コロナウイルスで多くの企業が不景気に見舞われる中で、昨今の不動産投資の市況は好調な販売成績を出しているため「コロナ特需」とも呼ばれています。
その理由は、多くの人が休みの日に旅行やレジャーに出かけるのを控えて、住宅展示場やマンションのモデルルームに出かけたためです。
一方で、緊急事態宣言の終了に伴って多くの人が観光地やレジャーに向かうようになりはじめています。
住宅展示場の来場者数は、すでに前年割れを始めていて、1年以上続いた好調な住宅特需は曲がり角を迎えています。
今まで好調だった不動産市況で新たな不動産を入手した投資家は、特需の終わりとともに今後売れない悩みを抱えることになりそうです。
もくじ
不動産投資でマンションを売却したいときの悩み
不動産投資家がマンションを売却する基本をおさらいしていきます。
不動産投資の売却で得られる利益とは
不動産投資には2つの利益があります。
- キャピタルゲイン:不動産を購入した後に、より高値で売却して得られる利益
- インカムゲイン:購入した不動産を貸して、賃貸収入をもらって得られる利益
不動産の売却で得られる利益をキャピタルゲインと呼び、特にバブル期のように右肩上がりで不動産価格が上昇する時代では、キャピタルゲインを狙った不動産投資が流行りました。
近年は、不動産価格の上昇は一部の地域でしか見られず、おもに不動産投資の目的はインカムゲインを得ることに変わっています。
ですが不動産投資では、最終的には必ず投資物件を売却して完了させることになるので、少しでもキャピタルゲインを得られるように物件の売却をスムーズに行うことは重要です。
通常の売却手順や方法は
マンションを売却する時の方法は2パターンあります。
- 不動産業者に仲介してもらって第三者に売却する
- 不動産業者に直接買い取ってもらう
一般的な方法は①が用いられて、②は売主が売却を急いでいて相場より安価で売却するときに用いられます。
一般的な売却方法は以下の流れです。
- 不動産業者に査定を依頼する
- 不動産業者が物件を調査する
- 査定結果が出て、売却金額を決める
- 広告を出して売却を始める
- 買い手が見つかったら、契約を行う
- 売却代金を受け取って、引き渡しする
これらの手順を完了させて初めて、不動産投資家はキャピタルゲインを得ることになります。
不動産はどれくらいの期間で売れるのが一般的か
それでは物件を売り始めてから、実際に買い手が現れるまでの期間はどれくらいかかるのでしょうか。
ある調査(公益財団法人 東日本不動産流通機構)によると、2020年の中古マンションの売却にかかる日数は約88日となっています。
その日数は、年を追うごとに長期化する傾向が出ていて、売れない不動産市況の一端を確認することができます。
- 2010年:64日
- 2011年:67日
- 2012年:77日
- 2013年:79日
- 2014年:71日
- 2015年:65日
- 2016年:69日
- 2017年:75日
- 2018年:79日
- 2019年:82日
- 2020年:88日
不動産投資でマンションが売れない原因は
それではこの章では、不動産物件が売れない原因を具体的に1つずつ確認していきます。
適正価格になっていない
中古のマンションを購入する人には、実際に住居として使う人と、投資用不動産として購入する人がいます。
買い手が不動産投資家である場合、「利回り」の高さを重点において購入を検討します。
そのため物件価格が、賃貸収入や管理費などを考慮して割高の場合、購入を見送られます。
次に住居用に購入を検討する人は、希望するエリア内で同スペックのマンションと価格を比較して購入を検討します。
そのため売却価格が、そのエリアの相場より高い場合は売却が難しくなります。
長い間、問い合わせがこないような状況が続いていた場合は、売却価格の見直しが必要かもしれません。
マンションが需要のないエリアにある
不動産投資家でも、一般の購入者でも購入する不動産は長く保持して、貸し出すか、自分が住むことを前提に選定します。
そのため駅から遠い、交通の便が悪い、周辺にお店や学校がないなどの問題があると、購入をためらう人がいます。
その他にも物件周辺に治安の悪い歓楽街があったり、日当たりや騒音、異臭がするなどの地理的な問題があると売れにくくなります。
不動産会社に問題がある
自分に問題点があるのなら改善の余地はあるかもしれませんが、原因がそれだけとは限りません。
不動産会社に問題がある場合もあるのです。どういった事でそう判断をするのか、不動産会社が要因と考えられる理由を見ていきましょう。
売る気が無い業者
不動産業者の中には、専任媒介契約をした売主の物件に、他の業者から問い合わせがあっても断る業者がいます。
その理由は売り手と買い手の両方が、自分の会社を経由して契約できた方が、仲介手数料を多く受け取れるからです。
これを「両手仲介」と呼びます。
他の業者経由で買い手が見つかった場合、両手仲介ができなくなるため、あえて別の業者の問い合わせを断るのです。
さらに自社の利益を優先する不動産業者では、売主に売却金額を値下げさせて、両手仲介を狙う業者もいますので、担当者の言動などに注意が必要です。
不動産会社内で物件の優先順位が低い
不動産投資家と同じように、物件の仲介をお願いしている多くの不動産会社は、自社の利益を優先に考えて物件の売却を進めています。
同じ手間がかかるのに、売却金額の低い物件だと不動産会社に入る手数料は低いので、物件価格が高い方が優先順位は高くなりがちです。
そういった理由で、自分が依頼している物件の優先順位が低くなって、営業活動が疎かになることがあります。
担当者の対応や、打ち合わせの姿勢などを見ながら、あまりに誠意を感じられないようなら別の不動産会社に相談する方が良いかもしれません。
売り手の対応に問題がある
購入希望者は物件を選ぶ際に、売主の対応が不誠実だと交渉が上手くいかない場合があります。
せっかく、物件の見学希望者が現れても、見学の際の対応姿勢に愛想が無かったり、質問に曖昧な回答ばかりしていると、良い印象を持たれません。
あまり正直に、物件のマイナス部分をさらけ出すのも良くありませんが、すべての質問に十分な回答をしていないと、物件の問題を隠しているように思われてしまいます。
さらに内覧の前に、売主側が清掃を怠って汚い状態で、希望者を迎え入れたりすると誠実な売主だと感じられません。
購入希望者は売主側が気付かない、細かい汚れや破損まで注意深く気にして見学するため、注意して物件の状態を保つ必要があります。
物件自体に問題がある
物件自体に問題がある事もちらほら。物件に問題があるとどういった事態に陥るのかを知っておいた方がいいでしょう。
空室が多い
売却するマンションに空室があると、売却期間に大きな影響があります。
投資でマンションを購入しようとする不動産投資家から見ると、空室のあるマンションは何らかの問題をかかえていたり、設定している家賃が高い可能性があると思われるからです。
そうなると家賃の値下げや、マンションのリフォーム費用が必要になる可能性もあり、投資家は売却物件の正確な利回りの計算ができません。
空室がある物件自体を購入候補から除外する投資家は多くいます。
物件購入するローンが降りない
いざ物件を購入しようとする買主が現れても、契約の前に問題が発生する場合があります。
銀行で住宅ローンを申請しても、承認が降りないケースです。
その原因は「築年数」・「広さ」・「駅からの距離」・「賃貸内容」などの条件が、融資の条件をクリアしていないことです。
融資条件を設けているのは、住宅ローンを貸す銀行側が、購入する物件にある程度の収益性が無いと、返済時に滞納トラブルが発生するためです。
特に注意が必要なのは、下記のような物件です。
- 築年数が数十年経っている
- 駅から10分以上の距離
- 広さが20平米以下
物件を購入する時、9割以上の買主が住宅ローンを利用するため、こういった物件は売り手が付きにくいので注意が必要です。
築年数が古く老朽化している
築年数が古い物件は、老朽化が進んでいて外観にひび割れや劣化が起きていたり、中の設備が古くて使いにくいなど問題があります。
投資家ではない、一般の買い手では特にこういった点を気にする人が多いので、よほどの安値でなければ売りにくくなります。
不動産投資家の中には、築年数の経った物件でもフルリノベーションをして、賃貸に出してインカムゲインを狙った投資をする投資家がいます。
ですが初心者の投資家は、中古でもリノベーションを必要としない物件を見る傾向があるので、築年数の古い物件はやはり売りにくくなります。/p>
大規模修繕工事が控えている
大規模修繕を控えている物件の場合、もし予算が足りなくなると、不動産のオーナーが一時金を徴収されたり、管理組合で借入して後から管理費の値上げをするなど、追加の負担が必要になります。
そして多くのマンションは入居者を確保するため、修繕積立金を潤沢に備えてはいません。
そのため大規模修繕をこれから予定している物件は、購入希望者から敬遠されやすいので注意が必要です。
不動産投資でマンションが売れない時の対策は
それでは物件が売れない場合に、どのような対策をすれば良いのでしょうか。
空室を無くす
空室のある物件の場合は、入居者を埋めると物件の売却が早まる可能性があります。
そのため物件の入居者を並行して探す必要があります。
広告費が必要になりますが、入居者が決まればその分早く売却が進んで、希望の価格で契約が決まる可能性が高くなります。
物件のリフォームをする
築年数が古くて外観や内装に問題がある時には、リフォームをすると売却がスムーズになる場合があります。
ただしフルリフォームをすると数百万円の費用が必要になり、その分を売却価格すべてに乗せるとさらに売却が難しくなってしまいます。
またせっかくリフォームをしたのに、そのイメージが購入希望者の趣味に合わない可能性もあります。
そのためリフォームをする場合は、特に老朽化や損傷が目立つところだけ、最低限修繕する方法がおすすめです。
物件の価格を見直す
いくら高く売りたくても、買い手からの需要がなければ物件は売却できません。
相場とかけ離れた価格を設定していないか、周辺のエリアの物件や、近くの駅にある同じような条件の物件の価格を調べてみましょう。
また物件の値下げには、タイミングや方法も重要です。
例えば値下げを小刻みに短期間に行うと、物件が売れ残っている印象を持たれやすくなります。
そのため物件を値下げする時は、不動産の需要が活発化する1,2,9月にある程度思い切った金額を値下げすると効果が大きくなります。
マンション売却に強い業者を探す
仲介を依頼している不動産会社に問題がある場合、仲介業者を変える方が売却は早くなります。
マンションを売却した経験が豊富な、専門の会社に相談をするのがおすすめです。
売却の時期や、価格など改めて見直すことで、より良い条件で売れる可能性もあります。
多少の赤字を受け入れる
物件の売却を早く決めたい場合は、赤字でも売却する判断が必要になる時があります。特に投資用で物件購入を考えている不動産投資家は、あくまで利回りで購入を判断するため、数字ベースで厳しい評価をする傾向があります。
逆にいえば、利回りが確保できる売却価格に下げれば物件の、売却はスムーズになるという事です。
まとめ
ここまでマンションの売却に関する注意点について解説をしてきました。
不動産投資の目的はキャピタルゲインとインカムゲインの2種類の利益を手にすることですが、近年は中古のマンションが売れにくい市況になってきていて、キャピタルゲインを得ることが難しくなっています。/p>
ですが最終的には物件を売却する必要があるので、少しでも自分の希望額に近い金額で手放したいものです。
売れないマンションには幾つかの特徴があります。
- 価格の問題:価格自体が相場より高かったり、利回りが低い
- 環境の問題:交通の便が悪い、周辺の施設や環境に問題がある
- 不動産会社の問題:売却に積極的でない、自社の利益を優先している
- 売主の問題:対応が不誠実
- 物件の問題:老朽化や設備故障があったり、ローンが降りないなど
マンションを早く売却したいのであれば、売却のハードルになっている問題に対策する必要があります。
例えば設備の老朽化や破損が激しい場合は最低限のリフォームを行ったり、空室のある物件の場合は入居者を並行して探すなどです。
どうしても売れない場合は、赤字を受け入れて売却する必要もあります。
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