投資信託においては、投資地域と投資対象を選ぶことは非常に大切です。産業の活発な地域で有望な対象を見つけることが成功へのカギと言えるでしょう。
しかし、国内を見渡すと、高齢化をはじめとする慢性的な問題がいくつもあり、閉塞感が否めません。
ところが、海外に目を転じて見ると様々な有望な地域と産業があることに気が付きます。そして、投資信託には世界経済全体を相手にする物も存在するのです。
そこで、ここでは全世界経済型の投資信託について紹介したいと思います。
もくじ
海外への投資の特徴
投資ビジネスは地域によって状況が異なって来ます。これは海外での投資も同じ。地域によって様々な事情があり、それが地域の経済に影響を及ぼしているのです。
それでは、海外投資の特徴はどの様になっているのでしょうか。先進国の場合と新興国の場合を比較してみましょう。
先進国投資の特徴
対象国は北米やEU諸国。投資対象は株式や債券などがメインです。
例えば、アメリカには世界を代表する企業が多くありますが、その様な企業の株式や債券に資金を投ずるイメージとなります。また、アメリカやEU諸国は政治や経済が安定していることもあり、債券も投資対象として良好です。
ところで、この投資のリスクは国情や企業が安定しているため、新興国と比較すると低めです。しかし、リターンは手堅い投資なだけに比較的小さく抑えられます。
新興国投資の特徴
新興国は主に中国を中心としたアジア圏、そして中南米諸国などがメインです。これらの地域は産業の伸びが期待出来ます。そのため、株式でも積極的な利益も狙えます。
また、債券に関しても有望。アグレッシブに攻めてハイリターンを取ることも可能でしょう。
しかし、これらの国々の国情はアメリカやヨーロッパ諸国ほどに安定はしていません。そのため、先進諸国の投資では考えにくい様なリスクも残っています。
海外の投資信託の特徴
次に、海外の投資信託について再確認しましょう。
ハイリスク・ハイリターンの物が多い
まず第1に挙げられるのが「ハイリスク・ハイリターン」の物が多い点です。
例えば、海外を見渡すと、日本では出来ない様な投資が可能なところもあります。その様な投資にはリターンが非常に大きい物も。例えば、新興国の債権は、これからの発展が見込めるので国内の物よりもリターンの面では魅力があります。
しかし、何らかのアクシデントで債権の暴落もあることでしょう。そして、下げ幅は国内の物よりも深刻になるとか…リターンが狙えるだけリスクも大きいのです。
為替の影響が大きい
海外の投資は為替の影響を抜きにしては考えられません。仮に利益を出したと思っても、為替の状態が良くないために、せっかくの利益も落ちてしまうこともあるからです。
更に、市況の悪化と為替の悪化のダブルパンチを食らう可能性もあり、大きな被害を受けることもあり得ます。
しかし、為替は好条件にも繋がり得ます。と言うのも、市況が良くて利益を上げた場合、為替が追い風となって、更に大きな利益となるからです。
海外の投資はハイリスク・ハイリターンが多くなるのですが、この変化には為替も大きく影響しているのです。
独特のリスクがある
世界は広く、日本人の理解を超える条件がいくつもあります。そして、それが経済上のリスクにもなり得るのです。つまり、カントリーリスクです。
カントリーリスクは、その国の経済状態だけでなく、国情や自然、そして宗教などにの影響も受けます。例えば、農産物は自然災害の影響を受けますし、地域によってはイデオロギーの違いから内戦なども発生します。しかも、それが現地の宗教に起因する問題であれば、外国人ある日本人の理解を超える要因となるのです。
カントリーリスクの度合い
さて、海外投資にはカントリーリスクが付き物ですが、こては地域によって度合いが異なって来ます。一般には先進国への投資の方が低く、新興国の方が高い傾向です。
これは、先進国の方が経済発展は元より、自然災害や公衆衛生に関する設備など、多くの社会的なインフラが整っていること、経済の信用度が高いことなどが理由とし挙げられます。
その一方で新興国は社会的インフラも整っていないことも多く、しかも政情や経済も不安定な場合もあるのです。そのためにカントリーリスクが多く発生するのです。
全世界経済型の投資信託について
この様に、海外への投資は国内よりもリスクは多く、しかも理解の難しい物が多く発生します。そのため、メリットが多いのにも関わらず、敷居を高く感じる人も多いです。
しかし、海外投資信託には「全世界経済型」と呼ばれるカテゴリーの投資信託があります。これは他の海外投資とは異なる性格が見られる物です。では、全世界経済型はどの様な特徴を持つのでしょうか。
世界全体の株式と債権への投資
第1に挙げられる特徴は、その名の通り「全世界の株式と債権に投資をする」点です。
そのため、先進諸国のメリットとなる点、新興国の魅力のある点など双方のメリットの享受が可能です。
海外の投資信託は「先進国中心」、または「新興国中心」の様に、ある程度のカテゴリーは分かれていました。しかし、それが返って仇となり、利益を逃がすこともあったのです。
しかし、全世界経済型はホットな話題を提供する様な新進の海外勢力にも対応します。世界中をカバーし、魅力のある投資を行って利益を上げるのです。
世界全体への分散投資
投資ビジネスのリスクヘッジは分散投資が主な手段と言えます。株式であれば別の銘柄を購入したり、債権であれば別の国の物を購入したり、と言った具合です。
さて、全世界経済型は世界中の株式と債券への投資。投資が世界中へと分散されます。
これにより、全世界経済型は様々なリスクに強くなります。例えば、ある企業の買収が発表されて株価が乱高下したとしても、ファンドは別の銘柄を持っていますので、リスクの影響は減らせるのです。
初心者にも分かりやすい
投資ビジネスは価値が低い時点で購入し、価値が上がった段階で売却して利益を得る物、これが基本なのですが、理屈では分かっていても実践は簡単ではありません。
と言うのも、最初の段階となる「銘柄の選定」からして相当に難しいからです。
例えば、株式であれば元気で有望な企業はどこかを知らなければいけませんし、債権であれば政治の話も出て来ます。これらはメディアで読むことは出来ても、投資に直接結び付けることは簡単では無いのです。
その点、全世界経済型であれば世界中をカバーするために、選定は難しくはありません。初心者にも分かりやすく、向いているのです。
全世界経済型のメリット
この様に、全世界経済型の投資信託は他の物とは違った特徴があります。
それでは、投資家にとって特にメリットとなる点にはどの様な物があるのでしょうか。
カントリーリスクのリスクヘッジ
前述の様に、カントリーリスクは政治をはじめとした様々な要因が絡んで発生する物。個人のレベルでは追いかけることなど到底出来ることではありません。しかもリスクを誘発する事件のニュースは入りにくいし、分かりにくいものばかりです。
そのため、海外投資での銘柄選定も簡単ではありません。
しかし、全世界経済型であれば、世界全体をカバーするため、カントリーリスクのリスクヘッジとなります。何らかのアクシデントが起きたとしても、傷は緩和されるのです。
世界中の企業への投資
海外の企業と言うと、アメリカ辺りのハイテク産業を中心とした銘柄がメジャーな存在だと思われます。これらの銘柄は経済誌でも取り上げられ、経営や実績も分かりやすいです。
しかし、新興国のビジネスはメジャーな物は多くは無く、有望株であっても知られていない。そういった現実も多くあり、利益をみすみす逃している現実もあるのです。
さて、全世界経済型は世界中をカバーする物。ですから、これらの「知られていない元気な企業」への投資が可能です。その様な有望な企業は連続的な成長も期待出来る物。その投資が可能になることも全世界経済型のメリットと言えるのです。
全世界経済型のデメリット
この様に、全世界経済型はリスクに強いなど、大きなメリットがあるのですが、やはりデメリットも存在します。
では、どの様なデメリットが挙げられるのでしょうか。
個別株式よりもリターンが低くなりやすい
分散投資はリスクヘッジに有効です。しかし、仮に保有する銘柄が上がったとしても、資金の1部しかその企業に投資されていないので、それだけリターンが少なくなってしまいます。つまり、当たっても小さいのです。
その点、個別株式の場合にはその銘柄に多くの資金を投じています。そして、その割合の分だけ投資額が多くなるので、リターンも大きくなります。つまり、当たると大きいのです。
全世界経済型の大きなデメリットは、この状態に陥りやすく、リターンは大きくなりにくいのです。
米国経済の影響を受けやすい
全世界経済型は世界全体への投資なのですが、全体を見渡すならば米国の企業の比率が多くなっています。これは世界全体を見た場合、業績を上げている企業の多くがアメリカを拠点としているから、と思われます。
そのため、全世界経済型とは呼ばれていても、アメリカの経済の影響をどうしても受けてしまうのです。
例えば、半導体産業の状態が悪くなると、アメリカでも市況が悪くなりかねません。そして、全世界経済型でも半導体の不調の影響をダイレクトに受けてしまい、価値を下げてしまうのです。
世界経済のアクシデントの例
前述の様に、全世界経済型はカントリーリスクに強さを発揮します。しかし、影響はゼロではありません。カントリーリスクを引き起こす要因も知っておいた方がベターなのです。
そこで、ここではカントリーリスクを誘発させるアクシデントの代表例を挙げてみましょう。
政治による影響
まず挙げられるのが政治の問題です。
政治は大きなところであれば戦争を引き起こします。また、クーデターの様な大事件もあることでしょう。
これらの影響は多角的です。戦争であれば金や原油などにも影響するかも知れません。また、その国が生産し、輸出する様な農産物なども良くない状況になることと思われます。
それに伴って株価の乱高下もあり得ます。その結果、全世界経済型のファンドにも悪影響を及ぼし得るのです。
ちなみに、戦争は意外に長期化しやすい物。今の世の中は平和だからと安心は出来ないのです。
伝染病による影響
伝染病が経済に影響することは少なくありません。
最近では新型コロナ感染症の世界的な蔓延により、世界経済は非常に大きなダメージを受けました。
また、時代を遡るならばAIDSの経済への影響も無視は出来ません。
しかも、伝染病は人間に関する物だけではありません。動物に関する物もあるのです。
例えば狂牛病の騒動、そして鳥インフルエンザの蔓延、これらのアクシデントが畜産関連の産業に残した影響は図り知れず。そのままアメリカの市況にも影響したのです。
原発事故などによる影響
原発事故を思い出すならば多くの人が福島の原発を挙げることでしょう。
しかし、世界には大きな原発がいくつもあり、世界を震撼させた事故もあったのです。例えばスリーマイル島の事故、そしてチェルノブイリの事故などです。
これらはエネルギー産業に多大な影響を与えます。その結果として市況が変わり、全世界経済型にも影響を及ぼすのです。
まとめ
全世界経済型の投資信託について取り上げました。ファンドの特徴やメリット・デメリットがイメージ出来た物と思います。また、ファンドに影響し得るアクシデントも掴めたことでしょう。
いずれにしろ、全世界経済型はリスクには強くとも、パーフェクトとまでは言えません。リスクも把握しての検討が必要です。トータル的に検討して決めましょう。
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