良質の賃貸不動産の条件はいくつかあります。例えば物件の仕様や築年数などがあると思います。しかし、重要視されるのはやはり物件のある「立地」では無いでしょうか。駅の近いワンルームマンションなどは、利便性が重要視されて人気があることからも、立地の重要性は納得出来ます。
しかし、土地選びは意外に注意点が多く、好条件だと思われた点が実はネックになった…という事態も案外少なくありません。そこで、ここでは良い土地とマズい土地にスポットを当てて解説します。
もくじ
不動産投資をする上での利回りと土地の良し悪し関係性
不動産投資の儲けは利回りで表されますが、土地の条件とは密接です。
では、利回りは土地とどの様に関係するのでしょうか。
良い土地は高価
不動産投資における「良い土地」は、入居者が便利で快適な生活が営める土地です。
便利な土地の例としては、駅から近い、日当たりが良いなどの条件がありますが、この様な土地は高価です。
また、人気のある街や地域もあります。良い例が若者の好む街や大学周辺の街など。この様な場所の土地も高価になりやすいです。
良い土地、人気のある土地は高価なのです。便利で人気があって、しかも安い土地は基本的には無いと考えるべきでしょう。
ちなみに、時として「掘り出し物」と呼ばれる物件が見つかりますが、これには安くなる理由があるものです。安い理由が入居者を呼び込むのに問題がありそうな場合には、購入を避けた方が無難です。
利回りが上るとは限らない
ここで利回りについて考えてみましょう。
利回りは家賃収入を投資額で割った値から算出します。そのため、投資額が膨らむのであれば、それだけ利回りは落ちてしまいます。
それでは土地が高くなると利回りはどの様になるのでしょうか。…土地に費用を掛けることは投資額を上げることです。つまり利回りを下げる要因にもなるのです。そのため、良い土地であれば高利回りに必ず繋がるとは言えません。
ただし、便利な土地は人気があるのは確かです。仮に空室が発生したとしても別な入居者が入りやすいですし、家賃下落リスクも低いと言えます。ですから、リスクまでを考えると人気のある土地…つまり高い土地の方が有利の場合もあります。
ちなみに、立地の悪さを建物の利便性でカバーすることは十分に可能です。例えば少々駅から離れている場合であっても、物件をリノベーションしてデザイナーズ物件の様にすれば、人気が上がります。
不動産投資をする上で良い土地と悪い(マズい)土地
次に、良い土地とマズい土地の比較をいくつかの条件についてしてみましょう。
客付け力
良い土地とマズい土地では客付け力が全く違います。
例えば駅から10分程度の位置とバスを乗り継いで40分くらいの土地では、よほどのことが無い限り、遠い土地の方が客付け力を落としてしまいます。そのため、家賃を下げたりする必要が出て来てしまいます。
空室や家賃減額のリスク
土地の良し悪しによって客付け力が違うのであれば、それに伴うリスクの発生確率も異なって来ます。
不動産投資におけるリスクの代表は空室リスクや家賃減額リスクと言えるのですが、良い土地の場合は人気も集まりやすくなり、空室が発生したとしても、その期間は短くなります。また、土地そのものに人気があるので、築年数が経ったとしても家賃もそれほど下がりません。
その点、それなりの土地の場合には、それと反対の現象の発生リスクが考えられます。つまり空室発生の頻度が高いこと、家賃が値切られやすい事態などです。
売却額
物件の売却額は収益性によって変動します。これは、売却先が別の投資家であり、物件の収益性を見て来るからです。
さて、土地が良くなるのは投資用としても価値が上がること。高値が付きやすいのです。
その点、それなりの土地は人々の購買意欲に働きかけません。「欲しがる人」は現れにくいのです。
地盤沈下などのリスク
土地によっては過去の使われ方によって地盤沈下などを起こす場合もあります。良い土地はその様なリスクの無い土地です。悪い土地はその様なリスクが必ずしもあるとは言えませんが、稀にその様なリスクを持つ土地も流通しているので注意が必要となります。
例えば、過去に田畑として使われていた土地や沼地を埋め立てた土地などがマズい土地の良い例。この様な土地は地盤が軟弱な場合も多く、状況が悪いと地盤沈下を起こすリスクを持ちます。
投資をしてみると実は悪かった(マズかった)土地の例
土地は地図や不動産会社の説明で状況がかなり分かります。今の土地の状況から、将来にどの様な値動きをするかまで教えてくれるかも知れません。不動産投資は売却も視野に入れるため、その情報は非常に有益になることでしょう。
しかし、不動産会社も「絶対」ではありません。やはり盲点があるのです。では、その盲点の例としてはどの様な物もあるのでしょうか。
閑静な住宅街
「閑静な住宅街」というとプレミアの付いた土地の様に聞こえます。静かで整った街並みは快適な生活を約束してくれそうです。また、物件の内見の段階でも入居希望者の印象は良いことでしょう。
しかし、閑静な住宅街は生活する上で意外に不便な面もあります。…コンビニなどの店が離れている場合があるのです。
これは都市計画法による物で第1種低層住宅専用地域のルール。その地域の中にはコンビニなどの店舗を建てることは原則的に出来ないのです。そのため、そこに生活することは買い物弱者になってしまうことも。不便さが嫌われて空室になるリスクも出て来るのです。
駅に近過ぎる土地
「駅に近い」ことは不動産として非常に大きな魅力です。朝のラッシュ時には余裕を持って出かけられるのは有難ささえ感じます。
しかし、駅に近すぎることは必ずしも良いことだけではありません。騒音に悩まされたり、治安が悪くなることもあるからです。
騒音に関して言えば、朝1番の電車…朝6時前の電車の音は安眠を妨害してくれますし、休日の朝の電車も迷惑な物です。当然、これは深夜でも同じで安眠妨害をしてくれます。
また、治安が好ましく無いこともあります。特に週末の夜などは酔っ払いがフラつくこともあり、ストリートミュージシャンが深夜まで演奏することも。いずれにせよ静かな生活が難しくなる場合もあります。
商業地域に近過ぎる土地
商業地域に近い土地は活気にあふれて、しかも買い物に便利なことからメリットを感じる人も少なく無いと思います。しかも、最近では「買い物難民」と呼ばれる人もいる程で、多くの人が買い物に苦労している現実もあります。
その様な背景があるために、賃貸不動産を商業地域近隣に設ければ客付け力に優れる不動産となる…と考えるかも知れませんが、案外リスクも持っています。
と言うのも風紀が悪くなりがちだからです。
商業地は確かに活気のある街ですが、夜の街は素行が良いとは限りません。ですから風紀の悪さを嫌って、避けられる例、あるいは出て行かれる例もあり得るのです。
学校に近すぎる土地
学校に近い土地は一般的に風紀が良いのが特徴です。集まって来る世帯も子育て世帯が多く、静かで安全な街が作られます。
しかし、学校によっては騒々しさを感じることもあるかも知れません。例えば部活動の盛んな学校であれば、休日の朝から運動部の喧騒を聞かなければなりません。
しかも、運動部によっては「声を出せ!」と指導しているところもあり、朝から元気過ぎる声で起こされることもあり得るのです。
日当たりの良過ぎる土地
日当たりの良い土地は人気があります。明るくて温かい場所は住み心地が良いからです。
しかし、昨今の異常気象を考えると日射も馬鹿には出来ません。日当たりの良過ぎる場所があり、居心地が良く無いからです。
日射の良過ぎる場所は昼間の気温に悩まされるだけでなく、熱帯夜の影響も受けやすくもなります。と言うのも建物全体が日射によって熱せられていて、逃げ場が無い場合もあるからです。
また、その土地の周囲がアスファルト舗装の場合には、更に日射によって悩まされる事態にもなり得ます。エアコンの電気代が上がることも懸念され、退去リスクさえ出て来る可能性もあるのです。
高台
高台は水害に合うリスクが少ないので、大雨が降ったとしても安全性が高い地域と言えます。
しかし、高台は場所にもよりますが登るのが大変なところもあります。その結果として入居者に嫌がられることもあるかも知れません。
これは特にお年寄りなど、足腰の弱ってしまった人に敬遠されるかとも思われます。これからの高齢化時代、あまり好まれない物件となるかも知れないのです。
海岸に近い地域
海岸地域は潮風を受ける場合が多いです。潮風を受けるならば、建物の金属部品が腐食してしまいます。
今の住宅部品は塩分に強いメッキがされていますが、それでも完全ではありません。やはりサビてしまうのです。
ゴミ集積場の近辺
ゴミ集積場は地図を見ても載っていません。しかし、状況にもよりますが、悪臭や害虫の発生源にもなり得る場所です。
ですから、仮に至近距離にゴミ集積場がある場合、入居者から嫌われる場合も考えられます。…物件の出入口にゴミ集積場があってイヤなニオイがしたら…人にもよるかも知れませんが、少なからず不快感を覚えるはずです。
不動産投資をする上で悪い(マズい)土地を引かないためには?
入居者を第一とした物件とするためには良い土地の物件を持つことが、やはり必須になります。…マズい土地などは論外です。
では、マズい土地を引かないためには、どの様な点を確認するべきなのでしょうか。
地図の確認
まず挙げられるのが周辺地図の確認です。地図からは周辺の駅や学校などの位置が分かると共に、幹線道路なども分かります。それによって騒音の状況なども推察可能です。
また、下水処理場や産業廃棄物処理場など、あまり好ましく無い施設の有無なども確認が可能です。他にも墓地なども分かります。地図から読み取れることは多いので、ぜひとも活用しましょう。
ハザードマップの確認
周辺に学校などがあると避難場所になるから安全な土地…と判断するのは早計です。土地を確認する際にはハザードマップを確認した方が良いでしょう。
これは実際的な安全確認だけでなく、物件の宣伝にも活用することが出来ます。
と言うのも、土地の安全性を確認しておいて不動産会社に伝えておけば、部屋を探している人へのアピールにもなり得るからです。
登記事項証明書の確認
土地を知るためには、その土地の過去を知ることも大切です。その土地が過去にどの様な状態であったかによって、土地の使われ方の良し悪しが判断出来るからです。
土地の過去を知るためには登記事項証明書が有効です。登記には過去の所有権の状況だけでなく、土地がどの様に使われていたかが分かるからです。登記事項証明書には、その土地が田畑であったか、あるいは沼地だったか…といったことまで伺い知ることが可能。土地選びの参考になります。
周辺地域に実際に行ってみる
土地確認で最も有効な手段は、自分の足で現地を歩いて見ることに尽きます。
現地を歩けば地図に載っていない情報も得られるからです。
例えば、土地の騒音やニオイなどは実際に行かなければ分からない物です。それほど離れていない場所にゴミ処理場の様な施設があるとしても、悪臭などの状態も分かることと思われます。
いずれにせよ不動産投資は入居者あってのビジネス。入居者の納得出来る物件を用意しなければならないので、自分で歩いて自分の目で確かめることは重要なのです。
まとめ
不動産投資における物件の土地について考えてみました。土地の状況によって客付けなどが変わり、更には儲けにまで話が及ぶことが分かったことと思います。また、物件を決める際の土地選びの注意点などもイメージ出来たことでしょう。
いずれにせよ、不動産投資は入居者により良い物件を提供して利回りを上げるビジネスです。入居者の生活を考えるのがベースと言えます。自分の足で現地をまわり、納得の行く土地なのかを検討して決めましょう。
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