FPに聞いてみた

手間が掛からずボロ儲け?不動産投資はそんなに甘いのか?

手間が掛からずボロ儲け?不動産投資はそんなに甘いのか?

街には意外に不動産投資に関する広告が溢れています。電車の中にも貼っていることがあり、驚くこともしばしばです。

さて、その様な広告には「放ったらかしで嬉しい収入」とか「手間を掛けずに大儲け」などと言う耳障りの良い、しかし極めて怪しいキャッチコピーが載っています。

では、不動産投資は手間いらずのビジネスなのでしょうか。

ここでは不動産投資に発生する手間について取り上げ、手間を掛ける場合と掛けない場合について考えたいと思います。

そもそも不動産投資をする上で手間が掛からないかと言うと、そうではありません。手間を掛けないのなら資金を掛けなくてはならないので、資金が有り余って仕方ない方には不労所得となるのかもしれませんね。今回はFPの方に不動産投資はそんなに甘い投資なのか?と言う点について伺ってみました。

不動産投資の各段階の手間とは

不動産投資は「物件を購入しさえすれば、自動的に入居者が入り、家賃収入も自動的に発生する」と言うイメージを持つ人が少なく無いと思われます。

不動産投資の各段階の手間とは

それは果たして本当なのでしょうか。

ここでは不動産投資の代表的な仕事を段階的に取り上げ、発生する手間について挙げてみたいと思います。

物件のリサーチ

不動産投資には良質の物件が必要です。収益力があって、しかも購入費用が抑えられる物件が望まれることでしょう。

しかし、その様な物件は簡単には見つかりません。ネットで探すにしても、根気良く探さなければなりませんし、不動産会社ともコネクションを作らなければなりません。時には不動産投資セミナーにも行くこともあるでしょう。

その様にして、はじめて人脈も作って良い情報を得ることが可能。良い物件のネタはその様な手間を掛けてこそ得られるのです。

物件の下見

物件は間取り図などの資料では全部が分かる訳ではありません。その様な資料には、周辺の環境が少し載っている程度だからです。

物件の老朽化の状態や騒音や振動の有無、あるいは悪臭の発生や街の風紀などは載っていません。

ですから、物件の下見は大切で、手間を掛けることには十分な意義があります。

物件を入居者に勧めるためには、物件について細かい点まで知ることが望ましいです。そして、そのためには現地を確認する手間が必要なのです。

銀行探し

住宅ローンを利用するならば、銀行探しは難しくないかも知れません。しかし、不動産投資ローンになると、完全に話は違って来ます。不動産投資ローンは住宅ローンと違い、事業用の融資だからです。

融資を得るためには、仕事の属性が良く、担保も良質でなければならない時もあります。

また、時には事業の報告も必要な場合も。不動産投資ローンを探すに当たっても手間が必要となるのです。

リフォーム・リノベーション

中古物件を購入した場合、ケースによってはリフォームやリノベーションが必要となります。特に築年数の経ち過ぎた物件の場合は極度に集客力が落ちることもあるため、改装が必要になるのです。

さて、改装も業者任せにすることは確かに可能です。不動産会社はリフォーム会社と提携しているところも多いため、一応の工事はしてくれるでしょう。

しかし、それではあくまでも「一応の工事」になることもあり得ます。コストや仕様を吟味してこそ良い部屋となります。やはり手間は掛けるべきなのです。

広告宣伝

冒頭にも挙げましたが、不動産投資の書籍を見ると、「投資用不動産を買いさえすれば入居者は勝手に入ってくれる」の様な記載を見つけることがあります。

しかし、物件は購入すれば良いのでは無く、世間に知らしめなければなりません。つまり、広告宣伝が必要なのです。

広告宣伝は確かに不動産会社が請け負ってくれるかも知れません。例えばインターネットへの登録、新聞広告の作成など、仕事としてはプロの領域です。

しかし、ノータッチで良いかと言うと、必ずしもそうとは言えません。やはり、チェックは必要となるでしょう。手間は掛かってしまうのです。

入居者審査

賃貸不動産の経営において「良い入居者に入ってもらう」ことは非常に大切です。と言うのも、良く無い入居者の場合には物件を乱暴に扱うこともあるからです。

また、仮に入居者が良く無い場合であっても、賃貸契約の解約はオーナーからは難しいです。これは借地借家法による入居者の保護ですので、オーナーの立場は非常に弱くなってしまいます。

そのためにも入居者審査は非常に大切です。

入居者審査を丸投げにするならば、良く無い入居者に入られることもあり得ます。やはり入居者審査にも手間を掛け、自分の目で確かめるべきなのです。

不動産管理

不動産管理は物件維持のために非常に大切です。仮に管理をいい加減にしてしまうならば、物件は早く傷んでしまうことでしょう。

ところで、不動産管理は管理会社に委託することが可能。不動産管理会社は家賃の集金から入居者のトラブルまで請け負ってくれるので、心強い存在です。

しかし、不動産会社にも「仕事の質のバラつき」があります。良い不動産管理会社を選ばなければなりません。そして、不動産管理会社選びはオーナーの仕事です。良い管理会社を探すためには手間を惜しむべきでは無いのです。

火災保険の検討

火災保険と言うと、「火災に対する補償のため」くらいにしか考えられていずに、軽視される場合もあります。しかし、不動産経営において火災保険は非常に大切です。火災保険は火災以外の様々なアクシデントに対応してくれるからです。

ただし、火災保険の補償の範囲は契約によって異なります。火災保険は補償の範囲をしっかりと調べて選ばなければならないのです。

そのため、火災保険選びもしっかりしなければなりません。やはり手間は必要なのです。

物件の売却

物件の売却は売却先を探し、相手に気に居られなければなりません。

さて、投資用物件の売却先は別の不動産投資家である場合が少なくありません。物件には細かい点までチェックが入ります。

そのため、場合にもよりますが物件のメンテナンスが必要になることも。リフォームが必要になることもあり、手間が掛かるのです。

情報収集・勉強

情報収集と勉強は不動産投資の各段階において非常に大切です。良い物件を探すため、良い銀行を探すため、良い不動産管理会社を探すためと、良い経営をするためには知識が欠かせないのです。

また、情報収集や勉強は細かい点までするべきでしょう。例えば、火災保険を調査する場合には、複数の保険について補償の範囲などもチェックしておかなければなりません。火災保険を提案させることは保険会社に依頼することも出来るでしょうが、自分でも調査をしておくべきなのです。

そして、不動産を取り巻く環境は時と共に変わっています。法律の改正などもあるので、常に情報を収集しなければならないのです。

手間を掛ける場合と掛けない場合の違い

この様に、不動産投資の各段階では手間を掛ける必要があります。

手間を掛ける場合と掛けない場合の違い

では、手間を掛ける場合と掛けない場合では、どれくらいの差があるのでしょうか。

ここでは投資家が実際にタッチする仕事について、代表例を挙げて考えてみましょう。

リサーチ

リサーチは各段階で必要です。物件の調査、銀行の調査、不動産管理会社の調査など、様々な段階で欠かせないのです。

さて、調査に手間を掛ける場合と手間を掛けない場合ではどの様な点が違って来るでしょうか。

まず挙げられるのが「見つかる情報の量と質」と言えます。

例えば、不動産管理会社を探す場合においても、手間を掛けなければ良い会社が見つかる確率が落ちてしまいます。銀行なども好条件のところが見つからないことでしょう。

次に挙げられるのが「情報の活用」が挙げられます。

火災保険などを考えるならば補償の範囲を調べることは重要なのですが、申請の方法なども知っておき、活用されるべきなのです。情報収集が甘いと申請に手間取ってしまうこともあるのです。

この様に、情報収集は広いだけでなく、深くもあるべきです。手間は掛けるべきなのです。

物件購入

物件の購入においても手間は必要です。特に物件のチェックに手間を掛けるか掛けないかで、その後の経営が変わって来るでしょう。

例えば、物件のチェックは図面や写真だけでは分かりません。現地に行かなければ分からない条件があるからです。現地の騒音や悪臭などの環境要因は現地に行かなければ分かりませんし、街の雰囲気なども現地を確認しなければ分からないことでしょう。

その他にもリフォームやリノベーションの検討なども発生します。

いずれにしても物件購入の段階でも手間の有無で変わるのです。

不動産管理

「不動産管理は管理会社の仕事なのでオーナーはノータッチで済む」と考える人も多いかも知れませんが、不動産管理であっても手間を掛けるのと掛けないのでは、物件の状態が異なります。

例えば、物件の状態の視察をする場合としない場合では、不動産管理会社へのフィードバックが異なります。…丸投げにするならば乱雑に扱われるかも知れませんが、不動産管理会社に是正をさせれば物件の扱いも変わり得るのです。

また、現状の管理会社がひどい場合には管理会社の変更も視野に入れるべきでしょう。その際にも手間は必要。良い会社を探さなければならなのです。

銀行対策

不動産投資は時に億の費用が発生するため、銀行融資が欠かせません。銀行対策も必要なのです。

さて、銀行は不動産の経営状態をチェックして来る場合があります。当然ながら、その時には説明を求められ、銀行を説得しなければならないのです。

その時には銀行側に分かりやすい様に資料を作っておけば、銀行側の印象も変わって来ます。口頭だけの説明では伝わりづらく、印象を下げることもあり得るのです。

そして、資料作成には手間を掛けなければなりません。銀行対策にも手間は必要なのです。仮に手間を掛けなければ、上手く行く話も行かなくなってしまいます。

売却

不動産投資の利益の確定には出口戦略が必要です。そして、出口戦略を成功させるためには良いタイミングで高く売らなければならないのです。そのためには売却先の調査など、積極的なアクションが必要となります。

また、物件のメンテナンスなども必要です。自前でのメンテナンスを希望する投資家もいますのでケースバイケースにはなるのでしょうが、少なくても掃除をしっかりとするなど、手間は掛けなければならないでしょう。

ちなみに、手間を掛けなければ、様々な条件が悪くなってしまいます。

手間を掛ける意義について

この様に、不動産投資には手間が掛かります。

手間を掛けるのは大事なこと

そこで、なぜ手間が必要なのか、「手間の意義」について考えてみます。

賃貸不動産経営はサービス業でもある

賃貸不動産経営とサービス業は全く異なる産業に見えるかも知れません。しかし、入居者を顧客と考えるならば、十分にサービス業の要素が出て来るのです。

当然ながら、サービスが良くなれば良くなるほど、高い支払いが期待出来ます。つまり高いレベルの家賃収入が実現するのです。

逆に言うならば、サービスが悪いと家賃はあまり期待出来ません。それどころか退去のリスクも高くなってしまい、経営そのものが怪しくなってしまうのです。

そのため入居者サービスは上質さを維持しなければなりません。そのためには手間を惜しむべきでは無いのです。

「放ったらかし」では良い経営が成り立たない

では、「放ったらかし」では賃貸不動産の経営は良くなるのでしょうか。

これは確かにあり得ますが、様々な好条件が重なってのことと思われます。良い不動産管理会社を引き当てた、良い入居者に巡り合えた、好意的な銀行に出会えた…等々、「運が良かった」としか言えない様な状況で無ければならないのです。

しかし、一般にはこの様なラッキーは起こりません。物件を探すのも管理会社を探すのも、やはり手間が必要なのです。そして、手間の分だけ幅の広い仕事が出来ます。手間は大切なのです。

まとめ

不動産投資の「手間」について取り上げました。一見すると放ったらかしで済みそうな不動産投資が、意外に手間が必要なことが把握出来たと思います。また、手間を掛けない場合とも比較してみたので、手間の効果が相当あることも理解したことでしょう。

いずれにせよ、不動産投資はカネの成る木ではありません。育てる手間は必要なのです。ビジネスの健全化のためにも、手間は惜しまない様にしましょう。

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