不動産投資信託の購入を検討したことはありますか?実際よくわからないから、手を出せない人も多いことでしょう。
不動産投資信託の特徴を知れば、安心して検討することができるようになります。
この記事では、不動産投資信託の特徴と選び方のポイントについて解説します。不動産投資信託への理解を深め、適切な投資判断を行いましょう。
もくじ
不動産投資信託の特徴
まず、不動産投資信託とはどういったものなのか説明します。不動産投資信託のメリットとデメリットを理解した上で、実物の不動産投資や株式投資と異なる点を把握しましょう。
不動産投資信託(REIT)とは
不動産投資信託とは、投資家から集めて不動産に投資し、得られた収益を投資家に分配する金融商品です。Real Estate Investment Trustの略称でREIT(リート)とも呼ばれています。
その中でも日本の不動産投資信託は、J-REITと呼ばれています。
不動産投資信託(REIT)のメリット
不動産投資信託の代表的なメリットとして、以下の3点が挙げられます。
少額から投資可能で、流動性も高い
不動産投資信託の取引は、証券会社を通して手間なく行うことができます。証券会社や個別商品によって異なりますが、最低では100円から投資可能です。
また、基本的にはいつでも解約できるため、投資額を現金化しやすいといえるでしょう。
分散投資が可能
不動産投資信託の投資対象は、特定の用途の不動産のみに投資する単一用途特化型や、様々な不動産に投資する複合型、総合型があります。
単一用途特化型の不動産投資信託であっても、特定の用途の複数の不動産への投資で成り立っているため、リスク分散効果は発揮されます。
不動産の運用に関する専門知識は不要
不動産投資信託は、不動産の運用自体は専門家が行うため、不動産の売買や管理、運用に関する知識や手間は一切かかりません。
不動産投資信託(REIT)のデメリット
不動産投資信託の代表的なデメリットとして、以下の2点が挙げられます。
災害のリスク
運用している不動産が災害の被害を受けると、大きな損失が発生する可能性があります。
投資対象不動産の地域が多様なほど、リスクが分散されますが、災害は非常に予測しにくいものです。特に日本の場合は、災害大国ともいわれており、いつ台風や地震の被害にあってもおかしくありません。
上場廃止のリスク
不動産投資信託が、証券取引所が定める上場の基準を満たさなくなることにより、大きな損失を被る可能性があります。
上場廃止が決定すると、投資家は不動産投資信託の売却を余儀なくされます。過去のある事例では、上場廃止の決定により不動産投資信託の基準価格が著しく低下し、多くの投資家が大きな損失を被りました。
実物不動産投資との比較
実物の不動産投資と不動産投資信託の大きな違いは2つあります。
1つは、売買における手間と換金性です。実物不動産の場合、不動産を見つけるところから始まり、専門家を介しながら取引の手続きを行います。
一方、不動産投資信託の場合、証券会社を通していつでも簡単に売買ができます。また、現金化したくなっても、実物不動産の場合はそう簡単にはいきません。
買い手を見つけ交渉し、色んな手続きが必要です。しかし、不動産投資であれば、いつでも簡単に解約して換金できます。
もう1つは、投資資金の準備です。実物不動産を購入する場合、借入をするとしてもある程度のまとまった資金は必要になります。
一方、不動産投資信託では、証券会社にて100円から購入することができます。
株式投資との比較
不動産投資信託は、株式投資と比べて高い配当利回りが期待できます。株式の場合、企業が計上した利益から法人税や内部留保を引いた残りが配当として株主に配られます。
一方、不動産投資信託は、利益の90%以上を分配することにより法人税が免除されるのです。
したがって、投資家に利益が分配されやすい仕組みになっています。
また、不動産による利益は、あらかじめ決められた賃貸料収入になるため、安定した分配金が期待できます。
下図は、楽天証券経済研究所が発表している「世界のREITと株式の分配金配当利回りの比較」のグラフです。
出典:楽天証券経済研究所「世界市場でREITが好調!利回りハンターの注目点は?」
(https://media.rakuten-sec.net/articles/-/32554?page=2)世界REITの平均分配金利回りが3.1%に対して、世界株式の平均配当利回りは1.7%です。地域により異なる場合もありますが、一般的にREITの方が、安定して高い分配金が期待できるといえます。
不動産投資信託を買う方法
不動産投資信託は以下の3つの方法で買うことができます。
- 証券会社で、個別銘柄を買う
- 証券会社で、ETFを買う
- 証券会社、銀行などで、投資信託を買う
それぞれの特徴について解説します。
証券会社で、個別銘柄を買う
株式と同様に、証券会社を通じて、証券所に上場している不動産投資信託を1口単位で取引することができます。株式などと並んで「不動産投資信託」あるいは「REIT」という名前で存在しています。
どの銘柄がよいかという判断にはある程度の知識が必要であり、リスク分散の手段も自分で考えなくてはならないため、投資初心者にはあまりおすすめできません。
証券会社で、ETFを買う
ETF(Exchange Traded Fund)とは、上場投資信託とも呼ばれますが、代表的な経済指数に連動するように複数銘柄で構成された商品です。
例えば、東証REITのETFに投資すると、東京証券取引所に上場しているREITにまとめて投資する効果が得られます。
ETFを運営している会社への信託報酬がかかる分、個別銘柄を買うよりも手数料が高くなりますが、どの銘柄に投資すべきかわからない人にとってはおすすめです。
証券会社や銀行などで、投資信託を買う
上記2つは証券会社でしか購入できませんが、投資信託であれば証券会社以外の銀行や信用金庫などでも購入することが可能です。
投資信託の場合、投資家から集められた資金を運用のプロである運用会社がリスクとリターンを考えてREITに投資します。
不動産投資信託を始められる場所が多いことや運用自体はプロに任せられることなどから、最も投資初心者におすすめです。
しかし、一般的にETF以上に運用会社への信託報酬がかかる場合が多く、運用がうまくいっていないと手数料が利回りよりもかかってしまうこともあります。
支払う手数料の中には、売買の窓口となる証券会社や銀行に支払う売買手数料がありますが、これはネット証券を使うことによって削減することができます。
ネットでの取引に抵抗のない人は、ネット証券の方が手数料を安く、かつ、手間なく投資をすることができます。
以降では、投資初心者に最もおすすめである投資信託によるREITへの投資について、ネット証券での商品の選び方を解説します。
ネット証券での不動産投資信託の選び方
ネット証券で現在シェアが大きいのは、SBI証券と楽天証券です。楽天証券は、楽天の他のサービスとの連携を強めながらの宣伝効果もあり、新規証券口座の開設数は大きく伸びています。
ここでは、楽天証券で扱っている商品と管理画面を例に、不動産投資信託の選び方を解説します。
選ぶ根本の考え方自体は、どの証券会社や銀行などでも同じように使えますので、参考にしていただければと思います。
楽天証券での不動産投資信託の分類
楽天証券の商品検索機能である投信スーパーサーチで不動産投資信託について検索すると、全部で200件弱の商品が出てきます。
この中から何を選んだらよいのか判断するのは簡単ではありません。まずはどういった分類ができるのか見ていきます。
投資対象地域
投資対象の不動産の地域によって分類することができます。楽天証券では以下の投資対象地域で分類しています。
- 日本
- グローバル(日本除く)
- グローバル(日本含む)
- 北米
- 欧州
- アジア
- 中国・香港
- オセアニア
- エマージング
商品数では、日本、グローバル、北米がほとんどです。身近で、情報が入りやすい地域の方が投資判断をしやすいため、投資対象として選びやすいのです。
よほど、お気に入りの地域で「損得関係なしに好きだから投資したい」という思いがあれば、投資するのもありかもしれません。しかし、一般的には日本やグローバル、北米の中から選ぶのが無難です。
為替ヘッジありなし
商品の中には、「為替ヘッジあり」または「為替ヘッジなし」と書かれたものがあります。
これは海外の資産について、日本円に換算したときの為替の影響を少なくしたいかどうかで決めます。一概にどちらが良いとは言えません。
例えば、1ドル100円でアメリカの不動産の運用を行い、利益を日本円に戻すとき、1ドル80円になっていたら、日本円での利益は少なくなってしまいます。
反対に、1ドル120円になっていれば受け取れる利益は大きくなります。「為替ヘッジなし」ではこのような為替の影響をそのまま受けます。一方で、「為替ヘッジあり」は不動産運用の利益をそのまま享受しやすくなります。しかし、為替ヘッジにはコストがかかるため、その分の利益は減ってしまうことに注意が必要です。
楽天証券での不動産投資信託の選ぶポイント
不動産投資信託の運用の良し悪しを判断するのは簡単ではありません。経済の動向に関する情報や投資信託の運用に関わるあらゆる要素を考慮しなければならないからです。
しかし、現実的にはそこまでの時間と労力もかけられない場合が多いので、ここでは楽天証券の管理画面で確認できる、最低限着目すべきポイントを解説します。
パフォーマンスチャート
パフォーマンスチャートを見ることにより、今までの実績を把握することができます。
1年、3年、5年、設定来のそれぞれで基準価格+分配金と分類平均を比較します。
不動産投資信託の場合、分配金を出しやすい分、基準価格は値上がりしにくいので、比較するときは、基準価格+分配金に着目します。
また、数カ月の短期的な値動きではなく、長期的に安定しているか、分類平均よりもよいパフォーマンスが得られているかを確認します。
シャープレシオ
シャープレシオとは、簡単に表すと(リターン)÷(リスク)です。どれだけリスクを抑えて効率よくリターンを得られているかを評価することができます。
例えば、1年間で大きなリターンが得られていたとしても、大きなリスクを伴っていたら、次の1年間は大きな損失に変わるかもしれません。
逆に、1年間で小さなリターンしか得られていなかったとしても、リスクが非常に小さければ、安定して確実な運用ができていたとして評価することができます。
いかに、ローリスクハイリターンが実現できているかを調べるためにシャープレシオを使います。この値が高いほど、少ないリスクで大きなリターンが得られているといえます。
管理費用
管理費用は、年率で表されていますが、運用にかかる費用として投資額の中から毎日引かれています。
管理費用が引かれた結果として基準価格が出ているので、しっかりパフォーマンスが出ていれば管理費用の大小は問題ありません。
しかし、管理費用が高いわりにパフォーマンスが良くない場合は、管理費用によって利益が奪われ、投資家は何も得られないことになってしまいますので、今後の大きな成長が期待できない限り、そういう投資信託は選ばないようにしましょう。
まとめ
この記事では、不動産投資信託の概要と楽天証券を例に選び方について解説しました。要点を以下にまとめます。
不動産投資信託のメリット
- 少額から投資可能で、流動性も高い
- 分散投資が可能
- 不動産の運用に関する専門知識は不要
不動産投資信託のデメリット
- 災害のリスク
- 上場廃止のリスク
不動産投資信託の購入方法と選び方
- 投資初心者は、投資信託を買うのがおすすめ
- ネット証券なら手数料が安く済む
- パフォーマンスチャート、シャープレシオ、管理費用は確認すべき
この辺りのポイントを覚えておくと選択をする基準として良いのではないでしょうか。
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