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今更聞けない投資信託の基準価額の仕組みについて

今更聞けない投資信託の基準価額の仕組みについて

投資に関する資料を見ると、専門用語が多すぎて困ってしまう人も多いことと思います。「資産」や「口数」の様な一般的に使われている用語ならイメージが付くでしょうが、少し特殊な言葉になってしまうと意味が分からなくなることでしょう。

さて、投資信託には「基準価額」という用語が良く出て来ますが、この言葉もあまり一般的ではありません。しかし、知らないままにしておくと困ることも多いので、ハッキリと理解することが大切です。

そこで、ここでは投資信託の「基準価格」にスポットを当て、その意味と仕組みについて解説したいと思います。

基準価格では無くて、基準価額と言うのも知らない方は知らないかもしれません。そして、それを今さら聞くのもと言う方も多いのではないでしょうか。

投資信託の基準価額の意味と仕組み

まずは基準価額の意味と決まる仕組みについて解説したいと思います。

投資信託の基準価額の意味と仕組み

基準価額は投資信託の値段

物を購入する場合には値段が決まっていますが、投資信託にも値段があります。これが「基準価額」と呼ばれる物です。これは多くの場合、1口あるいは1万口の値段を指します。ですから、仮に10000円の基準価格で1万口とするならば、1口当りの値段が1円、ということになります。

さて、投資信託のサイトを見ると基準価額について詳細なデータを見ることが可能。記載されているデータには現在の価格の他にも、過去の実績がどれくらいであったかなどが掲載されていて、どの様な性格を持つのかが分かる様になっています。

基準価額は毎日変わる

株式投資を見ると、相場が刻々と変動しているのが分かります。午前は順調に上がっていた物が午後に突然値を下げた、と言うこともあることでしょう。

さて、投資信託の場合、基準価額は毎日変わりますが、株式投資の様に毎時、毎秒の様に変化するのではありません。基準価額はあくまでも「1日に1つ」なのです。

尚、投資信託の基準価額はその日の運用の状況によって決まります。基準価額はその日の終値から算出されて、発表は翌日です。

基準価額が決まる仕組み

基準価額は運用によって決まりますが、基本的には次の式から算出されます。

基準価額=純資産額÷総口数

また、基準価額の仕組みを知る上で欠かせないのが、分配金についての知識です。

と言うのも、分配金は基準価額から出されるからです。

分配金はその状況によって決められますが、決定には投資の方針が反映されます。例えば「このファンドは分配金によって投資家に利益を還元する」といった方針であれば分配に注力されます。その場合は分配金に重きが置かれ、基準価額を下げてしまうのです。

ちなみに、分配金の扱いは投資信託によっても異なります。分配金のある物と無い物がありますし、再投資にまわすケースもあります。そして、その状況によってトータルの投資額も変わり、基準価額も変動するのです。

基準価額の確認方法

基準価額はネット経由で確認が可能です。新聞などでも見ることが出来ますが、スマートフォンでの確認が一番早いと思われます。

投資信託を扱う金融機関にもよりますが、専用のアプリを持っているところもあります。使い勝手も良く、情報が早いので重宝することでしょう。

基準価額が変動する仕組み

この様に基準価額は決まるのですが、変動要因はいくつかあります。ここで、その変動要因を挙げてみましょう。

基準価額が変動する仕組み

組み入れている株価や債券価格の変動

まず挙げられるのが、そのファンドが運用している株価や債券などの価格変動です。

ファンドの運営はプロの仕事。しかし、必ずしも完全とは言えません。市況が予想に反することもあり、価格を下げることもあり得るのです。

その場合は純資産額が下がってしまうので、口数で割られ、基準価額が下がってしまいます。反対に運用が上手く行って口数がそのままだと純資産額が上がります。

分配金の支払い

前にも述べましたが、分配金は基準価額から差し引かれます。ですから、分配金が支払われると基準価額が落ちてしまうのです。

基準価額はチャートなどでも表記されるので落ちてしまう様に見えます。しかし、分配金が支払われれば基準価額が落ちるのは当然のことです。

ちなみに、その段階で基準価額の下落に慌ててしまい、解約するのは得策とは言いにくいです。落ち着いた判断が必要です。

運用費用の支払い

運用には費用が発生します。例えば購入時手数料、信託報酬などが支払われます。当然ながら、その費用は資産から捻出されるので、支払われると減ってしまいます。そうすると基準価額を下げてしまうのです。

ただし、運用費用は会社によっても違います。安いところを利用することが利益を得るコツとなるでしょう。

基準価額だけで投資信託は判断出来るか

結論から言うならば、基準価額だけでの判断では良し悪しの判断は出来ません。

基準価額だけで投資信託は判断出来るか

と言うのも、基準価額を決める要因は様々だからです。基準価額の判断に併せて、他の要因のチェックも必要となります。

ここでは基準価額と同時に見ておきたい要因について紹介して行きましょう。

純資産総額

投資信託の判断は基準価額だけでは完全には出来ません。やはり他の判断基準も必要です。

さて、ファンドが上手く行っているかどうかの判断の1つが純資産額と言えます。純資産額は運用の実績による物、投資の質を見る指標になります。

ただし、投資信託によっては分配金の無い物もあります。その場合は純資産額が増えてしまい、分配金有りのファンドと単純な比較が難しくなります。純資産額はあくまでも「指標の1つで目安」くらいと判断するのが良いでしょう。

トータルリターン

判断基準を考えるならば、投資信託はトータルリターンを元にすることも可能です。

トータルリターンは累計分配金・解約代金・保有評価額合計から投資信託累計買付金額を差し引いた物。購入した時と現状での差が分かるのでイメージのしやすい指標と言えます。

ただし、トータルリターンは金額の差を知ることは可能ですが、どの様な傾向があるかまでは分かりにくいです。チャートなどで全体を把握することが大切です。

チャート

判断基準としてはチャートの活用も有用です。チャートには基準価格の概要、分配金の状況などが記載されています。また、区間を区切って見ることも可能なので、全体の傾向を見たい時には非常に便利です。

投資信託に関する数値データは表での記載があるので一応の把握は可能なのですが、やはり数字の表記ではイメージが難しいです。チャート表記はイメージを掴みやすいです。良し悪しの判断に役立つことでしょう。

基準価額で知っておきたい周辺知識

以上の様に、基準価額だけでは良し悪しは分からないのですが、有用な周辺知識はあります。ここではその様な知っておきたいことを挙げてみます。

基準価額で知っておきたい周辺知識

分配金重視の投資信託は基準価額が下がる

分配金は総資産から分配金を差し引いた値です。ですから、決算期の後の分配金を出した後に減ってしまいます。特に分配金を重視するファンドは如実になることでしょう。

ですから、最初から「分配金重視」を謳っている投資信託は基準価額と分配金の関係式を良く理解することが大切になります。

この現象を知らないと、一時的にしろファンドの価値が下落した様に見えてしまいます。そして、慌ててしまうと売却をしてしまうことも。このアクションは冷静とは言いにくいです。

しかし、この現象を知っているならば慌てずに対応出来ます。ぜひ押さえておきたい物です。

チャートの重要性

基準価額のチャートは傾向を表すのに向いていますが、別の要因も読み取ることが可能です。

例えば、投資信託のサイトを見ると、基準価額の他に資産額のチャートも併せて記載されているケースも見られますが、基準価額と資産額の関係から分配金の傾向を読み取ることが可能です。また、その値を分配金で割れば、全体の口数なども見えて来ます。そうすると、そのファンドの人気がどれくらいあるかも、ある程度は読み取れます。

いずれの数値も目安程度になるでしょうが、基準価額と資産額の関係式から読み取れる情報もあります。投資に生きる場合もあるので、チェックすべきと言えるでしょう。

目論見書の重要性

投資信託を確認するためには、その投資信託の目論見書の内容を把握しなければなりません。目論見書には投資の方針から運用実績などまで、そのファンドの重要な情報も掲載されているからです。

基準価額に関しても目論見書には記載があり、他の情報とのデータ照合も可能です。

また、投資信託の種類にもよりますが、目論見書の出たタイミングに合わせて周辺の環境や情勢の調査も今では可能。環境条件によっても基準価額は変わるので、ぜひともトータル的な情報を集めたい物です。

リスクについて

投資信託に関係するリスクは様々です。投資対象や地域にもよりますが、実に様々な条件が加わります。概略を挙げると次の様になります。

  • 価格変動リスク
  • 為替変動リスク
  • 金利変動リスク
  • 信用リスク
  • カントリーリスク

これらの中には運用の良し悪しだけでは無い要因…特に地域で発生するカントリーリスクなどもあります。

例えば、海外の不動産投資信託の場合、投資対象としている地域で内紛などが発生するかも知れませんし、日本では考えられない様な自然災害もあり得ます。

そして、そのリスクが上がった場合には状況は非常に厳しくなることでしょう。例えば政治の状況が悪くなるならば、それだけでリスクは上昇しますが、そこでクーデターなどが発生した場合はリスクがドンと大きくなり、基準価額も変動するのです。

不動産投資信託の仕組みと基準価額

基準価額は単に「高い」「安い」だけの指標では無く、他の様々なファクターと結び付いています。そのため、仕組みを理解するためには、周辺の環境も知っておく必要があります。

不動産投資信託の仕組みと基準価額

ところで、不動産投資にも投資信託があり、基準価額が決められています。

では、不動産投資信託の基準価額はどの様な条件で変動する仕組みなのでしょうか。

別記事にはなりますが、上記でも不動産投資信託の仕組みについては詳しく解説しておりますので、興味のある方はご一緒にどうぞ。

不動産投資信託のリスク

投資信託には様々なリスクがあり、基準価額はそれらのリスクの発生によって変動します。

しかし、リスクはどれもが問題になる訳ではありません。例えば、投資信託全体では為替のリスクや海外のカントリーリスクが存在しますが、これらは海外に投資対象を持つ物について発生するリスクであり、国内の物ではあまり発生はしません。

そのため、国内の不動産投資信託であれば、リスクはある程度絞ることが可能となるでしょう。為替のリスクは発生しにくいが自然災害のリスクはあり得る…といった具合です。

ただ、不動産投資信託であっても実物不動産投資と異なり、ビルや空港、そして商業施設などがメインの投資となる場合もあるので、それらの施設の知識も必要となります。

口数と分配金について

不動産投資信託の口数と分配金は他のファンドと同じイメージと捉えて良いでしょう。

ただし、ファンドを取り巻く環境は独特なので、しっかりと把握しなければなりません。

例えば不動産投資信託にはタワーマンションに投資している物があります。タワーマンションは人気があるので家賃が高く、投資対象に向いているからです。

しかし、不動産には意外なお「もろい部分」があります。

例えば、非常に良い土地と思われていた土地が治水に問題があり、ゲリラ豪雨の対策が万全では無かった。などという問題が最近はクローズアップされています。そして、その様な土地に建ったタワマンが投資対象だったらどうでしょうか。場合によっては投資が成り立たなくなり、基準価額も落ちてしまうことでしょう。そうすると分配金も少なくなることが考えられます。やはり、ファンド特有の環境を知ることは大切なのです。

まとめ

投資信託の基準価額の仕組みを取り上げました。基準価額には純資産や分配金の他、様々な環境要因が関係していることが把握出来たと思います。また、ファンド全体を基準価額から判断するのは早計であることも理解出来たことでしょう。

基準価額の周辺を理解することは非常に大切です。ファンドには性格がありますが、基準価額の状態を知ることにより、傾向が一層はっきりと分かります。収益を上げるためにも、基準価額を含めた条件を読み取り、最適な投資信託を選び取りましょう。

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