FPに聞いてみた

投資信託のスポット購入と積立投資、メリットとデメリットとは?

投資信託のスポット購入と積立投資、メリットとデメリットとは?

一般の人が投資信託を購入する場合には、数百万円にも及ぶ資金で1度に購入するのではなく、数万円から数十万円となる場合が多いと思います。あるいは、今の証券会社は100円からでも受け付ける所もありますので、小遣いを貯金する感覚の人もいるかも知れません。

さて、投資信託の購入の流れは2つに大別されると思います。1つは任意のタイミングでの購入、2つ目が積み立てながら投資するパターンです。

一見するとあまり変わりが無い様にも思えるでしょうが、実は意外に違う点があります。

それでは、この2つはどの様に違うのでしょうか。

投資信託を行っている方なら一度は聞いた事がある、「スポット購入」「積み立て投資」についてFPの方に伺ってみました。名前は聞いた事はあるけども、意味がわからないもの結構ありますもんね。メリット・デメリットも含めてきいておきましょう。

投資信託のスポット購入と積立投資

さて、投資信託の購入方法には「スポット購入」と呼ばれる物と「積立投資」と呼ばれる物があります。スポット購入が任意のタイミングでの購入、積立投資が積み立てながら投資する物です。

投資信託のスポット購入と積立投資

両者の特徴を紹介しましょう。

スポット購入の特徴

スポット購入は任意のタイミングで任意の金額を投資する物。ですから、投資の自由度が高いと言えます。

任意のタイミングで可能なので、資金が手に入ったタイミングで自由に購入することが可能です。また、任意の額でも出来るので、一定の投資額である必要もありません。

例えば10万円を投資した後、2週間後に7万円を投資することも、あるいは5日後に3万円投資することも可能なのです。

尚、冒頭にも述べた様に100円から受け付けてくれる証券会社もあります。少しのお金で好きな時に購入出来ます。非常に便利なのです。

積立投資の特徴

積立投資は毎月一定額を一定期間で積み立てて資産を作る方法です。最初に積立金額を決めるので、投資に計画性を持たせることが出来ます。

積立投資の場合も今では少額から始めることが可能で、小遣いを貯める様な感覚で資産形成が出来ます。

例えば毎月1万円くらいからでも積み立てられるので、収入が安定している人には向くかも知れません。

スポット購入のメリット

まずは、スポット投資のメリットについて取り上げてみましょう。

メリット

一見すると「ランダムに買う」にしか見えない買い方なのですが、意外にメリットがあります。

タイミングを選んですることが出来る

投資信託の基準価額の変動はランダムです。株式投資の様に刻々と変動する物では無いにしろ、毎日公表される基準価額は変わるのです。

さて、スポット購入は好きな時に購入することが可能なのですが、これは「基準価額が低いタイミング」を狙っての購入が出来ることを意味します。投資ビジネスは価格が下がっている時の購入が利益を生み出しやすいのですが、スポット購入であればそれが可能なのです。

ただし、タイミングを読むのはチャートをはじめとした様々な情報を集めることが必要です。

口数を調整しながら購入することが出来る

スポット購入であれば口数を調整しながらの購入も可能です。

投資信託のリスクヘッジは分散投資が基本なのですが、これは銘柄の分散の他にもタイミングの分散も入ります。スポット購入の場合は、更に口数の調整も出来ます。リスクヘッジにおいても有利と言えるでしょう。

また、下落した局面に様子を見ながら少しずつ購入し、下がりきった時点で多く買うことも可能。底値を見据えて買えるので、大きな利益を狙うことが出来るのです。

スポット購入のデメリット

次に、スポット投資のデメリットについて挙げてみましょう。ランダムに買えることはプラスにもなるのですが、マイナスに働くこともあるのです。

デメリット

投資計画を崩しやすい

投資信託での資産形成は計画的であるべきです。購入する資金にしても、運用の期間においても、あらかじめ検討しておくのがベターでしょう。

しかし、スポット購入の場合は計画の管理を忘れてしまい、計画そのものまで崩してしまうこともあるのです。

これらのミスも小さいのであれば修正も簡単であるでしょうが、ミスの回数が増えてしまうと、管理も難しくなる事態もあり得ます。その結果、思っていた程に利益が伸びないこともあるのです。

タイミングが悪い時にも購入してしまう

先にも挙げましたが、スポット購入はタイミングを選んで買えるのがメリットなのですが、逆に言うならばタイミングを誤ることもあり得ます。つまり、タイミングが悪い時に買ってしまうリスクもあるのです。

これは短い期間だけを見て判断する場合にあり得ます。価格を下げたからと思って購入したのですが、そのあとに更に価格を下げてしまったという事態もあり得るのです。

スポット購入に向く人

それでは、スポット購入に向くのはどんな人でしょうか。代表例を挙げてみましょう。

スポット購入に向く人

購入のタイミングが読める人

スポット購入に向く人は「購入のタイミングが読める人」と言えるでしょう。

スポット購入の特徴は自由なタイミングで買える点です。つまり、有利なタイミングを狙えるのです。

例えば、経済的なアクシデントが発生し、低いレベルでの値動きが予想される場合、このタイミングを狙って購入するならば、平均価格を下げることが可能です。この時の購入には、購入タイミングを読むことが欠かせません。

ですから、タイミングを読める人がスポット購入に向くのです。

適正な口数を読める人

タイミングを読むと共に、購入口数を読むことも大切。ですから、読める人はスポット購入に向いています。

スポット購入のメリットは口数の調整が可能な点です。ただし、間違った読み方をしてしまうと逆効果になってしまうのです。

例えば、様子見の段階で少なく購入するべきところを、口数の読みを間違って大量に購入してしまったら、得られる利益を減らしてしまうことになります。口数を考える能力も大切なのです。

ある程度投資の経験を積んだ人

購入タイミングを読むにしろ、口数を考えるにしろ、ある程度の経験を積むことは必要です。と言うのも、あまりにも投資信託を知らない人だと、間違ったタイミングと口数で購入してしまい、せっかく得られる利益を削ってしまうこともあるからです。

ですから、スポット購入に向くのは「ある程度経験を積んだ人」と言えます。

チャートと自己資金を見ながら良いタイミングで投資するのは初心者には困難です。経験は必要なのです。

積立投資のメリット

次に積立投資について挙げてみましょう。

メリット

まずは積立投資のメリットです。代表的な物を挙げてみます。

リスクの軽減が狙える

投資のリスク軽減のためには分散投資が必要です。これは購入の銘柄だけでなく、タイミングを変えることも重要と言えます。

さて、積立投資は毎月の積み立てです。つまり、高い時にも購入しますし、安くなった時にも購入することになります。

さて、この様に購入すれば、トータルの購入金額の平均値を低くすることが狙えます。

この様に一定の期間を開けて積み立てて購入する手法を「ドル・コスト平均法」と呼びます。購入の平均単価を下げることが可能なので、価格変動リスクの対策として有効な手法と言われています。

資金の管理がしやすい

資金の管理がしやすいのも積立投資のメリットです。

投資信託は基準価額が下がった時に購入すれば、それだけ大きなリターンが狙えます。そのため、自分の持つ予算を超えて投資してしまうケースもあり得るのです。特に、今ではスマホでもスポット購入の手続きが可能。タイミングが良かったからと思って「つい買ってしまった」と言うこともあり得るでしょう。

そうすると、場合によっては持ち得る資金を使い切ってしまい、後々で苦しい立場に立たなければならない場面もあり得ます。

その点、積立投資ならば毎月決まった額を拠出することになるので、資金の管理もしやすくなります。資金的な余裕は非常に大切なのですが、積立投資ならば崩すことはありません。有利なのです。

積立投資のデメリット

次に、積立投資のデメリットを挙げてみましょう。

デメリット

購入のベストタイミングを逃すこともある

積立投資は毎月購入して行く物。計画的ではあるのですが、逆に言うならば、良い時期には買えません。つまり、購入のベストタイミングを逃すこともあるのです。

投資ビジネスであれば、やはり購入は価格が下がった段階で行うのがベスト。しかし、積立投資は購入のスケジュールが最初から決まっているため、底値での購入になるとは限りません。購入のタイミングが合わないことが多いのです。

見送りたいタイミングでも購入してしまうこともある

投資ビジネスであれば、購入を見送りたい時も少なくない物です。例えば上昇局面の場合。基準価額が上がった段階での購入は平均の基準価額も高くなってしまうので、あまり望ましく無いのです。

さて、積立投資もこのケースと同じ。積立投資の場合だと見送りたいタイミングであっても購入しなければなりません。

基準価額が上がった段階での購入が継続される場合には、購入価額の平均が上がってしまいます。そうなると収益にも影響が発生し得るので購入は望ましくないのですが、積立投資の場合は、それでも買ってしまうのです。

積立投資に向く人

では、積立投資に向く人とは、どんな人でしょうか。

積立投資に向く人

投資の経験の少ない人

投資の経験の少ない人こそ積立投資に向いていると言えます。

積立投資はスポット投資の様に相場の流れまで読む必要はありません。チャートを読んでリスク要因を分析して…と言った作業が無くても始められるのです。

また、先にも挙げた様にリスクの軽減も狙えます。リスク要因などをあまり知らない初心者に向くのです。

生活全体の資金計画を重視したい人

積立投資は生活全体の資金計画を重視したい人に向いています。

限られた資金の中から投資する人の場合には、生活費と投資の資金配分を考えなければなりません。あまりにも投資に費用を掛け過ぎると、生活費の方で困ってしまうからです。

ところで、積立投資は決まった額を積み立てる方式。投資金額は決まっているので、生活資金の全体を考えながら積み立てやすいと言え、その様な人に向くのです。

スポット購入と積立投資の併用

ところで、スポット購入も積立投資も別に単独で行う必要はありません。併用することも十分にアリなのです。

スポット購入と積立投資の併用

併用を上手にすれば良い部分だけを取ることも可能なのです。では、併用することのメリットは、どの様な点にあるのでしょうか。

資金計画が立て易い

まず挙げられるのが「資金計画を立て易い点」です。

資金計画を立てやすいのは積立投資のメリットです。投資を忘れることなく、継続的に続けることが出来ます。

また、生活費との資金の配分もしやすいです。例えば、給与収入の5%を投資にまわすことを考える場合、最初にその分を積み立てておけば良い訳です。残りの分を生活費に充てれば良いので、配分もしやすいのです。

ベストタイミングを狙うことも可能

基準価額は毎日変動する物ですが、低い価格で停滞することもあります。そして、その時に購入するならば、全体の平均購入価額を下げることが可能です。つまり、スポット購入でベストタイミングを狙うことが可能なのです。

購入価額の全体が下がるならば売却した際の利益は大きくなります。タイミングを狙って買えるスポット購入ならば、利益を上げることが可能なのです。

まとめ

投資信託の購入について、スポット購入と積立投資から取り上げました。両方のメリット、デメリットが把握出来たことと思います。また、それぞれの向く人にも触れたので、自分がどちらに向くかも分かったことでしょう。

ただ、いずれにしても、投資信託は継続が重要です。局面としてはマイナスばかりに見える時であったとしても、長い時間を掛ければ平均化されます。ぜひとも根気を持って続けましょう。

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