家に居ても職場に居ても掛かって来る迷惑な電話、聞いてみるとそれが不動産投資の勧誘の電話だったといった経験のある方は結構多いと思います。非常に胡散臭い話に辟易とした方も少なく無いことでしょう。
しかし、この様な電話は笑って済ませられることではありません。と言うのも実際に被害に遭遇している人もいて、その被害は深刻な物も多いからです。
それを考えるならば、不動産投資家としても、その部分の周辺知識で武装することが望ましいでしょう。
そこで、ここでは不動産投資の勧誘について取り上げたいと思います。
もくじ
不動産投資の勧誘の状況
不動産投資の勧誘には多くの人が実害を被っています。
では、具体的にはどれくらいの被害が出ているのでしょうか。
ここでは独立行政法人・国民生活センターの資料を基に解説します。
参考 https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20190328_1.pdf
相談件数について
この資料は2013〜2018年の状況をまとめた資料なのですが、それを見るならば、2013年に2321件、それから全体的に減少し、2018年には1350件あまりとなっています。件数から考えれば確かに少なくなってはいるのですが、1つの物件が数千万円にも上るので、決して「減っているから状況は悪くない」とは言えません。被害に遭う人が実際に居て、これからも被害を被る危険性があるならば、やはり警戒をしなければならないのです。
被害額について
次に被害額です。
この数値も同資料に記載されているのですが、それを見ると2013年には2491万円、そして徐々に上がり、2018年には2776万円に上がっています。
前述の様に、件数は下がり続けているのに対し、被害額は逆に上っています。このことは1件の単価が上がっていることを意味しています。つまりは被害に遭った人の被害額が増えており、経済的なダメージが大きくなっていると言えるのです。
被害に遭う年代層
詐欺被害に会うのはお年寄りが圧倒的に多いとは言われた物ですが、昨今の調査では必ずしもお年寄りとは限らない事実が見えます。と言うのも、20代の様な若い世代が目立つからです。
このデータでは2013年からに限定されるので、どれくらい網羅しているかまでは分からないのですが、20代の人が確実に増えているのは見えます。
尚、契約金額もそれに合わせて増加しています。この問題の難しさを表しているとも言えるでしょう。
宅建業法と勧誘行為
不動産取引は多額の資金が動くため、法律によって規制が掛けられています。代表的なのは宅建業法と呼ばれる法律です。
では、宅建業法はどの様な規制を掛けているのでしょうか。
ここでは、宅建業法に見られる勧誘行為の規制の代表例を挙げてみましょう。
相手の利益の保護に欠ける行為
契約を不当に急がせる行為や相手の迷惑を考えずにする勧誘行為がこれに当たります。
例えば、セールストークに「今申し込まなければ損をしてしまう」の様なケースが聞かれますが、これは不当に急がせる行為になり、違法です。
また、相手の生活を考えずに早朝や深夜に電話を掛けること、相手の断る意思を聞いたにも関わらずにセールストークを続けるのも違法です。
他にも、メールによる勧誘も、相手の仕事を邪魔したり困らせるレベルの物は違法となります。
威迫行為
契約の締結や申込みの撤回に対する威迫行為も禁止です。
この点で注意が必要なのは、宅建業で定める「威迫」は「脅迫」よりも厳しい点です。
脅迫は恐怖を与える行為ですが、威迫は「相手に不安を与える」レベル。ですから、相手が怖がらなかったとしても、相手がドキッとする様なことを言うならば、それは威迫となるため、違法として数えられるのです。
例えば、電話勧誘で語調を荒らげて強引に面会を求められた時などは、相手に不安を与えることになり、威迫となります。
確定的判断の提供
断定的に「将来に利益が確実に得られる」などと言うセールストークも違法行為です。他にも、物件の周囲の環境や交通の利便性が向上するなど、不確定の情報を確定的に話すのも違法行為に当たります。
ですから「数年後に近くに駅が出来るから価値が上がる」とか「物件の近くに競合する物件が建つことは無い」と言ったトークも違法性が高くなります。
この手の話は「お客様だけに特別に…」の様な言葉が付けば、更に魅力的に聞こえますが、やはり違法ですので警戒が必要です。
悪質な勧誘のケース
それでは、実際の悪質な勧誘のケースを挙げてみましょう。
この中を見ると「本当にこんな手口を使うのか…」と疑問に思うかも知れません。しかし、これらは実際のケース。不動産投資の勧誘は、それほどまでに危険なのです。
迷惑な時間での電話や訪問
まず挙げられるのが迷惑な時間での電話や訪問などがあります。
良い例が電話勧誘で、深夜0時に掛かる様な、常識では考えられない様な時間帯に掛けてくる場合が見られます。
当然ながら、これらの勧誘行為は違法です。
現状の宅建業法では夜9時から朝8時までの電話や訪問が禁止されています。
しつこ過ぎる
しつこ過ぎる勧誘もあります。
例えば、自宅を訪問したセールスマンの勧誘によりモデルルームに行った際、15時間にも及ぶ様な勧誘を受けてしまい、契約してしまったなどと行ったケースも見られます。
当然ながら、この様な勧誘も違法行為です。法的には契約しない意思を伝えたならば、その上での再勧誘は出来ないこととしています。
脅迫
脅迫行為も見られます。
しつこく電話勧誘を受けて断った時に「生コンを流しに行くぞ」「車で轢き殺す」などと脅された例も。
勧誘に関しては、前述の様に威迫であっても禁止されています。当然ながら脅迫行為も該当しますので、法的にNGです。
暴力行為
暴力行為も見られます。
例としては、職場へのしつこい電話勧誘に負けて会ってしまい、2時間に及ぶ勧誘を更に受けてしまい、最後には「表に出ろ!」と言われ、胸ぐらを掴まれて蹴られたと言った物。
これも当然ながら違法です。
婚活サイトなど経由して来るケース
昔はデート商法などと呼ばれていた行為ですが、今ではネットを含む物まで登場し、より悪質化しています。特に婚活サイトは相手の心のスキを突く物。悪質です。
例としては、婚活サイトで出会った相手とデートを繰り返し、契約した途端に音信不通になってしまった例、婚活パーティーで知り合った相手に相場よりも高額な物件を買わされた例などがあります。
勧誘の回避方法
この様に、不動産投資の勧誘は巧妙かつ悪質な物が少なくありません。
それでは、どの様な回避方法があるのでしょうか。
話を聞かない
しつこい勧誘に屈してしまった例には「話に付き合ってしまった例」が少なくありません。電話に出てしまって丸め込まれた例が見られます。
例えば、職場に掛かって来た電話に出て話を聞いてしまい、相手に「これはカモだ」と思われて、更に相手につけこまれた、と言ったケースです。
この様な話は「聞かない」ことを第1にすべきです。話を聞いてしまうと相手にスキを見せることにも繋がります。電話が掛かって来ても「話さない」ことを心掛けましょう。
はっきり断る
はっきりと断ることも非常に大切です。
話をズルズルと聞いてしまうと、相手にスキを見せることにも繋がります。電話勧誘などに関しては最初にはっきりと断りましょう。
前述の通り、不要の意思を伝えたならば、再勧誘は違法行為なので抑止が可能となります。しかし、断らない場合には不要の意思を伝えていないならば、違法と言われない可能性も残り、相手にスキを見せることにもなるのです。
絶対に会わない
被害の例を見ると「会った際に延々と勧誘された」と言ったケースが目立ちます。会ってしまうと「カモだ」と判断されてしまい、突け込まれることもあり得るのです。会って話してしまい、その場面で延々と勧誘を迫られ、場合によっては脅迫や暴力行為ともなり得るのです。
さて、この様なシナリオを避けるためには、やはり会わないことが鉄則です。しつこく電話が掛かって来たから、仕方が無く会ってしまい、被害を受けてしまった…と言うことが無い様に、やはり絶対に会ってはいけません。
クーリングオフの利用
不動産投資の投資用マンションもクーリングオフが認められています。ただし、クーリングオフには次の条件が必要です。
- 売主が宅建業者であること
- 事務所や関連建物以外の場所で契約していること
- クーリングオフの説明を受けて8日以内であること
- 不動産を引き渡していないこと、費用の支払いを済ませていないこと
また、手付金を放棄すれば不動産投資をキャンセルする可能性が残っていますし、脅迫などがあった場合には、消費者契約法の適用があり得ます。
行政機関などへの相談
不動産投資被害は泣き寝入りが良くありません。マズいと思った時などは然るべき場所に相談することが大切です。
ここに示すのは不動産投資詐欺の相談先です。アドバイスもくれますので、ぜひとも活用しましょう。
- 金融庁 金融サービス利用者相談室
- 消費者庁 消費生活センター
- 日本証券業協会 「株や社債をかたった投資詐欺」被害防止コールセンター
- 証券・金融商品あっせん相談センター(FINMAC)
- 全国銀行協会相談室・銀行とりひき相談所
- 警察署
- 弁護士
- 免許行政庁
- 全国宅地建物取引保証協会
- 不動産保証協会
- 全国一斉投資被害110番
尚、これらの機関への相談は早いことに越したことはありません。危険だと思った段階で連絡することが大切です。
クーリングオフに関しては8日以内と言ったタイムリミットもあります。マズいと思ったら急ぎましょう。
あると有利になる知識
不動産投資の勧誘の対策は前述の様に「話さない」「会わない」などが大切なのですが、知識による武装も有用です。知識を蓄えることで議論に勝つ…ことは推奨出来ませんが、それでも知識は役立ちます。
法的な知識
不動産投資の勧誘はしつこく、しかも強引であることが少なくありません。また、業者は法律をタテに取って来ることもあり得ます。
さて、この様な勧誘行為に対しては法律の知識が撃退の上で役立ちます。勧誘に対して、それは違法行為であることをキッパリと伝えれば、相手が引き下がることもあり得るからです。
例えば、電話勧誘がしつこい時、あるいは「儲かりますよ」と言った不確定な情報を出して来た場合には、「それは違法行為だ」と伝えれば、相手は引き下がることもあり得るのです。
不動産投資全般の知識
不動産投資の勧誘には節税や将来の資産化、あるいは将来の利益の約束さえして来ることがあります。これらは一見すると信じ得る情報に聞こえるかも知れませんが、不動産投資の観点からすればナンセンスな場合も多いです。
例えば税金で言うならば、相続税や所得税の1部に限定されるでしょうし、資産としても価値的には落ちてしまいます。そして、利益に関しても空室リスクなどは残るので怪しいです。更に相手がサブリース契約で家賃保証を持ち掛けて来ても、それは確約ではありません。
これらは不動産投資の知識があれば、危険な話であることを見抜き易いので、有益です。
詐欺被害のケースに関する知識
先に挙げた詐欺被害の例を知っておくことも有意義です。と言うのも、これらを知っておけば勧誘の特徴を見抜くことが可能だからです。
例えば、相手と会ったならば脅迫や暴力が待っている危険性があるので会わない…と言った具合に、事件のケースから取るべき行動を決めることが出来るからです。
被害に関する知識も有用です。情報を集める様にしましょう。
まとめ
不動産投資の勧誘について取り上げました。セールスマンの危険な手口が分かったことと思います。また、被害に遭遇しないための注意点についても挙げてみました。
いずれにせよ、業者に対して「迎撃して返り討ちにしよう」と言う考えでは無く、「避けること」「逃げること」を取る方が賢明です。被害の例を見るならば、狡猾な相手の姿も浮かびます。対応策には十分に気を付けましょう。
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