不動産投資の投資用物件は一般には中古物件に人気があります。中古物件は取得コストが抑えられて利回りが上るからです。それでは新築物件は悪い物かと言うと、決してそうではありません。新築物件にもメリットはあるのです。
ここでは新築物件のメリットやデメリット、投資に失敗例や注意点などを紹介します。新築物件投資について再確認が出来ることでしょう。
もくじ
投資をする上で、新築不動産のメリット
まずは新築物件のメリットを挙げてみましょう。
冒頭でも述べましたが、新築物件は不利な点ばかりでは無く、独自のメリットがあるのです。
客付け力が高い
まず挙げられるのが客付け力の高さです。
新築物件は外装・設備共に全部が新しいので立派です。そのため入居希望者に対する説得力があります。実際、新築物件を好む人は多く、家賃が多少高かったとしても早々に埋まるのです。
ちなみに、入居者を募集するのに好都合なのは年度が替わる3~4月の引っ越しシーズン。このタイミングに合わせて竣工出来れば、家賃の高い内に物件を埋めやすくなります。
中古であれば物によっては遅れを取ってしまって空室になることもありますが、新築ではそのリスクは非常に小さく、有利です。
銀行融資を受けやすい
銀行融資を受けやすいのもメリットの1つです。不動産投資ローンは投資家の収入や勤務策の勤続年数など、一般の住宅ローンを組む時の情報に併せて、銀行は物件の担保価値を見て来ます。そして、担保の価値から言うならば新築物件は高く、中古よりも有利なのです。
ちなみに不動産投資ローンの借入期間は物件の法定耐用年数が切れるまで。その意味では耐用年数の最も長い新築物件が有利と言えます。
次世代に引き継ぎやすい
建物の耐用年数は非常に長いです。木造の一般的な建物でも40年を超えるクラスも珍しくは無いですし、鉄筋コンクリート造に至っては60年を超えても使用可能です。
しかし、長く使うのであるならば新しいに越したことはありません。その意味で新築の方が次世代に遺しやすいと言えます。
例えば木造アパートの場合は10年も経ちますと外観は汚れてしまい、手入れの必要が出て来ます。物件によっては雨漏りのリスクも出て来るのです。そうなると次の世代に引き継ぐ頃にはボロボロになる可能性が高いです。しかし、新築であればそのリスクは減ります。新築の方が有利なのです。
家賃を高めにしやすい
賃貸不動産の家賃は物件の魅力に比例すると言えるでしょう。実際、駅から近く、間取りが広くて設備が新しい物件は家賃が高めに設定されています。
さて、新築物件は外装、内装、設備の全部が新しくて立派です。しかも新しい設備は新機能を備えている物も多く、利便性も上がっています。そのため、家賃を高めにしやすいです。
ちなみに、入居者が退去さえしなければ、家賃は高いまま維持することも可能。最初から低めの家賃設定しか出来ない中古物件とは違う、新築ならではのメリットなのです。
投資をする上で、新築不動産のデメリット
それでは新築不動産のデメリットにはどの様な物があるのでしょうか。代表的な物を挙げてみましょう。
取得費用が高い
不動産は一般に新築の時が最も高額で、築年数が経つに従って価格を落して行きます。そのため、新築不動産を投資用物件として選ぶならば、それだけ取得コストが掛かってしまいます。
建物のコストは構造によっても変わって来るので、安価な構造とすれば良いかも知れません。しかし、構造のコストを下げてしまうと建物の実質的な耐用年数も下げる恐れが出て来ます。
また、構造を木造の様な法定耐用年数の短い物にすると、短い期間でのローン完済が必要にもなります。デメリットは否めません。
利回りが低め
利回りは年間の家賃収入を投資金額で割った値から算出する物。投資金額が上れば上がる程に利回りは落ちてしまいます。
そして、新築物件は取得費用が高額です。そのため、利回りは低めになってしまいます。
利回りを上げるためには年間の家賃収入を上げればそれだけ好転します。しかし、周辺地域と同等の家賃にしなければ競争力が落ちてしまい、客付け力も落ちてしまいます。競争力を持たせつつ、家賃を上げるにはバランス感覚が必要。十分に検討しなければなりません。
1回住んでしまうと中古になる
新築物件はたった1回でも住んでしまったら中古になってしまいます。
ですから、例えば入居者が一旦入って数日間生活して、そのまま退去してしまえば新築では無くなってしまうのです。
新築で無くなってしまうと、仮に物件を売却しようとしても扱いが「中古」になってしまうためにガクッと値を落してしまいます。また、新たに入居者が現れたとしても家賃を抑えるケースもあり得ます。
また、売却を考えた場合もあまり有利ではありません。入居者付きであれば好条件にはなるでしょうが、それでも採算的には不利です。
新築不動産投資の失敗について知っておこう
ここで、新築不動産投資の失敗を挙げてみましょう。
新築であっても不動産投資にはリスクがあります。新築であっても、それは無くならないのです。
土地の選定による失敗
新築不動産は客付け力が高いのが魅力なのですが、どんな物件でも良いのではありません。土地の条件が悪ければ客付け力も上がらないのです。
例えば、駅から遠くて日当たりの良く無い土地、周辺が物騒で治安の良くない土地、環境が悪くて悪臭や騒音などが厳しい土地などは、いくら新築でも客付け力はあまり期待出来ません。
入居者を募るのであれば、やはり立地条件の良い土地で無ければなりません。土地選びは非常に大切なのです。
勉強不足による失敗
不動産投資に必要な知識は広範です。不動産の知識だけでなく、法律や投資ビジネスについても知らなければなりません。また、銀行対策や経営管理なども知らなければなりません。当然ながら勉強は非常に大切です。この勉強の大切さを軽視することによる失敗は、実は多いです。
不動産投資には空室リスク以外にも自然災害や入居者のトラブルなど、様々なリスクが伴いますが、その中には勉強しておけば回避出来る物が相当数あります。勉強不足はマズいのです。
計画不備による失敗
不動産投資にも計画は必要。計画不備によって起こる失敗も見られます。新築物件投資も同じで、計画不備による失敗もあります。
例えば新築であれば物件価格を早く落してしまうため、出口戦略は計画をしっかり立てなければなりません。早い段階から売却のスケジュールを考えておくべきなのです。…売却先などを探す上でもスケジュールは大切なのです。
しかし、売却のスケジュールを考えずにいると、売却のタイミングを逃してしまうことにもなります。計画不備は危険なのです。
調査不足による失敗
不動産投資には物件の周囲の調査が欠かせません。それは新築であっても同じことです。例えば、仮に駅から地図上で近かったとしても、駅までの間に「開かずの踏切」があったり、周囲に悪臭の発生源があるかも知れません。また、駅から近い地域は風紀が良くない場合もあります。
その様な土地を選んでしまうのは、明らかに物件周囲の環境の調査が足りなかった場合です。調査を入念に行い、危険要因をしっかり把握していれば回避出来たかも知れない問題なのです。
過信による失敗
新築の不動産は外見も内装も立派。しかも設備は新しくて使いやすいため人気が集まります。多くの人が高い家賃であっても入りたがることからも、その人気は明らかと言えるでしょう。
さて、投資家もこの人気を見て、事業が上手く行くことを確信するかも知れません。しかし、実はここに落とし穴があります。「過信」は危険なのです。
過信してしまうと、不動産管理や入居者管理など、別の部分が手薄になってしまいます。そうなると経営の状態も悪くなることも。…気が付いたら手遅れ、と言うことも有り得るのです。
投資用新築物件購入する際の注意点
新築物件であっても購入すれば良いと言う訳ではありません。どの様なタイミングでどの様な建物とするか、注意をしなければならないのです。
そこで、ここでは物件購入にあたっての代表的な注意点を挙げてみます。
竣工のタイミング
建物の工事は構造にもよりますが、計画から竣工まで数ヵ月も掛かります。そこで注意しなければならないのが「竣工のタイミング」です。このタイミングは引越しシーズンに合わせるべきです。
竣工を引越しシーズンに合わせるには、工期を逆算して計画する必要があります。そして、そのためには不動産会社や銀行などのビジネスパートナーとの関係を作っておかなければなりません。先んじて布陣を敷いておかなければならないのです。
立地条件
新築不動産は客付け力が高いのですが、それは良い立地があってのことです。購入の際は立地に気を付けなければなりません。例えば、日当たりが悪く騒音が厳しい土地であれば、例え物件が新築であっても契約に漕ぎ付けるのは難しくなります。
ですから、計画の段階で、どの様な土地が望ましいかを十分に検討することが求められるのです。
建物の構造
建物の構造は建物の価格や法定耐用年数にもダイレクトに響くので、最初の段階で十分に注意して決めなければなりません。例えば、木造のアパートの場合には法定耐用年数が22年、重量鉄骨造の場合は34年と、かなり違います。
また、コストも異なります。建築物の価格は延べ床面積で決まりますが、木造のアパートと鉄骨系のアパートでは建築コストも違うので、トータルの価格も違って来るのです。
そして、物件の耐用年数によって担保価値やローンの返済条件も異なります。木造であれば早い段階で価値を落としてしまい、売却に不利になるのですが、鉄骨系は比較的有利。構造によって様々な条件が違うのです。
設備
設備も注意が必要です。「新しければ何でも良い」と言う訳には行かないのです。
さて、一般に住宅設備は高級・中級・普及の3つのグレードに分けられます。イメージとしては高級になるほど性能面で優れ、普及になるほど性能面が削られます。その一方で、高級になる方が高コストで普及に行く方がローコストになるのです。
この区分を知っておかないと、せっかくの新築物件が安っぽくなってしまったり、利便性が落ちてしまったりします。物件を購入するのであれば、設備の仕様においても十分に注意をして検討しなければならないのです。
内装
内装は「きれいに明るく」が条件になるでしょうが、今の建材はそれ以上の働きをする物もあるので、選ぶ際には注意が必要です。
例えば、壁紙やフロア材には特別な機能を持たせた物があります。例を挙げると、消臭、抗菌、調湿、汚れが付着しにくいなど、様々です。そして、これらの建材を上手に使えば「格上」の物件を造ることになり、差別化が出来ます。
メンテナンス性
建物にはメンテナンスが無くてはなりません。屋根、外壁、設備など、いずれの部分もメンテナンスが大切なのです。
ところで、メンテナンス性の良い建物と良くない建物があるのですが、新築で物件を造るのであれば、メンテナンス性に配慮した物件にしなければなりません。この部分が注意点です。
例えば、下水配管などはメンテナンスを怠って放置していると、水漏れのリスクが出て来ます。そのためにメンテナンスが必要なのですが、建物によっては配管の確認すらも困難なのです。しかし、メンテナンスに配慮した建物であれば勝手も違って来ます。
いずれにせよ、新築を造るならばメンテナンスのことまで、やはり注意をすべきです。
まとめ
新築物件の投資について取り上げてみました。新築は人気があっても、意外に弱点があることが掴めたことと思います。また、物件を造る上での注意点も分かったことでしょう。
いずれにせよ、これらの要因は勉強をすれば回避は可能となること。物件の購入計画を立てる前に不動産投資についてトータル的に勉強し、物件造りに活かしましょう。
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