投資信託はプロに資産形成を託する投資ビジネスと言うことが出来ますが、それは投資家にとって「ほったらかしでいい」ことまでは意味しません。実際的に投資の最前線に出ないにしても、ファンドの管理が必要だからです。
さて、投資信託の管理と予測は、チャートなどによって近い将来までは可能かも知れません。しかし、遠い将来までは実質的には不可能です。
ただ、遠い将来までのシミュレーションは計算によって出すことは可能です。そして、ネットを見るならば、投資信託のシミュレーションは存在します。
では、投資信託のシミュレーションとはどの様な物なのでしょうか。
ここでは投資信託のシミュレーションに焦点を当て、シミュレーションで出来ることや出来ないこと、そして注意点などを紹介したいと思います。
もくじ
投資信託を行う上で「計算」について知っておこう!
まずは投資信託の計算の方法について取り上げてみましょう。
投資信託は投資をファンドマネージャーに預けるビジネスですが、それでも計算を知っていることは重要です。
投資信託の傾向
金融関連の計算は簡単に出来るかと言うと、決してそんなことはありません。銀行預金の利子に関しても、銀行の店頭で見る利率からは、具体的にどうなるかは分からない物です。
これは投資信託も同じこと。基準価額の変位などはチャートを見れば分かるかも知れませんが、それを計算によって法則性を見出すのは困難です。
しかし、手掛かりが無い訳ではありません。総資産額や分配金などの傾向から、ある程度の傾向を見出すことは可能なのです。
それを見るならば、投資信託の利益を生むプロセスは、資産額に運用益が加わって行くイメージになります。つまり複利的になるのです。
複利について
それでは複利とはどの様な物なのでしょうか。
複利を簡単に表現するならば「利子に更に利子が付く」となります。
例えば、100万円に1年で20%の利子が付くとすると、1年で120万円、2年目には120万円の20%が付いて144万円、3年めには144万円の20%が付いて172.8万円…と言った具合になるのです。
これは、いわゆる「雪だるま式」とも言える利子の付き方。複利の特徴なのです。
どの様な関数が近いか
ここで、学校で数学の時間に習う関数について思い出してみましょう。
関数の最も簡単な物は「正比例」です。この関数の特徴は変化の割合が一定で、時間と共に増えて行きます。ですから、1年後と10年後の変化率は変わりません。
その一方で、「利子に更に利子が付く関数」ですが、これは時間と共に変化の割合が変わります。先の例で言えば、100万円は最初の年で20%増えたのに対し、2年目には144万円44%付いている格好になります。この「変化率が上がる」傾向は変わりません。10年後になれば、変化率は更に大きくなります。
では、この関数は何かと言うと、指数関数と呼ばれる関数になります。正比例とは完全に異なるのです。
複利では無く「複利に近い」
それでは、投資信託は完全に複利計算で合っているかと言うと必ずしもそうではありません。
と言うのも、投資信託で増える資産は、あくまでも運用が上手く行っている場合です。また、運用が非常に上手く行っている時と、そこそこに上手く行っている時でも違います。
そして、運用が上手く行かない場合には基準価額が下がってしまいます。この下がり方もケースバイケースです。
そのため、投資信託は複利で増えるのでは無く、「複利に近い増え方」をしているのです。
投資信託でのシミュレーションの必要性
この様に、投資信託の計算は簡単ではありません。
そこで検討したいのが冒頭に挙げた投資信託のシミュレーションなのですが、なぜシミュレーションに頼らなければならないのでしょうか。
ここではシミュレーションをする意義について確認したいと思います。
計算が非常に楽になる
前述の様に、金融計算、複利の計算は簡単ではありません。と言うのも、先に挙げた指数関数は簡単な四則演算では表すことが出来ないからです。
仮に四則演算で表すならば、先に挙げた100万円の例の計算を延々と続けることになります。投資信託の積立期間は10年にも20年にも及ぶことがありますが、これを毎月の分を計算して行くとなったら、相当な労力が必要となるでしょう。
しかし、シミュレーションがあれば、計算条件さえ入力すれば回答が瞬時に出て来ます。計算が非常に楽になることは、やはり意義深いです。
ソフトを作るのも手間が掛かる
投資信託の計算は確かに厄介。しかし、表計算ソフトでシミュレーションを自作すれば良いのでは…と考える人もいるかも知れません。
確かに、計算のロジックを組み立てれば表計算ソフトでのシミュレーションも可能でしょう。しかし、書式を作るにしても手間が掛かります。また、素人が作るのであれば、算出条件を入れ忘れてしまう、と言う危険性も無い訳ではありません。
その点、ネットにあるシミュレーションには金融機関の作った物があります。確かに「あくまでもシミュレーション」なのですが、信頼性は高いです。ネット利用が賢明でしょう。
投資信託シミュレーションで出来ること
ここで、投資信託シミュレーションで出来ることを挙げてみましょう。
積立金額の算出が出来る
投資信託シミュレーションは毎月の積立金額の算出が可能です。
これは目標金額と積立期間、そして利回りを入力することによって算出する物。これらの条件から、毎月必要となる積立金額を計算します。
利回りはネットで探すことが、ある程度は可能なので、自分に合った物を見つけて入力すれば良い訳です。
ただし、投資信託には償還日が定められている物もあります。シミュレーションは償還日の設定はしてくれないので、自分で償還日までの日数を計算する必要があります。
いくらになるかが分かる
次に可能なのが「いくらになるか」の計算です。
これは積立金額を積立期間、そして利回りを入力することによって算出されます。
長期間に渡って連続的に収入があり、毎月の積立が見込める場合に利用すると便利です。
積立期間が分かる
シミュレーションは積立期間を算出することも可能です。
これは、目標金額と毎月の積立金額、そして利回りを入力すれば算出されると言う物です。
複利計算は期間によって大きく変化率を変えます。電卓での計算を考えるならば煩雑になる計算です。シミュレーションの効果が感じられることでしょう。
目標利回りを見積ることが出来る
投資信託シミュレーションの利回りは自分で探す必要があるのですが、目標金額や積立期間などの諸条件を入力の後、複数回計算を続ければ、一応の理想的な利回りを出すことが可能です。
この計算で、ある程度の利回りを机上で出し、ネットなどで見つかる投資信託の利回りと比較すれば、その利回りが適切かの判断が出来るのです。
また、逆に言うならば、利回りと積立期間などの条件はファンドを探し出す上での手掛かりにもなります。投資信託シミュレーションは実際のファンド探しにも有用となるのです。
投資信託シミュレーションで出来ないこと
この様に、投資信託シミュレーションは計算に非常に役立ちます。
しかし、その一方で出来ないこともあるので、活用するには気を付けなければなりません。
では、どの様なことが出来ないのでしょうか。
リスクを計算に入れられない
投資信託には様々なリスクが発生します。株式であれば株価の下落、外国の物であれば為替の影響、海外の経済動向や戦争などの発生もリスクになり得ます。
さて、投資家はこの様なリスクの発生を見て投資金額を増やしたり、売却をしなければなりません。利益の確定や損切りなどは投資家の状況判断によるのです。
では、これらの不確定要因がシミュレーションの計算に入れられるかと言うと、それは不可能です。
つまり、投資家がシミュレーションに入力する利回りには、リスクを鑑みた数値を入れることが必要なのです。
ですから、利回りには余裕を見ることも必要。過去の状況を参考にしながら検討することが大切です。
利回りの変動が入れられない
利回りは長期を見るならば、ある程度は均等化されることでしょう。しかし、長期的に見たからとは言っても、完全に均等化されるとは限りません。長期間に渡って上がり続ける場合もありますし、長期間に渡って下がり続けることもあるのです。
そして、シミュレーションには利回りの変動は入れることが出来ません。
ですから、仮に低めに見積もっていたとしても、利回りがそれ以上に下がってしまい、その後に償還になってしまうと言うシナリオもあり得るのです。
シミュレーションの活用の効果
この様に、シミュレーションには出来ることと出来ないこと、そして使うにあたっても注意点があります。
しかし、デメリットやリスクがあったとしても、活用することは大切です。
では、シミュレーションの活用には、どの様な効果が期待出来るのでしょうか。
計画の精度が上がる
投資信託で効率的に収益を得るためには計画性が大切です。どれくらいの金額になったら止めるか、投資期間はどれくらいにするかなど、最初から決めておいた方が良いのです。
しかし、いくら計画を立てるにしても、その計画がどの程度の精度を持つかは判断が出来ません。前述の様に、投資信託の計算は簡単では無いからです。
その点、シミュレーションを使えば煩雑な計算が瞬時に完了します。その結果、立てた計画の妥当性が確認出来る様になり、計画の精度が上がるのです。
将来の資産を見積もることが可能
投資信託シミュレーションでは、積み立てた資産がどれくらいの金額になるかの計算も可能です。投資金額と期間があり、想定利回りがあれば、将来的にどれくらいの資産が形成出来るかの見積もりが可能となるのです。
これは将来のための資金作りに非常に有効です。例えば、子供の将来の学費のために積み立てる場合には、積み立て期間が決まっています。…高校や大学への進学の時期は決まっているからです。
そして、毎月の可能となる積立額が出て来れば、将来的に形成可能な学費が算出可能なのです。
確かにシミュレーションにはリスクが反映出来ないなどのデメリットはあります。しかし、参考とするならば大いに役立つのです。
シミュレーションを活用する上での注意点
この様に、シミュレーションを活用すると良い効果が期待出来るのですが、使うに当たっても注意点があります。ここではシミュレーションを使う上での注意点を挙げてみましょう。
計算は条件を変えて複数回する
前述の様に、投資信託のシミュレーションはリスクの反映などが出来ません。ですから、リスクの発生を鑑みて、条件を変えながら計算を複数回すべきです。
例えば、海外の投資の場合には為替変動が大きく影響します。しかし、為替のレートには一応の幅がある訳で、その幅でのシミュレーションをすれば、ある程度のリスクのカバーが可能になります。参考値の計算は可能なのです。
尚、リスクの発生は目論見書などが参考になります。併せて検討する様にしましょう。
利回りのチェックは忘れずに
前述の通り、シミュレーションを活かせば目標となる利回りの抽出も可能です。そして、その目標となる利回りに合わせてファンドを探すことが可能になります。
ところで、この時のファンドの利回りチェックは注意が必要です。
と言うのも、投資信託は利回りの変動があり、ある一定の期間だけを見ては判断が難しいからです。
利回りを見る場合には、期間を変えながらのチェックをするべき。念には念を入れる様にしましょう。
まとめ
投資信託のシミュレーションについて取り上げました。シミュレーションにも出来ることと出来ないことがあること、活用する上での注意点なども掴めたことと思います。
いずれにせよ、投資信託は計画が大切です。シミュレーションはその点で有利になるツールなので、効率を上げるために活用しましょう。
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