投資信託の資料を見るならば必ず見かけるのが「元本割れがあり得ます」との文言。大損するのではないかと、恐怖感を覚えた人も少なく無いことと思います。
確かに投資信託も投資ビジネスの1つですから、元本割れの可能性は納得出来ます。しかし、多くの資料を見るならば、基準価額を上げて来た経緯が見えるばかり。大損のリスクなどは片鱗も見えません。
しかし、投資信託だって安全とは言い切れないのは確かです。悪い条件が重なるならば、驚く程の大損もあり得るのです。
そこで、ここでは投資信託の損失について、大損に至る経緯なども交えて紹介したいと思います。
もくじ
投資信託の損失の種類
まずは投資信託の損失の種類を挙げてみましょう。
損失と言っても種類によって、その性質が違うことが分かることと思います。
基準価額の下落による損失
まず挙げられるのが基準価額の下落による損失です。基準価額は投資信託の価格とも言える数値なのですが、投資が上手く行かない場合には値を下げてしまいます。そのまま売却してしまうと、基準価額を下げた分だけ損失となるのです。
例えば、海外投資などの場合、為替や外交上のアクシデントなどによってリスクが現実の物となってしまいます。良い例としては経済制裁や戦争などによる値下げです。
また、海外の場合には国家レベルのアクシデントもあり得ます。その場合には債券の格付けが最低レベルに落ちることも。基準価額を持ち直さない場合には、そのまま評価額が落ちたままになってしまい、事実上の損失ともなり得るのです。
償還による損失
投資信託には償還日を決めている物があります。投資が上手く行けば償還日に利益を投資家に還元するのですが、投資は上手く行くとは限らず、マイナスとなって償還される場合もあります。これが償還による損失です。
更には、投資が上手く行かない場合には償還日を待たずして繰上償還をしてしまうケースもあり得ます。投資が上手く行かないままで終わるので、損失の危険性は高いと言えます。
ちなみに、投資信託には償還日を設定しない無期限の物もありますが、このタイプであっても、状況によっては償還してしまうこともあり得ます。損失に結び付くのです。
損失が大損にまで膨らむ経緯
さて、投資信託の損失は小さいままで済む場合と大きく膨らんでしまう場合があります。では、小さい損失が大きくなってしまう経緯には、どの様なシナリオがあるのでしょうか。
慌てて売却してしまった
まず挙げられるのが「慌てて売却してしまう例」があります。
投資信託の基準価額は変動する物です。物にもよりますが、1日にして5%も6%も落してしまうことが少なくありません。しかも、それが連続的に起こることもあり得るのです。
その様な時に、投資家によっては「このまま持ち直さないのでは無いか」と慌てて売却してしまい、損してしまうこともあり得ます。更には、数日後になって急落に気が付き、損切りに遅れてしまって損失が膨れ上がり、大損に至ることもあり得ます。
特に、基準価額が上昇している局面に購入し、期待に反して突然大きく落してしまう場合などは危険です。経済情勢に悪い要因しか見当たらない場合など、恐怖感が先に立ってしまって売却をしてしまい、損失を膨らませてしまうのです。
損切りを失敗した
基準価額が下落している場合に考えなければならないのが「損切り」です。基準価額が下がり過ぎる前に売却してしまい、損失を最低限に抑えるのです。損切りはタイミングを見切ることが大切。持ち直すかどうかも併せて冷静に判断しなければなりません。
しかし、冷静であったとしても判断を間違ってしまうこともあります。損切りのタイミングを失ってしまい、そのまま損失を膨らませてしまうこともあり得るのです。
そして、場合にもよりますが、損失を大きく膨らませた状態で繰上償還などの事態になってしまうと、高確率で大損をしてしまうのです。
リスクを見誤った
リスクを見誤ることも大損に繋がり得ます。
例えば、海外の投資はリターンも高いのですが、それと同時にハイリスクでもあります。海外の場合には新興国の様な元気な国に投資が可能なメリットもあるのですが、カントリーリスクや為替リスクなど、リスク要因が多いのです。
そして、リスク要因を見誤ってしまうと、そのリスクが現実の物となってしまい、大損にも繋がるのです。
ちなみに、ロシアは新興国の1つに数えられていたのですが、戦争を始めてしまい、経済制裁を受けるに至りました。その結果として国債の価値が非常に大きく下がってしまいました。この「戦争」はカントリーリスクの最たる物の1つ。投資信託の落とし穴でもあるのです。
投資信託で大損に至る理由
失敗には「理由」があるものですが、投資信託にも失敗はあり、その失敗には理由があります。そして、失敗を避けるためにはリスク要因の排除が重要なのです。
では、失敗の理由には、どの様な物があるのでしょうか。
知識が不足していた
投資信託の大損の理由の1つに「知識不足」があります。
利益を上げるためには知識が必要。基準価額の変動要因、各種リスク要因、どの様に増えて行くかなど、投資信託の仕組みを知らなければ良く無いのです。
例えば、債券などは金利によって変動しますが、金利の変動が基準価額にどの様に影響するか、知識は必要です。
この点、仮に知識が乏しいのであれば、変動に対して一喜一憂してしまい、値が突然下がった場合などはパニックに陥って慌てて売却すると言った事態にもなり得ます。
しかし、知識があれば判断も冷静になるでしょう。大損の回避には知識が必要なのです。
計画を立てなかった
投資信託においても計画性は非常に大切です。どのくらいの期間にするか、目標額をどれくらいにするかなど、最初の段階で考えておかなければならないのです。無計画は大損の大きな原因の1つなのです。
仮に、その計画が出来ていない場合には、利益の確定が出来ないこともあり得ます。「もう少し高くなるかも知れない」という心理が働いてしまい、タイミングを逃してしまうのです。
そして、これは損切りに関しても言えること。先にも挙げた様に、無計画だと損切りのタイミングを逃してしまい、損失を膨らませてしまうのです。
良く調べてファンドを選ばなかった
投資信託は良く調べて選ぶべきです。仮に、調査をあまりせずに有望と判断してしまって大金を投じてしまうと、そのまま大損に転落することもあり得ます。
例えば、科学技術に投資をする場合には近未来の社会情勢まで考えなければなりません。考え無しに「テクノロジーは有望」と判断するのは良く無いのです。投資しようとした技術の代替技術が登場したならばどうでしょうか。場合によっては投資先の破綻もあり得るのです。
しかし、投資先と周辺の環境を考えるならば、最初の判断とは別の判断が可能かも知れません。大損も回避出来るかもしれないのです。
リスクを考えなかった
株式投資、不動産投資…投資ビジネスには少なからずリスクが付く物です。投資信託においてもリスクは存在し、時として表面化して大損を発生させます。
そのため、「リスクを考えていなかった」ことは大損に繋がります。
例えば、新興国を中心とした海外不動産投資信託を買った場合、現地のリスクを知っていないと損失してしまうこともあり得ます。新興国の場合には建築にしても土木にしても、日本ほどの品質を持っていない場合もあります。つまり、建築関連のカントリーリスクの認識不足が大損を起こし得るのです。
ギャンブル程度に捉えていた
投資信託はあくまでも預金ではありません。投資ビジネスの1つです。
資金の運用をファンドマネージャーに任せるのではありますが、ファンド選びや計画などは投資家自身による物。立派な投資ビジネスなのです。
しかし、「どうせハズレもあるからバクチと同じだろう」とギャンブル感覚で捉えている人が少なくありません。そのため、「ハズレも仕方が無い」と思ってしまうのです。
この様な感覚で数百万円の資金を投ずるならば、状況にもよりますが大損をしてしまう可能性があります。計画を立てず、全部をギャンブルとして捉えるならば仕方の無いことなのかも知れません。
投資信託で大損を避けるためには
この様に、投資信託には大損に至る経緯がいくつもあるのですが、対策が無い訳ではありません。100%の防御は難しいにしても、大損を避ける対策はあるのです。
では、大損を避けるにはどの様にしたら良いのでしょうか。
計画を立てる
まず挙げられるのが「計画を立てること」です。
投資信託の種類、投資期間、目標額などをあらかじめ決めておくのです。また、基準価額の下落が起こった場合の損切りや利益の確定をどうするかも考えておくべきでしょう。
いずれにせよ、計画を立てておけば後々に困る可能性も低くなります。リスク低減のためにも、しっかりと計画を立てましょう。
ギャンブルと捉えない
先にも挙げましたが、投資信託をギャンブルと捉えることは良くありません。ギャンブルと考えてしまうと、行き当たりばったりになってしまいますし、利益の確定も損切りも出来なくなってしまいます。
また、人にもよるでしょうが、失敗から反省をすることも無くなるでしょう。ビジネスの失敗は反省しながら次の機会に生かすのですが、ギャンブルの「負け」は「スッてしまった」程度の感覚となるからです。
あくまでも投資信託はビジネス。ギャンブルと考えないことが大切です。
尚、ギャンブルと捉えなければ、そこから戦略や計画の重要性に気付きます。
止め時を忘れない
投資信託は基準価額の管理も大切なのですが、止め時を見切ることも大切です。利益が確定した段階でのストップ、あるいは損切りのためのストップは大切なのです。
仮に、見切るタイミングを見誤りますと、利益の確定に失敗してしまいますし、損切りに失敗して大損してしまうのです。
ですから、運用の際には基準価額の監視と共に、計画との比較も大切です。計画していた数値になった段階で止め、利益の確定や損切りを確実にすべきなのです。
リスクの分散を忘れない
投資ビジネスはリスクヘッジが非常に大切。そのためには分散させることが非常に重要です。投資対象、投資のタイミングを変える必要があるのです。投資を分散させるならば、何等かのアクシデントが発生したとしても、損失を小さいレベルで抑えることが可能です。
アクシデントの発生によってファンドが上手く行かなくても、分散していれば被害は少なくて済みます。分散させてリスク回避を確実にしましょう。
信用取引と大損
一般の投資信託は不動産投資の様に銀行融資の利用は出来ません。しかし、信用取引を利用するならば、大きな投資が可能となります。ただ、この選択は危険です。どの様な点で危険なのでしょうか。
ここで考えなければならないのが「運用が上手く行かなかった場合」についてです。
投資信託を無借金で行うならば、大損とは言っても新たな借金には繋がりません。500万円が100万円に減ったとしても、大損ではあっても借金は残らないからです。
しかし、信用取引だったらどの様になるでしょうか。ケースにもよりますが、元本割れどころでは無くマイナスにもなり得るのです。大損にも繋がる危険行為なのです。
ただし、信用取引の全部が危険であるとは限りません。計画を立ててリスクヘッジをしっかりすれば、危険性の度合いは減ります。
まとめ
投資信託の大損と経緯について取り上げました。大損をする理由などについてもイメージが出来たと思います。
また、大損を避ける手法についても把握出来たことと思います。
いずれにせよ、投資信託は計画やリスクヘッジなど、基本的な方策を取るならば危険性は減ります。大損の回避のためには基本的な対策を重ねていれば軽減出来るので、可能な限り対策を練って実行しましょう。
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