不動産投資において品質の良い物件は必要不可欠です。そのため、購入の際には細心の注意を払わなくてはなりません。しかし、建築の専門家で無いならば、物件の品質判断は難しいものです。
また、不動産投資では利回り確保のためには中古物件の方が有利。そのため、中古物件で高品質の状態の物を買わなければなりません。しかし、中古物件には性能的にも不具合のある物もあり、その対処もしなければならないのです。
ここでは物件の不具合「瑕疵」について取り上げ、どの様な物であるか、対応はどうするかをメインに紹介します。
もくじ
不動産投資のアクシデント瑕疵とは何か
まずは瑕疵とは何かについて解説します。
瑕疵とは何か
瑕疵を簡単に言うと「物件の不具合」を指します。
不動産投資は家賃収入によって成立するビジネスのため、入居者には家賃に対して納得出来る住み心地を提供しなければなりません。また、物件を長く使うためには耐久性などの品質も確実で無くてはならないのです。
しかし、投資用物件は全てが完璧な状態では無く、時として問題のある物件も流通します。これが「瑕疵」のある物件です。
瑕疵の厄介な点は目に見える部分だけでは無い点です。例えば、外壁材の目地が割れていた場合などは気を付けて見れば外からでも見つけることが出来ます。しかし、床下や天井裏の部材の状況などは見えにくく、状況の判別は簡単ではありません。
尚、物件に問題があった場合は不動産会社から物件購入時に説明がされます。しかし、瑕疵が隠れている場合には不動産会社からの説明から漏れることもあるので、後で大きな問題として浮上することもあるのです。
瑕疵を放置すると利回りにも影響し得る
瑕疵には放置が出来ない物もあります。と言うのも、放置すると更に状態が悪くなってしまうこともあるからです。
例えば、金属系の屋根材に不具合がある場合、放置しておくと腐食が発生することがあります。それを更に放置するならば雨水の侵入を許すことも。雨漏りが居室内に到達するならば家財までも汚してしまい得るのです。
雨漏りの被害はそれだけではありません。屋根に侵入した雨水は部材や部品を腐らせますし、カビの原因にもなります。部材が腐れば建物の強度にまで悪影響を及ぼしますし、カビが発生するならば居室の空気環境も汚してしまいます。
そうすると生活環境を悪化させ、入居者の不快感にも繋がり、その部屋での生活が嫌になって退去する…といったシナリオも成立し得るのです。そして、その様な状況が慢性的になってしまうと利回りも落ち込み、赤字体質となってしまうのです。
不動産投資をするのなら、どの様な瑕疵があるかを知っておこう!
次に、瑕疵にはどの様な物があるかを紹介します。
瑕疵にはその状況によって4種類に分けられます。「物理的瑕疵」「法的瑕疵」「環境的瑕疵」「心理的瑕疵」です。それぞれについて解説します。
物理的瑕疵
物理的瑕疵は土地や建物の物理的な問題を指します。
建物には様々な機能があります。基本的な機能としては、一般的な物で、風雨を避ける、日射から守る、暑さや寒さを防ぐなどがありますし、通常では発揮されない防火性なども含まれます。
しかし、建物の部材に問題がある場合、それらの性能が十分に発揮出来ない事態もあり得ます。例えば、柱や梁などの構造部材に問題がある場合には耐震性や耐風圧が発揮されないかも知れませんし、壁や床下などの断熱材に問題がある場合には断熱性能が落ちてしまうのです。
この様に物理的瑕疵が存在すると、入居者への快適な生活空間の提供は出来ません。時として大きな問題になるため物理的瑕疵は不動産投資においても大きな問題となるのです。
法的瑕疵
不動産は法的に問題がある物件を指します。法的瑕疵のある物件は中古の不動産が多いです。特に建築基準法や消防法に抵触する物が見られます。
ただ、建築関連の法規は自然災害の発生によって変わって来た物が多いので、既存不適格の物件が意外によく見られます。
また、増築などの大規模改修の際に容積率や建ぺい率などがオーバーしてしまい、法的に問題が出てしまった物などもあります。
ちなみに、法的瑕疵のある物件は銀行のローンが基本的には通りません。便利と感じたとしても、購入に労力を割くのは無駄足にもなり得ます。
環境的瑕疵
環境的な問題がある不動産もあります。これは瑕疵に数えられ、「環境的瑕疵」と呼ばれます。
不動産は敷地の中だけでは無く、敷地の周囲の問題も被ることがあります。例えば、周囲に下水処理場などがあると時間帯や風向きによっては悪臭が流れて来るかも知れません。また、鉄道や幹線道路が近くに走っている場合には、騒音や振動が伝わって来ることでしょう。しかも鉄道も貨物の様に夜中まで運行していることもあり、安眠が妨げられる事態もあり得ます。立派な瑕疵なのです。
環境的瑕疵の厄介なところは、物件を1度見ただけでは分かりにくい点です。例えば下水処理場などの場合、現場を見た時に悪臭が確認出来るとは限りませんし、貨物列車なども居合わせないと確認が出来ないからです。
心理的瑕疵
不動産には快適性も求められます。仮に快適性に欠けている場合は住み心地の悪い物件となってしまい、最悪の場合には空室になってしまいます。
さて、不動産の住み心地を考える場合、物理的な問題や環境的な問題などを考えるだけでは、実は不十分です。と言うのも、心理的な問題も不動産には付いて来るからです。
不動産に関係する心理的な問題は「心理的瑕疵」と呼ばれます。
具体的には生活していて気分の悪くなる物全般を指します。例で言えば、過去に自殺や殺人事件などが発生した部屋などです。これらは物理的にも環境的にも問題は無いのですが、住んでいるだけで気分の悪さを感じるもの。やはり瑕疵に考えられるのです。
尚、心理的瑕疵は過去の事件の内容により、重要事項説明に載らないケースも出て来ます。例えば、孤独死などは数年で説明から載らなくなりますが、バラバラ事件などの様な凄惨な事件は数十年も記録が残されることもあります。
気が付きにくい瑕疵もあるって知ってる?
不動産の瑕疵には発見しやすい物と、分かりにくく盲点になりやすい物もあります。以下に挙げる物は意外に見落としがちな問題点です。
尚、この中には不動産の瑕疵としてはカウントされにくい物もありますが、不動産を経営をする上で不具合を生じる物もあります。
見えない部分の手抜き工事
建物は外観で分かる部分と分からない部分があります。例えば、建物の外装や内装は案外分かりやすいです。外壁材は手で触れば塗装の劣化状況も分かりますし、内装材も目視で分かります。
しかし、天井裏や床下の状況は簡単には分かりません。
例えば、天井裏や床下には構造部分に関係する部材が走っています。当然ながら、これらの部材は十分な強度で固定されていますが、時としてネジなどの数を間引いていたり、規定の物よりも細い物が使われている場合もあるのです。
この様な瑕疵は実際に床下や天井裏に入らなければ分からないケースが多く、建築の素人では判断が難しいです。
地盤沈下
地盤沈下はすぐに発見される物では無く、建ってからある程度の時間が経過して分かります。進み方が非常にゆっくりなのです。そのため、購入してから気づくまで時間が掛かることも少なくありません。
しかし、地盤沈下はガス管などのライフラインに大きなダメージを与えます。しかも、地盤沈下対策の工事にも費用が発生するため、利回りにも少なからず悪影響を及ぼしかねません。
また、地盤沈下が発生した物件の売却は難しくなります。投資用不動産の次の買い手は別の不動産投資家のため、物件は徹底的にチェックして満足行かなければ契約まで進まないのです。
周囲に食べ物屋がある場合
周囲に食べ物屋がある場合、状況によっては不具合になる物もあります。例えば焼き鳥屋、うなぎ屋などです。これらの店は香ばしい香りがするとされていますが、毎日の様に漂ってくると悪臭のレベルにも感じられます。
特に布団や洗濯物などを外に干したい時…仮に実際には移らないにしても、臭いが移る様に思えて気分も悪くなるかも知れません。
この様な場所に投資用不動産を持つとなると、やはり少なからず空室リスクが発生するとも考えられます。
信号・踏切
信号や踏切なども意外に気分が悪くなる物です。これらは「設置されていて当たり前」と思えるかも知れませんが、近くにあると嫌な物。明るさや音が気になる物です。
当然ながら、これらは生活環境に影響するので、投資用不動産としては良い影響は受けません。より高い家賃を狙うならば避けるに越したことは無いでしょう。
学校
学校が近くにあると治安が良いので不動産会社から紹介を受けることがあります。しかし、学校にもよりますが、朝からうるさく感じることも少なくありません。
特に体育会系の部活が盛んな学校の近くだと、日曜日もゆっくり寝ていられないこともあります。
暴力団事務所が近い
近隣に暴力団の事務所がある場合もあります。その場合には不動産会社も教えてくれることもあるでしょうが、暴力団と判断することが難しい場合もあり、明言は避けられるかも知れません。
当然ながらその様な状況の場所は遠隔地からは分からない要因。自分の足で歩いて確認しなければならない条件です。
カルト宗教のアジト
高額のツボなどを販売したりするカルト宗教の人…なるべく関わりたく無い物です。
さて、不動産を決める場合には、この様な場所があるかどうかを調べるのも意外と大切です。この様な場所は地図にも載っていないため、現地の評判を聞くしか手段はありません。自分の足で調べることが、やはり肝要と言えるでしょう。
瑕疵を回避するためには
瑕疵を回避するためには、自分で物件を確認することも大切です。
では、どの様な点を見るべきでしょうか。
周辺の環境の確認を入念にする
不動産会社からの説明は物件の説明で終わってしまうこともあり、周辺の環境までは説明されないこともあり得ます。
例えば、駅から近い位置に物件を買ったとします。不動産会社からの説明は駅から近くて便利だ…と言った内容の物はあるかも知れません。しかし、そこがストリートミュージシャンのたまり場だったとしたらどうでしょうか。週末は朝まで歌っていて騒々しい…と言った事態も考えられない訳ではありません。
では、どの様に確認すべきかと言うと、やはり現地に足を運んで自分で確かめるに限ります。やはり自分の目で確認するのは大切です。機会を作って通う様にしましょう。
登記簿などもチェックする
今や法務局だけでなく、ネットでの閲覧も可能となった登記簿ですが、その土地の過去の状態を知るのに大きな手掛かりとなる場合もあります。
特に重要なのが昔の土地の状態。例えば土地が過去に沼地だったりした場合、地盤沈下のリスクが大きくなります。当然ながら、その様な土地に大きな建物を建てるのは得策では無く、避けるべきです。
ホームインスペクションの活用
ホームインスペクションの活用も有効です。
携わるインスペクターは建築の専門家ばかり。素人では把握しにくい部分のチェックまで行います。
特に有用なのが床下や天井裏の確認。外観や居室内の確認では分かりにくい構造の部分などまで見てくれるのでオススメです。
尚、ホームインスペクションには費用が発生しますが、建物を長期間使うためには先行投資と考えるべきでしょう。インスペクションをしないで発生した不具合から、後になって数千万円単位の出費を強いられるケースもあるからです。
まとめ
瑕疵について取り上げました。瑕疵の種類だけでなく利回りに影響することなども把握出来たことと思います。また、意外な要素が瑕疵に繋がり、それが不動産運営に不利になり得ることも分かったことでしょう。 しかし、瑕疵であっても対策を考えておき、準備をしておけば回避出来る物もあります。スタートの前に布陣を敷き、対処出来る様にしましょう。
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