債券投資というと、株式投資や不動産投資に比べて大きな利益を狙えないため、メジャーではない印象をお持ちかもしれません。
確かに株式投資のように、会社が急成長して株価が何十倍に上昇するような投資方法ではありません。
ですが値動きが株や不動産に比べて安定していて、毎年安定した配当金をもらえるのでリスクが低い資産運用ができます。
その点を考えると、投資初心者でも取り組みやすい投資方法といえます。
世界の有名な資産家の間でも、株式・不動産と一緒に債券をポートフォリオに組み込むスタイルは一般的に行われています。
この記事では債券投資の仕組みや種類と、メリット・デメリットを詳しく解説していきます。
是非最後までお読みください。
債券投資の仕組みや特徴とは
債券はリスクを大きく取らずコツコツと配当金を受け取る投資商品です。
まずは基本的な情報を解説します。
債券とは
債券は国や地方公共団体、企業などの発行体が資金調達を目的として発行する有価証券の一種です。
勧誘する投資家が50人より少ない場合は「私募」といい財務省への届け出が不要で、50人以上の投資家を勧誘する場合を「公募」といい財務局への届け出が義務化されています。
私たち一般の投資家が目にするのは主に公募で、購入するのは国や地方公共団体、企業などが発行した債券です。
証券会社が需要を調査して募集条件を決めて、その条件で希望する投資家が証券会社を窓口にして債券を購入します。
債券投資の仕組み
国や地方公共団体、企業などが事業などの目的のために資金調達を行う際に、幹事となる証券会社を決めて債券を発行します。
その際、発行機関や利回りを投資家のニーズなどをもとにして決定します。
決定した条件のもとに、投資家が証券会社から債券を購入して、集められたお金が国や地方公共団体、企業などに渡されます。
債券を購入した投資家は半年や1年ごとに、決められた利子を受け取ることができます。
償還期限を迎えると、投資家は債券の額面金額と最終の配当を受けとります。
この時、購入時より債券の額面価格が低いと償還差益が生まれ、反対に額面価格が高いと償還差損が発生します。
また償還金が支払われないことをデフォルトと呼び、財政難に陥った発展途上国の債券などで問題になることがあります。
最近ではロシア国債のデフォルトリスクがニュースで良く取り上げられています。
債券の種類
債券の種類は発行体や利払いの仕組みなどにより、いくつかの種類に分かれています。
発行体の違いによる債権の種類
債券を発行する機関ごとに債券の種類は以下のように分かれています。
- 国債:国が発行する債券
- 地方債:地方公共団体の発行する債券
- 政府関係機関債:政府の関係機関が発行する債券
- 社債:民間企業が発行する債券
国債がもっともデフォルトのリスクが低い債券といわれていて、安定重視の投資家にはお勧めです。
ただし新興国など発行されている国債については、財政難に陥ってデフォルトが起きた経歴が過去何度かあるので注意が必要です。
政府関係機関債は近年、国の関与性が下がっていて民間の債券との違いが減少しています。
民間の債券は格付けが様々で、発行体の信頼性はその都度判断する必要があります。
通貨建ての違いによる債権の種類
債券には日本国内で発行される債券だけではなく、外国政府や地方団体、企業などが発行する外債があります。
- 円建て外債:外国の政府、地方公共団体、企業などが円建てで発行する債券
- ユーロ円債:国に所属しないオフショアで発行される円建て債券
- 外貨建て債:日本円以外の通貨で発行される債券
外貨建て債は、国内で発行されても為替変動のリスクがあります。
さらに国内の債券に比べて種類が多く、情報も少ないため利回りが高くても慎重に検討する必要があります。
2007年に起きたリーマンショックでは、アメリカの信用性の低いサブプライムローンと呼ばれる債券が大量にデフォルトを起こしました。
債券投資のメリットとは?
それでは債券投資のメリットを6つ紹介していきます。
メリット①銀行預金より利回りが高い
国内の銀行の普通預金や定期預金の利回りは、現在年0.001%~0.02%程度と非常に低い金利になっています。
銀行に預けていても利息よりも、手数料で取られる金額の方が大きくなる場合もあります。
その点債券投資の利回りは日本国債だと0.05%、社債であれば1%を超えるものも発行されています。
さらに外国債まで手を広げると3%以上の利回りの債券も存在するので、銀行預金に比べると数十倍の利子を受け取ることができます。
メリット②安定した配当金がもらえる
債券は保有中に半年や1年ごとに決められた配当金を受け取ることができます。
例えば株式投資の場合、企業の業績が落ち込むと無配当になるケースもあります。
不動産投資でも入居者が突然退去すると、安定した家賃収入が確保できないリスクがあります。
その点、債券は購入時に決められた利率の配当金を安定して受け取ることが可能です。
メリット③株やFXより価格が安定している
債券の価格は、株やFXと比べて値動きが少なく安定しています。
例えば個別の企業に株式投資をしていると、数か月で株価が半分以下に落ち込むなど良くあるパターンです。
FXでは自己資金にレバレッジをかけるので、少しの値動きで自己資金が大きく影響を受けます。
債券投資であれば、デフォルトにならなければ安定して配当を貰い続けられて、償還日には額面通りの金額が返ってきます。
メリット④キャピタルゲインを狙うことができる
債券は安定した配当金を受け取ることができるメリットがあるのに加えて、債券価格自体が値上がりすれば、購入時との差額でキャピタルゲインを狙うことも可能です。
その場合は償還日より前に売却することができます。
逆に債券価格が落ち込んだ場合は、満期まで保有して配当金を受け取り続ける選択が可能です。
債券の市場価格を見ながら、自分が期待する価格に上がったら売却、そうでなければ保有し続ける方法がおすすめです。
メリット⑤元本が担保されている
債券の中には、NTT債や放送債券などのように、元本を担保された一般担保付社債という債券があります。
一般担保付社債は、他の債権にたいして優先的に弁済される権利を持っています。
その他にも政府保証債では、元利金を政府が保証しており国や政府が破綻しない限り保証がされるメリットがあります。
ただし元利金の保証は満期まで保有することが条件になるので、注意が必要になります。
メリット⑥1,000万円まで国に保護されている
債券の中でも国債を購入した場合は、銀行預金と同様に元本1,000万円までが預金保険機構で保護されます。
これをペイオフと呼びます。
株やFXなどの金融商品もペイオフの対象ではありますが、価格変動が大きく1,000万円を超えた場合にはペイオフの対象外になるので注意が必要です。
債券であれば額面通りの金額が償還されるので、ペイオフ対策に適しています。
債券投資のデメリットとは?
それでは債券投資のデメリットを6つ紹介していきます。
デメリット①途中で売却すると損をする可能性がある
債券は償還前に売却すると、購入時より価格が下がっていた場合は損失が発生します。
特に政府によって政策金利が引き上げられた時や、インフレで金利が上昇すると債券価格が下がりやすい傾向があります。
手元の資金が無くなってどうしても債券の換金が必要になった場合でなければ、できる限り償還日まで保有し続けることをおすすめします。
また資金をぎりぎりまで資産運用に回さない方が、このような事態を引き起こさないためには大切です。
デメリット②債務不履行になる可能性がある
債券投資でもっとも怖いリスクは債務不履行(デフォルト)です。
日本国債や米国国債など信用度が高い債券であれば考えにくいですが、民間の債券の中にはデフォルトリスクの高い債券も存在しています。
また発行から償還までの期間が長い場合は、発行体の運営状況や社会環境も大きく変わる可能性があります。
そのため財務状況が急激に悪化してデフォルトを起こすリスクもあります。
そのようなリスクに対策する手段として、格付け会社が公表している信用ランクを見る方法があります。
格付け会社では発行体の財政状況や、今後の社会情勢なども加味して格付けを発表していて、多くの投資家がその情報をもとにどの債券が安全かを判断する材料にしています。
デメリット③金利上昇すると価格が下がる
債券が価格変動する大きな要因が政策金利の変動です。
金利上昇の場面では、債券価格は下落しやすくなるので注意が必要です。
実際に最近ではアメリカの政策金利が上昇している影響で、米国債の価格が低下しています。
なぜ政策金利が上がると債券価格が下がるかというと、以下の通りです。
- 政策金利1%のときに、1%利回り債券を購入する
- 政策金利が2%に上昇
- 新規債券が2%の利回りで発行される
- 従来の1%利回り債券は購入する人がいなくなる
- 従来債券は額面価格より価値が下がる
満期まで保有すれば額面価格が返還されますが、満期までにもらえる配当金が少ないので手放す投資家が増えます。
デメリット④為替変動で損をする可能性がある
外貨建て債に投資した場合は、その通貨と円の間の為替変動による損益が発生します。
例えばドル建て債を購入した場合を例に、損益を計算してみます。
(外貨建て債の損益計算例)
- 購入時:為替レートが1ドル105円
- 償還時:為替レートが1ドル100円
- 額面100ドルのドル建て債を満期まで保有
⇒購入時は10500円で購入した債券は、償還時に10000円になるため、500円の損失となります。
ドルや円のように変動が割と小さい通貨であれば、比較的リスクは低いといえますが、新興国の通貨建て債券では、為替レートの影響が大きく反映するリスクがあります。
高い利回りばかりに注目せずに、為替が激しく変動していないか、その通貨を発行している国の政情や今後の動向にも注意が必要です。
デメリット⑤大きな利益を狙えない
債券投資は安定した配当金で確実な運用ができるメリットがある一方、株式投資やFXのように短期間で大きな利益を狙えない点がデメリットといえます。
株式投資であれば投資した企業が大きく成長すると、それに合わせて株価も急激に上昇します。
ですが債券投資では年数数%の配当金が入りますが、この収入だけで資産を何倍にもすることはできないからです。
そのため資産運用のメインとしては使われず、株式投資や不動産投資と組み合わせて使われることが多くあります。
株式投資などでキャピタルゲインを狙いながら、資金が一気に急減することが無いように債券を組み合わせます。
デメリット⑥購入できる場所が少ない
債券はすべての金融機関で取り扱いされている訳ではありません。
債券の種類によって購入できる金融機関が特定されていることが多いです。
(主な債権の取扱金融機関)
- 日本国債:個人で購入できる個人向け国債は、大手証券会社・銀行・郵便局など
- 地方債:特定の証券会社で不定期に募集がある
- 社債:取り扱いがある証券会社は決まっていない
上記のような新規発行の債券は、株式と違っていつでも購入できるわけではなく、募集があるときに限られます。
まとめ
ここまで債券投資とは何かという基本的な仕組みと、メリット・デメリットを解説してきました。
債券投資は国や地方や企業が、資金調達が必要な状況で証券会社を通して投資家に販売する金融商品です。
決められた期間と利率が希望に合った投資家が購入して、定期的に配当金を受け取り、償還日には購入した額面価格の返還を受けることができます。
株式やFXに比べて値動きが小さく、低リスクの投資商品と言われています。
全ての債券がそうではありませんが、銀行預金するよりも高い利回りに設定されていることが多く、元本保証されているため信頼できる発行体の債券は魅力があります。
ただし株式投資やFXのように短期的に大きな利益を狙える金融商品ではありません。
短期的な売買を目的に債券を購入すると、金利が上昇した局面では債券の価格が下がるので、額面以下の金額で売却する可能性があります。
そうしたリスクを取らないためには、投資にすべての資金を回すのではなく、現金資産もポートフォリオの一部に入れて資産運用を考えることが必要です。
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