不動産投資のトラブルには様々な物があります。良い例が騒音で入居者間でのトラブルになりやすい問題と言えるでしょう。
ところで、騒音クレームの来た問題のある部屋を訪ねてみたら、室内が雀荘になっていたらどうでしょうか。オーナーは非常に驚くに違いありません。
この様なケースはあり得ないと思うかも知れません。しかし、例は少ないながらも実際にあり、オーナーを困らせるのです。
そこで、ここでは投資用物件の用途外使用について取り上げたいと思います。思っていたよりも問題が深いことに気が付くことでしょう。
もくじ
用途外使用とは何か?
まずは、物件の用途外使用とはどの様な物かを解説します。
居住用以外で使用されている状態
不動産の目的は、基本的には居住用と事業用に分かれます。居住用がアパートやマンション、事業用はテナントなどです。この内、不動産投資の物件の場合は、多くが居住用物件となります。そして、居住用以外に物件が使用されている状態。これが用途外使用です。
さて、冒頭にも挙げた様に、室内での麻雀これが個人レベルで行われるならば事業用にはならず、問題にはならないかも知れません。しかし、入居者が事業として不特定多数の人を集め、営利目的で麻雀を行っているのであれば用途外使用となります。
尚、居住用と事業用では建物の使われ方もずいぶん違います。発生する騒音の他にも、設備の劣化が早く進むリスクが出て来るのです。
賃貸契約には目的が定められている
アパートやマンションの契約書を見ると、建物の使用目的を決める条項があります。この条項は非常に重要です。
そして、そこには目的以外の用途では使っていけないことも記載されています。
例えば、目的を住居用として契約するならば、事業用途としては使ってはいけないことを謳っているのです。
さて、不動産投資の投資用物件の多くはマンションなどの居住用不動産ですので、事業には使ってはいけません。仮に使った場合には契約解除の対象にもなり得るのです。
管理規約違反にもなり得る
マンションにおいては管理規約も定められています。マンションは多くの世帯が集まって生活する場所なので、必要なことがルール化されているのです。
さて、管理規約には使用の制限も記載してあり、共用部分の使い方が多く出ています。また、管理規約には専有部分に関してもルールを決めている場合もあります。
例えば、専有部分での宿泊事業を禁止すると言った条項が出ている場合も。仮に専有部分のルールを破った場合には管理規約違反になってしまうのです。
不動産の用途外使用の問題点
さて、建物の用途外使用は契約違反になるのですが、この違反行為によって様々なマイナス要素が生まれます。
では、用途外使用によって、どの様な弊害が生まれるのでしょうか。
他の入居者の迷惑になる
まず挙げられるのが「他の入居者の迷惑になる点」です。
例えば、冒頭に挙げた様に雀荘に使っていた場合には、麻雀牌のかき回す音が周囲に響くかも知れません。また、雀卓を囲んでの談笑も騒音になることでしょう。これらの騒音が夜中まで続いたならば非常に困る迷惑行為にしかなりません。
また、部屋の中で飲食店が経営されていた場合など、場合によっては周囲に臭気が流れることもあるかも知れません。しかも、それがベランダから入って来たりすると、洗濯物にニオイが付くかも知れません。 他にも、不特定の人たちが訪れるのも風紀などの点で良くありません。
いずれにせよ、マンションでの共同生活が破壊されます。他の入居者にとっては迷惑なのです。
設備の劣化が早い
用途外に使う場合には設備の劣化が早くなることもあり得ます。
例えば、室内で飲食業を営まれた場合にはキッチンの老朽化が著しくなる可能性があります。特に、排水管への影響が大きく、普通に使うよりも早い段階で詰まりやすくなるとも考えられます。また、壁紙などの内装も汚れやすいです。
さて、これを不動産投資家の立場から考えるならば、非常に困った事態と言わざるを得ません。と言うのも、想定していた時期よりも早く設備が劣化してしまったならば、修繕費やリフォーム費用に必要以上に費用が発生してしまうからです。
当然ながら、この様な状態はキャッシュフローに悪影響を及ぼします。用途外使用は危険なのです。
避難の問題
マンションやアパートの玄関ドアは一般の住宅用ドアと大きさがあまり変わりません。また、ベランダに設置してある脱出用ハッチもそれほど大きい物ではありません。
さて、用途外に使われて一般の住宅よりも多数の人が集まった場合、そして、その中で火災などが発生した場合には、避難の点で問題が発生し得ます。玄関が狭くて逃げ遅れるケースが考えられるからです。
確かに、今は燃えにくい内装材を使っている部屋も少なくありません。しかし、火災の場合は数秒の差が命取りになる場合も考えられます。用途外の使用は良くないのです。
絶対にダメ!用途外使用の例
では、用途外使用にはどの様な例があるのでしょうか。
代表的なケースを挙げてみましょう。
飲食業の経営
例えばカフェやバーなどのケースがあります。いずれも不特定多数の人が訪れる場所です。
カフェやバーの場合には飲み物や食事の提供もあり、キッチンの老朽化を早める危険性があります。また、アルコールを出す場合には騒ぎ始める場合もあり得ます。特に共用部分で大勢が騒いだりすると非常に迷惑です。
「ホームパーティーが大丈夫なのだから飲食業を開いても問題ない」と思われるかも知れませんが、実はそうでは無いのです。
エステサロンなどの経営
エステサロンと聞くと、非常に規模が小さくて誰にも迷惑を掛けない様な営業に思えるかも知れません。
しかし、不特定の女性が出入りすることは、静かなマンション生活を望む人にとっては、やはり迷惑なのです。
また、不特定の人が出入りし過ぎるのは、例え共用部分であったとしても、風紀や安全管理の面で問題があり、良くないのです。
風俗店経営
風俗店の経営は実際に頻繁に聞く問題で、言うまでも無く有害です。
ただ、風俗店側も知恵を絞っている様子で、実際にマンションの部屋の中で営業をするのでは無く、派遣する女性の待機の場所などとして使用し、バレない様にカモフラージュするケースが見られます。
いずれにせよ、この様な業態は風紀上良くありません。何等かの対処が必要なのです。
倉庫
マンションも広くなれば、倉庫としての活用も可能です。例えばファッション関係の小物であれば、十分に置き場を確保出来ることでしょう。
当然ながら倉庫の使用も目的外です。
尚、最近は通販のための商品のストック場所としても使われている様子。静かに営業されているので、発覚しにくい場合もあります。
学習塾経営
学習塾の経営も用途外です。特定しているとは言え、多人数で入ることは望ましくありません。
特に、学習塾の場合には子供が騒ぐ場合が少なくありません。そして、その騒がしい声は近隣に迷惑を掛けてしまいます。
また、子供たちが廊下に集まったり、エレベーターを占領してしまうのも問題。入居者の使用を妨げてしまいます。
パソコンなどによる仕事
パソコンなどによる仕事…例えばデザイナーや設計者など、今ではフリーランスで営業している人も多く、マンションが仕事場になっているケースは少なくありません。
さて、この様なケースも用途外です。
確かに、この様な仕事であれば他の入居者に迷惑を掛けることは少ないかも知れません。しかし、契約上は「居住用」であり、「事業用」では無いのです。他の人に迷惑を掛けるかどうかが問題では無く、契約上の問題なのです。
レンタルオフィス
レンタルオフィスは最近になって非常に増えています。ある程度のスペースと机と通信回線があれば始められる点が魅力と言えそうです。
さて、レンタルオフィスとして使うことも用途外の使用。完全に事業用で住居用では無いからです。
また、レンタルオフィスの場合には短期間の契約の場合もあり、利用者の回転も早いです。そのため、実質上は不特定の人を収容することになってしまいます。契約の上では完全にアウトなのです。
用途外に使用された場合には
この様にマンションなどの場合には、ある程度の広さと設備があれば、様々な商売をする人が入り得ます。
では、仮に物件をその様に使われてしまった場合には、どの様なアクションが取れるのでしょうか。
契約の解除
まず挙げられるのが契約の解除となるでしょう。
言うまでも無く、用途外での使用は契約違反。しかも、多くの場合が迷惑を近隣の入居者に掛けてしまうからです。
ただし、後述しますが、契約は簡単に解除出来る物ではありません。条件によっては解除出来ない場合もあるのです。
用途を守らせる
次に挙げられるのが「用途を守らせること」です。つまり、物件内での事業を一切辞めさせ、居住用として使ってもらうことです。
ただし、この場合は入居者に出て行かれるリスクが生じます。特に、初めから内緒で営業目的として契約していた場合、新たな物件を求めて退去させることも考えられるからです。
入居者に出て行かれたら家賃収入が無くなってしまうので判断は難しいのですが、状況によっては英断も必要になるでしょう。
利用を認めるのもアリ
そのまま利用を認めること…これも条件が揃えばアリと捉えられます。入居者との契約は家賃をアップするなどして、物件の利用をそのまま認めるのです。
ただし、この場合には管理規約が大きなハードルにもなり得るので、管理組合との話し合いが重要となります。また、近隣の住民対策として、騒音の対策なども必要となるかも知れません。
契約解除について
先にも挙げましたが、用途外の物件利用は契約違反です。
しかし、場合によっては司法の介入もあり、話が逆転する場合もあり得るのです。
では、契約解除をめぐっては、どの様な状況があるのでしょうか。
契約解除が認められやすい物と認められにくい物がある
用途外使用は確かに問題です。しかし、実際には出て行かないケースもあるのです。
と言うのも、第1には「契約解除が認められやすい物と認められにくい物」があるからです。
先に挙げた例で考えるならば、マンション内での風俗営業などは認められやすいです。これは有害と判断されやすく、周囲への迷惑も著しいからです。
しかし、デザイナーなどのパソコンで仕事をしている人の場合、自宅と兼ねている場合も少なくありません。その様な状況を鑑みられると退去しなくても良いことにもなり得るのです。
用法違反と共に信頼関係の破壊が条件となる
さて、条件の第2には「信頼関係の破壊」が条件になります。
不動産契約の場合には「相手との信頼関係」がベースとなり、契約が取り交わされます。つまり、相手を正直者であるとして締結されるのです。
しかし、用途外利用は悪意による物もあります。最初から内緒で店を開く前提で契約を結んだりする行為です。
その場合、オーナーとしては「こんな条件であれば貸さなかった」とか「騙された」と感じることでしょう。つまり、裏切り行為です。
この場合には「信頼関係の破壊」が認められ、契約解除が出来る様になります。
ちなみに、この様な入居者との交渉はこじれる場合もあり得ます。弁護士に相談するのがおすすめです。
まとめ
投資用物件の用途外使用について取り上げました。用途外使用の具体例から問題点なども把握出来たことと思います。
また、自分の持っている物件内で行われたら、それだけ面倒な問題となるかイメージ出来た人も多いことでしょう。
ただし、用途外利用は対処によって解決するのでは無く、予防することがベターとも思われます。そのためには入居者の審査をしっかりとしなければなりません。人任せで経営するのでは無く、率先して運営に加わることが大切となるでしょう。
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