ビジネスにはリスクやトラブルが付き物ですが、これは不動産投資でも例外ではありません。しかも、不動産投資の場合には入居者間のトラブルと言う、心底困り果てる様なトラブルもあり得ます。大変なのです。
その中でも騒音によるトラブルは数も多く、しかも話がこじれやすい厄介な物。下手に間に入ると巻き添えを食ってしまいます。
それでは、騒音トラブルにはどの様に対処すべきでしょうか。
そこで、ここでは騒音のトラブルや対策の例を紹介したいと思います。
もくじ
トラブルの原因騒音について
騒音のトラブルについて考える前に「音」その物について挙げてみましょう。
音の大きさ「デシベル」とは
音は主に空気の振動の伝搬と言えるのですが、捉え方としては2つあります。1つは「高さ」2つ目が「大きさ」です。
例えば、ピアノを弾く場合には違う鍵盤で高低を変えるのですが、これが「高さ」です。また、ピアノの音の強弱は鍵盤を打つ力によって異なります。静かに弾けば静かな音が出ますし、叩けば大きな音が響きます。これが「大きさ」です。
そして、音の高さは周波数(ヘルツ)で一般的には表され、大きさに関しては音圧(パスカル)の相対値(デシベル)で表されます。音の大きさを「デシベル」と呼ぶのはこのためです。
尚、音の大きさの最小可聴域は20マイクロパスカル。それをゼロ点として、その10倍が20デシベル、100倍が40デシベル、1000倍が60デシベルと言う具合に大きくなります。
どれくらいの音が騒音となるか
では、何デシベルくらいからが騒音となるのでしょうか。
目安とはなりますが、騒音値(デシベル)と感じ方は次の通りになります。
- 30デシベル以下:ささやき声程度か、それ以下
- 40〜50デシベル:普通のレベル。範囲としては、図書館内や静かな事務所などがある
- 60〜70デシベル:うるさいレベル。大きな声、洗濯機や掃除機の音
- 80デシベル以上:非常にうるさいレベル。カラオケ音、工事現場、電車の通過音などが該当
この内、騒音とされるのは、状況にもよりますが50〜60デシベル以上と思われます。
尚、騒音には「耳障りな音」も含まれます。例えば、発泡スチロールを擦り合わせる「キー」と言う音。これなどは大きな音では無くても嫌がられます。
空気音と固体音
ところで、騒音にはもう1つのパターンがあります。「空気を伝わる音」では無くて「固体を伝わる音」です。空気を伝わる音を「空気音」、固体を伝わる音を「固体音」と呼びます。
固体音は主に建物の壁や床を伝わります。上の階で何かを鳴らして、その下の階に音が伝わるイメージです。
良い例としては、上の階からの足音や排水音、オーディオによる重低音などが挙げられます。上の階の子供がドタドタ走り回ると天井裏の部材を伝わって下に届くと言うイメージです。
尚、空気音と固体音は伝わり方が完全に異なるので、騒音対策も変えなければなりません。
マンション内で起こる騒音トラブルの例
それでは、実際にはどの様なトラブルが発生しているのでしょうか。
マンションを例にして代表的なパターンを挙げてみましょう。
洗濯機やエアコン室外機などの住宅用家電製品による音
洗濯機やエアコン室外機からは独特の大きな音と振動が発生します。この音が隣の部屋から聞こえるならば、非常に不快に感じる物です。特に休日の朝や夜間に聞こえたならば、一層不快に思えることでしょう。
そのため、これらの騒音はトラブルになりやすいです。
しかも、これらの音は対策が取りにくいので、話がこじれることも少なくありません。更にはマンション内の風紀が乱れることもあり得ます。実に厄介な問題なのです。
ちなみに、この音は空気音と固体音の合わさった物。対策は簡単ではありません。
トイレや浴室の排水音
マンションの様な共同住宅では、上の階の排水の流れる音が聞こえて来る時があります。「ゴボゴボ」と言う音で、寝静まったタイミングで聞こえると気に障る物です。人によっては、この音から汚物の流れを連想して「汚い音」と感じてしまい、特に嫌悪するケースもあり、話がこじれることもあります。
さて、この音は基本的には固体音。建物の部材を伝わって天井が鳴るイメージ。音こそは大きく無いのですが、気になり始めると嫌な物。そして、簡単に抑えられる音ではありません。
ドアなどの開閉打音
マンションの玄関ドアはスチール製で、しかも案外重い物です。そのため、建物によっては「バタン・バタン」「ガチャン・ガチャン」と言った開閉打音が発生します。自室内に居れば音は小さくなっている物ですが、やはり気になる物です。また、深夜にこの様な音が聞こえたら、人によっては逆上もすることでしょう。
さて、この音は空気音と打音の混ざった物。ドア開閉の「バタン」と言う音が空気音として耳に入り、「ガチャン」の音が打音として伝わる感じです。
いずれも防止は難しく、問題はこじれやすいです。
ちなみに、マンションの場合はドアの廊下側が共用部分になっています。交換も簡単には出来ないので、問題を一層難しくします。
オーディオ機器や楽器演奏による音
先にも挙げましたが、隣の部屋から響いて来るオーディオ機器の音も嫌な物です。この音は高い音こそ聞こえないかも知れませんが、壁を伝ってズンズンと響いて来ます。
また、楽器演奏も迷惑な物です。ギターやピアノなど、仮に音は絞られていても響く物。困り物です。
さて、この音も空気音よりも固体音の方が響きます。やはり防音は簡単ではありません。
子供が走り回る足音
子供は小さい内は室内で走りまわる物です。元気な子供を見ていると気分も癒されます。
しかし、下の階には足音が響いている場合が多いです。
それでは子供を走らせない様に…と考えるかも知れませんが、それは出来る物ではありません。問題は難しいのです。
ちなみに、子供の足音も固体音。抑えるのが難しい厄介な音です。
大声での言い争いなど
大きい声での言い争いは単にうるさいだけでなく、聞いていて気分の良い物ではありません。しかも、ヒートアップして来ると怖くもなって来るでしょう。
さて、この音は基本的には空気音となるので、比較的防ぐことは容易です。
とは言え、この様なケースは別の意味で厄介。防音もですが、仲裁も必要でしょう。
ペットの足音や鳴き声など
ペット可のマンションに住んでいるならば、近隣のペットに対しても寛容になれるとは限りません。上の階で犬が走り回れば下に響きますし、隣の部屋で吠えればうるさく感じることでしょう。
これも自分の部屋でペットを飼っているならば厄介な物。こちらも迷惑を掛けているかも知れないからです。人間関係も絡む問題なだけに、やはり厄介な問題です。
ちなみに、ペットの吠える音は空気音、足音は固体音となります。
騒音と環境的瑕疵
不動産を購入する時には不動産会社から重要事項の説明を受けます。この時、物件に瑕疵があれば、その点の説明を受けるのですが、その物件の持つ瑕疵全部が話されるとは限りません。その時点では見つかっていない隠れている瑕疵もあるのです。
さて、騒音は瑕疵の中でも環境的瑕疵に分類されますが、瑕疵の中でもグレーな部分を含む物、実は判断が難しいのです。
では、騒音は全部が環境的瑕疵として処理されるのでしょうか。
全部が瑕疵になるとは限らない
騒音の問題は直接的に生活環境に影響するので、軽い問題ではありません。そのため、騒音を環境的瑕疵として裁判にまで及ぶ例もある程です。
ただし、その訴えが正当と認められるかどうかは別の問題です。騒音を理由として契約不適合責任が成立するかは分かりません。
対策は打っておきたい
騒音の中にはシャットアウトしやすい物と、そうでない物があります。
傾向としては、話し声などの空気音よりも、足音などに見られる固体音の方が遮断は難しいと思われます。防音材などの壁などへの埋設が必要となるからです。
かと言って、何も対策をしないのでは物件の収益性にも問題が出て来ます。
費用が発生するのでキャッシュフローとのバランスを取る必要はありますが、防音対策を取っておく方がベターでしょう。
騒音トラブルの対策例
この様に騒音は非常に厄介な問題なのですが、トラブル回避には手段があります。代表的な物を挙げてみましょう。
地図を徹底的にチェックする
外部からの騒音は外部の施設を確認することで、ある程度の回避は可能です。車の騒音に関しては幹線道路などを詳細にチェックすれば分かりますし、鉄道による騒音であれば線路がどこを走っているかの確認で回避が可能です。
ですから、物件を見る時には地図を徹底的にチェックしましょう。
ただし、地図を見る際は地図を確実に理解する必要があります。地図記号などを見間違えると問題のタネにもなり得るので、しっかりと確認することが大切です。
現地をしっかりと確認する
地図に載っていない物が騒音源になることも少なくありません。
例えば踏切や盲人用信号機など。大した音では無い様に思えるかも知れませんが、毎日聞こえて来る環境は好ましいとは言えないのです。
この様な騒音源を避けるためには、物件の周囲を確認することが何よりも大切になります。遠隔地の物件を購入する場合には骨が折れますが、しっかりと確認しましょう。
入居者審査をしっかりする
騒音トラブルはどの様な入居者が入るかによっても変わります。意外にモラルが重要なのです。夜に騒がない人、周囲の迷惑を考えて行動する人、トラブル回避には人を選ぶことも重要なのです。
尚、賃貸不動産の契約は借地借家法がバックに付く拘束力の強い物。一旦取り交わしてしまうと、オーナー側からの解約は不可能に近いです。審査が重要となりますので、人任せにせず、しっかりと自分でも「人」を見ましょう。
防音リフォームについて
場合によっては物件の防音リフォームも必要かも知れません。
ここでは代表的なリフォーム部位について挙げてみましょう。
壁
防音効果の高い素材としてはグラスウールなどが挙げられます。グラスウールを内包した防音パネルがあるので、部屋の内側に設置するのも効果的です。
施工が簡単なタイプもありますので、費用を抑えながら防音性をアップさせることが可能です。
床
床は空気音の対策と共に、固体音の対策も取らなければなりません。と言うのも、足音などが騒音クレームに繋がるからです。
さて、固体音の対策としては空間層を設けることが有効です。対策例としては二重床とすることです。
床工事には確かに費用は発生しますが、部屋の雰囲気も良くなるのでおすすめです。
騒音トラブルは放置出来る問題なのか?
騒音の問題は対処が難しい問題の1つです。
しかし、不動産投資は入居者あってのビジネスです。入居者が騒音に嫌気を指してしまうならば、退去のリスクも出て来てしまいます。そして、仮に退去されるならば、その部屋は空室となってしまい、次の入居者はいつ来るか分かりません。
ですから、やはり可能な限りは対策を取るべきなのです。
さて、対策の方針としては2つあります。1つは防音対策などの対処、2つ目は騒音から逃げる根本的なことです。
1つ目の防音対策とは先に挙げたリフォーム工事など。2つ目は騒々しい地域には物件を買わないこと、騒音トラブルを起こしそうな人物は入居させないことが挙げられます。
いずれにせよ、人任せでは解決が難しい問題なので、オーナーも問題解決に積極的に参加しましょう。
まとめ
騒音のトラブルについて挙げてみました。騒音が如何に厄介であるかがイメージ出来た物と思います。騒音は入居者間の人間関係にも影響し得る物。問題は難しいのです。
しかし、先にも挙げた様な対策を重ねるならば、それだけリスク要因を減らすことも可能です。可能な限りの予防策と対策を取り、物件の環境確保に努めましょう。
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