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中古物件を買う前に知りたい!築年数が経った物件はどこまで使えるか

中古物件を買う前に知りたい!築年数が経った物件はどこまで使えるか

不動産投資においては新築物件よりも中古物件の方が有利と言われます。これは利回りや購入コストから見ても明らかです。

しかし、中古だからと言って何でも良い訳ではありません。中古物件を扱う上では、建物の老朽化についても知るべき。仮に闇雲に買ってしまうと、実は問題があり過ぎる物件だった…という事態にもなり得るからです。

そこで、ここでは築年数の経った中古物件について取り上げ、建物の変化や耐用年数、そして購入の際のチェックポイントなどを紹介したいと思います。

築年数がたった物件は、不動産投資としてマイナスになる事もあり得る話です。中古物件を買う段階から「築年数」には注意を払っておきましょう。

築年数と建物の変化

建築物には構造の種類がいくつかあり、その特性はそれぞれで異なります。そして、その特性には耐久性に関する事項も含まれているので、やはり知っておくべきです。

築年数と建物の変化

ここでは建築物の築年数と建物の変化について挙げてみましょう。

木造

まず挙げられるのが木造です。木造は最もポピュラーな構造で、特に戸建て住宅で用いられています。不動産投資に関するならば小規模のアパートなどとなるでしょう。

木造建築物には在来工法で作った物とツーバイフォー工法の物がありますが、素材を見るならば両者は同じで合板や集成材などで構造を構成しています。

さて、木造の場合の築年数による変化ですが、外装や設備などを除くならば、木の構成部材の腐食や金属部品の腐食や疲労などが挙げられます。また、水が壁や屋根に入り込んでしまうと、侵入した水が部材を腐らせてしまいます。それが進んでしまうと建物の強度が落ちてしまい、耐震性や耐風圧などの基本性能も落ちてしまうことでしょう。

尚、木造の場合はシロアリ被害を受けることもあります。シロアリの場合は被害を受ける場所によっては構造強度にも影響し、建物の基本性能を著しく下げる事態にも繋がります。

鉄骨系

鉄骨系は構造を作る材料の肉厚によって軽量鉄骨と重量鉄骨に分類されますが、基本的には構成素材は同じ。スチール材が主に用いられます。

さて、鉄骨系の建物の変化…つまり劣化とその要因は水や塩害などで、これらは部材や部品を錆びさせてしまいます。スチール部材は錆びてしまうとボロボロになって強度が落ちてしまい、建物の基本性能まで低下してしまうのです。

ただし、鉄骨系の構成素材は基本的には錆びにくい様に表面処理を施しているため、構造の耐用年数は木造よりも長いです。

鉄筋コンクリート系

鉄筋コンクリートはコンクリートに鉄筋を埋設して作る構造。強度が非常に高いのが特徴です。防火性能などにも優れるので安全性も高くなります。

鉄筋コンクリート系の建築物の劣化要因は空気中の二酸化炭素などです。

鉄筋コンクリートの構造を支持しているのがコンクリートと鉄筋ですが、空気中の二酸化炭素はコンクリートに化学変化を起こさせ、更には鉄筋を腐食させて建物の強度を下げてしまうこともあるのです。

ただし、コンクリートの化学変化は非常にゆっくりと進みます。そのため、構造強度の低下に至るまでは相当の長い時間を要し、その結果として構造は長持ちします。

建物はどれだけ使えるか

築年数は構造によって異なるのですが、耐用年数のカウント方法がいくつかあり、建物を扱うためには知っておいた方がベターです。

建物はどれだけ使えるか

ここでは建物の耐用年数のカウント方法を取り上げ、それぞれの特徴を紹介します。

法定耐用年数

まず挙げられるのが「法定耐用年数」と呼ばれる物。これは法的に決めた耐用年数ですが、減価償却の関係からの耐用年数とも言うことが出来ます。減価償却とは価値の減少を示す物で、その耐用年数が終わると価値が無くなると言うイメージです。

さて、建物の法定耐用年数ですが構造別に異なり、以下の通りになります。

  • 木造/22年
  • 鉄骨造(主要部材の肉厚が3㎜以下の物)/19年
  • 鉄骨造(主要部分の肉厚が3~4㎜以下)/27年
  • 鉄骨造(主要部分の肉厚が4㎜を超える物)/34年
  • 鉄筋コンクリート造/47年
  • 鉄骨鉄筋コンクリート造/47年

実際の耐用年数

建物の法定耐用年数はあくまでも法的に決められた耐用年数でしかありません。実際には更に長い期間の使用が可能なのです。

例えば木造建築物、住宅地に行ってみると築22年どころか築30年以上と思われる物件も少なくありません。また、首都圏のオフィス街に行くならば築50年を超えても現役で使われている鉄筋コンクリート製の建物も多いです。

この様に建物は法定耐用年数を超えても、継続して普通に使用することが可能なのです。

ただし、建築物の全てが長持ちするとは限りません。鉄筋コンクリート製の建築物の中にはそこまで長く使われずに取り壊される物もあります。建物の寿命とは別の都合で壊されるケースもあるのです。

材料の耐用年数

それでは建築物の材料の耐用年数はどうなのでしょうか。

まず木造から言うと、林業の関係者に言わせれば50年とか60年くらいは使用可能との声もあります。今の木造の構成部材は合板や集成材ですが、それらの素材はそれくらいの耐用年数があると言うのです。

次に鉄筋コンクリートなど。これも非常に長いです。鉄筋コンクリートの場合は建物に使われている物がほとんどなので、実際の建造物を見るのが手っ取り早いのですが、海外の建築物を見るならば築100年を超える物もあるほどです。

設備の耐用年数

この様に、建築物そのものでは非常に長い耐用年数を持ちます。

しかし、設備はそれほど耐用年数を持つとは限りません。

例えばキッチンやトイレなどは15年も使えば故障の確率も多くなりますし、内装材なども10年くらいで老朽化が目立ち始めます。また、住宅設備の取扱説明書を見るならば、各メーカーとも10年で区切っているケースがほとんどです。

ちなみに、設備には製造物責任が掛かっています。これは期間が10年となっており、それを過ぎるならば免責になります。

築年数が経った物件のチェックポイント

次に、築年数が経った物件を購入する時のチェックポイントを挙げてみましょう。

築年数が経った物件のチェックポイント

築年数の経った建築物は今の物件ほどに性能面で優れるとは限らず、基本性能や使い勝手の点で劣ってしまうことが少なくないからです。

外観

まず外観です。

建物の外観は見る人の第一印象を決めます。ですから客付け力を決めると言っても過言ではありません。

さて、建物の外観はリフォームの状態で美観も性能も変わるので、リフォームの履歴がチェックポイントとなります。

尚、リフォームをしても外観は新築のレベルまでの回復は難しいです。ですから、利回りをある程度向上させるレベルまでしか行けないかも知れません。

また、外装の仕様によっても状況は変わります。タイルの物と塗装の物では素材が違うので耐用年数まで異なります。外装は外見だけでなく、素材の仕様も参考にするべきでしょう。

内装

内装材は建物のレベルまでには長持ちはしません。ある程度の期間を経たら、やはり改装は必要となるのです。特に投資用物件は内装の状態で客付け力や家賃レベルまで違います。古ぼけて来たら改装するのがベターと思われます。物件の購入の際には改装を考えておくのが良いと思われます。

ただし、物件の状況によっては使用可能な内装材を限定しているケースもあります。例えば、騒音防止のために床材の交換を禁じてるケース。その様な場合には既存の物に、新しい部材をカバーして設置するなどの工夫が必要にもなるでしょう。

住宅設備

住宅設備は基本的に10年です。ですから、築年数が10年を超えた物件では注意が必要となります。使用には問題が無い場合であっても、購入後に故障をするかも知れません。あらかじめ予算を考えておいた方が良いでしょう。

尚、住宅設備には機能や価格のグレードがあります。グレード選びに間違ってしまうと費用対効果にも影響することもあり、利回りにも響くこともあり得ます。仕様を決めるに当たっては十分な情報収集が必要です。

防災設備

防災設備も基本的には15年程度が目安です。ただし、設備によっては電池を使っている物もあり、4~5年が交換目安の物もあります。購入の前にはしっかりと確認しましょう。

尚、防災設備には定期点検が欠かせない物もあります。例えば防火シャッターなど。これらは火災などの発生には確実に動かなければなりません。ですから、購入の際にはメンテナンスの履歴なども確認するのがベターです。

防犯設備

防犯設備に関するならば、基本的には新しい設備に変える方がベターです。築浅であれば新しいタイプの防犯設備が設置されているかも知れませんが、築年数の経った物件の場合には古い物がそのまま付いているケースもあるので注意するべきでしょう。

防犯設備で注意したいのは玄関ドアやインターホンばかりではありません。窓サッシなどにも注意は必要です。と言うのも、近年は玄関を破るよりも窓を破る不正侵入が多く見られるから。サッシの錠まわりを確認しましょう。

ちなみに、窓やドアのリフォームは今では非常に簡単に出来る様になっています。予算も工期も昔のリフォームよりも抑えられるので、築年数の経った物件を検討するならば、併せて調べることをおすすめします。

構造

築年数の経った物件は昔の規格で建てられている物ですので、構造のチェックが大切です。

例えばマンションなどの場合は築年数によって耐震強度が異なります。ですから、あまり築年数が経ち過ぎている物件の場合は強度上の問題もあり得ます。

また、木造住宅の場合は2000年にも耐震性の見直しが行われています。これは構造部分に補強部品を入れるなど、新しく構造の補強の加わった物です。

ただ、古い物件であったとしても耐震リフォームが行われている物件もあります。その様な物件を検討する場合には、どの様な仕様でリフォームを行ったかを可能な限り確認するのがベターです。

電源環境

電源環境は新しい物件と築年数の経った物件では異なる場合があるので注意が必要です。例えば最近の物件であれば60アンペアくらいは普通にあるのですが、築年数の経った物件だと40アンペア以下の物も見られるからです。

当然ながら、アンペア数の少ない状態では設置可能な家電製品にも制限が発生してしまいます。特に、今では食洗器などの大型の家電製品が普及して、ますます電気が必要になります。購入の際には注意が必要です。

ちなみに、マンションなどの場合、全体の電源交換には大掛かりな工事が必要となり、多額の費用も発生します。リフォームは簡単には出来ないので、購入の際には十分な確認が必要です。

バリアフリー性

最近の設備は段差解消などのバリアフリー化が進み、お年寄りであっても快適に生活することができます。浴室などには補助手すり、段差も解消されて安全性も向上しています。

しかし、築年数の経った物件ではバリアフリーの面で不十分な物件も多く見られます。

部屋のバリアフリーはリフォームでの対応も可能なのですが、マンションなどの場合は専有部分だけでなく共用部分のバリアフリーも考えなければなりません。購入の際には十分に注意しましょう。

メンテナンス性

メンテナンス性も立派な性能。建物のメンテナンス性が良くない場合、部材の交換などが上手く出来ない場合もあるからです。

例えば、配管などは腐食しやすい部分なので、定期的なチェックが必要。場合によっては交換しなければなりませんが、建物の仕様によっては交換が難しい物も見られますそして、それは築年数の経った物件に多く見られます。

ですから、築年数の経った物件を購入する場合には、メンテナンス性を考慮した物であるかの確認が必要となるでしょう。

まとめ

築年数の経った物件について考えてみました。

築年数の経った物件は購入コストが抑えられる魅力があるのですが、今の物件よりも劣る部分があるのは確か。チェックすべき部分があるのが把握出来たことと思います。また、闇雲に古い物件に手を付ける危険性も把握出来たことでしょう。

しかし、築年数の経った物件は注意さえすれば問題無く買うことが出来て、しかも良い状態で使えます。上手に使って良い投資ビジネスにしましょう。

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清水みち代

関東在住の30代女性。 生保代理店で窓口営業に従事していましたが、コロナの影響で休業中。 自宅にいる時間に資格取得に目覚め、通関士、宅地建物取引主任者、FP2級、総合旅行業務取扱管理者の各資格を取得。 将来の目標は、北海道での「田舎暮らし」。

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