「投資」と言っても様々な物があります。人への投資もあれば、企業への投資もあるでしょう。ただ、一般に言うならば、投資は基本的には直接的です。人への投資を考えるのであれば、スポンサーのスポーツ選手への投資がありますし、投資家による企業への資金の投資もあります。
しかし、投資は直接的な物だけとは限りません。間接的な物もあるのです。
ここでは間接的に投資を行う「投資信託」の仕組みについて解説します。一般的な投資と違いますが、初心者の方も相違点などがイメージ出来ることでしょう。
もくじ
初心者のための解説①投資信託とは何か
まずは、投資信託とはどの様な物であるかについて解説します。重要な点なので、初心者の方々も知っておきましょう。
投資の初心者の方は一般的な投資と混同するかもしれませんが、投資信託は一般の投資と仕組みが少し異なります。
投資信託運用会社による運用
冒頭にも挙げた通り、一般の投資は直接的です。先に挙げたスポーツ選手の例であれば、企業がスポンサーに立って選手のための費用などのサポートをします。そして、スポンサー企業はその選手の活躍によって宣伝に繋げます。また、不動産投資の場合はマンションなどの投資用物件を購入し、そこから発生する家賃収入によって利回りを得ます。
この2つの投資においてはっきりしているのは「どこに投資するか」が明瞭な点です。
しかし、投資信託は直接的ではありません。大勢の投資家から資金を一旦運用会社に集め、その運用会社が資金を投資して、その成果を投資家に分配するイメージになります。ですから、投資家は運用会社がどこに投資をしたかまでは知りません。
スポーツ選手への投資であれば、どのチームのどの選手への投資であるかハッキリするのに対し、投資信託はハッキリしません。投資のスタイルは全く異なるのです。
資金の流れ
投資信託の場合、投資家は投資信託の販売会社に資金を支払います。販売会社は大勢の投資家から資金を集め、運用会社がこれを元手に投資。その投資の成果を販売会社にフィードバックし、販売会社が投資家に還元します。
ですから、直接的な投資の様に、投資の対象物に直接資金的にタッチすることもありません。スポーツ選手のスポンサーであれば、選手の活動資金を現金で支払うかも知れませんが、投資信託では投資家は投資対象に直接資金を出すことはありません。資金も間接的となるのです。
分配金と償還金
運用会社の成果は一旦販売会社に還元され、その資金は投資家に出資に応じて還元されます。
その還元は分配金や償還金で行われます。
分配金はある期間の投資の成果でのフィードバックです。決算日を設定し、その決算日での運用成果を投資家に分配するイメージ。投資家は決算の度に利益を受けることが出来ます。
一方、償還金は償還日を迎えた場合のフィードバックです。投資信託には期限を定めて運用をしている物もありますが、この期限が償還日。償還日が来た段階で運用を切り上げ、その資産を投資家に支払われます。
投資信託の窓口
投資信託は投資家は直接運用会社とは取引をしません。窓口となる販売会社を経由して出資します。
窓口となるのは証券会社や銀行などです。
ちなみに、今はインターネットバンキングが非常に進み、外出先からであってもスマートフォンで操作が出来る様になりました。銀行や証券会社へ手続きもスマホから可能な物も現れ、非常に便利になっています。
特にネット銀行とネット系証券会社の連携が良いところは、口座振替などもスマホで可能。利便性が非常に上がっています。
元本割れもある
もしかすると投資信託は利回りの良い金融商品の様に思えるかも知れません。実際、期待出来る利回りは銀行などと比較するならば雲泥の差。しかし、投資信託には決定的なデメリットがあります。元本を割れることもあるのです。ここは初心者の方にぜひとも理解して欲しい点です。
ちなみに、投資信託の収益は投資金額に比例して増減します。100万円の投資と500万円の投資であれば期待出来る分配金も5倍です。これは元本割れについても同じで投資金額によって異なります。例えば100万円の投資で5万円のマイナスであれば500万円の投資だと25万円の損となります。
初心者のための解説②投資信託に携わる会社について
投資信託に関係してくる会社は主に3つ。それぞれについて解説して行きましょう。
販売会社
まず挙げられるのが投資信託の販売会社。投資家から資金を募る会社です。
この会社は様々ですが、それぞれで特色が異なります。取り扱っている信託の数が異なったり、ネットの機能があったりです。また、100円から投資信託を受け付けてくれる会社もあります。
ですから、小遣い程度の少額で貯金箱の様に利用する人など、ニーズに合わせて選ぶことが可能です。
また、先にも挙げた様にネットでの対応なども販売会社で違います。アプリの使い心地から選ぶのも1案と言えるでしょう。
投資信託運用会社
投資信託運用会社は投資家から募った資金を実際的に運用する会社です。
市況は様々な要因によって変動します。株式市場であれば企業の業績によって価格が変わりますし、不動産であれば人口の移動などでも変わることでしょう。いずれにしても、その業界独自には様々な変動要因があるもの。投資信託運用会社はそれらの状況を観察して運用。実際的な利益を目指します。
尚、変動の条件は時代によっても様々です。株式などの場合はテクノロジーの進化によって、企業の発明・開発も時代によって違って来ました。また、時代によってはM&Aなどが頻発し、市況にも影響して変動もします。運用会社には短期的な視力だけでなく、長期的なスパンを見通せる千里眼が要求されるのです。
信託銀行
信託銀行は投資家から集めた資産を管理するのが主な役目です。
投資家は世界中に居ると言っても過言では無く、様々な場所から資金を投じて来ます。そして、投資信託の販売会社も非常に多数。投資信託を円滑に行うためには、その流動する資金を効率良く管理することが望まれます。
信託銀行の機能は流動する資金の管理。世界から集まった出資を受託しているのです。
初心者のための解説③投資信託の特徴
投資初心者にはイメージが付きにくい投資信託ではありますが、一般の投資と違った特徴があります。主な特徴は次の4点です。順番に解説します。
少額でも投資が可能
まず挙げられるのが「少額でも投資が可能」な点です。
先に挙げた株式投資や不動産投資には、ある程度にしろまとまった資金が必要です。不動産投資で1棟マンションを購入する場合などは億の資金が要求されます。
しかし、投資信託であれば、それほど多くの資金を必要としません。小遣い程度の額から対応する物もあるのです。
ちなみに会社によっては100円から対応するところもある程。貯金箱の様な利用が可能なのは、一般の投資とは完全に違う点と言えるでしょう。
投資のプロに任せられる
先にも挙げた様に、投資信託の場合は投資信託運用会社が実際的な運用に携わります。投資のプロに任せることが出来るのです。これは投資初心者に嬉しい点と言えます。
さて、この投資信託運用会社は運用のプロフェッショナル集団。世界中の様々な情報を分析して運用に役立てます。
しかし、個人の投資家の場合にはその様には行きません。投資のプロに軍配が上がります。
分散投資でのリスク軽減
投資信託運用会社は様々な分野に投資をしています。この様な分散投資はリスクの軽減に有効。投資家から集めた資金を守る上で有利と言えます。
その点、個人投資家であれば投資可能な分野や銘柄の分散には限界があります。例えば株式市場の中で製造業に投資するのであっても、その中の1つの分野や銘柄に偏ってしまうことでしょう。製造業でも食品加工業と金属加工業、そして建築業などへの同時投資でリスクを軽減…と言った手法を取り入れる個人投資家は多くは無いことでしょう。
しかし、投資信託の場合は投資している分野の幅と分散が違います。リスクの軽減も徹底しているのです。
個人では難しい投資が可能
投資信託は個人では難しい投資にも対応します。良い例が海外の投資。投資信託では個人でも可能です。
海外不動産などの場合、金額が大き過ぎて個人では手に負えないことが少なくありません。
しかし、投資信託であれば多くの投資家から資金が集まるので、投資が可能となるのです。
不動産投資信託と不動産投資を比較
さて、ここでは投資信託の1つである不動産投資信託と、実物の不動産投資を例として比較してみましょう。
投資先
投資先は不動産投資信託では国内の不動産に投資するだけではありません。海外の不動産にも及びますし、商業施設なども対象とします。
その一方、一般の実物不動産投資であれば国内の住居系不動産、アパートやマンションなどが対象です。
物件の管理
物件の管理については、不動産投資信託の場合は様々。住居系不動産であれば不動産管理会社になるでしょうし、オフィスなどのテナント物件であればビル管理会社などが出て来るでしょう。また、海外の不動産の場合には、その国や地域の商習慣に従ったシステムが取られています。
尚、ここの部分に投資家は出ません。一切を運用会社に投げる形になります。
その点、不動産投資は不動産管理会社か自主管理が一般的。不動産管理会社選びにしろ自主管理にしろ、投資家が主体的に動かなければなりません。
銀行融資
不動産投資信託の場合は不動産投資ローンの様な制度は使えません。融資を受けて運用するのであれば、自宅なりを担保にした、使途の自由なローンを元にすることになるでしょう。
その点、実物不動産投資であれば、自己資金の何倍もの額の不動産投資ローンの設定が可能です。しかも、投資用物件を担保にして、しかも団信の利用も可能。不動産投資信託には無いメリットも多いのです。
利益について
利益は不動産投資信託が分配金や償還金、不動産投資であれば家賃収入や売却益です。ただし、収益の額はケースバイケースのため、両者の比較は難しいです。
例えば、不動産投資信託の場合には海外の物件にも手を広げている物もありますし、その一方で実物不動産投資ではフルローンを利用して多額の収益を得ている例も見られます。また、不動産の売却益も巨額になることもあります。投資対象は似ているかも知れませんが、ビジネスモデルは完全に異なります。利益の現れ方も完全に異なるのです。
税金について
税金も異なります。
不動産投資信託の場合は基本的には所得税と住民税が基本。税率も20.315%です。
その一方で実物不動産投資は複雑です。物件購入時には不動産取得税や消費税などがメインに発生しますし、物件を持っていると、持っているだけで固定資産税が発生します。更に収益に対しては所得税と住民税、法人化するならば法人税も発生します。そして、税率も様々ですが分かりにくいのが累進課税のある物。収益などが多ければ、それに連動して税率も上がるので、税額の計算が厄介です。
次世代への引継ぎ
次世代への引継ぎも不動産投資信託と実物不動産投資では異なります。
まず、不動産投資信託はイメージ的にはそのまま引き継ぐ形になります。次の世代はそのまま分配金を受け取ります。
しかし、不動産投資の場合は土地や建物など、実物資産として受け継ぎます。基本的にはそのまま資産を引き継ぐのですが、築年数も経ってしまうので、家賃の下落や税金の変動が併せて発生し、都度の計算も必要になります。
まとめ
投資信託について解説しました。初心者の方も、一般の投資との性格の違いや資金の動きなどがイメージ出来た物と思います。
また、不動産投資信託の例を取って実物の不動産投資と比べてみました。ビジネスモデルが完全に違うことが把握出来たことでしょう。
いずれにしても、投資信託は直接的な投資ビジネスとは異なる物。独自のメリットがあります。そのメリットを取るか実物の投資を取るかは個人によって異なるので、メリットとデメリットを把握して自分に合った物を選ぶことが重要となるでしょう。
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