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検証!投資用の木造アパートは劣る物件なのか?

検証!投資用の木造アパートは劣る物件なのか?

「3匹の子豚」という童話があります。藁の家、木の家、レンガの家を造った子豚の話で、最も良い家はレンガの家だったといった内容です。それを見ると木造建築物は劣った存在にも思えてしまいます。

しかし、それは少し嘘臭い様にも思えます。と言うのも、レンガの家は断熱性にも乏しいでしょうし、地震には極めて弱い様にも思えます。…木造の方が性能的に上回る、との見方も出来るのです。

ところで、不動産投資の世界でも「木の家」は重要な存在。木造アパートは忘れるべきではありません。しかし、木造アパートは格下の様にも見られている感じも否めません。

そこで、ここでは木造アパート投資に焦点を絞り、メリットやデメリット、そして本当に劣る物なのかを検証したいと思います。

ウッドショックはありますが、安いのは木造。不動産投資を始めようと思った方なら知っている事ではありますが、果たして木造は劣るのか?を考えてみましょう。

不動産投資の木造アパート投資について

アパート投資は不動産投資でもポピュラーな分野と言えるでしょう。

木造アパートの投資について

それほど広く無い土地であっても柔軟に建てることが出来ますし、住居と併用することも難しくはありません。

では、アパート投資を「木造アパート投資」に絞るならば、どの様な特徴が見えて来るのでしょうか。

購入価格が抑えられる

後述もしますが、木造の在来工法は鉄骨系の建物、ツーバイフォー工法の物などよりも安価に建てることが可能です。

金額的には鉄骨系が坪単価で70万円とも80万円とも言われますが、木造の在来工法では50万円程度で建てることも出来ます。

また、最近では木造の住宅メーカーがコストダウンを目玉にした住宅を展開しています。この動きはアパート建築にも縁が無い訳では無く、アパートのコストダウンを推し進めています。

ちなみに建物のコストダウンが出来れば、余った予算を内装にまわすことも出来ますし、そのまま投資金額を抑えることも可能。物件の差別化にしろコストダウンにしろ、非常に魅力的な建物と言えるのです。

利回りが期待出来る

不動産投資の利益の指標は利回りですが、利回りは投資金額が抑えられれば上がります。ですから、鉄骨系のアパートなどより、坪単価が抑えられる木造アパートの法に軍配が上がるのです。

そして、不動産投資は銀行融資を利用しながら投資用物件を運営するのですが、銀行を上手に利用するならば、自己資金に対する利回りは更に上がります。

これは木造アパートのコストメリットの影響。利回りを上げるのに有利なのです。

大規模リフォームも比較的容易

住宅は家族の変化によって使い方も変わって来ます。例えば、子供の小さい間は子供の遊ぶスペースをリビングに作れば良いのかも知れませんが、ある程度大きくなった段階で自分の部屋が必要ともなります。

また、大人を考えるにしても、年齢を重ねて行くとバリアフリーの必要性が増して来ます。

その様な家族の変化に、家は変えられるべき。つまりリフォームが必要なのです。

木造の場合は柱や梁などの構造部材を除けば、かなりのレベルの改装も可能。これは鉄筋コンクリート造などとは違う、独自のメリットです。

売却までの期間を考えなければならない

木造建築物は建築物としても高い品質を誇ります。耐久性も非常に良く、30年を超える様な物件も珍しく無いほどです。

しかし、そうは言っても鉄骨や鉄筋コンクリート造などよりも耐用年数は短いと法的にはされています。

この耐用年数は法定耐用年数と呼ばれる帳簿上の耐用年数。実力値とは異なります。しかし、銀行の融資は法定耐用年数を重視していて、この耐用年数を超えるほどの古い物件では融資をしたがりません。

そのため、仮に物件が古くなってしまうと売却しにくくなります。帳簿上での価値が無くなり、古い物件では銀行融資を引き出すことも難しくなるからです。

木造アパート投資の場合には、売却までの期間を十分に考えなければなりません。タイミングを逃してしまうと売却が更に難しくなってしまうからです。

「木造」は鉄筋コンクリート造に比べて劣っているのか?

アパート投資にも様々なメリットがあります。

木造アパートは劣っているのか?

しかし、木造アパートは鉄筋コンクリートなどの他の構造に比べて劣っているイメージも無い訳ではありません。

この認識は正しいのでしょうか。

実は「木造だから劣る」と言うのは正解とは言い切れません。木造だから持ち得るメリットも実はあるのです。

ここでは木造建築物の特徴を材料レベルから見て行きたいと思います。

今の「木」の建材について

まずは「木」の素材です。

今の木造建築の材料は集成材や合板を多く使っています。集成材や合板と聞くと安っぽいイメージを持つかも知れませんが、実は非常に優れた特性を持っているのです。

例えば、天然の木材であれば節などがあるため、強度が均一とは言えません。

しかし、集成材の場合は節などを取って作っているため、強度の均質が保たれています。また、集成材の場合は自然の木材では出来ない様な大きな断面の部材の製作も可能なのです。

ちなみに素材の耐久性ですが、林業関係者の言葉と借りるならば、50年とも60年、あるいはそれ以上の期間、使用が可能なのです。

木造の耐久性について

では、その様な木材を使った木造建築物の耐久性は、どのくらいのレベルなのでしょうか。

建物の耐用年数と聞くと法定耐用年数を思い出すかも知れません。木造や鉄筋コンクリート造など、細かい耐用年数の設定があります。

しかし、建物の実際の寿命は違います。

建物の寿命は使い方次第で相当長くなります。実際、木造の住宅メーカーのアフターサービスのシステムを見るならば、50年レベルのメンテナンスを請け負ってくれます。つまり、それだけ長く使うことが可能なのです。

木造の耐震性について

日本は地震大国とも呼ばれる国。建物に関しても耐震性の点で心配な人も多いことでしょう。

ところで、木造の建築物も耐震性能に関する法律が変わって来ました。基礎や柱や梁などの構造部分に関する規定が変わり、耐震性の向上が図られたのです。

そのため、木造であっても、建築物は十分な耐震性を持ちます。安心して利用出来るのです。

実際、木造建築物の耐震性は2000年に改正されていて、強度アップがされていますし、住宅会社などでは、人工的に建物に振動を与え、破壊するかどうかの実験も行っています。

その条件でも大丈夫な様に木造建築物は造られています。安全性は高いのです。

木造の強み断熱や防音について

断熱や防音に関しても木造住宅は優れています。と言うのも、木造住宅は壁や窓などの改装が比較的簡単であるため、断熱材や防音材を自由に設置することが可能だからです。

例えば、断熱の技術には壁の内部の断熱材の性能を上げる物の他、建物そのものを断熱材で包んでしまう物など、いくつかの工法があります。木造の建築物はこれらに対応が可能。断熱や防音の性能アップは可能なのです。

現在の木造の防火性について

木は燃える素材ではありますが、今の木造建築物は燃えない素材で外壁や屋根を構成しているので、火災には強い構造となっています。特に延焼に強いのです。

例えば、今の外壁材の主流は窯業系サイディングですが、これはセメント系の素材を使った物。そのため燃えません。

木造アパートの注意点

さて、木造アパートにおいても投資を考える上での注意点があります。

木造アパートで注意すべき点

ここでは代表的な注意点を挙げてみましょう。

ローンの期間について

不動産投資には銀行融資が欠かせませんが、銀行融資の期間は基本的には法定耐用年数の期間までなのが一般的です。

木造の場合は22年なのですが、ローンの組めるのも22年となるのです。鉄筋コンクリート造などは47年となっているので、その差は歴然と言えます。

そのため、返済に使える期間が短くなってしまうため、毎月の融資の返済額も大きくなってしまいます。

資金計画もシビアになってしまい、綿密に考えなければならなくなるのです。

ちなみに不動産投資は中古物件の方が利回りが良いために人気が集まりますが、耐用年数に気を付けないと、融資の条件が大変にもなり得ます。購入の際には融資についても十分な検討が必要です。

木造アパートの売却について

木造アパートは先にも挙げた様に素晴らしい特性があるのですが、その特性は意外に知られていない点もあるため、売却で不利になることもあり得ます。

不動産投資の利益確保の手段の1つが売却ですが、売却は計画を立てなければならないのです。

投資用物件の売却先は一般には他の投資家となります。そして、その投資家の決断材料は物件の収益性。

木造建築物は格下のイメージがありますから収益性にも劣ると思われがちで、これが不利であることの要因の1つとも考えられます。

その他にも、耐用年数が短いのも不利な材料。新たな投資家も銀行融資を利用するため、融資に有利な物件でなければなりません。

しかし、耐用年数の短い木造は融資にも不利。別な投資家もこの点を嫌って、敬遠される可能性もあるのです。

古過ぎる物件について

古すぎる物件は要注意の場合があります。と言うのも、今の建築基準よりも甘い基準で建てられていたからです。つまり、様々な基本性能が落ちる場合が多いのです。

例えば、基礎は耐震性を決める上で非常に重要なのですが、昔の住宅と今の物では仕様がずいぶん異なります。

これは基礎の強度や機能に差があることを意味します。性能が今の物件に対して劣る面があるのです。

また、シロアリなどの被害を受けるリスクも基礎の構造によって違います。今の物はシロアリ対策を取っていますが、昔の建物は対策をあまり打っていません。

この他にも外壁や屋根も異なります。物件全体に注意が必要なのです。

木造の物件を安全に利用するために

木造の物件を購入する場合には、安全に利用するための注意点もあります。ここでは、代表的な注意点を挙げてみましょう。

木造物件を安全に利用する為に

騒音対策や断熱について

木造アパートを自分で建てるのであれば、騒音対策にしても断熱にしても、納得の行くまで検討が可能。しかし、中古の木造アパートを検討するならば、十分に注意をしなければなりません。

と言うのも、壁の中の構造が見えないから。断熱材が入っていたとしても湿気などで性能が落ちているかも知れませんし、思ったよりも性能的に劣る物が入っている場合もあるからです。

木造アパートの場合はリフォームでの設置が比較的簡単ではあるのですが、それは費用が高くなり過ぎて利回りを落としてしまう可能性が高いです。

リフォームよりも最初から状態の良い物件を買った方が良いので、最初の段階でしっかりと選ぶ様にしましょう。

シロアリ被害などの確認も

木造の建築物にとって最も深刻なダメージの1つにシロアリの問題があります。シロアリは土台や柱などを食い荒らし、部材の内部をスカスカにしてしまうからです。

「シロアリなんて駆除さえすれば良い」と思っている人もいるかも知れませんが、シロアリによって部材の強度が落ちてしまうと、耐震性などの性能まで落ちてしまうこともあります。

そのため、シロアリ被害などの徹底的な確認も必要です。素人の目には分かりにくいので、専門の業者に相談するのがベターでしょう。

インスペクションの活用

中古の物件の場合、そこにどんな悪い要因が隠れているか分かりません。部材が腐食しているかも知れませんし、地盤が沈んでいるかも知れません。

当然ながら、その様な詳細なチェックは素人では出来ません。

そこで活用したいのがインスペクション。建築のプロが床下などまで行って、建物の状況をチェックします。

ただし、インスペクションは有料で費用も結構大きな額です。この出費は確かに利回りに影響しますが、やはり必要な初期投資も必要。最初から予算に入れておくとベターです。

まとめ

木造物件について紹介しました。木造建築物には特有のメリットがあることが分かったことと思います。

また、木造物件の注意点などもイメージ出来たことでしょう。

木造物件はコストを落としながら、他の様々な性能を持つメリットの多い物件。購入するタイミングなどを検討しなければなりませんが、投資用物件にしてはいかがでしょうか。きっと気に入ると思います。

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清水みち代

関東在住の30代女性。 生保代理店で窓口営業に従事していましたが、コロナの影響で休業中。 自宅にいる時間に資格取得に目覚め、通関士、宅地建物取引主任者、FP2級、総合旅行業務取扱管理者の各資格を取得。 将来の目標は、北海道での「田舎暮らし」。

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