清水みち代
関東在住の30代女性。 生保代理店で窓口営業に従事していましたが、コロナの影響で休業中。 自宅にいる時間に資格取得に目覚め、通関士、宅地建物取引主任者、FP2級、総合旅行業務取扱管理者の各資格を取得。 将来の目標は、北海道での「田舎暮らし」。
FPに聞いてみた
不動産投資はオーナーと入居者の直接契約で成立します。契約書にはオーナーと入居者が印鑑を押し、その契約が締結されたことになるのです。それにより、入居者は家賃の支払いを、オーナーは住空間の提供を始めます。
ところで、「サブリース」という契約形態があります。
これはオーナーと入居者の直接契約では無く、双方の間に不動産管理会社が入る形態です。
では、サブリース契約の具体的なシステムやメリット・デメリットには、どの様な点があるのでしょうか。
もくじ
まずは、サブリースがどの様な契約形態なのかを解説します。
冒頭にも挙げた様に、サブリースは入居者とオーナーの中間に不動産管理会社が入ります。
オーナーは不動産管理会社に物件をまるごと一括で不動産管理会社に貸して、その不動産管理会社が入居者に貸すのです。ですから「又貸し」と言うのが適切でしょう。
さて、サブリースの場合には、オーナーは入居者との直接契約をしません。又貸しした物件は不動産管理会社が全部の運営をしてくれるので、オーナーとしては労力の掛からない非常に楽な契約と言えます。
ちなみに、不動産管理の仕事は多岐に渡ることもあり、独特のノウハウが必要。サブリースは、管理の点で一切合切を引き受けてくれるので、心強い形態と言えるでしょう。
不動産の運営には多くのノウハウが必要です。例えば物件の修繕であったりトラブルの解決であったりと、実に多様。
そして、その様なノウハウは一朝一夕には得られる物ではありません。やはり不動産管理会社の存在は大きいのです。
さて、サブリースの場合は不動産管理会社が運営全部を請け負います。
そのため、オーナーに不動産管理のノウハウが無かったとしても、良い状態での運営が可能です。不動産管理の状態で入居者の満足度が変わり、場合によっては空室などのリスクも生まれます。
そして、特に不動産投資を始めたばかりの人は対策が思いつかないことも多いです。その点、経営面を任せられるのは非常にありがたいシステムです。
不動産投資の仕事は物件の購入からはじめて、入居者の募集や物件のメンテナンスなど、意外に多岐に渡ります。
その内の多くは不動産管理会社が請け負ってくれますが、それでも丸投げの様には行きません。
例えば、何等かの大きなトラブルが発生した場合は、入居者とオーナーが争う形になります。場合によっては裁判沙汰になることも。オーナーとしては苦境に立たされることになり得ます。
しかし、サブリースの場合は入居者との契約はあくまでも管理会社となるので、オーナーは出る必要がありません。
この様に、サブリースでは不動産管理会社が入るのでオーナーは非常に楽な立場に立つことが可能。しかも、毎月の収益は入って来るので、まさに「カネのなる木」の様になるのです。
不動産投資には空室をはじめとする様々なリスクが存在します。場合によっては収入が大きくダウンすることもあるでしょう。
例えば、物件の空室が増えてしまうならば、その空室の数だけ家賃が減ってしまうのです。
その点、サブリースであれば不動産管理会社がリスクを負います。
例えば、物件には老朽化のリスクもあり、放置するならば家賃の減額もあり得ます。しかし、サブリースであればリフォームのレベルまで対応するので、オーナーとしては有利な位置に立てます。
この様に、サブリース契約ではリスク管理の観点からも、立場上は有利な位置に立てるのです。
この様に、サブリースは入居者とオーナーの間に管理会社が入る契約。それによるメリットも多いです。
ここではサブリースによるメリットを挙げてみましょう。
前述の通り、サブリースの場合には物件の運営は不動産管理会社が請け負います。
これはオーナーとしては非常に大きなメリットとも言えます。しかも、運営に不慣れな人にとっては朗報です。と言うのも、賃貸不動産の経営には独自のノウハウがあり、マスターするのは簡単では無いからです。
その点、サブリースであれば不動産の運営に慣れた管理会社が運営に当たります。物件の運営は空室リスクにも繋がる重要な問題ですが、この部分を慣れた会社に任せられるのは、非常に心強いです。
また、不動産の運営には少なからず時間が必要。時間を作ることの難しいオーナーであれば、大変です。しかし、サブリースであれば運営を任せられるので、時間の確保が容易になります。
運営ノウハウや時間など、サブリースには特有のメリットがあるのです。
不動産投資において、空室の発生は非常に大きな問題です。
当然のことですが、入居者が入っていなければ家賃収入が無くなってしまうからです。しかも、物件は入居していない状態であっても固定資産税が発生します。赤字になってしまうのです。
この点、サブリースの場合は入居していない場合であっても、オーナーは不動産管理会社から収入を得ることが可能です。サブリースの場合、物件の経営はあくまでも不動産管理会社だから。
仮に空室が発生したとしても、不動産管理会社はオーナーに家賃を支払い続けるのです。
賃貸不動産の経営には様々なリスクが付いてまわります。代表的なのが空室リスクですが、その他にも、火災や地震などの自然災害もリスクとなるのです。
さて、サブリースの場合は、この様なリスクも不動産管理会社が負い、対応もします。つまり、入居者に退去された場合の他にも、天災などの破損などにまで対応してくれるのです。
リスクの回避のみならず、アクシデントの対応にも細かいノウハウがあるものです。ですから、不動産に詳しく無いオーナーの場合は右往左往することでしょう。
しかし、サブリースの場合はトラブルにまで管理会社が対応します。オーナーにとっては安心出来る契約なのです。
サブリースは不動産管理会社の入る契約。そのために発生すデメリットもあります。
具体的なデメリットには、どの様なデメリットがあるのでしょうか。
サブリースは収入が少なめになってしまいます。これは不動産管理会社の取り分が増えるからです。
サブリースの場合、オーナーと入居者の間に立つ部分が増えるため、それだけ管理会社側の負担が増えます。また、様々なアクシデントも対応するので、その分も負担が増えるのです。
例えば、入居者との直接的なトラブルは、通常の管理委託では不動産管理会社は入りません。また、火災や地震などの不測のトラブルにも入らないことでしょう。
しかし、サブリースの場合は管理会社が立ちます。そのため、その分のコストが掛かるのです。
サブリースにおいて不動産管理会社は不可欠の存在。入居者からの家賃の集金をはじめとする入居者対策、修繕などの物件管理の一切を請け負っているからです。
しかし、不動産管理会社であっても、会社である以上は倒産のリスクを無くすことは出来ません。
そして、仮に不動産管理会社が居なくなってしまうと、物件の運営が不安定にもなり得ます。
物件の住み心地は管理のレベルに左右されるので、良く無い管理会社と契約をしてしまうと退去リスクも上がってしまうからです。
この様に、不動産管理会社の倒産リスクは物件運営に大きく影響します。軽い問題では無いのです。
サブリース契約にはオーナーと不動産管理会社でのトラブルが発生することもあります。
法的な問題や契約の無理解などから発生するケースもあるため、注意が必要な点とも言えます。
サブリースにおいて、非常に長い契約期間としているケースがあります。そして、それは、あたかも契約している間の収入を約束してくれる様にも見えてしまいます。
しかし、不動産管理会社から解約を申請して来る場合があります。その場合、オーナーとしては受けざるを得ません。
一般の賃貸不動産の契約においては、退去前の申請により入居者は出て行くことが可能です。これと同じ様に、不動産管理会社も出て行くことがあり得るのです。
「借地借家法」と言う法律があります。賃貸不動産に関係する法律なのですが、特別法と呼ばれる物で非常に効力の強いとされています。
さて、この法律によれば、賃貸契約は正当な理由が無い限りオーナー側からの解約は出来ないとされています。つまり、オーナーの勝手な都合で入居者を追い出すことは出来ないとされているのです。
入居者を守る観点からは非常に優れた法律とも言えます。
ところで、サブリース契約においてもこの法律は適用されます。つまり、オーナーからはサブリース契約の解約が出来ないのです。
この状況はオーナーに不利益が出たとしても変わりません。サブリース契約はそのまま残るのです。
この様に、サブリース契約はオーナー側からは解約が出来ません。仮に解約をしようとするならば多額の違約金が掛かることもあります。
そして、この場合も借地借家法がベースになっているので、借主である不動産管理会社は非常に強い立場に立てます。しかし、オーナーは逆。立場は非常に弱くなってしまうのです。
サブリースは問題が発生することもありますが、上手に付き合えば大きなメリットも受けられます。上手な利用例を挙げてみましょう。
サブリースは時としてトラブルの発生もあり得る契約。しかし、確実に収益が見込まれる場合…つまり入居者が入っていて家賃レベルが高いならば、オーナーと不動産管理会社の双方のメリットが大きくなり、トラブルにはなりにくくなります。
そのため、需要の高いエリアに物件を構えるのが得策となるでしょう。
物件は老朽化のリスクを抱えますが、修繕にしろリフォームにしろ不動産管理会社に任せられるので、安心して任せられます。
ケースにもよりますが大型の物件が有利な場合もあります。
と言うのも、大型の物件となると管理が大変になるから、運営を丸投げにした方が経営が容易になるのです。
特に、大型の物件は管理ノウハウが必要になりますので、管理会社に細かい部分まで任せられれば、オーナーとしてもメリットがあるのです。
サブリースのトラブルは契約内容と法律の無理解から来る物も少なくありません。ですから、契約に踏み切る前に法律の勉強をして、その上で判断するべきなのです。
ここではサブリースに関係する代表的な2つの法律を紹介します。
まず挙げられるのが「借地借家法」と言う法律。前述の様に賃貸不動産に関する法律です。この法律に賃貸契約の権利関係が記載されていますので、契約前には必読とも言えます。
特にサブリースは入居者として不動産管理会社を招く物。オーナーと入居者の関係を確認する上で重要です。
サブリースには広告宣伝などでの問題、勧誘などの問題があり、是正が求められていました。
そこで出されたのがサブリース新法と呼ばれる法律で、主に次の項目が義務付けられる様になりました。
これは不動産管理会社に関するルールの様にも見えますが、オーナー側としても把握しておきたい内容です。ぜひとも知っておきましょう。
サブリースについて解説しました。契約のイメージやメリット・デメリットなどが把握出来た物と思います。
また、問題点なども理解出来たことでしょう。
この様に見てみるとサブリースは怖いイメージを受けるかも知れませんが、上手に出来ているケースも確かにあります。ぜひとも研究を重ね、上手な付き合い方をしましょう。
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