動産投資の仕組みやリスクを知っておくならば、事業者の持って来る情報の正確性を計ることも可能だからです。情報収集と勉強が重要となるでしょう。
不動産投資についても知っておきたい
不動産クラウドファンディングは事業者に運用を事業者に委託するビジネスです。ですから、投資家は不動産投資を知る必要が無いとも思えるかも知れません。
しかし、クラウドファンディングであったとしても、根幹の部分は不動産投資。やはり知っておく必要があります。
では、どの様な点を特に知るべきでしょうか。
儲かる仕組みを知っておく
まず挙げられるのが「儲かる仕組み」を知っておくことです。
不動産投資は家賃収入による物であることは知られていますが、銀行融資や税金を加味した上での流れは知られて無いことも多いです。その他にも、物件取得の費用や、売却なども知られていないことでしょう。
不動産クラウドファンディングの場合は事業者任せです。しかし、トラブル回避のためにも知っておきましょう。
リスクについても知っておく
ビジネス全般に言えることですが、「儲かる仕組みを知ること」と同じくらいに「リスクを知る」ことは非常に重要です。これは不動産投資も同様で、リスクを知っておかなければ健全経営は出来ません。
さて、不動産クラウドファンディングの事業者は不動産のプロなので、これらのリスクを心得ています。しかし、完全に放任するべきではありません。投資家自身でも勉強し、トラブルに備えるべきでしょう。
情報収集と勉強の重要性
不動産クラウドファンディングは資金を事業者に預ければ、自動的に収益が付いて来る様に見えるかも知れません。そのため、情報収集や勉強の必要性を特に感じないことでしょう。
しかし、不動産投資を知るためには情報収集と勉強が非常に大切になります。ぜひとも積極的に勉強に取り組みたい物です。
尚、不動産クラウドファンディングは出来たばかりのビジネスで、これからどの様な変化を遂げるか知れません。今後を知る上でも、情報収集と勉強を続けるべきでしょう。
まとめ
不動産クラウドファンディングのトラブルを中心に述べました。トラブルの内容に加えて、トラブルに遭遇しないためにはどうするべきか掴めたことと思います。
不動産投資のトラブルは時として致命的にもなり得ます。これは不動産クラウドファンディングにも当てはまること。資金が戻らいこともあり得るのです。そのためには不動産投資を知り、警戒することが大切です。日頃から情報収集に専念し、研鑽に努めましょう。
不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資に興味があるけども、ローンを組んでまで投資をするのには【リスク】を感じる。
そんな方は、不動産投資型クラウドファンディングを試してみてください。
どちらの事業者も不動産投資を少額から始めてみる、試してみるにはピッタリな事業者だと言えます。
【リスク】を少なく不動産投資を始めてみましょう。
また、当サイトで人気の記事はこちらです。