REIC編集部
当サイト、REICの編集部編集長です。投資の中でも「クラウドファンディング」に今は注視しています。様々な投資についての記事を作成していく予定です。投資について様々な角度からアプローチしていきます。投資経験は5年ほどと歴はそこまでありませんが、FXや暗号資産を経験。現在は、不動産投資に興味がありましたが、現在は不動産小口投資や不動産投資型クラウドファンディングで投資を行っています。今後ともよしなに!
LISK・危険性
不動産投資リスクの中で、事前予測が難しいのが「事故物件のリスク」です。入居者に依存するため、いつ起きるかわかりません。「事故が怖くて不動産投資に踏み切れない」「事故物件になると誰も入居してくれないのでは?」と不安な方が多いようです。
結論として、事故物件は事前の対策でリスクを抑えることが可能です。また、事故が起きてしまっても、適切な対処をすれば入居者をみつけらます。
今回は、事故物件の概要や2021年に発表されたガイドラインの解説。また、事故物件の発生率から対策法、効果的な客付け方法など幅広く紹介するのでぜひご参考ください。
もくじ
事故物件は瑕疵物件とも呼ばれます。「瑕疵(かし)」とは、傷・欠損のことを意味し「自殺・殺人」だけと思われがちですが、さまざまな理由で物件の価値を損ねた状態をいいます。具体的には以下の4種類です。
心理的瑕疵とは一般的に皆さまが想像する事故物件のことです。つまり、入居者にとって心理的マイナス面がある「自殺・殺人・孤独死」などがあった物件。他にも「反社会勢力が住んでいる」「宗教団体の拠点がある」なども心理的瑕疵物件になります。
物理的瑕疵とはその名の通り、建物に物理的な瑕疵がある状態のことです。たとえば「雨漏りがする」「シロアリが出る」「建物に傾きがある」など、心理的瑕疵に比べ生活に実害が及ぶなどのリスクがあります。
環境的瑕疵とは、物件の周辺環境に問題がある状態です。例として「工場がある」「火葬場がある」「産廃施設がある」「騒音が大きい」などです。つまり、物件自体に問題がなくても、周辺環境によりその価値が低下するという状態です。
法律的瑕疵とは、投資予定の土地に何かしらの法令上の建築制限がある場合や、建築物件による収益を阻害される状態です。関係する法律として「建築基準法」「消防法」「都市計画法」などが挙げられます。たとえば建ぺい率や容積率など、建築基準法に違反している場合や、開発ができない「市街化調整区域」に建っている物件などのことを「法律的瑕疵」といいます。
ここでは、多くの方が気にする「賃貸物件での自殺・他殺・孤独死」の発生率をみていきます。
言い方は悪くなってしまいますが、どの物件で起こる可能性自体はあるので、それがどの程度の可能性なのかと言うの頭に入れておいた方がいいかもしれません。
平成30年人口動態統計(確定数)のデータによると
以上のようになっています。
出典:厚生労働省「人口動態統計データ」
出典:厚生労働省「死因簡単分類別にみた性別死亡数・死亡率」
次に、孤独死率をみてみましょう。
となります。
出典:内閣府「平成30年版高齢社会白書」
これらの合計に、総務省の平成30年住宅・土地統計調査にある「賃貸比率38.8%」をかけていきます。
0.0502%✕38.8%=0.0195%
出典:総務省「平成30年住宅・土地統計調査」
以上のようになります。続いて、比較として「死亡交通事故の確率」もみていきましょう。
運転免許保有者数(令和2年):81,989,887人
・ペーパードライバー率:27.8%
出典マイナビニュース「男女1,000人のアンケート調査」
・交通事故による死亡者数(令和2年):2,839人
出典:警察庁交通局運転免許課「運転免許統計 令和2年版」
出典:e-Stat(政府統計の総合窓口)調査:交通局交通企画課「令和2年中の交通事故死亡者数について」
81,989,887(保有者)ー22,793,188人(総保有者数の27.8%)=59,196,699人
保有者数からみた死亡者率:0.004%
以上のように、事故物件になる確率より低くなります。しかし車の任意保険はほとんどの方が必要だと認識しています。つまり、事故物件リスクにも保険でリスクヘッジが必要といえるでしょう。
※多くの変数を省いたおおまかな数値になります。参考程度にご活用ください。
国土交通省から「宅地建物取引業者による人の死に関する心理的瑕疵の取扱いについて」というガイドラインが公表されました。
その背景には、心理的瑕疵物件の告知などのガイドラインがなく、今まで不動産会社の裁量で決められていたことにより、トラブルが発生していたということがあります。
内容は次の通りです。
・殺人、自殺、事故による死亡
賃貸の場合事故発生から3年間の告知義務としています。つまり、事故から3年経過すれば告知義務がなくなる、ということです。さらに、この告知義務は専有部分・室内などで発生した場合です(集合住宅の階段などの共用部含む。)そのため、物件前の道路などでの事故は告知しなくても問題ありません。
また、売買では告知義務の期限は設けられていません。
・自然死、不慮の事故による死亡
病死などの自然死、転倒など不慮の事故による死亡も告知義務はありません。しかし、発見が遅れ腐敗が進んでいる場合は3年間の告知義務が発生します。
以上のように、告知義務の発生条件と期間が明確になることにより、事故物件によるトラブルが減少すると考えられます。
事故物件といっても内容によりリスクの大きさが異なります。ここでは、心理的瑕疵の内容別リスクを具体的に解説していきます。
あくまでもトラブルの原因となる告知についてのガイドラインが明文化されただけであり、事故物件のリスクが減った訳ではありません。
事故物件では、心理的瑕疵による家賃の下落や空室率の上昇、それによる属性の悪い方の入居などが考えられます。すると、トラブルの増加や家賃の滞納など、さまざまなマイナス要因が、数珠つなぎで増加していく恐れがあります。
このような、物件価値の低下から派生するリスクが共通のリスクです。
長期間放置された自然死は、独居老人が住んでいる部屋で起こるケースが多く、腐敗が進んでいるため床や壁などに深刻なダメージを与えます。また異臭も簡単には取れず、原状回復に多額の費用が必要でしょう。
壁紙や床材の張替えはもちろん、技術力のある特殊清掃業者に依頼するなど、適切な現状回復をおこなわないと、再び入居者を受け入れることが難しくなります。以上のような、室内への深刻なダメージや異臭などによる原状回復が、長期間放置された自然死のリスクです。
自殺は心理的瑕疵の大きな事例です。自然死とは違い、思いつめた末の行為なので原状回復しても入居が決まるとは限りません。さらに、気付かれず長期間放置されることもあるため、リフォーム費用が高額になる場合があります。
また、集合住宅の場合は周辺住民にも悪い影響がある場合も。つまり、自殺をきっかけに空室が増えたり家賃の値下げを要求されるかもしれないということです。このように、自殺でのリスクは自然死に比べ不動産運営に大きな悪影響があるでしょう。
もっとも影響が大きいのが殺人事件です。現場によっては大規模リフォームをしなければいけないような、凄惨な事件もあります。また、テレビで流れるような世間を騒がせる事件の場合、その後の入居は難しいでしょう。
そのため、資金を投入してリフォームをおこなっても効果が薄い上に、入居が決まっても家賃は相場の50%程度を覚悟しておかなくてはいけません。さらに、売却価格も大幅ダウン必至なので、殺人事件が起こるリスクは非常に大きいといえます。
事故物件はいつなってしまうかわかりません。というと「運を天に任せるしかないのか」と思われますが、事前対策でリスクを軽減できます。
ここでは、事故物件のリスクを軽減するための方法や心構えを紹介します。
事故物件のリスクを軽減するための確実な方法は、保険に加入することです。解説した通り、事故物件になる確率は死亡事故より高い見方もできます。特に所有物件数が多い場合、確率も高くなるため加入しておいた方が安心です。とはいえ「高い保険料は払えない」という方もいるでしょう。
例として、賃貸住宅管理費用保険「無縁社会のお守り」をみてみましょう。
保証内容は次の通りです。
・原状回復費用保険金(1事故限度額100万円)
遺品整理費用
現状復旧費用
相続財産管理人選任申立費用(5万円限度)
・家賃保証保険金(最長12ヶ月、80%補償、1事故限度額200万円)
空室期間✕本来家賃✕80%(月額)
値引き期間✕減少家賃✕80%(月額)
・事故見舞金(1事故5万円)
原状回復費用保険の費用が5万円未満のとき発生
ちなみに、保険料は、4〜19戸室で390円、20〜49戸室で340円、50戸室以上で280円(全て1戸室あたりの月額)と思いのほか少額で加入できます。
基本的に、保険は無駄になることが多いものですが、事故物件になることが「起きると補填できない大きなリスク」という方は加入をおすすめします。
独居老人の受け入れにはリスクがありますが、工夫をすれば孤独死などのリスクを抑えることができます。たとえば、入居前の特約事項などの検討や親族を含めての面談などです。特約次項では「連絡が付かない場合の安全確認の実施」や「認知症や独居が難しい病気になった場合、賃貸契約を解除できる」などが考えられます。
そして、この特約事項を親族を交えて説明し理解してもらうことが大切です。すると、事故が合ったときや住み続けるのが難しい場合に、話し合いでの解決がしやすくなります。
独居老人の世帯に違和感を感じたらすぐに確認を取るようにしましょう。「郵便受けがいっぱいになっている」「近所の人が最近みていないといっている」などは、事故を早期発見できるタイミングです。
事故物件の被害を最小限に防ぐには、早期発見が重要です。また、入居者や親族のためにも早くみつけた方が良いため、少しの違和感でも確認を取るクセをつけましょう。
対策をしても事故物件になってしまったとき、正しい対処をおこなうことで被害を最小限に食い止められます。ここでは、事故が起きたときの対処法を解説します。
事前に対策をしておく事はもちろん大事な事ですが、事故物件になってしまってからの早急な対処も重要です。
事故が起きると気が動転してしまい、適切な対応ができない場合があります。しかし、それでは後のトラブルや客付けに悪影響が出ることも。そのため、冷静に以下の行動を取りましょう。
警察や親族などにすぐ連絡をする。
賃貸借契約は、契約者が死亡しても自動的に解約されません。法定相続人が解除をおこなう必要があります。そのため、相続人の特定や解除までの流れを確認する必要があります。
残置物処理が遅れると、原状回復も遅れ損失が大きくなります。そのため、相続人と残置物の対応など事前に話し合っておき、すぐに処理できるようにしておきましょう。
以上のように、できるだけ次の客付けが早くできるよう迅速な対応をしていきます。
事故物件になった場合、相続人や連帯保証人に損害賠償請求をおこなえる場合があります。「親族が亡くなった人に請求しづらい」という方が多いですが、取り立てをする訳ではありません。きちんと話し合いをして、納得のいく形で解決する必要があります。
しかし、自然死の場合は請求が難しいでしょう。なぜなら損害賠償請求は、故意、または過失による損害に限られるからです。つまり、自殺や殺人事件などの場合にだけ請求できると認識しておきましょう。
残置物処理を迅速におこなった後は、リフォームをおこないます。空室期間を長引かせないために、残置物処理までの間に業者の目星や大方の見積もりなどを確認しておきましょう。そしてトラブルを防ぐために、リフォーム業者には事故物件であることを伝えておきます。
リフォーム費用は室内の損害によりますが、現場周辺の壁紙、床の交換なら10万円程度で収まることも。一方、室内や設備全体のリフォームが必要であれば、50万円以上かかかることもあります。とはいえ、リフォームは必要になるので迅速な手続きを心がけましょう。
お祓いに関しては必須ではないですが、次の入居者のことを考えれば依頼して損は無いでしょう。それは「気持ちの問題」だからこそ「お祓いで成仏している」という安心感が重要になるからです。
それにより、安い家賃などのメリットが事故物件であることのデメリットを上回る可能性があります。費用は3万円〜10万円が相場なので、資金に余裕があればしておきましょう。
事故物件を客付けするには、事故物件のデメリットを上回るメリットを提供する必要があります。メリットは人それぞれなので、物件にのターゲット層にあった訴求が大切です。
事故があった次に入居する方には告知の義務も3年あるので、その辺りもしっかりと理解しておかなくてはなりません。
例として下記の方法がある事は知っておいてください。
などが考えられます。
上記の施策どれが効果的なのかは物件の条件によってことなります。そのため、改めて物件のターゲット分析や周囲の物件と比較してどこに訴求ポイントをおくかリサーチをしていきましょう。
注意点としては、焦って無理な値下げをしないことです。前述した通り、告知義務は3年なので、その期間を乗り切れる計画的な値下げをおこないましょう。
事故物件は物件購入前にわかる類のものではありません。そのため、避けようのないリスクに感じますが、保険の加入や入居条件などを工夫することでリスクを最小限に抑えることは可能です。また昨今では、事故物件でも気にしない方が増えている、というニュースもあるため、後処理をきちんとして募集すれば、十分入居者をみつけられるので、ぜひ参考にしてみてください。
昨今の高齢化の波を考えると、事故物件のリスクを回避する事は難しくなってくるでしょう。となると、その後の対処で差が出てくる事は明確です。
保険に入っておく事が一番ではありますが、もし保険に入らない場合は、入居の際にそうなった場合の対処を入居者の身内、または保証人の方とも内容を詰めておくのがいいでしょう。
今回は事故物件のリスクについてまとめてみました。備えておく事の重要性はどの分野の投資にもありそうです。
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