投資ビジネスは可能な限り大きなリターンを狙いたい物です。特に将来の日本の経済は不安要素が多く、投資での資産形成が不可欠になるならば、余計にそう思うことでしょう。そのため、投資先を海外にする人も少なくないことだと思います。
さて、投資信託は投資のプロに運用を任せられるので、投資の経験が無い人でも比較的始めやすいメリットがあります。しかし、投資信託の資料を見ると「元本を割れる可能性もある」とも書いています。実に不安になる表現です。特に海外の投資はハイリスク・ハイリターンになるとも聞きます。
それでは、海外投資信託はなぜハイリスク・ハイリターンになるのでしょうか。
そこで、ここでは海外投資信託のリスクとリターンの事情を紹介したいと思います。
もくじ
ハイリスク・ハイリターンの投資信託について
まずは投資信託全般について取り上げます。リスクとリターンの関係について再考してみましょう。
リスクとリターンの関係とは
投資信託に限らず、投資ビジネスは一般的にリスクが高くなればリターンも連動して高くなります。リスクが低く、リターンだけが大きい物は無いと言っても過言ではありません。
では、実際にはリスクとリターンではどの様な関係があるのでしょうか。銀行預金と株式投資を比較してみましょう。
銀行の預金は投資とは少し異なりますが、元本は割れることはありません。しかし、現在の日本では利子がほとんど付かないのが現実です。つまり、極めてリスクとリターンが小さいのです。
その一方で株式投資を考えると、購入時より価格が上がった段階で売れば、それだけリターンが発生します。しかし、株式は上がるだけではありません。企業の経営によっては株価を下げてしまうことも。そうすると安くなってしまい、元本を割ることも出て来ます。リスクとリターンが大きいのです。
投資対象の違いによるリスクとリターン
投資信託には様々な物があります。株もあれば債権もあります。また、金やレアメタルなどのコモディティも投資対象です。
ところで、リスクとリターンは投資対象によっても異なります。
例えば債権と株を比較すると、基本的には債権の方が株よりもリスクもリターンも低いです。国債を考えるならば元本を割り込むリスクは非常に低いと思われます。
しかし、株の場合は業績悪化のリスクもありますし、倒産の危険性もあり、リスクとリターンは大きいです。しかも、倒産する理由は非常に多岐に渡り、予測は困難なのです。
投資地域の違いによるリスクとリターン
投資対象の地域によってもリスクとリターンは異なります。
海外であっても、先進諸国への投資と新興国への投資では具合が違います。先進国の方がリスクが少なく、手堅い投資が出来るのです。しかし、新興国であればリスクの度合いが高くなります。しかし、当たれば大きいのが新興国への投資の特徴。ハイリターンが狙えるのです。
国内投資信託と海外投資信託の違い
さて、先にも挙げた様に国内への投資と海外への投資、一般的には国内への投資はローリスク・ローリターン。その一方で海外の物はハイリスク・ハイリターンが多いです。
では、両者の違いはどの様な点があるのでしょうか。
値動きの幅
まず挙げられるのが「値動きの幅」です。国内の物よりも海外の方が値動きの幅は大きく出て来ます。
理由としては、日本企業よりも業績を伸ばしているところが海外には多くあるから。しかし、業績悪化や倒産のリスクも業績を落としてしまう場合も海外では多いです。そのため、値動きのブレが大きくなると言えます。
また、為替の変動も大きく影響します。円安になると海外投資にはプラスとなり、逆に円高になるとマイナスになるのです。
この様に、海外と国内では変動要因や環境が異なります。それが値動きにも影響して幅が大きくなるのです。
リスク要因の数
さて、海外投資のリスクが多いのは業績や為替の影響だけではありません。他にも様々な要因があるのです。この点が国内の物と大きく異なります。
例えば、新興国は経済発展が目覚ましく、投資対象としては魅力的です。しかし、政治が不安定だったり、宗教などによる紛争が発生したりします。そして、これは日本ではほとんど考えられないリスクです。
また、海外では公衆衛生が整ってない地域も少なくありません。新型コロナによる経済的ダメージが日本よりも大きかった国は少なくないことでしょう。
ちなみに、最近ではロシアがウクライナに攻め込み、諸外国はロシアに対して経済制裁を加えました。その結果、ロシアの債権は驚くほどの値下がりを見せました。これは「戦争のリスク」が現実になった物。今の日本ではほとんど考えられないリスクです。
海外投資信託がハイリスクな理由
では、海外投資はなぜリスクが高いのでしょうか。
ここではリスクが高くなる代表的な要因を挙げてみましょう。
投資そのもののリスク要因が多い
先にも挙げましたが、海外はリスク要因が日本よりも多いです。前述の為替や現地の状況であったりと、地域による事情も様々。そして、それがリスク要因となるのです。…しかも、そのリスクの幅は国の数だけ、つまり「地球規模」でもあるのです。
例えば、海外のコモディティ投資で農産物を考えるならば、日本では日照や雨の影響がほとんどでしょうが、海外では害虫の大量発生。例えばイナゴが農産物を食い荒らす…の様なリスクもあるのです。
また、自然災害のリスクも高いと言えます。これは確かに災害そのものが大きい点が理由ともなりますが、治水や建築物の強度など、日本ほどに安全性が高くないことも理由としては隠れています。現地の情報が入りにくい
現地の情報が入りにくいのも不利な理由の1つです。
例えば、海外の企業の業績は国内には入りにくいです。確かに企業業績の発表は受けるかも知れませんが、新製品の発表やスキャンダルの発覚など、リスク要因となる事件は聞こえにくいのです。
これは距離の問題だけではありません。言葉の壁も大きな障害となるのです。
日本の常識が通用するとは限らない
日本で生活し、日本の企業で働いた経験があるならば、日本の企業文化を多く知っていることでしょう。しかし、海外の企業で働いた経験の無い人には、海外の企業文化は知り得ません。
さて、商習慣や人間関係の在り方など、様々な点が日本と海外では大きく異なります。また、海外であっても地域によって異なります。先進諸国と新興国でも異なりますし、新興国であっても、アジア諸国と中南米では違うのです。
そして、海外投資においては日本の常識が通用するとは限りません。日本では問題無いと思われる要因でも、海外では深刻な問題にもなり得るのです。
海外投資信託がハイリターンな理由
この様に、海外投資はリスクの幅が広いのですが、一方でリターンが大きいのも事実です。
では、なぜ海外はハイリターンになりやすいのでしょうか。
投資対象の幅が広い
まず挙げられるのが「投資対象の幅の広さ」です。
例えば、投資対象となる地域は海外を見るならば非常に多く見つかります。建設だけを考えても、大規模な開発は海外には多くあります。…例えば空港や鉄道などのインフラの建設。国内では出尽くした感のある様な投資であっても、海外では成長している地域が多く、立派な投資対象になります。
また、レアメタルなどは国内でも産出があまり見込めませんが、海外を考えるならば産出国は多く見られます。
この様に海外は投資対象の幅が広く、ハイリターンの可能性も高いのです。
これから経済発展の見込める地域がある
日本は人口減少が進みつつある国です。高齢化が進んで生産者人口も減ってしまうので、経済発展に感しては逆風が吹いているとも言えるでしょう。
その点、海外では人口が増えている地域も少なくなく、生産者人口も増えていて、勢力をアップさせている地域も多くあります。当然ながら、投資先としてはこの様な地域は魅力的。海外投資だから得られる魅力なのです。
為替によっては状況は好転する
先にも挙げましたが、海外投資は為替リスクを含んでいます。円安になると海外投資にはプラスとなり、逆に円高になるとマイナスになるのです。
さて、この条件は好条件にもなりえます。つまり円高はプラス要因です。企業業績が好調な時に為替の条件が良くなれば、それだけリターンも大きくなるのです。
先進国と新興国
海外投資は投資地域によっても事情が異なります。一般には先進国と新興国に分けられますが、両者はどの様に違うのでしょうか。
先進国と新興国の違いについて
違うのは「安定性」です。
先進国は債権であっても株であっても、新興国に比べて変動は小さいです。また、リスクも小さい場合が多いです。
その点、新興国は経済発展が期待されるのでハイリターンが期待出来るのですが、それだけ下がる場合も多くてリスクも高いです。
両者を比べると経済環境なども異なりますが、特に政治をはじめとするカントリーリスクが大きく違います。
新興国とはどの国か
一般的にはBRICsと地域。これはブラジル、ロシア、インド、中国を指します。いずれも経済発展が見込めるとされていました…しかし、ロシアは戦争によって債券が暴落。今後は厳しいとも思われます。
尚、この他にも新興国における投資対象は様々です。良い例がインフラファンドと呼ばれる物。鉄道、港湾、エネルギーなど、新興国の社会インフラ事業に投資する物です。
新興国の特徴
この様に、新興国はハイリスクを抱えながらもハイリターンを狙うことが可能なのですが、どの様な社会的な事情があるのでしょうか。
新興国の代表的な点を挙げてみたいと思います。
経済成長率が高い
経済成長はGDP(国内総生産)の成長で表すことが可能なのですが、GDPは1人あたりの生産性にその地域の人口を掛けた値とも言えます。ですから、1人当たりの生産性が伸びれば伸びるだけGDPは増えますし、その地域の人口が増えてもGDPは増えます。
さて、新興国の1人あたりの生産性は現状ではそれほど高くありません。しかし、社会インフラが今後成長するにつれ、1人あたりの生産性も上がると予測されます。また、人口に関しては現状でも増え続けているケースも多いです。
そして、これらが上がるとGDPも上がり、トータルの経済も発展します。つまり、経済成長が見込めるのです。
生産年齢人口が多い
生産年齢人口が多いのも特徴です。生産年齢人口とは簡単に言うと「働くことが可能な人口」ですが、新興国はこの人口が多いのです。働くことが可能な人が増えれば、それだけGDPも上がります。経済成長にも有利なのです。
ちなみに、この問題は日本と比較すると良く分かると思います。日本は少子高齢化が進んでいますが、これは「働くことが可能な若い世代の減少」と「働くことが困難な高齢者の増加」を意味しています。つまり、新興国とは逆。日本が追い抜かれるのは時間の問題かも知れません。
通貨が安定しているとは限らない
新興国はメリットばかりではありません。デメリットもあるのです。
例えば、新興国の通貨は先進国と比較すると安定しているとは限りません。インフレが発生する場所もあればデフレに悩むところもあるのです。また、海外には国単位で異なるカントリーリスクを抱えます。そのため、為替なども不安定になることもあります。
いずれにせよ、これらの要因は投資信託には不安定要因。ハイリスクになるのです。
まとめ
海外投資信託のハイリスク・ハイリターンについて取り上げました。国内の物と比較して、様々な事情があることが分かったことと思います。また、先進国と新興国の違いなどもイメージ出来たことでしょう。
ローリスク・ローリターンの手堅い投資も良いのですが、リスクを取って大きなリターンを狙う投資も十分にアリです。リスクについて勉強しながら挑戦してみるのも、投資としては有意義になるでしょう。
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