不動産投資に必要なのは投資用物件。しかし、投資用物件だけで十分かと言うと決してそうではありません。不動産の他にも様々な物が必要となります。例えば移動用の自動車などがあるでしょうし、通信用の携帯電話などもあるでしょう。
さて、その様な物を買う場合にも費用が掛かります。つまり、そこに「必要経費」が発生するのです。
しかし、必要経費と言ってもどの様な物が該当するのか、理解がなかなか難しい課題だと思います。そこで、ここでは不動産投資の必要経費について取り上げたいと思います。
もくじ
不動産投資をする上での必要経費について
まずは不動産投資における必要経費とは何かについて挙げてみましょう。
必要経費とは何か
まずは必要経費についての復習です。
ビジネスの利益を上げるためには、何等かの投資が必要です。農産物であれば農機具などがあるでしょうし、工業製品ならば生産設備が必要です。これらを用意するのには費用が発生します。これが必要経費です。
農機具を買う費用、生産設備を導入する費用が必要経費として認められるのです。
さて、不動産投資にも様々な物が必要です。それらを準備するためには費用がやはり発生します。その購入費用が必要経費なのです。
ただし、必要経費はビジネスで必要となった費用全部となる訳ではありません。物によっては必要経費として認められない物もあり、注意が必要なのです。
経費と利回りの関係
ここで経費と利回りについて考えてみましょう。
利回りは家賃収入を投資金額で割って算出されます。これが表面利回りと呼ばれる物。投資用不動産が紹介される場合に提示される利回りです。
しかし、表面利回りは物件が満室で、しかも必要経費が掛かって無い状態の利回りを示すので、キャッシュフローを計算する際には、正確性に欠けてしまいます。
そこで、表面利回りに空室発生の際のロスや必要経費などの要素を加えて計算すれば、より精度の高い利回り計算が可能。これが実質利回りです。
実質利回りはキャッシュフローを求めるために必要な値なため、家賃収入から差し引く必要経費を正確に出しておく必要があります。
不動産経営をする上で経費になる費用
それでは、必要経費として認められる物にはどの様な費用があるのでしょうか。
銀行融資の利子部分
不動産投資において銀行融資は無くてはならない物です。銀行の融資があるからこそ、投資家は自己資金を大きく超える投資が可能となり、大きな利益を得ることが出来るのです。
しかし銀行融資には利子が付いてまわります。しかも融資の利子は複利なので、トータルを考えるならば非常に大きな金額です。
さて、この銀行融資の利子ですが、経費として落すことが可能。会計上、非常に助かります。
ただし、融資の元金部分は経費にはならないので注意が必要です。
火災保険などの保険料
火災保険などの保険料も経費として落とすことが出来ます。
物件維持のためにはリスクマネジメントが絶対に必要。しかし、自然災害の様なリスクは予測が不可能なため、対策を打つのが困難です。保険はその様な予測困難な事態のために掛けるのですが、費用は決して安くはありません。
しかし、この費用は経費として数えられます。
投資用物件の管理費用
不動産管理は入居者に快適な住環境を提供するために必須な仕事。また、不動産管理には家賃の集金やトラブルの解決など、入居者を対象とする様々な働きもあります。
さて、この仕事には自主管理での対応もあるのですが、不動産管理会社に委託することも多いです。しかし、不動産管理会社の費用も馬鹿になりません。
この不動産管理費用も経費として落せます。
不動産仲介会社への仲介手数料
物件購入のためには不動産仲介会社を経由しなければなりません。当然これにも費用が掛かります。仲介手数料は「物件価格の3%+60000円+消費税」です。この費用も必要経費として扱えます。尚、この額はあくまでも「上限」となのですが、手数料の値下げは基本的にはありません。
物件の広告宣伝費用
物件が空室になった場合には広告宣伝が必要。ネットや新聞広告などがメインの媒体です。
当然ながら、これにも費用が発生します。これもビジネス運営の費用となるので、経費として扱われます。
投資用物件の修繕費用
不動産は経年劣化もしますし破損もします。外観は古ぼけるでしょうし、部材も腐食するかも知れません。当然ながら、これらは補修されなければなりません。
この様な物件の修繕費用も必要経費としてカウントされます。
税金(固定資産税など)
不動産投資は「税金との闘い」とも言われる程、様々な税金の対策をしなければなりません。物件を購入する際には不動産取得税や消費税が、物件を維持するためには固定資産税が掛かります。これらは物件の規模が大きくなる物なので、決して馬鹿には出来ません。
さて、税金の内、固定資産税は経費として認められます。固定資産税は物件の資産価値に合わせて膨らむので、特に大型の不動産を運用している場合に違いが現れます。
司法書士報酬・税理士報酬
物件購入の際には司法書士の手を借りなければなりません。また、事業が大きくなって税務計算が複雑になってしまえば税理士を雇うことにもなるでしょう。
さて、これらの報酬は必要経費として落せます。この報酬は意外に高いので助かります。
電話やネットなどの通信費
通信費も必要経費として数えられます。
昔の通信は電話やFAXなどがメインでした。しかし、今はスマホをはじめとするネットの端末の使用が通信の主流です。これらの通信は以前よりも安くなっているとは言え、意外に高いです。
旅費や交通費
不動産投資は住んでいる街の物件を持つとは限らず、遠隔地の不動産を運用することが少なくありません。実際、マンションなどで利回りを上げるためには東京などの大都市圏の方が物件として有利なので、地方の投資家も東京などで不動産を持っていることも多いです。
さて、物件を購入する際、あるいは管理の際には投資用不動産を見に来る必要があります。その場合には旅費や交通費が発生しますが、これが必要経費となります。
地方在住の投資家が都心部の物件を見に来るには、結構な大仕事が必要。その部分が経費として落せることは、会計上ありがたいことと言えるでしょう。
自動車に関する費用
移動のためには自動車も必要です。特に地方に不動産を持つ場合には、移動の手段として必須になることでしょう。
自動車に関する費用も必要経費。ビジネスに必要な費用として認められるのです。
情報収集のための費用
不動産投資を進める上では情報収集が欠かせません。物件や現地の情報などから、様々な判断を下さなければならないからです。例えば、離れた地域で有望な物件を見つけた場合、その詳細な情報が必要になることでしょう。
当然ながら、その情報収集には費用が掛かります。この費用を経費として落せるのです。
交際費
不動産投資には情報収集が欠かせませんが、これは時に食事が伴う懇親会が催される場合もあります。そして、これらの会合で発生した費用も経費として数えられます。
減価償却費
減価償却費は物件の建物部分の費用を償却期間で割った物。実際に出て行く費用ではありませんが、会計の上では経費として認められている物です。
減価償却は建物の構造によって変わります。例えば、木造であれば22年、鉄筋コンクリート造であれば47年です。投資用不動産の建物部分のみとは言え、経費として落とせるのは非常に魅力的と言えるでしょう。
不動産投資を行い物件を経営していく上で認められない経費について
経費はビジネスで掛かった費用が計上されますが、何でも可能と言う訳ではありません。科目によっては認められないこともあるので注意が必要です。
スーツ代
経費は仕事上発生する費用なのですが、スーツ代は適用外となり、経費としては認められません。
仕事上で重要な人物と会う場合に必要かも知れませんが、経費計上が出来ないので注意が必用です。
プライベートの飲食費
仕事での会食などは交際費として経費計上出来るのですが、それがプライベートとなると話は別。経費としては認められなくなります。
反則金や罰金
あってはならないことですが、反則金や罰金の発生があるかも知れません。
特に今では自動車に関する違反が厳罰化し、以前では考えられなかったレベルの金額の反則金もあり得ます。
この様な費用は経費としては認められません。日頃からの注意と善良な市民としての自覚が必用です。
税金(所得税・住民税)
前述の様に、税金でも固定資産税に関しては経費として扱われる物があります。しかし、経費として認められない税金もあるので注意が必要です。これには所得税や住民税が挙げられます。不動産投資では税金対策もビジネス上の大きなポイントとなりますので、しっかりと押さえておきましょう。
資格取得のための費用
不動産投資をする上で便利な資格は多くあります。例えば宅建士や建築士など。これらがあるならば、不動産や建築のプロとしても仕事が出来る様になるからです。
ところで、これらの資格取得のためには費用が意外に発生します。特にセミナーなどを利用するならば学費は多く掛かることでしょう。
しかし、資格の取得費用は経費としては認められません。自費での取得になることを覚えておきましょう。
投資用物件の改装費用についてはどう考えるか?
不動産投資において物件の収益性の維持は非常に大きな課題です。不動産は老朽化すると家賃が下落してしまい、客付け力も落ちてしまうからです。そのために行うのがリフォームやリノベーション。しかし、この費用をどの様に扱うかが経営上のポイントにもなり得ます。
ここではリフォームとリノベーションを取り上げ、経費との絡みを解説します。
リフォームとリノベーション
まずはリフォームとリノベーションの違いを取り上げてみましょう。
リフォームとリノベーション、実際のところは意味の混同も見られるのですが、元来の意味としてはリフォームが「修繕」、リノベーションが「価値向上」のニュアンスとして使われます。ですから、リフォームが「元々あったレベルまで戻す」のに対して、リノベーションが「元来の仕様の更に上質の仕様に改装する」ことを示します。そのため、リフォームでは収益性が元に戻るイメージですが、リノベーションでは各段に上がる感じになります。
実際、今のマンションのリノベーション物件は注文住宅レベルの質の高さ。最新鋭の設備にスタイリッシュなデザインで造ることが可能なので、収益性を大きく上げることが可能です。
経費について
さて、次に経費について考えてみましょう。
経費として落とせる物は基本的には仕事のために使う物。ですから修繕費用は含まれます。共用部分の照明器が壊れた場合などの修理費用は経費で落とせます。
ではリフォームとリノベーションは…というと、判断が難しくなります。
と言うのもリフォームは「修繕」の範囲と取れるのですが、リノベーションは「価値向上」、もっと言うと「収益性のアップ」とも言えるからです。
さて、経費で落とせるのは修繕の範囲です。つまりリフォーム費用に関しては大丈夫でしょう。しかし、リノベーションは価値向上のために認められません。
そこで発生する問題は「どこまでがリフォームでどこからがリノベーションか」という物です。実は「修繕」と「価値向上」の間はグレーゾーンとなるため、判断が分かれ得るのです。
ですから、この部分の判断は自分で終わらせるのは、あまり良い考えではありません。税務に詳しい税理士に相談するのがベターと思われます。
まとめ
不動産投資における経費について見て来ました。経費と利回りとの関係性などのイメージが出来たこと、どの様な物が経費であって、どの様な物が経費として認められないかの把握が出来たことと思います。
ビジネスにおいては費用の管理が非常に大切になりますが、経費は税務まで関係して来るので、特に重要と考えなければなりません。しっかりと把握して、隙の無い費用管理にしましょう。
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