投資信託は非常に幅が広く、運用対象の全体を見るならば数千種類の商品があるとも言われています。そして、それぞれに特色があり、投資家は自分に合った信託を選ぶことになります。
しかし、「自分に合った物を選ぶ」とは言うものの、何を手掛かりにすれば良いか迷う人も多いことと思います。投資信託の資料には多くの情報が掲載されてはいますが、必ずしも欲しい情報ばかりでは無く、投資家とマッチしているとは限らないからです。
そこで、ここでは、投資信託の運用対象の選び方について、ポイントや間違った例などを取り上げたいと思います。
もくじ
投資信託の運用対象を選ぶ必要性
まずは、運用対象を選ぶ必要性について考えてみましょう。
「何でも良い」のでは無い
投資信託の目的は資産形成。いかに効率的に価値を上げるかが選ぶカギと言えます。ですから投資信託は「何でも良い」と言う訳ではありません。運用対象を選ぶことは必要なのです。
さて、「効率的な価値向上」という点から考えるならば、基準価額の上昇率のとにかく良い物を選ぶことがポイントになるでしょう。例えば、1年で10%アップする物と15%アップする物では、15%の方が選ばれるべきです。
しかし、実際にはその様に安易に行くとは限りません。と言うのも、投資にはリスクが伴うから。投資信託のファンドマネージャーがいくら敏腕であったとしても、リスクは避けられないのです。
そして、一般にはリターンが多い物はリスクも高いです。投資家はリスクとリターンを考えながら、効率的に資産形成が可能な運用対象を選ぶ必要があるのです。
手堅く行くか、リスクを取るか
さて、前述の通り、投資信託の種類は多く、数千種類もあると言われています。その中には株式の様なオーソドックスの物もあれば、太陽光発電や先端医療の様な少し変わった物もあります。
そして、先にも挙げた様に、それらはリターンとリスクの両方を抱えています。しかも、それらの質は運用対象によっても違うのです。
では、投資家はどの様に運用対象を決めるべきなのでしょうか。
ここが投資家によって分かれるポイントとなると思われます。つまり、「手堅く行くか、リスクを取るか」が選ぶカギになるのです。
運用方針について
投資信託は数千種類あるのですが、それぞれのファンドで運用方針を決めています。メインになる投資対象や利益の分配について決めているのです。
例えば、海外の不動産投資にしても、北米近辺に集中させる方針の物と、世界中に分散させる方針の物があります。基準価額を上げることに注力するのか、分配金をメインとする物もあるのです。
また、運用対象によって発生するリスクも異なります。ある物は為替のリスクがメインに、別なファンドはカントリーリスクに警戒すべき、と言うイメージです。
投資家は基準価額の向上と分配金だけを見て決めるべきではありません。リスクの質を検討するため、運用対象を考えるにあたっては、運用方針も見て選ぶべきなのです。
投資信託の運用対象には種類がある
ここで、投資信託での主な運用対象を再確認しておきましょう。
株式
株式は企業の発行する証券。企業が資金を集めるための物です。
株価は企業の経営状況などによって変わります。例えば、営業が上手く行って利益が大きく上向いた場合には株価も上がります。その一方で、売上が落ち込むなどして経営が上手く行かない場合などには下がります。
さて、株式投資の基本は株価が低い時に購入し、上がったタイミングで売却する物。投資信託の場合は、株式投資をファンドマネージャーに託し、その運用によって利益を得るイメージになります。
債権
債権は国や企業が資金を借り入れるために発行される有価証券です。債権には利率や償還日などが最初から設定されています。
債権は発行したところの信用によほどの問題が無い限り利息を受取れます。また、償還日には額面が返って来るのが特徴です。
債権は比較的安全な投資対象とも言えますが、それでもリスクは残ります。例えば、債権は償還日の前に売却することが可能なのですが、経済状況によっては損失が発生する可能性もあります。
不動産
不動産は国内・海外の不動産に出資して運用益を稼ぐ投資。利益は物件の家賃収入や売却益です。
さて、家賃収入と聞くと、アパートやマンションの家賃を思い出すかも知れませんが、不動産投資信託はそれよりも大きな不動産も含みます。例えば、大型の商業施設やタワーマンション、そしてホテルなどです。
尚、不動産投資は地震や台風などの自然災害も運用上のリスクに数えられますが、不動産投資信託は投資物件を分散させてリスクヘッジを図っています。
コモディティ
コモディティは金をはじめとする貴金属類、石油などのエネルギー、そして農産物などがあります。
コモディティ投資は、他の投資と異なるリスク要因があります。例えば、農産物などであれば天候などの自然的要因、そして石油などであれば為替などです。
そして、投資対象が「物」なので、インフレなどにも比較的強いです。特に金などは特異で、戦争の様な世界的な問題が発生すると価値が上昇します。
株や債権などとはリスクの質が違うので、併せて持てばリスクヘッジに有効です。
投資信託の運用対象を選ぶポイント
では、運用対象を選ぶポイントにはどの様な物があるのでしょうか。
代表的な点を挙げてみましょう。
投資する地域を決める
まず挙げられるのが、投資対象となる地域を決めることです。と言うのも、地域によって発生するリスクが変わって来るから。一般には国内投資の方がリスクが低く、海外に投資対象があるならばリスクが高くなります。
投資信託のリスク要因には為替リスクがありますが、海外に投資対象があれば為替の影響を大きく受けてしまいます。また、地域特有のカントリーリスクも発生します。
ただし、海外の投資はリターンが大きいのも特徴です。
ですから、特にリスクを取っても収益を狙いたい人には、地域を決めることが大きなポイントとなります。
投資の期間を決める
運用対象を決める上で、期間を決めることも選ぶポイントの1つです。
投資信託には償還日を設定している物もありますし、償還日を設定しない無期限のタイプもあります。また、クローズド期間を設けている物の場合、一定の期間は解約が出来ない様になっている物もあります。
ですから、期間を全く考えずに購入したりすると、必要となった時に換金出来ないという事態にもなり得ます。その様な状態に陥らない様に、最初から期間は決めておくべきでしょう。
リスクの許容範囲を考える
リスクヘッジは投資信託で非常に大切です。運用対象を決める上では十分に考えなければなりません。どの様なリスクをどの程度許容出来るかを考えることも、運用対象を選ぶポイントにもなります。
例えば、不動産を投資対象とする場合、国内であれば自然災害や人口減少などをリスク要因として考えるべきでしょう。しかし、海外の不動産投資になると為替やカントリーリスクなども発生し得ます。為替やカントリーリスクを敢えて取るかどうかが、運用対象を決めるポイントとなるのです。
運用対象が良く分かる物を選ぶ
投資信託は運用をファンドマネージャーに任せるので、投資家が直接的にタッチすることはありません。しかし、運用対象を良く知っておけば、有利なファンドを選べますし、リスク回避などにも役立ちます。ですから、投資信託を選ぶ時には運用対象を知っている物を選ぶことがポイントとなります。
例えば、不動産などの場合には、商業施設を中心に投資するファンド、タワマンを中心に投資するファンドなど、実に様々な物がありますが、不動産を知っている人が選ぶのであれば、タイムリーなファンドとリスキーなファンドを見分けることが可能です。しかし、不動産を知らない人であれば、その点で不利。運用対象を知っているか否かで、やはり違うのです。
投資信託の間違った選び方例
運用対象を間違って選ぶことは避けたい物です。場合にもよりますが、投資先の状況が全く分からなくなってしまい、場合によっては損失を被ってしまうこともあるからです。
それでは、間違った選び方にはどの様な物があるのでしょうか。代表的な物を挙げてみましょう。
直近の状況だけを見て選ぶ
運用対象を決める上で、その時のトレンドを確認することは非常に大切です。しかし、直近の状況だけを見て選ぶことは望ましくありません。と言うのは、たまたまそのタイミングが好条件が揃っていた…と言うこともあり得るからです。
ですから、直近の状況だけで買った場合、買った直後に条件が変わってしまう場合もあり得ます。
時系列を見るならば長めのスパンで見て、その時代に発生したアクシデントなども照らし合わせることが大切です。
人気だけで選ぶ
有望なファンドには人気が集まる物です。しかし、いくら人気があったとしても、人気だけで運用対象を選ぶことは考え物です。大多数の人が支持したとしても、それが的確とは限らないのです。
例えば、首都圏のタワマンを中心に投資をしているファンドを考えてみましょう。首都圏タワマンは、まだ元気が良いかも知れません。しかし、想定外の自然災害が起きた場合など、運用にどの様に影響するかは計り知れないのです。
いくらタワマンが人気があるとしても、人気だけで選ぶのでは無く、リスクを含めて多角的に考えて選ぶことが大切なのです。
宣伝文句を鵜呑みにして選ぶ
投資信託の紹介のサイトを訪れてみると、その投資信託の紹介としてプラスの情報ばかりが強調されている場合があります。例えば、「この投資信託は先端医療に投資する物。将来有望な分野」などと言った物です。
さて、この様な宣伝文句、非常に耳障りの良い文言で書かれているので、ついついそのまま信じてしまいそうになります。しかし、鵜呑みにして選ぶのは危険です。場合によっては損失にも繋がり得るからです。
例えば、いくら有望な技術であっても、仮に代替技術が開発されたなら、その運用対象そのものが意味をなさなくなってしまいます。そして、それが現実となるならば、運用そのものが座礁しかねません。リスクについて考えることを忘れ、宣伝文句を鵜呑みにすることは、やはり危険なのです。
リスクを深堀りしないで選ぶ
投資信託にはリスクが存在しますが、そのリスクはファンド単位で現れ方が異なります。しかし、投資信託の資料にはリスクの分析まで出ているとは限りません。その分析は投資家のすべきこととされるのです。
ところが、投資家にはその様なリスク分析をしないままで選んでしまう人が多いです。この選び方は良くありません。
リスクを分析するならば、その投資信託の将来性が分かることもあります。また、どの様な時に運用がダメになるかの予測も立ちます。しかし、リスク分析が無いならば、バッド・エンドになりそうな物も誤って買うことも。やはり良く無いのです。
他者からの情報を精査しないで選ぶ
ネットなどを見てみると、投資信託に関しても様々な情報を見つけることが出来ます。その情報はプラスの物もあれば、マイナスの物もあるでしょう。しかも、それは論理的に書かれている物もあり、信頼性が高い様にも見えます。
しかし、その様な情報であってもトータルを考えての精査は必要。十分なチェックは欠かせません。損失を避ける意味でも情報のチェックは必要。運用対象を選ぶ際には特に重要なのです。
まとめ
投資信託の運用対象の選び方について考えてみました。選ぶポイントや間違った選び方などまで掴めたことと思います。また、運用対象を決めることの重要性が再確認出来た物とも思います。
投資信託は利益発生のプロセスやリスクの存在が違います。選ぶ時には、それらをトータルに考え、自分に合う物なのかを十分に検討すべきです。あらゆる角度から十分に分析し、最適なファンドを選びましょう。
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