不動産投資において良質の投資用物件は必要不可欠ですが、その投資用物件を考えるにあたっては社会的環境も考えなければなりません。
さて、今の日本の高齢化は留まる気配も無く、毎年深刻になって来ています。
では、その様な社会問題がある中で、不動産にはビジネスチャンスは無いのでしょうか。ここで考えたいのがバリアフリー化です。
しかし、不動産投資オーナーは意外とそこまで考えて無いのではないか…と危惧されます。そこで、ここでは投資用不動産のバリアフリー化について考えてみたいと思います。
もくじ
不動産投資とバリアフリー化
まずは不動産投資とバリアフリー化の関係性を考えてみましょう。
中古不動産の現状
今の住宅はバリアフリーの配慮がされていると、基本的には言えます。
段差は非常に小さくなりましたし、手すりなども設置されています。そのため、お年寄りなどの運動能力の落ちた人であっても、快適な生活を送れます。
しかし、中古不動産の場合には必ずしもそうではありません。特に築年数が経った物件…バリアフリー化が叫ばれる以前の物件においては、段差解消などが少なかったのです。
そのため、転倒などの事故の発生確率が高くなり、安全性が今の物件に劣るのです。
バリアフリー化による差別化
不動産投資には良質の物件が欠かせないのですが、この点を「生活の利便性」や「リーズナブルな家賃」くらいにしか考えない投資家も多いのでは無いかと思います。
しかし、実はそれだけではありません。「他物件との差別化」も必要なのです。
例えば、不動産を探す時に最初に話題になるのは家賃、あるいは立地としましょう。…では、その次はどうでしょうか。やはり、他物件よりもメリットのある物件を紹介すると思われます。それは設備面であれば食洗器やディスポーザーが付いている物件かも知れませんし、収納に工夫を凝らした物かも知れません。
それでは、ここで不動産会社に来た入居希望者がお年寄りの場合はどうでしょうか。…ここで生きるのがバリアフリー化された物件です。投資用物件として、バリアフリー物件が選ばれる可能性が高いと言えるのです。
投資用不動産のバリアフリー化のメリット
では、バリアフリー化のメリットには、どの様な点が挙げられるのでしょうか。
客付け力のアップ
第1のメリットとして挙げられるのが、客付け力のアップです。
前述の様に、現状ではバリアフリーに特化した物件は新築物件は別として、中古の物件ではあまり多くはありません。ですから他物件に対する差別化が可能です。
また、今後の社会の高齢化を見据えてもバリアフリー化はメリットがあります。また、バリアフリー物件の数よりもお年寄りの数が増えれば需要の増加が見込めるからです。
その結果として、高齢者に優しい物件に人気が集まることが期待出来ます。つまり客付け力がアップするのです。
空室リスクの低減
バリアフリー化は空室リスクの低減にも繋がります。
不動産投資の物件の魅力は空室リスクの低減にダイレクトに繋がると言えるのですが、まさにこの「物件の魅力」が「バリアフリー化」でもあるからです。
そして、その部分に魅力を感じるのが、お年寄りをはじめとした体力的に弱点を持つ人なのです。そして、お年寄りの人口は今後も増加するものと思われます。そのため、空室リスクの低減も狙えるのです。
高額家賃が狙える
家賃は不動産の収益性によっても決まります。その収益性は様々な要因でもあるのですが、その1つにバリアフリーが来るのは言うまでもありません。これからの高齢化を考えると、物件の需要が上がり、収益性のアップも狙えるからです。…そして、それだけ家賃のアップも望めるのです。
さて、入居者も家賃のアップには応じることと思われます。と言うのも、バリアフリー化を進めた物件であれば、それだけ便利になるからです。
投資用不動産のバリアフリー化の具体例
では、バリアフリー化の例には、どの様な物があるのでしょうか。代表的な例を挙げてみましょう。
段差解消
まず挙げられるのは、やはり段差解消になるでしょう。
今の物件の段差解消は相当に進みましたが、やはり中古物件においては解消から程遠い物もあります。例えば浴室まわりの段差。浴室は水を扱うために段差が必要と考えられますが、今のユニットバスには段差解消を進めた物もあります。
また、玄関の様に段差があって当然とされる部分もあります。
しかし、それであってもバリアフリー化をすることも可能なケースも多いです。完全に段差は解消されないかも知れませんが、利便性の向上には繋がるのです。
間取りの工夫
間取りの工夫も大切です。
今の住宅の間取りはLDKを中心とした間取りです。しかし、バリアフリー化を考える場合はLDK中心と言うより、寝室中心がベターです。浴室やトイレなど、寝室から近いところに集め、夜間などでも移動が楽に出来る様にすることがポイントなのです。
また、寝具は布団では無くてベッドの使用が基本。ですからベッドを収納するスペースは欲しいです。
スロープの設置
スロープは車いすへの対応が目的だけでは無く、「歩きやすさの向上」と言った点でも重要です。
と言うのも、運動能力が落ちてしまうと段差が怖くなることもあり、移動も面倒に感じてしまうからです。その場合には、外出まで面倒になってしまって歩かなくなり、更に運動能力の低下もあり得ます。
しかし、スロープを付ければ車いすの対応は元より、歩きやすくなるため、外出もしやすくなります。
外出はメンタルヘルスの上でも重要。健康的な生活のためにも大切なのです。
手すりの設置
手すりは足の弱った人にとって非常に大切な設備です。今の住宅では設置されている物件が多いのですが、中古の物件には付いているとは限りません。
さて、手すりは単に付いていれば良いという訳ではありません。手すりは握りやすく、しかも適切な位置と高さに設置しなければならないのです。また、手すりは階段などだけでなく、バリアフリーを進めるためには玄関やトイレなど、「しゃがむ」「かがむ」などの体重移動のある部分にも必要です。
いずれにしても、せっかくバリアフリー化するのであれば、手すりであっても形状や必要な位置を研究すべきと言えます。
コンセント位置の工夫
コンセントの位置は意外に低い位置にあるため、使用する際には「かがんで」差し込む必要も出て来ます。
さて、運動能力の落ちた人は「しゃがむ」「かがむ」の動作が苦手になります。そのため、ある程度の高さ変更も必要となります。
ただし、あまりに高くすると電源コードの位置が悪くなり、足に引っ掛かるリスクも出て来ます。差し込むのに少し楽になる程度とするのが良いでしょう。
車いすへの配慮
車いすへの配慮があると更に良い物件になります。
さて、車いすの使用を考えるならばスロープの設置で十分と思うかも知れませんが、実はそれだけではありません。例えば、車いすの通行出来る廊下の幅なども必要ですし、段差の解消も一層進めなければなりません。また、スロープを作るにしても休み場を作る必要もありますし、左右にターンするスペースが無ければなりません。
そして、それらの配慮の行き届いた物件が良質の物件となるのです。
実施のためには車いすの研究も必要です。より良いバリアフリー物件とするためにも、ぜひとも研究しましょう。
不動産のバリアフリー化の注意点
次にバリアフリー化の注意点を挙げてみましょう。
過度に優しすぎない様にする
バリアフリー物件は運動能力の落ちた人々にとって「優しい物件」で無くてはなりません。しかし、その一方で「優しすぎてもいけない」ことを覚えておきましょう。
と言うのも、運動能力の落ちた人々に楽過ぎる生活空間を造ってしまうと、運動能力が退化してしまい、今まで出来た動作も出来なくなってしまうからです。
先のコンセントの例で考えるならば、コンセントを高すぎない様にするのは「かがむ動作」の機会をゼロにしない意味もあります。運動能力の維持のためにも、過度な優しさは禁物なのです。
費用に気を付ける
バリアフリー化は費用が掛かります。そして、良い設備を設置するためには一層の出費がかさみます。
そのため、バリアフリー化にあたっては費用の管理が非常に大切です。
と言うのも、いくらバリアフリー化と言っても投資用物件であることには変わらず、利回りは確保しなければならないからです。しかし、バリアフリー化の投資額で利回りは圧迫されます。利回り確保のためには、やはり費用の管理を厳正にすることが大切なのです。
設備設置の可否を確認する
住宅のバリアフリー設備は便利なだけでなく、様々な場所に設置することが可能です。
例えば昇降機の様な設備は、今ではリフォームで対応出来る様な物も登場し、更に便利になっています。
しかし、いくら便利になって来たとしても万能と言う訳には行きません。設備には設置出来る場合もあれば対応が出来ない場合もあるのです。
ですから、バリアフリー化を考える際には、その設備が設置が可能かの確認が必要なのです。
依頼先について
物件のバリアフリー化を依頼する場合には、工事業者を良く検討しなければなりません。
と言うのもバリアフリー化には建築の知識だけでなく、介護に関する知識も必要だからです。例えば車いすを操作する場合、スロープの角度がどれくらいであれば自力で走行出来るか…などは、建築しか知らない人には難しい問題です。
バリアフリー関連の資格としては、福祉住環境コーディネーターがあります。業者を探す時には、この資格を持っているスタッフのいる会社がベターと言えるでしょう。
介護者の動きも知っておこう
バリアフリーの建築物と言うと、その当事者の動きの考察が重要です。…しかし、実はそれだけではありません。介護者の動きも知るべきなのです。
例えば、車いすは自力で走行するだけでなく、介護者の助力が必要な時もあります。特に腕も弱くなっている人の場合は、なおさら助けが必要なのです。
そのため、建築としては、その介護者の動きも知っておく方がベター。介護者の動きも計算に入れた良い住宅が作れるのです。
バリアフリー化のすゝめ電動設備の導入について
バリアフリー設備には電動の設備があります。良い例としては段差様の昇降機などが、小さな物ではトイレの電動開閉などがあります。これらの導入はメリットもありますが注意点もあります。
ここでは、電動設備について考えてみましょう。
電動設備のメリット
電動設備は自力では困難なことも可能にしてくれるので、非常に便利な設備と言えます。
例えば階段昇降機の様な物は、階段を上ることが肉体的に厳しくなっている人にとっては非常に便利です。また、トイレの開閉も簡単に思えるかも知れませんが、微妙な位置での体重移動が発生します。そのため、脚力の弱った人にとっても非常に便利です。
この様に、電動設備は自分で出来なくなったことを代わりにしてくれるので、非常に有用と言えるのです。
電動設備の注意点
電動設備を設置するに当たっては、その設備が設置出来るかの確認も必要なのですが、その設備を駆動させるだけの電気を供給するかの確認が必要です。
また、トイレの電動開閉などは新規で配電工事などもあり得ます。手すりやスロープとは別のノウハウが必要なので、業者選定に気を付けなければなりません。
まとめ
不動産投資とバリアフリーについて取り上げました。物件の差別化のために有望であること、将来の高齢化の対応としてビジネスチャンスがあることがイメージ出来たことと思います。
その一方で、優し過ぎてはいけないと言った注意点があることも把握出来たことと思います。
不動産に対する需要はこれからも変わって行きます。それが高齢社会に関する需要であれば、バリアフリー化はその答えの1つにもなるでしょう。投資家もそこに対応出来れば大きな成功を狙うことも可能なので、しっかりと勉強して、これからの時代に対応しましょう。
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