不動産投資には多くの経営判断をする場面があります。大きな部分では、どの様な物件を購入するかの判断、どの様なローンを組むかを決める判断などがあるでしょう。
さて、この様な経営判断はもしかすると「経験と勘」で出来るかも知れません。しかし、多くの人はそれが困難です。
そんな時に役立つのがシミュレーションです。ところが、ネットを探せば様々な不動産投資シミュレーションが見つかりますが、どの様な物なのかが案外知られていない様にも思われます。
そこで、ここでは不動産投資のシミュレーションを取り上げて、メリットや注意点などを解説したいと思います。
もくじ
不動産投資シミュレーションを行うメリット
まずはシミュレーションのメリットを取り上げてみましょう。
複雑で高度な計算が手軽に出来る
不動産投資シミュレーションの第1のメリットは「複雑で高度な計算が手軽に出来る」点に尽きます。
不動産投資で必要となる計算は電卓を叩いて出来る計算とは少し異なります。と言うのも、必要となる計算は単なる四則演算だけでなく、複雑な関数も組み合わせ無ければならないからです。
例えば、不動産投資ローンなどで出て来る複利計算ですが、単利の計算とは違って関数が複雑。一般で使われる電卓では計算が困難です。しかし、シミュレーションを使うならば、その様な計算も瞬時に答えを出してくれます。操作も容易なので、数字が苦手な人にとっても強力な武器になるのです。
様々な計算条件を入力出来る
シミュレーションは簡単で手軽。そして、計算条件を細かく変えながら使うことが可能です。この点が第2のメリットと言えます。
不動産投資の計算は1通りで済ませるべきではありません。降り掛かるアクシデントも多いので、条件を変えながら計算することも必要なのです。
例えば、物件購入のシミュレーションですが、金利や自己資金などの条件を変えながら計算をすることが必要となるでしょう。
この様な条件を変えながらの計算は、シミュレーションだからこそ可能な物。大きなメリットなのです。
リスクヘッジにも有効
不動産投資には様々なリスクがあります。大きな物では空室リスクや家賃減額リスクなどがあります。しかも、空室の発生などは、どのタイミングで発生するかが予測は出来ません。空室の発生は入居者の都合によることなので、オーナーの立場からの予測は立てられないのです。
しかし、シミュレーションであれば、入居率などを計算に入れればキャッシュフローへの影響も計ることが出来ます。リスクヘッジの点でも重要と言えるのです。
シミュレーションする事で可能な難しい計算ってなに?
シミュレーションは条件を変えながらの計算が手軽ですが、算出可能な値はいくつもあります。その中には簡単には算出が出来ない物も少なくありません。
ここでは、シミュレーションで可能な主な計算を挙げてみましょう。
キャッシュフローの計算
キャッシュフローは不動産投資の資金管理で非常に大切。経営の体質まで分かる数値と言えます。
さて、不動産投資シミュレーションでは、キャッシュフローの簡易計算が可能です。
物件の種類や築年数、そして購入価格などを入力すれば、大まかな数値が算出可能。更に計算条件を細かく変更すれば、更に高い精度のキャッシュフロー予測も可能となるのです。
例えば空室発生の場合にはキャッシュフローは大きく落ち込んでしまいます。
そのキャッシュフローの落ち込み具合は、空室の戸数などからは通常では算出が困難です。
しかし、シミュレーションを使えば、入居率を入力することによりキャッシュフローの変化も計算が可能。経営計画の立案に非常に役立ちます。
実質利回りの計算
不動産投資において利回りの計算は非常に大切です。物件の資料を見ると利回りの掲載もありますが、特に遠隔地の物件を検討するならば、その数値は非常に参考になります。
ところが、そこに掲載されているのは実質利回りではありません。あくまでも参考にしかならないのです。
しかし、シミュレーションをすれば実質利回りのアウトラインも算出が可能です。実質利回りの計算では、経費や税金の積算なども必要ですが、シミュレーションではその様な計算も自動で出来ます。これも経営判断に大きく役立つのです。
ローンの計算
物件の購入には多額の資金が必要なので、不動産投資ローンが欠かせません。しかし、ローンは複利計算が関係して来ることもあり、かなり難しい計算が必要です。
さて、不動産投資シミュレーションを利用するならば、非常に手軽に、しかも精度の高い計算が可能となります。
イメージ的には、住宅ローンのシミュレーションと同様に、物件の価格と自己資金、金利などの条件を入れればローンの返済額まで出て来ます。金利を細かく変えることも出来るので、ローン返済の計画立案には非常に有用と言えます。
ちなみに、不動産投資のシミュレーションの場合、ここで使われるデータをキャッシュフローの計算にも使われます。1つの操作で全体を瞬時に計算してくれるので、投資家としては、有難いツールと言えるでしょう。
減価償却費
減価償却費はキャッシュフローを考える上で大切です。
ただし、減価償却費も計算が異なります。条件としては建物の構造による区別と言うことが出来ます。
例えば、鉄筋コンクリートと木造では償却期間が異なります。鉄筋コンクリートと木造では建物の構造が異なるからです。鉄筋コンクリートは47年、木造は22年ですから、償却期間の差は歴然です。
この計算はやはり複雑。しかし、シミュレーションの活用によって、正確な計算が簡単になります。良い経営の判断材料になるのです。
不動産投資のシミュレーションの際にしておきたい作業
この様に、様々な計算が簡単に出来るのですが、シミュレーションをするに当たっても、それに併せてしておきたい作業があります。ここでは、シミュレーションと同時にすべき作業を挙げてみましょう。
シミュレーション条件と結果の記録
シミュレーションは様々な計算が簡単に出来るため、結果だけを記録しがちです。しかし、計算は条件を明記することが大切。シミュレーションの結果に併せて、どの様な想定での条件であるかも記録しておきましょう。
例えば、シミュレーションには大規模改修などの大きなイベントを盛り込める物もあります。その様なシミュレーションと改修計画を一緒に記録・保管しておけば、その時が来た時の判断材料にもなり得ます。
また、仮に修正の必要が発生したとしても、計算条件が記録してあれば、再度シミュレーションをする場合にも有用となります。
計算の流れも確認したい
シミュレーションの中の計算は全部がブラックボックスに入っている訳ではありません。サイトなどにもよるでしょうが、計算の流れを記載しているところもあります。シミュレーションを使うならば、計算の流れを確認するのがベターです。
仮に計算プロセスの全体を分かっていなかったとしても、アウトラインが分かれば、どの様な根拠でシミュレーション結果を出しているかが分かって来ます。そうすると、仮に不測の事態が起きたとしても、対処の糸口が見つかりやすくなります。
シミュレーションに入る事になるリスクの例
今の不動産投資シミュレーションは非常に高度に作られていて、中には不動産投資のリスクも計算に入れることが可能な物もあります。しかも、計算精度が非常に高くなるので、活用次第では大きな武器になってくれます。
そこで、ここではシミュレーションに入れることが可能なリスクの例を挙げてみましょう。
空室リスク
シミュレーションにもよりますが、入居率を計算に入れることが可能な物もあります。つまり、空室リスクをあらかじめ計算に入れることが出来るのです。
空室の影響の予測は、物件の状態や家賃など様々な要因が絡み合うので非常に困難。しかし、一定の数値を入れることによって、キャッシュフローへの影響を計算出来ることは、経営をする上で有用です。
家賃減額リスク
物件は築年数が経つと家賃が下がって行く物です。新築時には高かったとしても、すぐに家賃のレベルは落ちてしまいます。
さて、シミュレーションには家賃の下落を計算に入れることが可能な物もあります。つまり、家賃下落リスクを反映させることも可能なのです。
これは、家賃の下落率をある程度決めておいて、築年数に比例させるイメージで下げて行く物。実際の家賃下落とは推移が異なるかも知れませんが、リスクヘッジの観点から言うならば、非常に有用な計算となります。
大規模改修の出費
物件の維持のためには改修が欠かせません。
細かい物であれば部屋の原状回復レベルになるかも知れませんが、1棟マンションなどの場合は外壁や屋根などの大規模改修も必要となります。この場合の改修費用は非常に大きくなり、資金繰りに困ることもあり得ます。
しかし、今のシミュレーションには大規模改修をあらかじめ計算に入れられる物もあります。
大規模改修の時期と金額を入力しておけば、発生する費用のキャッシュフローへの影響を計算してくれるのです。
改修のタイミングと金額の計画は確かに難しいのですが、近似的な数値でも計算に入れれば後々に役立ちます。
不動産投資関連のシミュレーションをする上での注意点
不動産投資のシミュレーションが非常に有用であることは分かったことと思います。しかし、シミュレーションも完全ではありません。活用する上でも注意点があるのです。
ここでは、不動産投資シミュレーションを使う上での注意点を挙げてみましょう。
楽観的過ぎるシミュレーションは禁物
不動産投資シミュレーションは精度の高い計算が可能。
そのため、その正確性に甘えてしまい、ついつい楽観的な計算に走ってしまうケースが見られます。しかし、その様な楽観的過ぎる計算は非常に危険。ギリギリを狙うことはビジネス上で良くありません。
仮に楽観的な計算に走ってしまうと、後で何等かのアクシデントが発生した場合、対応が難しくなることもあります。後で余裕を持って対処するためにも、楽観的過ぎる計算では無く、余裕を持たせることが大切です。
計算はあくまでも「目安」
不動産投資シミュレーションは「完全に正確」という訳には行きません。あくまでも「目安」なのです。
例えば、シミュレーションの中には大規模改修を計算に入れられる物もあります。
改修のタイミングや予算などをあらかじめ入れられるので非常に便利なのですが、全部が計画通りに行くとは限りません。もしかしたら、改修の費用が予算をオーバーすることもあり得るのです。
また、物件の購入もシミュレーション内で計算出来ますが、細かい金利の変動などまでは反映させることは困難です。
シミュレーションはあくまでも机上での計算。精度は高いのですが、現実と差が出ることも忘れない様にしましょう。
ビジネスパートナーのアドバイスも欲しい
シミュレーションは高精度の計算が可能なので、その通りに動けば事業が上手く行く様に思えて来る物です。しかし、シミュレーションだけで済む程に現実は甘くはありません。シミュレーションを考える上でも情報収集は大切なのです。
仮に情報収集を抜きにしてシミュレーションをしてしまうと、計算条件そのものが間違える事態もあり得ます。
そこで必要となるのがビジネスパートナーのアドバイス。入居率をどれくらいに見るか、改修をどのタイミングでするかは、経験則による部分も多いです。不動産会社などのビジネスパートナーのアドバイスを拝聴する様にしましょう。
まとめ
不動産投資のシミュレーションについて取り上げました。シミュレーションの利便性や精度の高さがイメージ出来たことと思います。
また、計算はあくまでも目安であることも理解出来たことでしょう。
不動産投資は複雑な計算が絡み合うビジネス。計画を立てるにもシミュレーションが大切です。ぜひともシミュレーションについても良く知り、安全な投資としましょう。
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