不動産投資において、利回りアップのためには投資費用の削減が無くてはなりません。利回りは収入を投資費用で割って算出されます。投資費用が膨らむと利回りが圧迫され、抑えられるとアップするのです。
しかし、物件購入においては間違った物件を買ってはなりません。特に土地の購入には神経を使うべきです。
ここでは不動産投資の土地購入について、「地盤」の面から考えてみたいと思います。最近は土地の崩落事故があった状況もありますが、土地選びの重要性が改めて認識出来ることでしょう。
もくじ
不動産投資では重要な土地選び
不動産投資は投資用不動産の家賃収入から利益を得るビジネス。土地は事業の大前提です。そのため、どの様な土地に物件を持つかでビジネスの明暗が分かれてしまいます。
では、土地の条件は不動産投資にどの様な影響を与えるのでしょうか。
立地で価値は大きく変わる
不動産は立地によって人気が大きく違います。駅や商業施設から近い場所、学校や病院から近い位置だと人気が高いです。その一方で交通のアクセスが悪かったり日当たりが悪かったりすると、その土地の人気は落ちてしまいます。
さて、土地の価値は人気によってもずいぶん違います。人気のある土地は高い値が付き、それほど人気の上がらない土地は人気も出ず、地価も上がりません。
ただし、立地条件は地図では分かりにくい点もあります。
例えば、日当たりなどは周囲の建物や地形によっても異なるので、実際に見なければ土地の価値は分かりません。
土地の価値は利回りに直結
さて、冒頭にも挙げた様に、投資費用は利回りに直結します。つまり、地価がそのまま利回りに大きく影響するのです。人気のある高額な土地を買えば投資費用が膨らみますし、安い土地を購入すれば投資額も抑えられます。
ただ、建物も不動産の価値を決める上では重要な条件。浴室やトイレなどが旧態依然の物であれば、やはり敬遠されてしまいます。仕様が悪すぎても、物件としての人気は上がらず、利回り確保も難しくなるのです。
望むべくは人気のある地域で土地を安く入手すること。そうすれば高額な家賃も期待出来ますし、投資費用も抑えられて利回りが上がります。
後で分かる不具合もある
土地は実際に使って見なければ分からない点も多いです。
例えば、騒音や悪臭などは、実際に住んでみなければ分かりません。電車の騒音などは曜日や時間帯によって異なりますし、悪臭などは風向きによっても異なるからです。
また、使っている内に分かって来ることもあります。特に地盤の問題。実際に建物を建てて、使い始めてから分かることが多いのです。
投資用不動産を決める前に、地盤の不具合には何があるかを知っておこう!
では、土地に発生する不具合にはどの様な物があるのでしょうか。
特に地盤の不具合に関してどういったものがあるのかを見て行きたいと思います。
地盤沈下
地盤沈下は土地の問題の代表格。建てた建物が次第に沈んで行く現象です。この現象は建物を建てた直後に現れる物では無く、しばらく時間が経ってから不具合が現れます。
地盤沈下の原因は地耐力(地盤の強度)が建物の重さに対して低いことです。ですから、新しい土地に建物を建てた時にだけ発生する現象では無く、既に使われていた土地に建てても起こり得る現象とも言えます。
建物の重量は構造によって異なります。木造の建物であれば軽くなり、鉄筋コンクリート系の建物の場合は非常に重くなります。ですから、仮に昔から家が建っていた土地だからと言って、全部が大丈夫な訳ではありません。昔から建ててあった建物が軽かった土地の場合、新規に重い建物を建てるならば、やはり沈むリスクは上がります。
例えば、木造の平屋が建ててあった土地に、鉄筋コンクリートの3階建を建てる場合、建物重量が非常に重くなります。そのため、以前ならば建物を支持出来た地盤であっても、鉄筋コンクリート造では耐えられなくなり、沈むこともあるのです。
地すべり
地すべりとは、傾斜している土地が、地下の滑りやすい地層を滑り面にして、ゆっくりと崩れ落ちる現象です。
主な原因としては雨や地下水による影響とも言われます。
地すべりの特徴は非常に広い範囲で起きること。しかも被害は非常に大きくなります。
ちなみに、今の地すべりは「人災」の物も少なく無いとも思われます。と言うのも、今の造成地は山を切り開いて造っているところが多いからです。
造成は土地を切り(切土)、あるいは盛って(盛土)作られます。切土と盛土は地盤の強度が異なることが少なくありません。この土地に建物を建て、降雨などで地盤が緩んでしまうと崩れてしまうこともあるのです。
尚、地すべりが大規模になると街全体の問題にもなり得ます。それほどまでに大規模な被害になるのです。
液状化
液状化は主に地震が引き金になって起こる現象です。
土は水を含みますが、この含まれた水と土は振動によって分かれる場合があります。水を含んだ土が地震によって水と土に分かれ、地盤強度が著しく落ちてしまい、建物が建っていられなくなり、沈んだり倒れたりするのです。建物の基礎部分から沈んでしまうので、被害は非常に大きくなります。
尚、この現象は土地の状態にもよりますが、襲いかかる地震の強さにも関係して来ます。ですから、災害の予知は非常に難しいです。
建物が傾いてしまうと不動産投資はどうなるか
では、仮に建物が傾いてしまうと、不動産投資のビジネスはどの様になってしまうのでしょうか。
建物の状況悪化によって発生し得るリスクを挙げてみましょう。
家賃減額リスクの発生
まず挙げられるのが、家賃減額のリスクです。建物が傾いて来ると、敏感な人であれば気になって来ます。そうなると生活に違和感さえ感じる様になります。
そして、物件の条件にもよりますが、契約更新の際には家賃減額の交渉を切り出されるかも知れません。そして建物の傾きを理由にされるとオーナー側としても言い返すことが難しくなり、交渉を飲まざるを得ない…と言った状況にもなり得ます。
空室リスクの発生
物件が住みづらくなることは空室リスクの発生に繋がります。居るだけで気分の悪くなる部屋には、誰も住みたがらないものです。仮に入居してくれたとしても、早い内に退去される可能性もあるので、長期的な安定した家賃収入には繋がりにくいです。
また、1回評判が悪くなってしまうと、不動産会社からも見放されることもあり得ます。そうすると、いくら貸したくても借り手が付かない事態にもなり得るのです。
売却も難しくなる
売却の際も非常に厳しくなります。
と言うのも、今ではホームインスペクションが増え、売却の際には建物が徹底的にチェックされます。建物をチェックするのは建築士をはじめとした建築のプロ集団。その目をごまかすことは、まず出来ません。
更に、投資用不動産の売却の場合、買い手の多くが別の不動産投資家です。この投資家も利回りを上げるために投資費用を削ろうとしますので、マイナス要因があれば値切って来ます。当然ながら売却額を下げてしまうと利益が少なくなりますし、場合によっては買い手も付かないことすらあり得ます。非常に危険なのです。
間違った土地を引かないために
不動産投資において土地の選択が非常に大切であることが分かったと思います。
では、間違った土地を引かないためには、どの様にしたら良いのでしょうか。
代表的な対策を挙げてみましょう。
地盤調査は必須
まず大切なのは徹底した地盤調査です。
前述の様に、古い建物の建っている土地を見た時、「古くても既に建物が建っているので、この土地の地盤強度は大丈夫」と判断したとしても、次に建てる建物の重量が前よりも重かった場合など、地盤沈下のリスクが再燃する可能性もあります。
確かに古い土地は安定性が高い様にも思われがちです。しかし、新たに土地を取得した場合には、念には念を入れて土地のチェックをするべきです。建物が傾いてしまってからでは遅すぎます。事前確認を入念にしましょう。
土地の歴史は意外に重要
土地がどの様に使われて来たか、あるいは過去はどの様な状態だったか、それによって現代の土地の状況も違います。例えば、土地の過去を調べてみて田畑などの農耕地であり、宅地に切り替わってから長い期間経っているのであれば、地盤の強度は十分にあるとも判断されます。しかし、その土地が昔には池や沼、そして溜池などであった場合には地盤が弱いことが懸念されます。
さて、この「土地の過去」は登記事項証明書を見れば確認することが可能。これには過去の地目が記載されており、その土地の歴史が分かるのです。
地名で分かることもある
土地の状況が地名で分かることもあります。
地名を調べてみると、「水に関係する字を含む地名」や農地に関係する字を含む地名」があります。
水に関係する字を挙げてみると、「沢」「沼」「川」「河」「海」「池」などです。また、農地に関係する字には「田」「新開」「稲」など。これらの字を含む地名は地盤強度が軟弱な可能性があります。
その一方で、「山や台地に関係する地名」もあります。具体的には「山」「丘」「峰」「岳」などです。これらは地盤の強度が高い可能性がある、とも言われます。
これらの地名はその土地の過去を知る手掛かりです。地図を見ると分かるので、ぜひとも確認をしましょう。
地盤の悪い土地の改良について
土地について知っておくべきなのは、土地の過去の状況だけではありません。土地がどの様に改良されるか、そして土地の強度はどの様に調べられるかについてもです。
これらは土地を知るのに直接的な情報では無いかも知れませんが、仮に土地をめぐるトラブルがあった時に役立つ知識。ぜひとも覚えておきましょう。
地盤の改良工事
地盤の強度が足りない場合には土地の改良工事が行われます。建物を建てても沈まない様にする訳ですが、工事方法は「表層改良法」「柱状改良工法」「鋼管杭工法」などです。
表層改良法は土地を2メートル程度掘り、そこにセメント系の固化材を入れて土を戻して混合攪拌、強度の高い部分を作り上げます。
また、柱状改良工法は地下にコンクリートの杭を打ち込む方法。何本もの杭を土地の地下に打ち込み、土地の強度を確保します。鋼管杭工法は、この杭に鋼管を使う方法です。
尚、これらの工法は土地の状態や建物の仕様によって使い分けられます。
地盤の調査方法について
地盤強度を測定する方法も知っておく方が良いでしょう。
地盤の調査方法は主に2つ。「スウェーデン式サンディング試験」や「ボーリング調査」があります。
スウェーデン式サンディング試験は先端がスクリュー状になっていて、おもりの付いた鉄製の棒材を地表にねじ込み、その入り具合で地盤強度を測定する方法です。
また、ボーリング調査は地面をくり抜いて土地の状況を調べます。土地の強度が分かると共に、地下水の流れる地層の位置や、地盤が横にどれだけ動くかなども分かるメリットがあります。
まとめ
不動産投資と地盤の関連性について取り上げました。地盤が十分に丈夫で無い場合の悪影響がイメージ出来たことと思います。また、土地の状況を知る手掛かりについても把握出来たことでしょう。
建物は土地がしっかりしていることが前提条件です。物件の手配も重要なのですが、土地は見えにくい分、入念な確認が必要。安定した家賃収入や売却のため、ぜひとも確認をしっかりとしましょう。
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