不動産投資にも少し変わった物もあります。その中でも「ボロ物件投資」と呼ばれる物は代表格。人気も意外に集まっています。と言うのも、一般の投資用物件よりもメリットが期待出来るからです。
しかし、ボロ物件は一般の物件とは違う点があるクセの強い物件。メリットやデメリットを把握して上手に運用する必要があります。
そこで、ここではボロ物件投資に焦点を当て、メリットやデメリット、そして気を付けたい点を紹介したいと思います。
もくじ
不動産のボロ物件投資とは?
まずはボロ物件投資がどの様な物かを紹介します。
築古物件を敢えて購入してリフォームする投資
中古不動産の情報を探すと、時として築40年を超える様な物件を見ることがあります。建物としては使えるものの、外観はボロボロで住みたがる人は誰も居なさそうな物件です。
しかし、その様な物件でも全く魅力が無い訳ではありません。販売価格を見ると驚く程の破格の値段が付いているからです。
ボロ物件投資はこの様なボロボロに古くなった物件を敢えて購入し、リフォームをして貸し出す投資。購入費用が格安なこともあり、挑戦する投資家が増えている投資形態です。
DIYで改装する人もいる
投資用のボロ物件はそのままでは客付け力がありません。そこで全体に渡ってリフォームをするのですが、このリフォームに費用を掛け過ぎるならばボロ物件を購入する意味が無くなってしまいます。投資金額を抑えるため、リフォームのコストダウンの検討がポイントとなるのです。
ところで、不動産投資家にはDIY上級者が居るのですが、この様な達人の中には、自前で投資用物件を改装してしまう人も居ます。この方法だと外部の業者に流れる資金が材料費以外に無くなるので、極めて安い費用でリフォームが可能です。
そして、投資金額を抑えることに成功すると利回りも上がるのですが、DIYの場合は費用を更に大きく抑えられるため、利回りもそれだけアップするのです。
ボロ物件投資を敢えて行うメリット
では、ボロ物件投資のメリットにはどの様な点があるのでしょうか。代表的な物を挙げてみましょう。
高利回りが期待出来る
まず挙げられるのが利回りの高い点です。
利回りは家賃収入を投資金額で割って算出しますが、ボロ物件投資の場合は元々の物件価格が非常に低いので、それだけ利回りが高くなります。
例えば、築5年クラスの中古物件と築古のボロ物件をそれと同様に改装する場合、仮に入居率と家賃が同じであっても利回りはボロ物件の方が良くなることがあります。ボロ物件の購入費用と改装費用のトータルが築5年物件よりも下回るならば、利回りの点ではボロ物件の方が優位に立つのです。
投資費用が抑えられる
当然ながら、ボロ物件は元々の値段が破格です。つまり、ボロ物件は投資費用を抑えることが出来るのです。
投資費用が抑えられる効果は不動産投資にとっては大きなメリットと言えます。
例えば、不動産投資には自己資金が少なからず必要ですが、ボロ物件であれば自己資金が少なくても開始出来ます。6000万円の物件が2000万円で入手出来るならば、それだけ投資費用が抑えられます。そして、その条件である場合は1/3の自己資金で始められる計算となるのです。
融資額と利子が抑えられる
購入費用が抑えられるのであれば、銀行融資の額も抑えられます。
銀行融資の額が抑えられることは、銀行に支払う利息を減らすことにも繋がるのです。
実際、不動産投資の銀行融資は住宅ローンと比べて金利が高めに設定されています。その分だけ利息が発生しますので、出て行く資金は大きくなって行きます。しかし、元々の借りる資金が抑えられるのであれば、借りる金額も少なくなり、利息分も少なくて済むのです。
元本回収が早い
ボロ物件を上手に改装するならば、築年数からは考えられない家賃収入を得ることが可能です。そうすると、キャッシュフローの状態が非常に良くなります。そうすると元本部分の返済に充てる資金の確保も可能です。
早い段階で利益確保をするならば、例えばその費用を繰り上げ返済に使えば元本にまわるのです。
また、ローンは複利計算となり、借入期間が長ければそれだけ利子の額が増えます。元本の早めの返済は利子の発生そのものを抑える効果が。それだけ経営の追い風となるのです。
レトロな独特なデザインが作れる
投資用不動産の付加価値には様々な要素がありますが、ボロ物件の場合は一般の不動産には出来ない効果を持たせることが可能です。その内の1つが「レトロなデザイン」です。
ボロ物件は古過ぎるため、一見すると全部を変えなければならない様にも見えます。しかし、古い部分を活かしながら改装するならば、レトロなデザインを創ることが可能。レトロさに加えて出て来る、物件の「にじみ出る風格」は、他の物件には真似が出来ず、大きな付加価値・差別化となるのです。
ボロ物件投資のデメリット
それでは、ボロ物件投資のデメリットにはどの様な点があるのでしょうか。代表的なデメリットを挙げてみましょう。
売却しにくい
不動産投資は物件売却を視野に入れるべきです。売却は利益を確実にするためにも重要だからです。しかし、売却には相手が必要です。物件を好条件で購入してくれる相手を探さなければならないのです。
ところが、ボロ物件は一般の中古物件とは異なります。そのため、売却先を探すのが難しくなってしまいます。
尚、改装したとしてもその物件の老朽化は進みます。そうすると、更に売ることが困難になってしまい、いわゆる負動産になるのです。
リフォーム費用が掛かる
ボロ物件投資はリフォームが基本的には前提です。ただし、それは単なる内装と外装のリニューアルとは限りません。ケースにもよりますが基本構造の部分の補強も必要となるのです。
そうするとリフォームの費用が意外に高くなることもあります。ボロ物件投資はコストがあまり掛からない投資ではあるのですが、それでも発生する費用を見誤ると非常に危険な事態にもなり得ます。リフォーム費用の管理について、十分な注意が必要なのです。
銀行融資が引き出しにくい
銀行融資に関しては、前述の通り融資額が少なくて済むメリットを述べましたが、これに関しては別なデメリットもあります。と言うのも、ボロ物件は担保価値が低いため、銀行からの融資を引き出しにくいのです。不動産投資は銀行融資があってのビジネス。融資を受けられないのは大きなハンディです。
ただし、物件のリフォームのレベルを上げて収益性をアップさせれば、むしろ銀行からの評価が上がることも。そうなると融資を引き出しやすくなります。リフォームの状態が融資にまで響くと言えそうです。
投資用物件のリフォームで気を付けたい部分
ここでは投資用物件のリフォームで気を付けたい点を挙げてみました。一般のリフォームとは少し勝手が違うことが分かると思います。
不動産の基礎部分
古い建物の基礎は今の物とは違う場合があります。今の建物はべた基礎が主流ですが、昔の建物は布基礎なども多いからです。基礎は目立ちはしませんが、建物の耐震性をも決める非常に大切な部分なのです。
そのため、リフォームの際には基礎部分も改善する必要も出て来ます。これはコンクリートを多用する大掛かりな工事とはなりますが、物件の強度を確実にするために大切な工事です。
尚、基礎工事はシロアリ対策にも繋がります。建物の土台部分の保持の意味でも重要なのです。
構造部分の再チェックと補強
構造部分のチェックと補強も大切です。
例えば、在来工法のボロ物件の場合、使っている部材も接合方法も今の物とはずいぶん異なります。今の木造建築には集成材が使われており、昔の物件は木材をそのまま使っていたからです。
これは一見すると昔の物件の方が良い様にも見えるかも知れませんが、そうとは限りません。集成材の方が有利な場合もあるのです。
そのため、ボロ物件は構造部分のチェックも欠かさず、適切な補強もしなければなりません。耐震性などの確保のために必要なので、確実にする様にしましょう。
配管の老朽化に注意
配管も非常に大切な部分です。と言うのも配管が老朽化している場合には水漏れなどが起こりやすくもなりからです。昔の建物は今の物件と配管も異なりますし、劣化も進んでいます。
また、今の生活スタイルに合わせてキッチンの配置を変える場合などは、水の流れを確保するためにも配管を配置まで変える必要も出て来ます。
いずれにせよ、工事の規模は大きくなることも少なくありません。工期も費用も必要です。
屋根へのダメージを警戒
屋根はダイレクトに日射や雨水を受ける部分であり、意外な程にダメージを受けています。しかも、屋根の上までは下から見えないので痛み具合が分かりません。そのため、気が付いたら相当な状態だった、と言うことも少なく無いのです。
しかし、屋根の不具合を放置していると雨漏りのリスクが増してしまいます。やはり早めの確認と手入れが必要です。
尚、屋根部分の水の侵入を許してしまうと、ひどい場合には天井裏の部材を腐食させてしまいます。すると、天井が落下することもあって修繕が非常に大変です。
ボロに見えるのは外壁ダメージが影響している
外壁もダメージを受ける部分。屋根と同様に放置していると内部に水の侵入を許してしまいます。そして、水の侵入を放置すると室内への雨漏りや部材の腐食も。やはり危険なのです。
ちなみに、外壁に使われる窯業サイディングは水を吸い込んでしまうと、全体が反ってしまうこともあります。そうすると、サイディングの交換も必要。放置は危険なのです。
古い不動産に投資をするに当たって気を付ける点
この様に、ボロ物件は一般の不動産と違い、気を付けなければならない点も多いです。そのため、投資そのものにも影響が発生し、注意点も増えます。
ここではボロ物件投資に気を付けるべき点を挙げてみましょう。
リフォーム費用の管理
まず挙げられるのがリフォーム費用の管理です。リフォーム費用の管理が不十分だと費用が掛かり過ぎてしまい、せっかくの物件取得のコストダウンが無駄になってしまうからです。リフォームも大規模になれば多額の資金が必要。細心の注意で扱いましょう。
そのためには、リフォームそのものの知識も不可欠になります。リフォームに使用する資材や設備は元より、工程なども予習しておけば打ち合わせの際に役立ちます。スムーズな話とするためにも、ぜひとも勉強しておきましょう。
キャッシュフロー管理
ボロ物件投資は物件購入の費用が抑えられるために資金管理が容易と思うかも知れません。しかし、その様には考えるべきではありません。むしろキャッシュフローには注意をすべき場合も多いのです。
と言うのも銀行融資を引き出すことが難しく、場合によってはギリギリの経営もあり得るからです。ところが、その様な場合であっても銀行には報告が必要なのです。キャッシュフロー管理は銀行の評価を左右し得る程に大切。銀行との関係維持のためにも管理には気を付けましょう。
火災保険
ボロ物件投資には火災保険は必須です。ただ、保険を掛けてさえおけば安心と考えるべきではありません。ボロ物件だからこそ保険の内容の吟味が必要なのです。
と言うのも、火災保険はアクシデントに対しては対応してくれますが、それが老朽化に起因する物であれば補償を渋ることもあるからです。しかも、アクシデントが複合的になってしまうと判断が難しくなり、こちらの旗色が悪くなることもあるのです。
その様な立場に立たないためにも、保険の内容をしっかり確認すること。前例などを調べ、補償の範囲も研究することが大切になると思われます。
まとめ
ボロ物件投資について取り上げました。ボロ物件投資が流行る理由が把握出来たとも思いますが、その一方に存在する危険性などもイメージ出来たことでしょう。
そうは言っても、利回りを爆発的に上げる可能性を秘めるボロ物件投資は確かに魅力的。戦略をしっかり立てて、注意をしながら進めましょう。
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