FPに聞いてみた

不動産投資にも対策が必要!害獣・害虫の被害について

不動産投資にも対策が必要!害獣・害虫の被害について

不動産投資には変わったリスクも存在します。ここで解説する害獣・害虫のリスクは独特で、他の投資ビジネスには無い物と言えるでしょう。

さて、害獣・害虫であってもリスクには変わらず、場合によってはビジネスの浮沈にも係わるかも知れません。そのため、やはり投資家としてはリスクの内容まで覚えておくべきです。

では、害獣・害虫による不動産投資における被害には、どの様な物があるのでしょうか。

害獣・害虫は農作物の問題だけと言う訳ではありません。不動産投資でもその影響は大きいのです。今回は、そんな害獣・害虫について、FPの方に伺ってみました。

不動産投資における害獣・害虫の被害について

まずは害獣・害虫の被害がどの様な物かを解説します。

不動産投資における害獣・害虫の被害について

「ハエなんかは殺虫剤を撒けば良いのでは無いか」と考え、問題を軽視する投資家も多いかも知れませんが、実は害獣や害虫の問題は放置すると危険な状態に陥ります。どの様な状態に陥るのでしょうか。

投資物件がダメージを受ける

まず第1に挙げられるのが「物件がダメージを受ける」ことです。代表的な被害はシロアリの害です。

シロアリは基礎部分から土台や柱の部分を食い荒らし、部材をスカスカにしてしまいます。当然ながら、食われた部材は強度も著しく落ちてしまい、危険な状態に。そして、被害が進行してしまうと耐震性など、安全に関係する基本性能まで落ちてしまうのです。

ちなみに、鉄骨系の建物はシロアリの害を受けない様に思われているかも知れませんが、実は鉄骨系の建物であっても木部材は意外にあるもの。その部分が食われるならば、大きな被害を受けてしまうのです。

衛生上の問題が出る

害獣や害虫は衛生上の問題を引き起こします。

例えば、野良猫のケース。野良猫が仮に敷地内で排泄を繰り返した場合には、衛生の点で問題です。

また、野良猫の排泄物にハエなどが卵を産んだ場合、ハエがどんどん増えて行ってしまいます。しかも、野良猫はどこで排泄するか分かりません。どこがハエの繁殖地になるか分からない状況にもなり得るのです。

住み心地が悪くなる

この様に物件がシロアリに食われたり、猫がウロウロしたり、ハエが飛んでしまうならば、その場所では快適な生活が期待出来なくなってしまいます。

特にハエなどの害虫は病原菌を伝搬するので、環境的に悪くなることでしょう。

また、これらの問題は簡単に解決出来る物ではありません。確かに殺虫剤などで撃退は出来るかも知れませんが、ハエの発生が慢性的になってしまうと、その場所での生活そのものが嫌になってしまうことと考えられます。

退去・空室の発生

不動産投資は入居者の家賃があってのビジネス。ですから、仮にでも退去されたら収入が途絶えてしまいます。しかも、一旦空室になってしまった場合には、次の入居者が現れるまで無収入を耐えなければなりません。

そして、空室が慢性化した場合には物件の運営そのものが危険になってしまいます。状況次第ではビジネスが座礁してしまうこともあり得るのです。

新たな入居者について

SNSなどで賃貸不動産を探して見ると、意外なほどに大量な情報を見つけることが可能です。これは不動産会社がアカウントを持ち、宣伝に使っているからです。ネットの手軽さとスピードは広告宣伝に向いているのです。

さて、この様なSNSは個人でも簡単に使うことが可能です。そして、物件の状態についても投稿が可能。その際に「Gが出た」「ハエがいっぱい出る」などと書き込まれたならば、物件の印象まで悪くなってしまいます。

ちなみに、SNSでは個人の特定が出来ない様に掲載するのが一般ですが、中には場所の特定を趣味としている人も居ます。非常に危険なので、事前の対応が必要です。

不動産投資における主な害獣・害虫について

それでは、不動産投資の上で有害な害獣・害虫にはどの様な物があるのでしょうか。代表例を挙げてみましょう。

不動産投資における主な害獣・害虫について

尚、犬はここでは対象外とします。犬は行政が管理していて、基本的にはペットだけだからです。

猫はペットとしてポピュラーな動物で人気も高いのですが、意外に厄介な面もあり、困ることもあります。特に厄介なのは繁殖力の高さ。気が付いてみると物件の周囲が野良猫で溢れていた…と言った事態もあり得るのです。

ちなみに野良猫の厄介な点が排泄物の問題。前述の様にハエなどの害虫の培地になります。また、子猫はどこに入り込むか分からず、どこに排泄するかも分かりません。そして、その排泄物から害虫が発生する…実に厄介なシナリオです。

ネズミ

時として物件にネズミが棲み着くことがあります。ネズミも不潔な動物の代表格です。

ネズミの厄介な点は繁殖力と糞の問題と言えるでしょう。繁殖力はその名の通り「ネズミ算」。非常に早く増えて行きます。

にネズミの糞は危険で、サルモネラ菌をはじめとする多くの病原体で溢れています。しかもネズミも神出鬼没の動物。どこが病原菌で汚染されるか分かりません。

蛇はペットショップに居る動物と思うかも知れませんが、住宅街であっても時に蛇が出ることもあります。日本の本土で見られる蛇はマムシやヤマカガシ以外は基本的には無毒なので実害は無いでしょうが、やはり気分の良い物ではありません。

尚、最近あった事件ですが、ペットとして飼育していた大型の蛇が逃げたことがありました。海外では大蛇が人を飲み込む事件も発生しているので、小さな子供などは危険なのではと騒がれました。蛇は結局見つかったのですが、印象としては良い物ではありません。非常に危険な害獣なのです。

シロアリ

先にも挙げましたが、シロアリは建物に甚大な被害を及ぼします。シロアリは木造建築物の天敵とも言えるからです。

シロアリは蟻道と呼ばれる経路を作って基礎部分から上がるのですが、昔の建物の様な基礎だと、いつの間にか入って来てしまいます。

また、今の木造の建物であっても基礎から上がって来るので注意が必要です。

尚、家の外壁部分に木製品を立てかけておくケースを見ることがありますが、この場合も危険です。シロアリが木製品から上がる可能性が出て来るからです。

ハエ

ハエも病原菌を撒き散らすので非常に困る害虫と言えます。

また、ハエは増えやすいのも困った点。動物の糞の様な適当な培地があると増えてしまいます。

ちなみに、ハエの伝搬する病原体はサルモネラ、コレラ、ポリオなど、非常に危険な物が揃っています。見つけたなら早急に駆除しなければなりません。

蚊は水溜りなどで増える害虫。ですから、湿気ている部分で水が溜まる部分があると、そこで発生します。ちなみに、蚊は見つかりにくいところでも増えます。例えば植木鉢などです。

蚊が発生しやすい物件も生活環境が悪くなります。退去を防ぐ意味でも、早めの対処が必要です。

ゴキブリ

ゴキブリも衛生上の観点から問題の多い害虫なのですが、それと同時に最高レベルの嫌悪感と恐怖を住む人に与えます。

ゴキブリも繁殖力の強い害虫で、1匹を見つけたなら数十匹は隠れているとも言われるほど。それだけに人に恐怖を与えます。

尚、ゴキブリの発生が慢性化すると、やはり退去リスクが出て来ます。オーナーとするならば「たかがゴキブリ」と思うかも知れませんが、住む側からすれば第一級レベルの問題。何とかしなければなりません。

蜂は刺して来る害虫で、スズメバチなどは特に危険。時には人の命までにも関わります。早急の駆除が必要です。

ちなみに、蜂は様々な部分に巣を作ります。良い例が屋根裏。別荘地で時折見られる光景なのですが、避暑のために来てみたら蜂が発生していて、家をチェックすることになった…と言った事件が結構あるのです。

その他

不動産投資に直接関係しないかも知れませんが、ペットとして飼われていた外来種の動物が迷い込んで来る場合があります。

入り込んで来た動物の種類にもよりますが、場合によっては増えてしまうこともあり得ます。やはり迷惑な話です。

購入時に気を付けるべき投資用物件

この様に、投資用不動産の運営に問題となる害獣・害虫は様々いるのですが、これもリスクとして回避しなければなりません。その場合には、「最初からその様な物件を敬遠する」のが最善とも思われます。では、どの様な物件を避ければよろしいのでしょうか。

購入時に気を付けるべき投資用物件

乱雑なまま放置されていた物件

不動産投資は中古の方が利回りが良いと言われます。しかも、最近では築年数の経ち過ぎたボロ物件でも敢えて購入する人も居るくらいです。

ところで、害獣・害虫の発生の観点からすると、中古の物件は分が悪くなります。シロアリの被害なども起きやすいですし、猫をはじめとする小動物も増えやすくなるからです。

ですから、中古物件を購入する時には乱雑な物件は基本的には避けること。仮に買うのであれば、物件の内装だけを見るのでは無く、基礎まわりから外構部分までをしっかりと確認する必要があります。

築年数の経ち過ぎた物件

築年数の経ち過ぎた物件も危険です。

築年数が経ち過ぎたと言うことはシロアリの害をすでに受けている可能性のある物。購入は避けるのが無難です。

しかし、築古物件は購入価格を抑えられるので、魅力の面からは非常に大きいのも確か。ですから、購入の際の建物チェックはより重要になります。

巣を作りやすい構造の物件

昔の物語を見てみると、縁の下に猫の1家が住んでいるといった微笑ましいシーンの描写が登場することがあります。これは読者には好印象を与えるかも知れませんが、不動産オーナーからするならば、猫が糞を撒き散らす可能性があるので警戒が必要…と言うことが出来ます。その点、今の建物はべた基礎のため、猫なども巣を作りにくいです。

物件を購入する際には、害獣・害虫が巣を作りやすい構造の物は避けた方が安全と言えるでしょう。

害獣・害虫の対処方法について

この様に、害獣や害虫は不動産の管理・運営を考えてもマイナス要因しかありません。そして、発生リスクの高い物件を避けることは可能なのですが、それでも発生してしまうことがあり得ます。

害獣・害虫の対処方法について

では、その様な場合の対処方法はどの様にすべきなのでしょうか。

インスペクションなどでチェックする

第1に必要なのが「購入前の徹底調査」です。特に中古物件の場合は既に被害を受けている可能性も否めないので、余計にチェックが必要となります。

しかし、そうは言っても投資家の全員が建築のプロとは言えません。専門家に依頼する方が確実なチェックをさせることが可能。おすすめです。

インスペクションは主に中古の建築物を確認・評価してくれます。インスペクションには費用が発生しますが、先行投資を割り切るべきです。

基本は専門業者に依頼する

シロアリ駆除を考えるならば「業者に相談する」のが、やはりベストです。シロアリは地下から上がって来るので、素人だと分かりにくいからです。

さて、シロアリなどは業者の出番と考えていても、蜂などは自分で対処が可能。殺虫剤を掛ければ問題解決…と思うかも知れませんが、害獣・害虫全般まで業者の任せるべきです。

と言うのも、素人だと害獣・害虫の習性をよく知らずに対処してしまうこともあるので、問題の解決までは至らない事態もあり得るからです。問題に遭遇した場合には、迷わず専門業者と相談しましょう。

シロアリ被害にはリフォームが必要なことも

シロアリは殺虫剤で駆除されますが、それで十分とは限りません。食われた部材の影響を考えなければならないのです。と言うのも、部材が食われると強度が落ちてしまうから。部材の補強をリフォーム工事として行った方が良いこともあるのです。

ちなみにシロアリを徹底的に追い出したいと考えるのであれば、基礎のリフォームも必要となります。その場合は多くの費用が掛かるので、注意が必要と言えるでしょう。

まとめ

不動産投資における害獣・害虫の影響について取り上げました。猫の様なあいくるしい小動物も害になり得ることなど、ショックを感じた人も居るかも知れません。しかし、放置は極めて危険です。

害獣や害虫の問題は必ず対処しなければなりません。物件購入の際には徹底的に調査する様にしましょう。

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清水みち代

関東在住の30代女性。 生保代理店で窓口営業に従事していましたが、コロナの影響で休業中。 自宅にいる時間に資格取得に目覚め、通関士、宅地建物取引主任者、FP2級、総合旅行業務取扱管理者の各資格を取得。 将来の目標は、北海道での「田舎暮らし」。

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