投資信託の資料を見ると、知らない言葉が多く出て来ることと思います。また、うろ覚えでしか知らない言葉もあるかと思います。「元本」や「分配金」などもその内の代表例では無いでしょうか。と言うのも、「元本」と「分配金」は意外に注意が必要な言葉だからです。
そこで、ここでは「元本」と「分配金」について、用語の意味と関係性などを紹介したいと思います。
もくじ
投資信託の元本について
「元本」と言うと「投資で収益を得るための元手」と言うことが出来ます。
しかし、元本について意味を突っ込んでみるならば、別の考え方もあることに気付きます。と言うのも、元本には「個別元本」と呼ばれる物も付いて来るからです。
では、「個別元本」とはどの様な意味なのでしょうか。
個別元本について
先にも挙げましたが「元本」は投資で利益を受けるための元手です。ですから、あるファンドに10000円出資したとしたら、10000円が元本となります。
しかし、投資信託の場合は10000円の投資で終るのでは無く、同一のファンドに違うタイミングで投資をすることが多いです。例えば10000円を出した次の月に収入の1部を出資した、また2ヶ月後にも出資した…と言ったイメージです。
ところで、投資信託の基準価額は毎日変動します。ある日の基準価額は20000円だったと思えば、しばらくすると22000円に増える、あるいは18000円まで落ち込む、と言った具合です。これはファンドにもよりますが、変動が緩やかな物、激しい物、色々とあります。
そして、実際の出資になると、同じ金額で出資するとは限りません。次の月は収入が少なかったから9000円しか出せなかった、その次の月は臨時収入があったから11000円出せた、というイメージです。
更には、投資のタイミングでは口数も変わります。基準価額が10000円の時に10000円出資すれば1口になりますが、基準価額が11000円の時に9000円しか出せない場合には0.8口程度にしかなりません。逆に基準価額9000円の時に11000円出せれ1.2口くらいに増えます。この出資は継続的に、しかもランダムに行われます。
それでは、この状態で元本を算出しろ…と言われても難しいことと思います。と言うのも投資の度に様々な額の元本が加わっているからです。
そこで、投資信託では「個別元本」という考え方で元本を出しています。計算方法の基本は受益権口数の加重平均で計算します。
個別元本の計算方法
では、個別元本の計算方法について例題を挙げて紹介します。
条件としては20000円で1口購入した場合を考えてみましょう。
1回目の購入では、個別元本は出資した金額を受益権口数で割った数値になるので、20000円が個別元本となります。
次に22000円に上がった時に1口買い増した場合は
個別元本 = (最初の投資金額 + 2回目の投資金額) ÷ 2回目購入段階での受益権口数 = (20000円 +22000円) ÷ 2 = 21000円
となります。
ちなみに、この計算は追加での投資だけでなく分配金の再投資の場合などでも計算することになります。ですから、計算は非常に煩雑。確認のためには証券会社への連絡が必要です。
ただし、今ではネットを利用したシステムがあり、スマホなどでも確認出来る会社があります。手元の端末で簡単に確認が可能なので、非常に便利です。
分配金の種類
次に分配金について取り上げてみましょう。
分配金は「運用の成果を投資家に還元する物」ではあるのですが、実は2種類あります。それぞれについて解説します。
普通分配金
投資信託の基準価額は毎日変動します。例えば、基準価額が10000円のファンドであれば11000円に値を上げる時もありますし、9000円程度まで値を落とすこともあります。この変動幅はファンドによって異なりますが、ハイリスク・ハイリターンになるほど変動の幅は広がります。
さて、普通分配金は「基準価額が値を上げた物の還元」と呼べるでしょう。簡単に言うと「儲け」です。ファンドが上手く行くと純資産総額が増えますが、分配金は運用で増えた純資産総額から拠出されます。
尚、投資信託の儲けには税金が発生します。普通分配金は儲けになるので税金が発生するのです。
元本払戻金(特別分配金)
分配金には普通分配金の他に「元本払戻金(特別分配金)」と呼ばれる物があります。
投資信託の基準価額は上がりもすれば下がりもします。タイミングが悪ければ基準価額が高い時に購入してしまい、低くなった時点で決算を迎えることもあるのです。
ところで、この様に基準価額だけを見るならば損失と言える時でも分配金は支払われます。これが元本払戻金と呼ばれる物です。「特別分配」とは名前に付いているのですが、これは利益では無く、あくまでも払い戻しです。そのため税金は付きません。
尚、元本払戻金は元本を取り崩して支払われる資金。そのため、この資金が拠出されると個別元本も併せて減ってしまいます。
元本を守るために
元本は収益を得るために出資した資金。ですから何があっても守りたい物です。
しかし、投資信託の資料には「元本割れもあり得る」と記載されています。これを見ると証券会社から見捨てられた気分にもなるのですが、果たして元本を守る手段は無いのでしょうか。
ここでは元本を守るために知っておきたい知識について紹介しましょう。
リスクとリターンの関係
まずはリスクとリターンについて覚えておきましょう。
元本割れに直接関係する物は投資信託の抱えるリスクと言うことが出来ます。投資が上手く行くのはリスクマネジメントが上手く行って収益が確保された時。投資が上手く行かなかったのは何等かのリスクが出現し、純総資産額を減らしてしまった時です。
さて、一般にはリスクとリターンは密接な関係を持つと言われます。例えば国内株式と海外株式を比較すると、海外の物の方がハイリスク・ハイリターンと言われています。
この理由はリスク要因が働いているためです。例えば海外の物であれば為替が大きく影響します。運用会社が出す利益が一定であっても為替の変動によって利益も変動するからです。ある時は儲かり、またある時は損をします。
そして、海外の場合は国内の物よりもリスク要因が多いです。代表的な物はカントリーリスク。その土地に行ってみないと分からないリスクなので、予測は非常に困難です。
この様に、ハイリターンと呼ばれるファンドはリスク要因が多く、それに伴って値を下げることが多いのです。
基本的にはリスク管理
元本を守るための基本的な手段としては、やはり徹底したリスク管理が挙げられます。
例えば、仮にハイリスクの投資にチャレンジするのであったとしても、リスクにはどの様な物があるか、どのタイミングで発生するか、現状での発生確率がどのレベルであるかを調べ、検討するならばリスク要因から逃げることが可能です。
また、感情的にならずに相場を冷静に見る「目」も必要でしょう。と言うのも値下がりした場合、感情的になってしまって売却に走ってしまうケースが多いからです。確かに損切りは大切ですが、それであっても現状を分析するクールさは欲しい物です。
選ぶ際には慎重に
投資信託のリスク管理が重要であるならば、「選ぶ際の慎重さ」は非常に大切と言えます。
リターンばかりに目が行くことの無い様に、購入のバランスの検討や投資先の分散などの計画などをしっかりと立てることが大切です。
尚、リスク管理になると為替や金利などばかりに気が取られるかも知れませんが、償還に関係する部分も立派なリスクです。トータル的にも検討しましょう。
不動産投資信託と実物不動産投資を比較すると
ここで、不動産投資信託の損失の捉え方と実物不動産投資の損失の考え方を比較してみます。
不動産投資信託と実物不動産投資の仕組みの違い
まずは投資の仕組みです。
不動産投資信託は証券会社を通して運用会社に出資して、運用会社の不動産投資のリターンを得る物です。
その一方で実物不動産投資は不動産を実際に買い、入居者からの家賃や物件の売却などにより収益を得る物です。ですから、「間接的か直接的」とも言えます。
ちなみに、不動産投資信託では自己資金が投資可能額になるのですが、実物不動産投資の場合は銀行融資を利用して、自己資金より大きな投資が可能です。
不動産投資信託の損失とは
不動産投資信託の損失とは基準価額の下落による損失と償還による損失が主に挙げられます。
基準価額の下落は運用が上手く行かない場合に発生し、下落したタイミングで売却してしまった時に損失が確定します。また、運用が上手く行かなかった場合には繰上償還に踏み切り、償還金を支払って終わりにします。この時に投資額よりも下回っていれば、その差額が損失となるのです。
実物不動産投資の損失とは
実物不動産投資の損失は主に「空室の発生」による物や「売却の失敗」による物が多いです。
まず、空室が発生してしまうと入居者からの家賃収入が無くなってしまいます。しかし、その様な状況であっても銀行融資の返済はしなければいけませんし、固定資産税などの出費も免れません。しかも、売却に失敗した場合には、物件はボロボロになって収益性も落ちてしまい、売りたくても売れなくなってしまうのです。
ですから、実物不動産投資の場合は元本割れどころか借金だけが残ってしまう可能性もあります。
不動産投資信託のリスク回避
次に、リスク回避について考えてみましょう。
まずは不動産投資信託のリスク回避ですが、これは分散投資がメインとなります。不動産投資信託にも様々な種類があります。国内不動産がメインの物、海外専門の物、住居系専門の物など様々です。また、地理的な分散もあります。同一地域であれば地震などのリスクから逃げられなくなるため、同じ大都市でも東京と大阪に分散させるなどが考えられます。
ちなみに、不動産投資信託にも海外の物もあります。これも現地の研究や為替のチェックなどとなるでしょう。特に新興国の場合は現地の研究が大切になります。リターンが大きいのですが、リスクも大きくなるのです。
実物不動産投資のリスク回避
実物不動産投資のリスクには収益性ダウンが最も大きいと言えるでしょう。実物不動産投資には空室リスクや家賃の下落リスクがあるのですが、これらは収益性ダウンが根本にあると言えるからです。収益性さえ良ければ、仮に空室が発生したとしても時を置かずに空室は埋まるでしょうし、家賃のレベルも下がらないからです。
次に挙げられるのが地震などの災害リスク。これらは地域の分散や保険による防御がメインになります。
ただ、実物不動産投資の場合には想定の難しいリスクがあるのも確かです。入居者の夜逃げや近隣からの騒音や悪臭、風紀の乱れなどは分かりにくいです。…その様に考えると、実物不動産投資のリスク管理は多角的と言えるかも知れません。
どちらが儲かるか
この問題はケースバイケースと言わざるを得ないでしょう。
と言うのも、リターンが高ければリスクも高いからです。
例えば不動産投資信託の場合には、運用が上手く行かなかった場合でも損切りが可能です。また、償還に至っても借金まで残るのは考えにくいです。しかし、利回りは基本的には投資額に対しての利回りにしかなりません。
その一方で実物不動産投資の場合には、出口戦略が上手く行かなければ最悪は借金が残ります。しかし、レバレッジが効くので大きな投資が可能。しかもトータルの投資に利回りが付くのでリターンも大きいです。 ですから、最後は「自分に合う物を選ぶ」と言うことになるでしょう。
まとめ
投資信託の元本と損失について取り上げました。元本と言っても簡単では無く、計算が必要なことが把握出来たことと思います。また、損失にかんしてもイメージが出来たことでしょう。
投資信託は確かに資金を投資すればリターンの期待出来る物ですが、言葉の意味をしっかり押さえ、自分の現状をチェックして予測を立てるならば、命中率が違って来ます。損失を避けるためにも、しっかりと検討して備えましょう。
不動産投資型クラウドファンディング
不動産投資に興味があるけども、ローンを組んでまで投資をするのには【リスク】を感じる。
そんな方は、不動産投資型クラウドファンディングを試してみてください。
どちらの事業者も不動産投資を少額から始めてみる、試してみるにはピッタリな事業者だと言えます。
【リスク】を少なく不動産投資を始めてみましょう。
また、当サイトで人気の記事はこちらです。