投資ビジネスは安い時に購入して高い時に売却するのが基本なのですが、そこには様々な要因が関係して、相場そのものを変えてしまいます。為替もその内の1つであり、特に海外投資信託に関しては忘れてはいけない条件です。
しかし、投資信託と為替の関係性はなかなか想像しにくい物だと思います。為替はニュースなどで報じられるのですが、数字が抽象的に見えてしまうからです。
そこで、ここでは為替と投資信託の関係性に関して取り上げて解説します。イメージしにくい為替との関係性が、よりハッキリと分かることでしょう。
もくじ
海外投資信託の特徴
為替影響の解説の前に、海外投資信託の特徴について再確認したいと思います。
リスクとリターンが多い海外投資信託
投資信託は様々な投資対象がありますが、大きく分けて「国内」と「海外」の物があります。
例えば、株式であれば国内企業を対象にする物と海外企業を対象にする物。債券であれば日本国債と外国の債券、と言う具合です。
さて、投資信託にはリスクとリターンがあり、その変動幅によってローリスク・ローリターンの物とハイリスク・ハイリターンの物があります。海外の投資信託は一般には国内の物よりも、リスクとリターンが高い特徴があります。
国内企業を対象としたファンドよりも海外の方が儲けは大きい、しかし、損した場合のダメージも大きい、と言ったイメージです。
海外のファンドは為替が絡む
ここで為替について思い出してみましょう。
為替は日本の通貨と海外の通貨のレート。よく用いられるのが日本の円とアメリカのドルです。このレートは毎日変わります。1ドルが120円の時もありますし、125円の時もあると言った具合です。
さて、このレートですが、変化を見るならば数円にしか現れないので小さな違いにしか見えないのですが、実は非常に多くなるのです。と言うのも、120円が5円高くなったとすると、概略で4%もの違いが出て来るからです。
これは扱う金額が大きくなれば、その違いが如実に表れます。例えば500万円の取引をするならば、20万円の差額が発生するからです。
海外投資信託に関しても、この変化によって発生する差の影響をダイレクトに受けます。絶対に無視は出来ない要因なのです。
投資信託の為替の影響
それでは、為替の影響はどの様に現れるのでしょうか。
良く見られる動きについて挙げてみましょう。
円高の場合と円安の場合
それでは、為替が変動した場合の基準価額はどの様に変動するのでしょうか。
これは、一般には「円安の時にはプラス」「円高の時にはマイナス」になります。
例えば、元々の基準価額が10000円の場合、先の例の様に、1ドル120円のタイミングと125円のタイミングでは4%程度違うので、10400円程度に上がります。その反対に1ドルが115円程度になった場合には4%程度値段を下げてしまうので、9600円程度に変わります。
尚、為替は毎日変わります。海外投資信託も、これに合わせて変わって行くのです。
為替には手数料が発生する
為替の確認はニュースなどで分かるのですが、レートが分かったとしても、そのレートそのままでは交換が出来ません。と言うのも、為替の交換には手数料が発生するからです。
この手数料は金融機関に支払う費用で、「1ドルに付きいくら」などと決められています。ですから、仮に1ドル1円で1ドル120円とするならば、100万円をドルに換える時には108万円程度となります。
当然ながら、この手数料は取引額が大きくなると、それに連動して大きくなります。500万円の時には40万円、1000万円の時には80万円、と言った具合です。
ただし、金融機関によって手数料は異なります。安い銀行を使うのがポイントとなるでしょう。
損失を被るのはどんな時か
為替は変動する物です。ですから、交換するタイミングによって上がりもしますし、下がりもします。
それでは、海外投資信託で損失を被る時には、どの様な状況があるのでしょうか。
これは、やはり為替変動と共に複数のリスクが重なった場合と言えるでしょう。
例えば、海外の債券などの場合、国や企業の信用が落ちると格付けも落ちてしまい、ファンドの価値も落してしまいます。そして、そこに為替リスクが現実となったならばダブルパンチを食らうことになり、損失の幅が広がってしまうのです。
また、リスクが更に重なることもあります。特に海外には日本人には理解出来ないカントリーリスクも存在します。危険な不確定要因は多く、それだけリスクも高いのです。
為替の変動要因を知ろう!
それでは、為替はどの様な条件で変わるのでしょうか。
代表的な変動要因を挙げてみましょう。
金利差
金利差によって為替は変わります。
金利は国によって異なるのですが、金利の高い方が強い勢力と言えます。と言うのも金利の高い国の通貨で資産を持っていれば、それだけで儲かりますし、産業も元気だからです。
例えば、日本とアメリカで考えるならば、日本の金利が下がると資産を円で銀行に預けるよりも、ドルでアメリカの銀行に預ける方が大きなメリットとなります。
その様な状況が続くならば、円を売ってドルに換える動きが活発になり、ドルが高くなるのです。
尚、世界に目を向けるならば、金利が非常に高い国もあります。しかし、その様な国は政治が不安定だったりもして、リスクは高いです。つまり、ハイリスク・ハイリターンの構造となるのです。
貿易収支
貿易収支も為替レートに影響します。
貿易は海外の物を購入する場合と海外に物を売って外貨を得る2つに分けられるのですが、この内、売る方が多くなれば獲得する外貨も多くなって黒字化し、円の需要が増えて円高に進みます。
その一方で、海外に輸出する物が減ってしまうならば、通貨が海外に流れてしまうので国内経済は停滞してしまい、円安になってしまうのです。
例えば、日本の工業製品が高品質であった場合には製品を購入する外国人が増えて輸出が増えます。この時に円高になるのです。
しかし、工業製品の生産が新興国に奪われてしまった場合には、物を海外から輸入する機会が増えてしまうので円安になってしまうのです。
物価の変動
物価の変動も為替に影響します。
一般には物価が上がってインフレが進むとその国の通貨が落ちてしまいます。逆にデフレになると通貨が強くなるのです。通貨の量が増えすぎてしまうと価値が落ちてしまい、逆に通貨の量が引き締められると価値が上がって値段も上がるのです。
例えば日本円と米ドルを比較する場合、日本の物価が上がってインフレが進むと円安ドル高になってしまい、日本がデフレになると円高ドル安になります。
中央銀行の為替介入
国の中央銀行が為替をコントロールすることがあります。外国為替市場で通貨間の取引を行って調整するのです。
日本の場合には日本銀行が介入します。ただし、介入は財務大臣の権限により実行される物で、日本銀行法と言う法律に沿って行われます。
介入のイメージとしては、例えば急激に円高となった場合などは、日銀が円を売ってドルを買うイメージです。
経済指標の発表
経済指標も為替に大きく影響します。
為替は通貨が強いほど買われて弱いほど売られますが、経済指標によってどれくらい活発であるかが知れると、それに合わせて国の経済の強さが計られ、通貨が売買されるのです。
例えば、住宅の着工件数が上がった場合には、その国の経済が活性化されたと判断され、通貨も合わせて強くなります。逆に着工件数が伸び悩んだ場合には逆の現象が起きてしまい、通貨も弱くなるのです。
政治的な要因
政治的な要因も為替に影響します。政権の交代や法律の変更、そして外交問題の発生などが良い例となるでしょう。
イメージとしては、政権の交代や法改正などが行われると、その国の今後が見通せなくなります。新しい政権が経済政策で失敗するかも知れません。
そうなると、投資家はその国の通貨を売って別の国の通貨を買う動きに出ます。そうすると、通貨が弱くなってしまうのです。
ちなみに、政権交代は意外に些細な事件から起こり得ます。例えば政治家のスキャンダルなどです。政治家のスキャンダルが投資家に知れ渡ると、その国の政権交代がささやかれ、通貨が売られ得るのです。
戦争などに巻き込まれた場合
前述の様に政治は通貨に大きく影響するのですが、戦争などに巻き込まれた場合にも当然ながら悪い方向に作用してしまいます。その国への投資を控える動きが広がることもあって、通貨の価値を落としてしまうのです。
投資信託における為替ヘッジとは?
為替のリスクは海外投資信託にとって脅威です。場合によっては元本割れも起こしかねません。
しかし、為替リスクにも対策があります。それが「為替ヘッジ」と言う物。ここでは為替ヘッジについて取り上げましょう。
為替の予測は難しい
先に為替の変動要因を挙げましたが、実際には1つの要因が作用するのでは無く、複数の要因が複合的に働いて為替は変動します。ですから、為替の変動要因をトータルで考えることは非常に困難。出来る物ではありません。
例えば、金利が変わると国内の物価まで変動します。経済が活発になると貿易収支も変わって来ることでしょう。また、為替は米ドルばかりが語られますが、対象がヨーロッパのユーロであったり、中国の元だったりもします。複数の通貨の因果関係の解析は困難なのです。
為替ヘッジとは何か
為替ヘッジとは為替リスクの緩和を目的として行われます。為替の取引を利用して急激な変動を抑え、損失を回避しようとする物です。
具体的には、将来的な交換を見越して為替レートを予約した取引を行う物。例えば、1ドルを120円として予約取引を行い、期日が来たら受け渡します。
為替ヘッジありファンドと為替ヘッジ無しファンドの違い
海外投資信託を見てみると、「為替ヘッジあり」と「為替ヘッジ無し」の2つのタイプがあることに気が付きます。簡単に言うならば為替ヘッジの有無になるのですが、この違いは具体的にはどの様な効果の違いとなるのでしょうか。
変動幅が違う
為替ヘッジの有無によって異なるのは「変動幅」。急激な変動を抑え、為替リスクからファンドを守ります。
海外投資信託の為替リスクは非常に大きく、変動が急激の場合には基準価額なども、それに合わせて変動してしまいます。
その場合には投資家の保有する評価額も変わってしまいます。そうすると投資家は損切りの必要を感じて売却に動いてしまい、資産まで影響してしまいます。更に、ファンドの口数まで減ってしまうと、ファンドそのものが不安定になってしまいます。悪循環にも陥り得るのです。
しかし、為替ヘッジによって変動幅を抑えるならば、そのリスクも緩和されます。ファンドの安定性なども違って来るのです。
為替ヘッジはコストが発生する
ただし、為替ヘッジはそのままでは出来ません。費用が発生してしまうのです。為替ヘッジのコストは金利によって決まります。ですから、為替ヘッジのコストも一定では無く、変動するのです。
金利は国によって異なりますし、タイミングによっても変化します。ある時には金利が低かったのですが、政権が政策を見直して金利を上げる場合もあります。そうなると金利のバランスが変わるので、為替ヘッジのコストも変わるのです。
ですから、投資信託を選ぶ際には、為替ヘッジ分のコストをどうするかの判断に迫られます。当然、この場でリスクを取ればコスト分のリターンが確保出来るでしょうし、リターンを取れば変動リスクを負うことになります。
まとめ
海外投資信託の為替の影響などについて取り上げました。為替リスクの背景や、変動要因について掴めたことと思います。また、為替の読みは非常に困難であることも分かったことでしょう。
ただ、為替リスクは相手国によっても違うので、リスクの低い国を選ぶことも可能です。リスクとリターンを考えて、適切な国を選ぶことが大切となるでしょう。
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