「水害」と言うと以前を振り返るならば「過去に起きていた災害」でした。治水の良くない時代に見られた災害…と認識していた人も少なく無いと思います。
しかし、昨今になって、その様相は変わりました。水害が問題になって来ているのです。
そのため、不動産投資家としても災害に対する認識を新たにして、水害への対策を知っておくことが必要となったのです。
そこで、ここでは水害について、災害事情から水害の危険性、そして対策などを紹介したいと思います。
もくじ
昨今の災害事情
冒頭にも挙げましたが、今の災害は昔の物と原因や特徴が異なります。そのために災害の現れ方も違うのです。
ここでは、今の災害の原因から水害に至るプロセスなどを挙げてみたいと思います。
気象の問題
災害の前に覚えておきたいのが、近年になって大きくなった悪条件、特に気象に関する問題です。
と言うのも、昔と今とでは気温がずいぶん違うからです。特に夏場の気温は非常に高くなり、街を歩くのも危険をさえ言われる様になりました。
そして、これは単なる気温の変化には留まりません。因果関係は解明されていないものの、大雨の発生が増えたのです。
想定出来るプロセスとしては、気温や海水温が上がれば、暖かく湿った空気が日本に流れ込むことも考えられます。その結果として日本は大雨に見舞われることもあり得るのです。しかも、この様な条件が続けば、大雨も引き続き起こるとも予測し得る…と言ったシナリオも出来るのです。
都市型水害が問題になっている
日本の街も昔と比べて大きく変わりました。治水はしっかりとしているものの、地面はアスファルトやコンクリートで覆われ、水が地面に染み込みにくくなったのです。
その結果、大雨が降った場合でも、その雨水は地面に吸い込まれずにアスファルトの上を流れる様になりました。そして、治水はしっかりしているものの、場合によっては治水設備による排水が追いつかず、水害の発生が問題になったのです。
これは都市型水害と呼ばれる物。ゲリラ豪雨の問題と共に目立つ様になった問題と言えます。
尚、都市型水害には河川が溢れることから発生する物もあります。しかし、これも地面をアスファルトなどで覆ったことが理由の1つとなる水害です。
水害の例について
では、実際の水害はどの様に起こるのでしょうか。
代表的な例を挙げてみましょう。
河川などの氾濫
まず挙げられるのが河川などの氾濫です。
雨が降り過ぎると降った地域の雨水は河川に流れ込みます。その雨の量が多く無ければ河川はそのまま流れるのですが、雨の量が多過ぎる場合には溢れてしまうのです。
さて、昨今は大雨のニュースを聞くことが増えました。時には県境を超えるレベルの広さで大雨が降ることもあります。雨が多くなれば河川の危険性が増加しますので、昔よりも水害リスクが増えてしまったのです。
排水設備の容量を降水が上回った場合
街には雨水を河川などに流す排水設備があります。街はアスファルトなどで覆われているので、雨は地面には染み込みにくくなっています。そのため、排水設備が必要なのです。
しかし、この排水設備にも容量があります。そして、雨水が排水設備の容量を上回ってしまった場合には、排水設備から水が逆流し、水害が発生してしまうのです。
また、仮に排水能力が十分であっても、排水をしたために河川が溢れることもあり得ます。いずれも深刻な水害をもたらしてしまいます。
津波
津波は海底で発生する地震などによって、海面が上下に動く時に引き起こされます。そのため、地面の変動が大きければ、それだけ海水の動きも多くなり、大規模な津波が来るのです。
尚、津波は日本近辺で発生する地震のみが原因となる訳ではありません。実際、1960年に発生しチリ地震津波は南米のチリで起こった地震の影響。チリで発生した地震による津波が22時間で日本に来ています。「地球の裏側だから大丈夫」とも必ずしも言えないのです。
高潮
高潮は海面が盛り上がる現象なのですが、津波とは発生プロセスが異なります。津波は地震などの海底の異常によって起こるのに対し、高潮は台風や低気圧などで海水が吸い上げられ、強風によって海岸に吹き寄せられる物と言えます。
高潮には台風や低気圧などが伴い、強風や激しい雨が襲いかかります。そのため、避難が難しくなるケースもあり得ます。台風情報などには注意が必要です。
ちなみに、満潮時の高潮は被害を一層大きくし、家屋への浸水被害も多くなり、危険度がより上がります。
土砂崩れ
土砂崩れは水害とは違いますが、大雨が降った場合に起こりやすいので、雨と同時に注意が必要な災害。広い範囲が土砂に埋もれてしまい、救助なども難航する対応が難しい災害とも言えます。
特に、今は大雨が広い地域で発生する場合も多く、発生の範囲も規模も大型の場合が増えています。
不動産投資をする際に、行うべき水害対策
この様に、水害は非常に深刻で対応も簡単ではありません。
そのため、対策は多く取っている方がベターです。
ここでは水害対策の代表例を挙げてみましょう。
ハザードマップの確認
まず挙げられるのがハザードマップの確認です。
ハザードマップには避難場所だけでなく、被災想定区域や避難経路などまで記されてあります。洪水や浸水などの想定地域まで記されているので、災害対策の上で確認する意味は大きいです。
また、ハザードマップは物件取得時にも役立ちます。特に、今では部屋を選ぶ側も、災害対策に関しては敏感になっているケースも少なくありません。ハザードマップの上で安全と思われる地域に、物件を取得することが安全性をより確実にするため、客付けにも効果が期待出来ます。
敷地のかさ上げ
水は高い地点から低い場所に流れます。そのため、敷地をかさ上げしておくと、水が流れ込みにくくなり、安全性がアップします。
特に低い地域では少しでも高くすることが、水の侵入に対して有効です。
ただし、敷地のかさ上げにはコストが伴いますので、予算管理の上で注意が必要です。
排水ポンプの設置など
排水ポンプの設置も有効です。床下浸水の際の水抜きに役立ちます。/p>
床下浸水は床上まで届かないので軽視されるケースもありますが、基礎まわりを痛めてしまいますし、衛生上良くありません。
ちなみにポンプを使わないで組み上げる場合とポンプを使って組み上げるのでは、作業効率が10倍も違うとか。非常に役立つアイテムです。
防水パネルなどの設置
ゲリラ豪雨などの発生に伴い、建材メーカーは防水パネルやシャッターの商品化を進めました。これにより、建物内部への浸水を防ぐことが可能になります。
防水パネルは地下鉄の浸水対策などで使われていたアイテムなのですが、特に都市型の水害が頻発する様になったことを受けて登場した物です。コスト的にもリーズナブルな物もあるので、物件取得の際には併せて用意するのがベターです。
不動産投資をする上で、注意が必要な地域
投資用不動産の取得においては購入費用を安く上げることが、利回りアップのために非常に重要です。
しかし、いくら収益性が良くて安いからと言っても、災害対策がほとんど無い様な物件は考え物です。物件の取得においては、一層の注意が必要なのです。
では、注意すべき地域とは、どの様な場所を言うのでしょうか。
海抜の低い地域
海抜の低い地域は水が流れ込みやすいので注意が必要です。
ただ、海抜の低い地域であっても収益性が見込めるケースも少なくはありません。
良い例が東京の江東区で、隅田川と荒川に挟まれ、水害リスクが非常に高い地域。しかし、この地域には高価なタワーマンションもあり、不動産投資家としては無視したく無い地域であるのも確かです。
ですから、検討する際には、物件の排水対策がどうなっているかなど、しっかりと確認することが大切になります。
河川の近い地域
河川の近い地域も注意が必要です。前述の通り、河川は排水が流れ込み、溢れる可能性があるからです。
ただ、河川に近い場所でも良い物件は多くあります。避難場所や排水装置などを良く確認して決めましょう。
過去に水害が発生した地域
過去に水害が発生した地域も注意が必要となるでしょう。古くから水害に苦しめられて来た地域の場合には、地形そのものが良くない場合もあり得ます。
ただ、過去に水害があった地域には水害対策に注力していることが少なく無いのも確かです。ハザードマップなどをしっかり確認することが大きなポイントとなるでしょう。
勾配のある地域の下の方
勾配のある地域、例えば坂道が伸びている場所の下の方は、上から水が流れ込んで来るので注意が必要です。
ケースにもよりますが、上から流れて来た水に併せて、汚水が逆流して来ることも考えられます。
ですから、購入を検討する際には、建物の排水設備がどの様な物かを、しっかりと確認して決めましょう。
保険についても確認したい
不動産投資のリスクヘッジには保険の活用が欠かせません。
ただ、保険においても確認するべきことがあります。
保険の適用範囲を確認しておく
まず保険で確認したいのは「適用範囲がどこまでか」です。
と言うのも、保険は補償がケースバイケースだからです。ですから、補償の範囲をウロ覚えでは無く、しっかりと確認しておくことが非常に大切になります。
また、地震が原因となる津波は地震保険が適用となるのですが、破損の程度におって保険金の額が異なります。あらかじめ調べておきましょう。
申請方法も確認しておこう
火災保険は災害を受けたら補償はすぐに出る物と言う訳ではありません。
火災保険は申請をしてこそ補償が降りるのです。ですから、申請の方法を確認しておくことも必要なのです。
また、火災保険は破損の状況によって支払われるので、被災の証明なども必要となります。また、修理にあたっての見積もりなども必要です。
被害を受ける前に用意出来ることもあります。事前に準備するのがベターでしょう。
投資した中古マンションで水害に対する警戒ポイント
不動産投資は新築よりも中古の方が利回りが良い物。ですから、投資家からするならば魅力のある場合が少なくありません。
しかし、災害対策は避けて通れない物。注意すべきポイントがあります。
共用部分がポイントとなる
マンションの場合、水害がダイレクトに迫るのが外構部分とエントランス、あるいは駐車場などの共用部分になります。敷地の外から迫って来た水が、エントランスを経て廊下に来ることが考えられるからです。
ですから、外構部分やエントランス部分の排水構造がポイントとなるでしょう。
また、立体駐車場が設置されている物件も排水構造をチェックしなければなりません。ケースによっては車が水びたしになってしまうこともあり得ます。注意が必要です。
防水設備の有無
中古物件であっても防水設備を設けている物件はあります。良い例が防水パネル。構造は簡単なのですが、水害から守る点では非常に効果的です。
ただし、これらの防水設備は造られた年代などによっても大きく変わります。物件をチェックする時には、防水設備の有無も見る様にしましょう。
理事会の体質も重要
マンションの共用部分は管理規約の都合があるので、勝手に変えることは出来ません。自分の部屋の玄関ドアだけ水密性の高い仕様に許可を得ずに工事…と言う訳には行かないのです。
しかし、管理組合が防水工事に積極的であるならば、物件を水害に強い仕様に変えることが可能です。
ですから、中古物件購入を検討する際には、理事会がどの様な体質であるかも見るようにしましょう。
まとめ
不動産投資の水害について取り上げました。災害と聞くと地震を思い出すことも多いでしょうが、水害も非常に危険であることを再確認出来たことと思います。
また、水害対策もイメージ出来たことでしょう。
いずれにせよ、災害対策がいい加減な物件では家賃収入を上げることは困難です。しっかりと対策を打ちましょう。
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