FPに聞いてみた

他の人はどう考えているのか?投資信託の解約とその理由について

他の人はどう考えているのか?投資信託の解約とその理由について

銀行口座を考えて改めて考えてみると、その利便性が非常に高いことに気が付きます。利子はともかくとしても、入金や出金が非常に簡単だからです。特に今ではネットバンキングやコンビニのATMの普及により、1層利便性がアップしています。

それでは投資信託はどうでしょう。銀行ATMの様には行きません。解約の手続きを踏み、しかも待たなくてはならないからです。解約にも検討が必要とも言えるでしょう。

では、投資信託の解約はどんな時に行われるのでしょうか。ここでは投資信託の解約とその理由について取り上げたいと思います。

投資信託を始めてみて、投資として自分に合わない事もあるかもしれません。今回は、投資信託の解約についてFPの方に聞いてみました。皆さんそれぞれ理由などあるかもしれませんが、どういった事が要因なのかを知っておくのもいいかもしれませんね。

投資信託の解約について

まずは投資信託の解約について復習しましょう。

投資信託の解約について

冒頭にも挙げた通り、投資信託は銀行口座の様には行きません。あくまでも投資ビジネスですので、分けて考える必要があります。

投資ビジネスと解約

投資ビジネスは「資金を何等かの事業などに出資して、その運用によって利益を得る物」と要約することが出来るでしょう。例えば株式などは企業の行う事業に投資家が出資して、それから発生する利益を享受するイメージとなります。

それでは、出資からのリターンは簡単に出してもらうことは出来るのかと言うと、必ずしも容易とは言い切れません。例えば不動産投資などは投資用物件を購入することもあり、簡単に換金することは出来ないからです。その一方で、換金が容易な投資ビジネスも存在します。

この様に、投資ビジネスは換金が自由な物とそうでない物があります。投資ビジネスを始める前には、どの様な目的とするか、あらかじめ考えておくことが必要と言えるでしょう。

投資信託はどんな物か

さて、投資信託ですが、これは換金が比較的容易な投資ビジネスに属します。

後述しますが、確かに換金には制限がありますが、多くの投資信託は、基本的には解約して換金するのが可能なのです。

その点では、投資信託は便利なシステムを取っていると言えるでしょう。得られる収益が多く、しかも換金が簡単なので、「良いとこ取り」とも言えるでしょう。

ただし、銀行口座ほどの利便性は無いので、資産管理には併用するのがおすすめです。

投資信託を解約する理由について

この様に、投資信託は解約して換金することが容易とも言えるのですが、一般にはどの様な理由で解約されているのでしょうか。代表的な解約の理由を挙げてみましょう。

投資信託を解約する理由について

基準価額の上昇

まず挙げられるのが「基準価額が上がったから」と言う理由です。

投資ビジネス一般で言えることなのですが、投資対象の価値が上がった場合に手放すならば、その差が収益になります。

これは投資信託でも同じ。基準価額が低いタイミングで購入して高くなるならば、それだけ利益が得られるのです。例えば、基準価額が10000円のファンドが11000円まで上がれば1000円のアップとなり、その差に口数を掛けた物が利益になります。

基準価額の下落

次に挙げられるのが基準価額の下落を理由とする売却です。

基準価額の下落は投資信託の価値が下がると言う物。ですから場合によっては更なる下落によって価値を落す前に、損失を最低限に抑える意味での解約がなされます。

例えば、10000円のファンドが9000円まで落ちてしまった場合、更なる下落によるダメージを防ぐために解約するイメージです。

さて、基準価額の下落が更に続くならば評価額もそれだけ落ちてしまうのですが、持ち直すこともあり得ます。解約に際しては、今後の動きを読まなければならないのですが、その予測は簡単ではありません。売却するか保持するかは、ある意味で投資家の腕の見せどころとも言えるでしょう。

純資産額の減少

純資産額の減少も理由の1つです。純資産額はファンドの規模、つまり安定性を示しているとも言えます。そして、仮に減少を続けて行くならば運用に支障を来してしまい、繰上償還にもなり得ます。繰上償還はケースによってはバッドエンドでもあるので、そのリスクを回避する上でも解約がなされるのです。

ちなみに、繰上償還によって元本を割れてしまったら時間と投資金額の丸損と言わざるを得ません。

ただし、純資産の減少を引き起こす要因によっては回復する可能性もあります。リスク要因を読み取る「目」が重要となる場面でしょう。

リスクの分散

投資ビジネスは1つに集中して投資をするよりも、分散させて投資をする方が良い場合があります。これはリスクヘッジによる物で、仮に何かがダメになったとしても、他の投資でカバーさせて損失を少なく抑えます。

さて、投資信託の解約もリスク分散の理由で解約や購入がされるがあります。

例えば好調のファンドに集中させていた物から、別の複数のファンドに鞍替えする場合など。そのファンドが抱えるリスク要因が如実になった場合になされる処置です。

解約のタイミング

それでは、解約はどの様なタイミングで行われるのでしょうか。代表的な例を挙げてみましょう。

解約のタイミング

別途の資金が必要になった時

最初の例として挙げられるのが「単純に別途の資金が必要になった時」です。

投資信託は利回りの期待出来る金融商品として捉えることも可能。例えば子供の教育資金として蓄えておき、子供の進学を機に解約、と言うケースもあるのです。子供の教育資金などの例では、子供が小さい内から積み立てをはじめ、進学の時に解約するイメージになります。

ちなみに、投資信託は預ける期間を長くすれば、それだけの複利効果が狙えます。利益が利益を作るので、資産形成には向いています。

利益が確実になった時

利益が確実になった時も解約に良いタイミングです。

投資信託は様々な要因で変動します。国内の景気の他にも為替の影響もありますし、世界情勢によっても違って来ます。当然ながら全部の変動要因を計算に入れて未来を予測することは出来ません。ですから、場合にもよりますが、ある程度高くなった段階で切り上げてしまい、利益を確実にすることもあるのです。

ただし、ファンドは解約の後でも更に上がる可能性もあります。ケースにもよりますが、収益のチャンスを見逃してしまうこともあるのです。

損失が発生した時

損失が発生した時も解約のタイミングです。特に下落が続きそうな時は検討するべきでしょう。

投資信託は上がりもすれば下がりもするのですが、仮に下がりっぱなしになってしまい、繰上償還になった場合はバッドエンドとしか言いようがありません。それよりも損失が増えない内に解約してしまうのも十分にアリなのです。

解約の注意点について

投資信託を解約するに当たっては注意点があります。ここでは代表的な物を挙げてみましょう。

解約の注意点について

解約出来ない物がある

投資信託は基本的には解約がいつでも可能です。しかし、投資信託によっては解約が出来ない期間を設けている物もあるので注意が必要です。この解約出来ない期間を「クローズド期間」と呼びます。

クローズド期間は運用の安定化などを目的として設けられており、ファンドによっては3ヵ月から1年くらいの期間としている物もあります。

ただし、クローズド期間であっても、投資家本人の死亡、あるいは災害などによって財産を失った場合などには換金出来る様に一般的にはなっています。

解約から換金まで日数が掛かる物もある

投資信託は解約手続きを踏んだからと言って、すぐに換金が可能とは限りません。一般には4~7営業日程度の時間を要します。この点は投資目論見書に記載されているので、事前のチェックが必要です。

尚、投資ビジネスは計画性が重要ですが、投資信託もその点では同じです。資金が途中で必要になる可能性のある時には、分配金を受け取れる様にするなど、布陣を敷くことが必要になるでしょう。

税金の発生

投資信託には税金が発生します。しかも、投資信託の税金は所得税がトータルで20.315%で、決して安くはありません。この税金の内訳は所得税が15%、復興特別所得税が0.315%、住民税が5%です。

尚、投資信託の口座には「特定口座」と呼ばれる金融商品取引業者で開設出来る物があります。そして、特定口座には源泉徴収のある物がありますので、それを選んでおけば税金が自動的に源泉徴収されます。所得税や住民税を個人で納めるためには確定申告が必要なのですが、源泉徴収にしておけば確定申告そのものが不要となり、便利です。

解約は計画的が望ましい

ビジネス全般に言えることなのですが、何であっても計画が必要です。確かに投資による収益は偶然の産物とも言えるのですが、例えば投資期間や止め時などを決めておかないと、売却のタイミングを逃してしまい、損失を被ることにもなり得ます。

ただし、計画にも修正が必要です。市況によってはフレキシブルな対応が求められることもあるので、柔軟な対応を心掛けましょう。

チャートは常に確認しておきたい

チャートは常に注意が必要です。投資信託には傾向があり、環境によって敏感に変動するからです。

例えば、株式の場合は海外で発生したアクシデントによって上下します。…戦争などの勃発により様々な場面に影響することでしょう。投資信託の基準価額も変動が予測されます。

ただ、「上がるか下がるか」だけでは無く、「どれくらいの変動か」が大切。その部分を読み取るにはチャートの確認が必要なのです。投資信託の基準価額は毎日変わります。ぜひとも毎日注意しておきましょう。

不動産投資信託について

ここでは不動産投資信託を挙げてみましょう。

不動産投資信託について

不動産投資信託は投資信託対象も資金の額も規模は大きいです。

実物不動産投資の資金が数億なのに対して、不動産投資信託の資産は数十倍にも膨らみます。

では、不動産投資信託の解約の理由としては、どの様な物があるのでしょうか。

不動産投資信託の解約の理由

不動産投資信託も基本的には一般的な投資信託と変わりません。例えば生活資金や教育資金などが必要となった場合、利益が確定された場合などがあるのでしょう。

また、不動産投資信託も海外の物があり、為替の影響や地域独特の事情も関係します。この様な場合には基準価額を下げる場合があるので、解約を選ぶ人が多くなります。

解約の具体的な理由とは

では、不動産投資信託の解約の具体的理由にはどの様な物があるのでしょうか。

これは不動産投資信託によって異なるでしょう。と言うのも、不動産投資信託は様々な物に投資をしているからです。そのため、基準価額を下げる理由は様々です。

例えば、オフィスビル関連に投資をしているファンドであれば、市況が企業の成績にも影響し得るので、解約の理由にもなるでしょう。また、住居系に投資をしているならば人口の移動も関係するかも知れません。理由はケースバイケースなのです。

解約のタイミング

不動産投資信託の解約もタイミングが重要です。そして、解約にも計画がある方がベターなのです。と言うのも、不動産投資信託であっても、タイミングを逃すと基準価額を想定よりも下げてしまい、損失を被ってしまうからです。

ですから、前に挙げた要因が目立って来たならば、基準価額を下げるリスクが上昇します。ぜひとも注意しましょう。

損失の回避

不動産投資信託はプロによる投資に出資する物、ですからリスクヘッジに関してもプロの経験が物を言うため、安心して任せておくことが可能です。

しかし、プロであってもやはり予測には限界はあります。リスク要因が目立って来たならば、解約の検討をした方が良い時もあります。

ちなみに、海外不動産投資信託などは国内の物と別なリスク要因があります。海外で発生し得るリスクを事前に勉強して、その要因を覚える様にしましょう。

まとめ

投資信託の解約と理由について取り上げました。どの様な物があるかイメージ出来たことでしょう。また、解約のタイミングの例などについても掴めたことと思います。

投資信託には計画が必要です。しかし、計画にも修正が必要です。チャートなども参考にして、リスク要因が目立って来たならば、解約も検討に入れましょう。

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清水みち代

関東在住の30代女性。 生保代理店で窓口営業に従事していましたが、コロナの影響で休業中。 自宅にいる時間に資格取得に目覚め、通関士、宅地建物取引主任者、FP2級、総合旅行業務取扱管理者の各資格を取得。 将来の目標は、北海道での「田舎暮らし」。

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