子供の貯金箱を考えるならばマイナスの数はあり得ません。例えば、100円玉を3つ入れていた場合はプラス300円です。使ってしまえばゼロにはなりますが、損失では無いのです。
しかし、投資信託はそうとは言えません。購入すれば価値が上がるのですが、状況によっては下がってしまいます。しかも、その状態が悪化し続けるならば元本割れの危険性すら出て来ます。つまり損失が出てしまうのです。
さて、ここでは投資信託の元本割れについて焦点を当てて考えてみます。元本割れの例やリスクも挙げるので、どの様な状況下で発生するかが理解出来ることでしょう。
もくじ
投資信託は元本割れリスクが存在する
投資信託の資料を見ると「元本割れはあり得る」と記載されています。要は「投資しても損をする可能性がありますよ」と言うことなのですが、少し復習をしてみます。
投資信託の元本割れとは
投資信託の元本割れとは、元々の購入した時の価格よりも、評価額が落ちてしまった場合のことを指します。
例えば、基準価額が5000円のファンドを10万円分買ったとします。この時点では評価額は10万円です。しかし、投資信託の基準価額は上下に変動します。つまり、上がるだけでなく、値を下げることもあるのです。
そして、基準価額が購入した時点よりも下がってしまった場合は元本割れとなります。先の例で考えるならば、基準価額の5000円を4500円まで下げてしまうならば、評価額も9万円となってしまうのです。
元本割れは多くの金融商品でも起こり得る
さて、元本割れは多くの金融商品でも起こり得ます。と言うのは、運用には様々なリスクが潜んでいるからです。
例えば海外の債権に投資していた場合には、その国での内政に関係するリスクもあり得ます。…例えば、戦争などが始まった場合には状況は乱高下することでしょう。
それに加えて海外の場合には為替のリスクも発生します。つまり、前述の様な戦争勃発によって為替が更に乱れ、投資家がその余波を食らうのです。
そして、資金を集めて利子を付けるビジネスは大なり小なり投資が絡んでいます。リスクはゼロでは無いのです。
投資信託の元本割れの例を見ておこう
それでは、投資信託の元本割れはどの様にして起こるのでしょうか。投資の例を挙げて考えてみましょう。
株式
株式は企業の営業の状態に大きく左右されます。
例えば、製造業であればヒット商品を発売して収益を上げるならば、それは株価に影響するかも知れません。その一方で、商品が不採算になり、事業そのものを売却するなどとなったら、その株価は下がることでしょう。
そして、その様に株価が下がるのであれば、それに連動して投資信託にも影響があり得ます。つまり、元本割れのリスクが出て来るのです。
債権
債権は株式よりもリスクは低いとされていますが、全くリスクが無い訳ではありません。確かに償還まで持つならば有利かも知れませんが、やはり変動する物。しかも信用リスクがあるため、場合によってはデフォルトの可能性も出て来ます。
また、債権は国内だけでなく海外の物もあります。海外であれば、それらのリスクに加えて為替のリスクも発生。価値を大きく落としてしまい、元本割れのリスクが一層高まるのです。
不動産
不動産の場合は商業施設など、下がりにくい投資対象が選ばれていますが、それでも価値の下落は完全には抑えられません。不動産は天災の影響を受けることもあるので、意外なタイミングで想定外のアクシデントが起こり得まるのです。
例えば、タワマンなどの付加価値の高い物件に投資するファンドがありますが、最近発生する豪雨による水害で価値を落とすことも考えられる様になりました。
つまり、ファンドその物の運営条件が悪くなったので、それだけ元本が危険になったのです。
コモディティ
コモディティは農産物や貴金属などへの投資ですが、安定している様に見えて、必ずしもそうとばかりは言い切れません。やはり価値を落としてしまい、元本を割ることもあるのです。
例えばレアメタルへの投資はハイテクにも関係するので、今後も成長が期待出来ます。産業が必要としているからです。
しかし、レアメタルの高騰から、各国ではレアメタルに変わる物質を開発する研究が進み、レアメタル需要を削ってしまう予測も出て来ました。その場合はやはり価値を落としてしまい、元本を割るのです。
投資信託の元本割れリスクを知っておこう
この様な状況下によって投資信託は値を下げ、ついには元本割れに至ってしまいます。
では、価格を下げるリスクにはどの様な物があるのでしょうか。
代表的な物を挙げてみましょう。
価格変動リスク
価格変動リスクは、その名の通り投資信託の基準価額が下がってしまい、その分だけ評価額を落としてしまうリスクと言えます。
これの原因は株式であれば企業の業績悪化、不動産であれば空室増加などの慢性的な赤字などです。
ただし、基準価額が値を下げるのはそれだけでは無く、分配金が支払われた時も値を下げてしまいます。
そのため、基準価額が仮に下がったとした場合には、それがリスクの発現による物なのか、分配金の拠出などによる正常な条件下の物なのかを見極める必要があるでしょう。
為替リスク
為替リスクはその名の通り、為替レート悪化による損失から来る元本割れリスクです。特に海外に投資対象を置く物に現れます。
為替は平常時には数パーセントの値動きなのですが、国際的なアクシデントが発生した時など、一気に値段が変動します。それによって基準価額の価値が下がり、時には元本を割り込むのです。
ちなみに、為替レートは突発的に変動するケースと、長期間を掛けて変わる物があります。その内、長期間を掛ける物は経済発展などを背景にする物もあるので、為替が戻らないこともあり得ます。
信用リスク
信用リスクは投資先の業績悪化や潰れることによるリスクと言えます。企業であれば単なる業績悪化だけでなく、同業他社との競争で負けてしまい、そのまま業績悪化に繋がるケースもあることでしょう。
また、企業間の買収などもあり得ます。業界によっては企業の買収劇が連続した時期があったことを考えても、信用リスクは軽視が出来ないとも言えるでしょう。
金利変動リスク
金利の状況が投資信託に影響を及ぼすことがあります。特に債権を対象とする物がメインで、状態が悪くなると元本を割り込むことにもなり得ます。
ちなみに、海外の債権の場合には他のリスクも同時に絡みます。金利に併せて為替の状態が悪くなることも。そうなると評価額にも更に大きな影響を及ぼすことでしょう。
カントリーリスク
カントリーリスクは「その土地ならではのリスク」と言うことが出来ます。ですから、その土地以外にいる人には分かりにくい理由もあり得ます。
例えば、海外での政情不安には宗教問題が絡んでいることが案外少なくはありません。特に中東の問題の背景ともなる宗教絡みの問題は、太古の昔から引きずる問題でもあるので、日本人には分かりにくい問題です。
しかし、それが国境が変わるほどに大きなリスクになることも事実。元本割れに至るケースがあり得ます。
元本割れリスクを抑える手段はあるのか?
それでは、元本割れを抑える手段にはどの様な物があるのでしょうか。
代表的な物を挙げてみましょう。
投資対象の分散
第1に挙げられる手段は「投資対象の分散」です。
資金を1つのファンドにだけ投じているならば、何らかのキッカケで資金全体が目減りしてしまいます。しかし、複数のファンドに分けるならば、仮に1つがダメージを受けたとしても、全体的には傷が浅くて済むのです。
ただし、複数と言っても管理が難しくなるほどに手を伸ばすことは得策ではありません。管理しながら計画を立てられる程度がおすすめです。
長期の運用
基準価額の変動は短期的に見るならば乱高下するケースもあるのですが、長期的に見るならばその変動も平均化することにもなります。その結果として元本割れを避けることにも繋がるのです。
ちなみに、短期的な乱高下を読むのは様々な条件が絡むので、投資のプロであっても簡単ではありません。リスク管理は長期の運用が前提と考えるべきでしょう。
投資タイミングの分散
投資のタイミングを分散させることにより、購入価格を平均化させることが可能です。その平均化が元本割れのリスクを下げることにも繋がります。
ちなみに、「下がりきった時点での購入」はタイミングを読むことはほとんど不可能とも言えます。むしろ分散化して平均価格を下げる方が現実的と言えるでしょう。
実物不動産投資の大損と不動産投資信託の元本割れは回避せよ!
この様に、投資信託では元本割れのリスクを考えなければならないのですが、それでは実物不動産の大損とはどの様に違うのでしょうか。
実物不動産投資の大損1「借金が残る」
実物不動産投資は基本的には銀行融資を利用しての投資。借金を抱えながらの投資です。返済は基本的には毎月行われます。
その一方で、不動産投資信託は他で借金をして投資をしない限り、返済はありません。
では、不動産投資の大損とはどの様な状態になるかと言うと、1言で言うならば「借金が残る」のです。
不動産投資信託は確かに元本を割ることはありますが、それは借金を前提にする物ではありません。
実物不動産投資も返済が滞るならば、担保を取られることになりますが、共担として別の物も出しているならば、そちらも危険になり、損失が更に膨らみます。
実物不動産投資の大損2「負動産が残る」
「負動産」と言う用語があります。これは持っていても役に立たず、返って持っているだけで損失になると言う物件。しかも、負動産は基本的には売却するまで所有権を持つことになりますので、「捨てること」が出来ません。
さて、実物不動産投資の場合、収益性が悪くなってしまい、空室が常態化してしまうと、物件が負動産になってしまいます。
と言うのも、物件は一旦荒れてしまうと回復が難しいからです。ボロボロになってしまうと全体をリフォームする必要が出て来ます。それも大きな費用が掛かること。非常に厳しい状態です。
実物不動産投資の大損3「税金だけが残る」
負動産は放置していれば済む物ではありません。税金が発生してしまうのです。固定資産税が問題なのです。
確かに物件が古くなれば固定資産税は安くなることでしょう。しかし、空室だらけとなってしまったボロ物件では採算が取れなくなる危険性もあります。
かと言って、その物件を取り壊して更地にするならば、固定資産税の掛かり方が変わってしまい、更にマイナスにもなり得ます。
いずれにしても、負動産は厳しいのです。
不動産投資信託の元本割れ
それでは、不動産投資信託の元本割れにはどの様な特徴があるのでしょうか。
まず挙げられるのが「借金が無い」点です。これは前述の通り、投資信託は借金が前提にならないから、と言えます。
第2に挙げられるのが「負動産が残らない」点です。不動産投資信託は不動産への投資なのですが、投資家は物件を所有しません。ですから負動産にはならないのです。
第3は税金の問題です。不動産投資信託は固定資産税が発生しません。確かに不動産投資信託であっても税金は掛かるのですが、それは売却益や分配金が発生してのこと。持っているだけで発生する固定資産税とは違うのです。
この様に考えると、元本割れは確かに厳しい状態とは言えますが、ダメージの大きさと質が実物不動産投資とは大きく異なることが分かります。
まとめ
投資信託の元本割れ、そしてリスクについて取り上げました。元本割れの性質やリスク、そして対策などもイメージ出来た物と思います。
また、不動産投資信託を例に取り、実物不動産投資の損失とも比較してみました。リスクの大きさなども分かったことでしょう。
元本割れは確かに避けたい現実です。しかし、対策は確かにあるので、布陣を敷きながら慎重な投資を心がけましょう。
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