不動産投資には投資用不動産を購入するだけの資金が必要なのですが、不動産小口化商品は多額の資金を必要としないメリットがあります。そのために人気が高く、需要に供給が追い付かない現状もあります。
さて、投資ビジネスにはメリットもあればデメリットもある物。不動産小口化商品に関しても同じで破綻の危険性さえあります。
それでは、破綻に繋がる要因にはどの様な物があるのでしょうか。また、破綻のリスクを下げるためには、どの様な点に気を付けるべきなのでしょうか。
ここでは、不動産小口商品について、その要因や対策を中心に取り上げたいと思います。
もくじ
不動産小口商品のリスクを要チェック!
まずは不動産小口商品のリスクを再確認してみましょう。
不動産小口化商品は実物不動産投資ほどの危険とは思いにくいのですが、実は致命的な物も存在します。
事業者の倒産
不動産小口化商品の第1のリスクは事業者の倒産です。
確かに不動産小口商品を扱う事業者は行政にも認められた会社ですが、それであっても倒産のリスクをゼロにすることは出来ません。経済環境や事業の状態によっては倒産もあり得るのです。
さて、不動産小口化商品はタイプによって不動産の所有か否かが決まり、不動産の所有権が残る物もあります。しかし、所有権が残ったとしても事業者が管理をしていた状態と同じ様に収益を上げられるとは限りません。場合によっては税金だけが掛かる物件にもなり得るのです。
物件の運用悪化
物件の運用状況の悪化も破綻の要因です。
そもそも、投資用不動産は入居者が入っていなければ収益は発生しません。そして、入居者は物件があれば入る訳では無く、物件での生活に納得して家賃を支払うのです。
そのため、仮に物件の管理が悪かったり、魅力が無くなったりしたならば、入居者に愛想を尽かされてしまい得るのです。また、物件が悪ければ、そもそも入居者を呼び込むことも出来なくなってしまいます。
そして、この様な事態は、いくらプロの不動産会社であってもゼロには出来ません。事態が悪くなってしまい、破綻もし得るのです。
不動産小口投資のリスクと破綻
ここで、リスクと破綻の関係性を改めて考えてみましょう。
リスクと破綻は混在されて考えられそうですが、実は位置が少し違います。
破綻はリスクの発現から
リスクはあくまでもリスクであり、それがリスクである限りは経営には影響はありません。リスクは「存在」ではなくて「発現」によって経営に支障をきたすのです。そして、リスク発現による支障が大きくなれば破綻の危険性が出て来るのです。
例えば、物件の管理が悪くなれば空室リスクが大きくなります。しかし、いくら空室リスクが大きくても入居者が退去せずに家賃を支払う限りは経営には支障はありません。経営に支障が現れるのは、「入居者の退去」や「入居者が家賃を払わない」ことになってから。ですから、リスクの存在は破綻とは分けて考えるべきなのです。
実際、リスク対策をしっかりするならば破綻は避けられます。例えば、物件の管理が悪くなったならば、管理会社を変えれば状況は打開され、リスクは低減し、経営の安定化も図れます。リスクと破綻は違うことを覚えおきたい物です。
リスクを取り過ぎると破綻に近づく
しかしながら、リスク要因が多くなれば、それだけに破綻に近づくことは間違いありません。
ただし、これは投資家がリスク対策を多方面にしなければならないから、と言うことが出来ます。
例えば、物件がボロボロになった場合には空室リスクが上がります。そして、その状況に併せて、近隣に道路が出来て騒音が著しくなった場合には空室リスクが更に上がります。更に、地域の風紀が乱れれば、更にリスクが上がるかも知れません。
これをリスク対策から考えると、1つのリスク対策は可能であっても、複数のリスクの同時対応は難しさを増します。つまり、それだけ経営に支障が出やすくなり、破綻の可能性も上がるのです。
「リスクを敢えて取る」ことの危険性
投資ビジネスはリスクとリターンが同居する物。そこで、「敢えてリスクを取ってリターンを得よう」とする投資家が居ます。例えば、築古の物件を購入してリノベーションをDIYでする投資家。成功例を見るならば、驚異的な利回りを叩き出しています。この報告だけを見るならば、実に魅力的で「私も…」と思う人も居るかも知れません。
しかし、その報告はあくまでも「成功例」であり、それ以上に「失敗例」もあることを忘れるべきではありません。楽観視は危険なのです。
リスクを敢えて取ることが大成功に結び付くことは確かにあります。しかし、大成功の裏には大失敗のリスクがあることを忘れない様にしましょう。
不動産小口投資が破綻に繋がるリスク要因
この様に、破綻はリスク要因の対策が出来ていないことから来る物。ですから、リスク要因を知っておかなければなりません。
では、不動産小口投資の投資家が抱えるリスクはどの様な点があるのでしょうか。
事業者の経営状態を確認しない
まず挙げられるのが、投資家が事業者の経営状態を確認しないことです。
前述の様に、不動産小口商品を扱う会社は公に認められた企業ではあるのですが、倒産リスクがゼロであるとは限りません。優良とされた場合であっても、問題を抱えるケースもあるのです。
また、その事業者はネット上に現れるだけで、投資家からは見える部分は多くはありません。しかも、投資家が不動産会社の評価スキルが低い場合には見誤ってしまうことが多くなり、リスクが高くなるのです。
物件のリスクを確認しない
物件のリスクを確認しないことも危険な要因です。
不動産小口化商品は不動産のプロが選ぶ商品。しかし、物件にはどこまでもリスクが付く物なのです。
例えば、不動産投資は中古物件の方が利回りは高くなるのですが、築年数が経ち過ぎてしまうと故障が多くなってしまい、修繕費用がより多く必要になって来ます。場合によっては配当が出ないかも知れません。
さて、このリスクの存在を承知しているかどうかで、物件の選定条件が変わります。知識の差や確認漏れが危険要素となるのです。
不動産投資の知識不足
不動産投資を知らないことも危険です。
不動産小口化商品は物件の運営を事業者に委託出来る点がメリットで、投資家は実質的に何もする必要はありません。
しかし、不動産投資を知るか知らないかで、物件を見る「目」が違って来ますし、事業者にぶつけられる質問も違って来ます。そして、不動産投資の知識があれば、事業者とのやり取りの中で「事業者の問題点」に気が付くかも知れないのです。
不動産を扱う上では知識が非常に重要。知らないことは命取りにもなるのです。
ちなみに不動産小口化商品のリスクを調べると、小口化商品のリスクのみが挙がりますが、不動産投資そのもののリスクが出て来る機会は少なめです。リスクを掘り下げる時は「更なる1歩」が必要なのです。
情報を鵜呑みにする
情報を疑って掛かるのは問題がありますが、情報を鵜呑みにすることも危険です。
特に、不動産会社の中にはメリットだけを強調し、デメリットをあまり言わないところもあるからです。
例えば、海岸近くの物件であれば、物件からの展望を強調するかも知れません。しかし、その一方にある塩害による設備の劣化リスクに関してはあまり説明しないこともあり得るのです。
ですから、不動産会社の説明を聞く時には注意が必要。デメリットの有無を突っ込む姿勢も大切なのです。
投資を集中させてしまう
1つの物件に資金を全部投ずることは危険です。仮に、投資先が何等かのアクシデントで潰れてしまった場合、投資家としてのビジネスの全部も終わってしまうからです。
例えば、投資金額を1つの物件に集中させれば、その物件のある地域に大地震などの自然災害が発生した時に大ダメージを受けてしまいます。
知っておきたい!破綻をしないための知識!
それでは、破綻をしないために知っておくことが必要な知識とはどの様な物でしょうか。
代表的な物を挙げてみましょう。
宅建業者の評価のための知識
宅建業者を評価する知識は倒産リスクを推測する上で必要です。
さて、不動産小口商品を扱う業者は宅建業者でもあります。宅建業者は免許を取得して営業していて、免許番号を公表しています。そして、免許番号を読むならば更新回数が分かるので、今までの不動産会社としての実績がどれくらいかを推し量ることが可能です。
また、資本金のチェックも大切です。資本金は企業の安定性を計る上で役立ちます。
ぜひとも、これらの確認方法を知っておきましょう。
不動産評価の知識
不動産鑑定はプロの仕事なので、素人が入り込む余地はありません。
しかし、部分的であったとしても、不動産の評価が出来ることは武器になります。
例えば、建築の知識があれば不動産を知る上で有用です。物件情報に記載のある内容、例えば物件の築年数から耐震基準が分かりますし、構造を合わせて見れば法定耐用年数も分かります。また、間取り図を見れば窓と部屋の配置も分かり、部屋の明るさなども分かります。
この様な知識は確かに専門的です。しかし、強い武器になるので、ぜひとも知っておきたい物です。
地域性を知ることも大切
日本の国土は案外広く、その地域に併せて建物は建っています。例えば、日本海側の雪深い地域では積雪に耐えられる構造になっていますし、台風の強烈な九州の建物は屋根に工夫がされています。
また、地域によって受け入れられやすい仕様もあります。例えば、沿岸地域であれば腐食に強い部材が望まれます。日射が強烈な地域であれば屋根に遮熱性も求められることでしょう。
さて、物件選びの際に、この様な「地域を知ること」が分かっていれば、選ぶ物件も違って来ます。より良質な物件を選ぶ上で有利になるのです。
ちなみに、不動産小口化商品の場合、資料だけでは不明の点も多くあります。そのため、現地確認も必要となるかも知れません。その点、地域を知るスキルがあれば、現地確認の時にも有利です。より良い物件が選べる様になります。
不動産管理の知識
不動産投資において不動産管理は重要です。と言うのも、物件の状態は住み心地に直結するからです。管理が悪くなると物件の状態が悪くなり、故障なども増えてしまい、生活にも影響し得るのです。
また、管理が悪い場合には空室リスクや家賃下落などのリスクも発生します。状態の悪い物件は客付け力も落ちてしまいますし、高い家賃では納得出来ないからです。
さて、不動産管理は事業者の負担にはなりますが、管理について何も知らないと、説明を受けたとしても理解が及ばないこともあります。しかし、管理に関しても知っておけば事業者のレベルなどを知りやすくもなります。不動産管理の知識は物件選びや業者選びにも有用なのです。
法的な知識も欲しい
不動産の扱いには法的な知識が欠かせません。契約の効力や法律の優先順位など、様々な場面で出て来るからです。しかも、契約に関係する部分は非常に大切で、契約後のトラブル回避のためにも大切なのです。
法律の勉強は確かにハードルが低くはありません。しかし、事業者と良い関係を持つためにも大切です。ぜひ積極的に勉強をしましょう。
裁判事例の知識も役立つ
不動産関連のトラブルは時として裁判にも発展します。特に資金に絡む問題は裁判で争われることが多いです。
そのため、裁判事例を知っておけば有利に話が進められる場合もあります。
不動産関連の裁判は多いのですが、日頃から勉強をしておけば後で役立ちます。ぜひとも勉強しましょう。
まとめ
不動産小口化商品の破綻について取り上げました。破綻に結び付くリスク要因なども掴めたことと思います。リスクを知れば、それだけ破綻の対策にもなるので、重要です。
いずれにせよ、不動産小口化商品であっても知っておくべきことは多いです。リスク回避、更には破綻から身を守るためにも、積極的に不動産投資を勉強しましょう。
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